ドラゴニックプラネット

未羊

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第51話 船底の隠し部屋

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 ニックの案内で、アーツたちは再び船底へと戻ってきていた。

「おい、ここってさっき通った倉庫群だろ。ここに何があるっていうんだよ」

 アーツが文句を言い始めている。

「僕の話を聞いていましたか? ここに今しがた話をしていたロボットたちが眠っているんですよ」

「ああ、そうだっけか」

 とぼけたように答えるアーツ。あまりにもわざとらしいので、クロノとブランにジト目を向けられている。
 これにはアーツも笑ってごまかすしかない。
 操舵室へと移動した転移装置から戻ってくると、ニックは左手の壁を探り始める。

「ニック?」

「まあ、黙って見ていて下さいよ」

 ニックが壁を滑らせるように触っていると、とあるところで動きが止まる。

「ここですね。ちょっと押してみます」

 そういうと同時にニックが力を入れて押すと、なんということだろうか、壁が凹んだのである。
 ここには隠しスイッチがあったのだ。
 次の瞬間、プシュンという音がして壁が動いて入口が出現する。

「すごい、隠し扉があったんだ」

「この先にはこの航宙船の防衛機能であるロボットがいますからね。侵入者に気取られることなく隠しておくために、このようなシステムになっているようです」

「な、なるほどなぁ……」

 あまりにも予想外だったようで、アーツもレンクスもあまり多くの感想が呟けなかったようだった。

 壁に開いた穴から全員が入っていくと、ガコンという音がして入口が閉まってしまった。

「扉が!」

「大丈夫ですよ。中から同じようにしてやれば開きます。ただし、緊急時には近くに寄っただけで開くようになっているようですよ」

「そ、そうなんだ。それなら安心だわ」

 ブランが慌てていたものの、ニックの言葉ですっかりほっとしているようだった。
 部屋に入ってから少し進んでいると、左右の壁がなくなり一気に視界が広くなる。
 その際、同時に目に飛び込んできた光景に、全員が驚かされる。

「すげえ……。これが全部ロボットなのか?」

「そうですね。でも、地面が隆起した影響で、天井がずいぶんと潰れてしまっていますね。操舵室の状況からするとよく無事だったと思いますよ」

 操舵室があれだけ壊れていたのだ。当然ながら、船底部分も同じくらいのずれが起きていて当然というわけである。
 天井は三分の二くらいの高さにまで押し潰されている。その高さは、部屋に並んだロボットの頭身とほぼ同じ高さだった。これではシステムの呼び掛けに対して動けるわけがなかったのだ。
 ロボットのいるあたりは、おそらく隆起から取り残された部分なのだろう。天井の凹み具合より、床の落ち込み具合の方が少し大きかったのだ。

「にしても、すげえな。この金属の塊がこんなに変形するとはな……」

「本当にね。それでいて無事で済んでいるこの航宙船。頑丈さがすごいわね」

 衝撃の光景を目の当たりにして、レンクスたちは昔の人たちの技術のすごさに唸るばかりだった。
 普通ならば、これだけ天井や床が歪んでしまえば、中に張り巡らされたケーブルが損傷を受けてショートしてしまいそうなものだ。それだというのに、断線してしている様子すら見受けられない。本当に驚くべき状態なのである。

「さあ、外にいる恐竜たちへの対策として、アーツ、一体起動してもらえませんかね」

「えっ、俺がか?!」

 突然の指名に、アーツが戸惑っている。

「当然ですよ。この状況でアーツ以外に誰ができるんですか」

「で、でも、俺ができるのは閃光剣や閃光銃の光を操ることくらい……」

 ニックは確信めいたところがあるようだが、アーツは必死に無理だと言い繕っている。

「できるんですよ。ニックの能力はそういうものじゃないんです。金属や機械に働きかける僕の能力と似ているからこそ、分かるんですよ」

「むむむむむ……」

 ニックに迫られて、アーツは観念したようである。
 仕方なく、ロボットの一体に近付いていく。

「少し温かいな……。さっきシステムが動かそうとして起動したからか」

 アーツがロボットに触れると、わずかながらに熱を持っているようだった。
 理由はアーツが推測した通りである。

(動け、ロボット)

 覚悟を決めたアーツは、ロボットに触れたまま強く念じている。

 ブゥン……。

「おわっ!」

 突然の起動音に、アーツは驚いて尻餅をついてしまった。

「アーツ?!」

「悪い。どうやら起動できたみたいだ。つい驚いてケツを打っちまったぜ」

「もう……」

 びっくりしたクロノだったが、アーツの言い訳を聞いて呆れているようだった。

―あなたが、マスターか―

「うおっ、喋ったぞ」

 クロノとのやり取りをしていると、起動したロボットから急に声を掛けられる。
 あまりの不意打ちに、アーツは身を仰け反らせて大いに驚いている。

―問う、あなたがマスターか―

「ああ、そうだ。俺がお前のマスターだ」

 アーツの返事を聞いたロボットは、足を浮かせて這いつくばるようにして上がってくる。「出てこれたんかい!」と思わず突っ込みたくなる光景である。
 アーツの目の前に立つと、ロボットはアーツに跪いている。なんとも驚きの連続である。

―マスターの帰りを、待っておりました。なんなりとご命令下さい―

 跪いたロボットは、その目でしっかりとアーツを見つめていたのだった。
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