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第45話 隠された航宙船
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マザーコンピュータは、地下空間の近くにある山に航宙船が隠されていると言っていた。
その山というのは、先日一度休むために入った空間がある場所であり、今現在いる場所である。
どうやらこの山、航宙船を隠すために生成されたものらしいのだ。
二百年以上前の技術とはいえ、そんなことが可能とは驚きの事実である。
「航宙船を隠すために作られた山ですけれど、出入り口のハッチというものが必ずあるはずです。おそらくこの空間は、そのハッチの開閉スペースを確保するために作られたのでしょう」
「ああ、なるほど、そういうことなのか」
マザーコンピュータから得た情報とニックの分析力が加わると、また新たな可能性が見えてきたというものだ。
この空洞がなぜあったのかという謎が解き明かされたのである。
しかし、約一名だけはずっと違うことを考えているようだった。
「私の能力が時間を操るというのなら、私ってば……」
そう、クロノだ。
先程の一件で自分が時間を操る能力に目覚めたということに気が付いて、すっかり気が動転してしまっている。
それもマザーコンピュータの話があったからだ。
同じように時間を操る能力を得た人物は、時間を巻き戻そうとして一瞬で年老いて死んでしまったというのだから。
自分も同じように急激に年老いて死んでしまうのではないか。その恐怖がクロノを襲い続けているのである。
「クロノ、いつまで悩んでいるんだ」
「あ、アーツ……」
急に声をかけられて、声の方向へと勢いよく顔を向ける。
アーツに向けられたクロノの表情は、今にも泣き出しそうなくらいに怯え切っている。
「お前が悩むのは分かるが、その力のおかげで俺は何度となく助けられているんだ。マザーが言っていたようなことをしなければ、そう簡単には老け込まないだろうよ」
「アーツ……」
クロノを落ち着かせようとして声をかけるアーツではあるが、やはりこの程度ではクロノの不安はぬぐいされないようだ。
そこへ、ノワールがゆっくりと近付いていく。
「ノワール、どうしたの?」
ゆっくり近づいていったノワールは、何を思ったかクロノにかみついている。
「おい、何やってるんだ!」
さすがにノワールの突然の行為に、怒鳴らずにはいられなかった。
「もう、ノワールってばいきなり何をしているのよ。もう少し説明してちょうだい」
ブランが駆け寄ってくる。
「おい、ブラン、これはどういうことなんだよ」
「自分が進んだ時間を回収してみせるとか言い始めたのよ。どんなことか分からなかったけれど、いきなりかみつくのはやめてあげて」
『すまない。これで大丈夫だろう』
ようやくクロノから離れていた。
「クロノ、大丈夫か?」
「あ、うん。大丈夫だよ。あまがみだったから」
クロノはいきなりかまれてびっくりしていたが、何もなかったことでほっとしているようだった。
「まったく、ノワールは何をしたのよ」
『我らは一度死んだ身だ。ゆえに、時間など関係ないからな』
「ああ、そういうことなのね。理解はしたけど、分からないわね」
ブランは困惑した顔をしている。
「でも、さっきに比べればだいぶ落ち着いた気がする。ありがとう、ノワール」
『いいってことだ。主を悲しませることだけはしたくないからな』
クロノが嬉しくて抱きついていると、ノワールは照れたような態度を取っている。
「おーい、お前たちも入口を探すのを手伝え」
「この横穴のどこかに、航宙船のハッチがあるのは間違いないんです。探して下さい!」
レンクスとニックが大声で叫んでいる。横穴の中なので、声がよく響いている。
「分かった。今から探す」
二人の声に、アーツが返事をする。
「それじゃ、俺たちも探そうぜ」
「そうね。何か今の状況を打破できるだけのものがあるといいんだけど」
「期待はできないかもな。なにせ二百年以上前のことだしな」
クロノは期待している節はあるものの、アーツはどちらかといえば否定的だ。
とはいえ、もしかしたら今の自分たちに役に立つ情報もあるかもしれないと、ちょっとした期待を持ってしまうというものである。
「とはいえ、ここに航宙船が残されているということは、乗組員たちはみんなあの地下に降りたってことなんだろうな。一人でも残っていれば、脱出しそうなものなんだがな」
「それは確かにそうかも知れないわね」
クロノはアーツと一緒に壁を調べていっている。さっきまでの沈んでいた気持ちからすっかり立ち直っているようだ。
しばらく探していたアーツたちだったが、ある地点にやって来た時、クロノが何かを感じ取ったようだ。
「あそこ! なにか感じるわ」
クロノが天井を指差しながら叫んでいる。
「クロノ、本当か?」
「分からない。分からないけど、何かを感じるの」
クロノの言葉に、アーツはブランを通してオランジュに頼み込む。
こくりと頷いたオランジュが、天井へと飛び上がり、クロノが指摘したあたりへと毒針攻撃を仕掛ける。
バラバラと岩石片が地面へと落ちていくので、アーツたちは真下から離れる。
やがて、オランジュの針が「ガンッ」という鈍い音を立てて跳ね返された。
「見つけたぜ」
閃光剣を光らせて天井を確認する。
間違いなく、そこに露出していたのは金属だった。
アーツたちは、二百年前にやって来た人物たちの航宙船を発見したのである。
その山というのは、先日一度休むために入った空間がある場所であり、今現在いる場所である。
どうやらこの山、航宙船を隠すために生成されたものらしいのだ。
二百年以上前の技術とはいえ、そんなことが可能とは驚きの事実である。
「航宙船を隠すために作られた山ですけれど、出入り口のハッチというものが必ずあるはずです。おそらくこの空間は、そのハッチの開閉スペースを確保するために作られたのでしょう」
「ああ、なるほど、そういうことなのか」
マザーコンピュータから得た情報とニックの分析力が加わると、また新たな可能性が見えてきたというものだ。
この空洞がなぜあったのかという謎が解き明かされたのである。
しかし、約一名だけはずっと違うことを考えているようだった。
「私の能力が時間を操るというのなら、私ってば……」
そう、クロノだ。
先程の一件で自分が時間を操る能力に目覚めたということに気が付いて、すっかり気が動転してしまっている。
それもマザーコンピュータの話があったからだ。
同じように時間を操る能力を得た人物は、時間を巻き戻そうとして一瞬で年老いて死んでしまったというのだから。
自分も同じように急激に年老いて死んでしまうのではないか。その恐怖がクロノを襲い続けているのである。
「クロノ、いつまで悩んでいるんだ」
「あ、アーツ……」
急に声をかけられて、声の方向へと勢いよく顔を向ける。
アーツに向けられたクロノの表情は、今にも泣き出しそうなくらいに怯え切っている。
「お前が悩むのは分かるが、その力のおかげで俺は何度となく助けられているんだ。マザーが言っていたようなことをしなければ、そう簡単には老け込まないだろうよ」
「アーツ……」
クロノを落ち着かせようとして声をかけるアーツではあるが、やはりこの程度ではクロノの不安はぬぐいされないようだ。
そこへ、ノワールがゆっくりと近付いていく。
「ノワール、どうしたの?」
ゆっくり近づいていったノワールは、何を思ったかクロノにかみついている。
「おい、何やってるんだ!」
さすがにノワールの突然の行為に、怒鳴らずにはいられなかった。
「もう、ノワールってばいきなり何をしているのよ。もう少し説明してちょうだい」
ブランが駆け寄ってくる。
「おい、ブラン、これはどういうことなんだよ」
「自分が進んだ時間を回収してみせるとか言い始めたのよ。どんなことか分からなかったけれど、いきなりかみつくのはやめてあげて」
『すまない。これで大丈夫だろう』
ようやくクロノから離れていた。
「クロノ、大丈夫か?」
「あ、うん。大丈夫だよ。あまがみだったから」
クロノはいきなりかまれてびっくりしていたが、何もなかったことでほっとしているようだった。
「まったく、ノワールは何をしたのよ」
『我らは一度死んだ身だ。ゆえに、時間など関係ないからな』
「ああ、そういうことなのね。理解はしたけど、分からないわね」
ブランは困惑した顔をしている。
「でも、さっきに比べればだいぶ落ち着いた気がする。ありがとう、ノワール」
『いいってことだ。主を悲しませることだけはしたくないからな』
クロノが嬉しくて抱きついていると、ノワールは照れたような態度を取っている。
「おーい、お前たちも入口を探すのを手伝え」
「この横穴のどこかに、航宙船のハッチがあるのは間違いないんです。探して下さい!」
レンクスとニックが大声で叫んでいる。横穴の中なので、声がよく響いている。
「分かった。今から探す」
二人の声に、アーツが返事をする。
「それじゃ、俺たちも探そうぜ」
「そうね。何か今の状況を打破できるだけのものがあるといいんだけど」
「期待はできないかもな。なにせ二百年以上前のことだしな」
クロノは期待している節はあるものの、アーツはどちらかといえば否定的だ。
とはいえ、もしかしたら今の自分たちに役に立つ情報もあるかもしれないと、ちょっとした期待を持ってしまうというものである。
「とはいえ、ここに航宙船が残されているということは、乗組員たちはみんなあの地下に降りたってことなんだろうな。一人でも残っていれば、脱出しそうなものなんだがな」
「それは確かにそうかも知れないわね」
クロノはアーツと一緒に壁を調べていっている。さっきまでの沈んでいた気持ちからすっかり立ち直っているようだ。
しばらく探していたアーツたちだったが、ある地点にやって来た時、クロノが何かを感じ取ったようだ。
「あそこ! なにか感じるわ」
クロノが天井を指差しながら叫んでいる。
「クロノ、本当か?」
「分からない。分からないけど、何かを感じるの」
クロノの言葉に、アーツはブランを通してオランジュに頼み込む。
こくりと頷いたオランジュが、天井へと飛び上がり、クロノが指摘したあたりへと毒針攻撃を仕掛ける。
バラバラと岩石片が地面へと落ちていくので、アーツたちは真下から離れる。
やがて、オランジュの針が「ガンッ」という鈍い音を立てて跳ね返された。
「見つけたぜ」
閃光剣を光らせて天井を確認する。
間違いなく、そこに露出していたのは金属だった。
アーツたちは、二百年前にやって来た人物たちの航宙船を発見したのである。
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