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第52話 ロボット軍団
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「アーツ、大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だ。どうやらこいつら、俺のことをマスターだと思っているようだぜ」
「なんだって?!」
ロボットに跪かれているアーツのところにレンクスたちが駆け寄ってくる。
ロボットは一瞬動いたものの、アーツが制止すれば動きを止めていた。ちゃんとアーツの言うことを聞いているようである。
「すごい、いうことを聞いているわ」
「うう、僕もロボットを動かしてみたいですよ」
アーツの命令を聞いている様子を見て、ニックがとても羨ましがっているようである。
その様子を見て、アーツはもう一度隙間から覗き込む。そこには大量のロボットが並んでいる。
「大丈夫だ、まだ十体以上のロボットがいるぜ。試してみたらいいんじゃないか?」
「本当ですか。よ~し!」
アーツが言えば、ニックはうきうきした表情で隙間から顔を覗き込ませる。
天井が低くなっている以上に床は沈み込んでいるので、覗き込まないとロボットの顔の高さに目が来ないのだ。
ニックの目が、その中の一体の目と合う。
―マスターでございますでしょうか?―
「うわっ、喋りかけてきましたよ」
ニックが思わず驚いて腰を抜かしていた。
「ビビり過ぎだぞ、ニック。お前がデータを書き換えたんだろう?」
「はっ、そうでした」
アーツに指摘されて、ニックは改めてロボットの目を覗き込む。
―驚かせて申し訳ありません。もう一度お聞きいたします。マスターでございますでしょうか?―
ロボットはなんとも律儀である。
アーツの時もそうだったが、わざわざ聞き直すあたりがロボットとは思えない仕草だ。
「はい、そうです。僕がマスターです」
二度目はきちんと答えるニックである。
―お帰りなさいませ、マスター……―
ニックが答えると、アーツの時同様に隙間から這い出してきたロボットは頭を深々と下げて跪いている。
これにはレンクスたちも驚くしかなかった。
「いいなぁ、お前たちは。俺にも相棒はできるのかな」
レンクスも同じように覗き込んでみるが、ロボットたちはうんともすんとも反応しなかった。
「なんでだよ!」
レンクスが叫ぶ中、クロノとブランも同じように試みるが、二人もどうやらダメだったようである。
「どうやら、アーツとニックだけみたいね」
「多分、能力のせいだと思いますね。ロボットとの親和性の高い能力なので、マスターだと認めてもらえたのかもしれません」
「あり得るわね」
クロノとブランはそのようににらんでいる。
「くそっ、俺は認めねえぞ」
だが、レンクスは往生際が悪かった。
もう一度試みるも、やはりだめだったようだ。
「なんでだよ!?」
部屋の中には、レンクスの無念の叫びが響き渡っていた。
「まぁそうがっかりするなよ。レンクスにはその怪力があるんだ。ロボットなんて要らないだろう?」
「うるせぇ! ロボットの操縦は男のロマンだ!」
振り返ったレンクスの顔は、実に今にも泣きそうな表情である。相当に悔しかったようだ。
幼馴染みであるクロノとブランも、そのレンクスの気持ちが分からなくもなくて困った表情を浮かべている。
―マスター、お聞きしてよろしいでしょうか―
「うん、なんだ?」
ロボットはアーツに質問を投げかけている。
―この惨状は一体何なのでしょうか。先程システムから命令を受けたのですが、この状況ゆえに動けずじまいでしたので、詳しい状況をお教えください―
どうやらロボットたちは航宙船と情報を共有しているようではないようだった。
尋ねられたアーツは、仕方なく現状を伝えることにした。
―なるほど、分かりました。つまり、我々の本来のマスターは、もういらっしゃらないのですね―
「ああ、そういうことになる。この航宙船もそんな中でこんなことになっちまってるんだ。あんたらの本来のマスターたちは、この近くの地下で眠っている。なんとしても、彼らを故郷に戻してやりたい。もちろん、俺たちもな」
―承知致しました。あなた方を新たなマスターとして登録しました。なんなりとご命令下さい。二十機いる我々がしっかりと支援させて頂きます―
「そいつは心強いな」
どうやらロボットは全部で二十体いるらしい。
だが、これだけいても魔素に覆われた空間の中では無力だった。
アーツたちの航宙船のシステムの音声が聞こえなくなったのと同様に、おそらくは人工知能が魔素によって阻害されたのだろう。
ロボットはマスターである乗組員たちの呼び掛けに反応することができず、ただ航宙船の底で眠り続けていた。
二百年経ってアーツたちによって発見されたことでようやく動けるようになるとは、なんとも悲しい話である。
「とりあえず、外にいる恐竜どもをどうにかして、この近隣の安全を確保しないとな」
―恐竜……。そのようなものが外にいるのですか?―
「ああ、お前たちの元のマスターがどこからともなく時空を歪めて召喚したらしい。ただ、その事故によって恐竜たちは恐ろしい能力を身に付け、今や外は奴らの楽園になっている」
―なんということなのでしょうか……―
この惨状には、ロボットでも思わず嘆いてしまうらしい。
航宙船に残されていた二十体ものロボットを仲間にしたアーツたちは、安全に動ける環境を整えるために、ロボット共に恐竜の脅威を排除する計画を立てることにしたのだった。
「ああ、大丈夫だ。どうやらこいつら、俺のことをマスターだと思っているようだぜ」
「なんだって?!」
ロボットに跪かれているアーツのところにレンクスたちが駆け寄ってくる。
ロボットは一瞬動いたものの、アーツが制止すれば動きを止めていた。ちゃんとアーツの言うことを聞いているようである。
「すごい、いうことを聞いているわ」
「うう、僕もロボットを動かしてみたいですよ」
アーツの命令を聞いている様子を見て、ニックがとても羨ましがっているようである。
その様子を見て、アーツはもう一度隙間から覗き込む。そこには大量のロボットが並んでいる。
「大丈夫だ、まだ十体以上のロボットがいるぜ。試してみたらいいんじゃないか?」
「本当ですか。よ~し!」
アーツが言えば、ニックはうきうきした表情で隙間から顔を覗き込ませる。
天井が低くなっている以上に床は沈み込んでいるので、覗き込まないとロボットの顔の高さに目が来ないのだ。
ニックの目が、その中の一体の目と合う。
―マスターでございますでしょうか?―
「うわっ、喋りかけてきましたよ」
ニックが思わず驚いて腰を抜かしていた。
「ビビり過ぎだぞ、ニック。お前がデータを書き換えたんだろう?」
「はっ、そうでした」
アーツに指摘されて、ニックは改めてロボットの目を覗き込む。
―驚かせて申し訳ありません。もう一度お聞きいたします。マスターでございますでしょうか?―
ロボットはなんとも律儀である。
アーツの時もそうだったが、わざわざ聞き直すあたりがロボットとは思えない仕草だ。
「はい、そうです。僕がマスターです」
二度目はきちんと答えるニックである。
―お帰りなさいませ、マスター……―
ニックが答えると、アーツの時同様に隙間から這い出してきたロボットは頭を深々と下げて跪いている。
これにはレンクスたちも驚くしかなかった。
「いいなぁ、お前たちは。俺にも相棒はできるのかな」
レンクスも同じように覗き込んでみるが、ロボットたちはうんともすんとも反応しなかった。
「なんでだよ!」
レンクスが叫ぶ中、クロノとブランも同じように試みるが、二人もどうやらダメだったようである。
「どうやら、アーツとニックだけみたいね」
「多分、能力のせいだと思いますね。ロボットとの親和性の高い能力なので、マスターだと認めてもらえたのかもしれません」
「あり得るわね」
クロノとブランはそのようににらんでいる。
「くそっ、俺は認めねえぞ」
だが、レンクスは往生際が悪かった。
もう一度試みるも、やはりだめだったようだ。
「なんでだよ!?」
部屋の中には、レンクスの無念の叫びが響き渡っていた。
「まぁそうがっかりするなよ。レンクスにはその怪力があるんだ。ロボットなんて要らないだろう?」
「うるせぇ! ロボットの操縦は男のロマンだ!」
振り返ったレンクスの顔は、実に今にも泣きそうな表情である。相当に悔しかったようだ。
幼馴染みであるクロノとブランも、そのレンクスの気持ちが分からなくもなくて困った表情を浮かべている。
―マスター、お聞きしてよろしいでしょうか―
「うん、なんだ?」
ロボットはアーツに質問を投げかけている。
―この惨状は一体何なのでしょうか。先程システムから命令を受けたのですが、この状況ゆえに動けずじまいでしたので、詳しい状況をお教えください―
どうやらロボットたちは航宙船と情報を共有しているようではないようだった。
尋ねられたアーツは、仕方なく現状を伝えることにした。
―なるほど、分かりました。つまり、我々の本来のマスターは、もういらっしゃらないのですね―
「ああ、そういうことになる。この航宙船もそんな中でこんなことになっちまってるんだ。あんたらの本来のマスターたちは、この近くの地下で眠っている。なんとしても、彼らを故郷に戻してやりたい。もちろん、俺たちもな」
―承知致しました。あなた方を新たなマスターとして登録しました。なんなりとご命令下さい。二十機いる我々がしっかりと支援させて頂きます―
「そいつは心強いな」
どうやらロボットは全部で二十体いるらしい。
だが、これだけいても魔素に覆われた空間の中では無力だった。
アーツたちの航宙船のシステムの音声が聞こえなくなったのと同様に、おそらくは人工知能が魔素によって阻害されたのだろう。
ロボットはマスターである乗組員たちの呼び掛けに反応することができず、ただ航宙船の底で眠り続けていた。
二百年経ってアーツたちによって発見されたことでようやく動けるようになるとは、なんとも悲しい話である。
「とりあえず、外にいる恐竜どもをどうにかして、この近隣の安全を確保しないとな」
―恐竜……。そのようなものが外にいるのですか?―
「ああ、お前たちの元のマスターがどこからともなく時空を歪めて召喚したらしい。ただ、その事故によって恐竜たちは恐ろしい能力を身に付け、今や外は奴らの楽園になっている」
―なんということなのでしょうか……―
この惨状には、ロボットでも思わず嘆いてしまうらしい。
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