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第57話 大変な一日
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横穴の中から様子を窺っていると、本当に恐竜たちが集まってきてしまった。
こうなってしまっては、今のアーツたちでは太刀打ちができるわけもなく、やむなく退散して正解だったようだ。
「くそっ、ふりだしかよ!」
さすがにアーツは悔しそうだった。
地面にガツンと拳をぶつけて、叫んでいた。
「アーツ! 何をしてるのよ。血が出てたらどうするの!」
あまりにもイラついているアーツの姿を見て、クロノが怒りながら駆け寄ってくる。
それもそうだ。万一ケガでもしていれば、その力を使わないといけないからだ。
クロノの能力は時間を操るというもの。ケガをしていれば、ケガをする前まで時間を巻き戻すことになる。
そして、その巻き戻した時間の分だけ、クロノの時間が進む。つまり、老化が起きてしまうのだ。
その話をしたばかりだというのに、苛立ちのあまりアーツは忘れてしまっているようだった。
「……悪い。見ての通りケガはないから安心してくれ」
アーツは自分の拳を広げて、クロノを安心させていた。
何事もなかったことに、クロノはほっと胸を撫で下ろしていた。
ところが、先程のできごとはニックにも衝撃を与えていた。
「う~ん、火を噴くようになったせいでしょうね。火に対する耐性ができているのかもしれません。それで、あれだけの爆発炎上をしながらも、恐竜にほとんどダメージを与えられなかったのでしょう」
「うへっ、マジかよそれ……」
ニックの推測に、レンクスが嫌そうな表情を浮かべている。
火に耐えられるということは、ロボットたちと持ってきた目の前にある装備がまったく役に立たないということになるからだ。
「そうなると、やっぱりこれで攻撃するしかないってわけか……」
ニックたちの話を聞いていたアーツは、腰にぶら下げている閃光剣や閃光銃に手を触れている。
そう、これならば恐竜たちの装甲を貫いてダメージを与えることができるからだ。実際に撃退もできている。
―参りましたね。我らの武器もこのロケットランチャーと似たようなものですから、これでは我らもお役に立てそうにありませんね―
ロボットたちも困り果てたようだった。
だが、問題はこれだけではない。
「恐竜たちへの対処は緊急課題だけど、まだ問題はあるわ」
「そうよ、食事とかどうするの? お風呂とかトイレとかは、この航宙勘の設備が使えるでしょうけれど、食事だけはどうしようもないわ」
食糧の問題である。
生きていく以上、食べなければならない。
実際、食べるものを失った地下空間の人たちは全員が死に絶えてしまっている。
すぐさま解決しなければならない問題だった。
―それでしたら、我らにお任せを―
「うん、どうするんだ?」
ロボットたちの行動に、アーツたちが注目する。
―我らにも魔素を操る能力があります。それを応用すれば、どういったことでも可能にできるのです―
―我らの解析力の力をお見せしましょう―
ロボットは横穴の中に、畑を作り出してしまった。
「いや、植物を育てるつもりか?」
―その通りでございます。大気中の魔素を栄養へと変換し、植物に与えます―
―ただ、初めて試すために、マスターたちに使うわけには参りません。食糧を確保するという目的で実験させて頂きます―
「あっ、そういえば」
ニックは何かを思い出したらしく、ポケットを探っていた。
「探索でアーツたちが拾ってきたものの一部を持ったままにしていたのを忘れていました。これは使えますか?」
―はい、使えます―
―お渡し下さいませ―
寄こせとうるさいので、ニックはロボットに引っ張り出したものを手渡していた。
「あれって、あのくそまずい葉っぱじゃねえか」
「でも、食べられるものです。ないよりはマシじゃないですか」
「確かにそうね……」
目の前では、ロボットが葉っぱを地面において、なにやらごちゃごちゃと作業を行っている。
大気中に漂う魔素を水へと変換し、葉っぱにかけているようである。
こんなことでは普通は育つはずがない。
ところが、目の前では不思議なことが起きていた。
「おいおい、マジかよ……」
「科学じゃないわね」
アーツたちはただただ驚くしかなかった。
葉っぱ一枚から、なんと植物が再生してしまったのだ。
「昔の人たちが書いていたっていうファンタジーとかいうものですかね」
「空想の世界じゃなかったのかよ……」
目の前で起きている現実に、言葉を失っていくばかりのアーツたちだった。
―マスター方、あと一日ほど我慢を頂けますでしょうか―
―必ずや、食べられるものにしてみせます―
どうやら、目の前の植物は食べられないらしい。
アーツたちは目を見合わせながら、ロボットたちがやっていることを見守るしかないなと、彼らに任せるしかなかった。
「これで食べ物はどうにかなるのかしら……ね」
「ないよりはマシだろう。あとで料理ができるかどうか、航宙船内の設備を再確認しておこうぜ」
「そうですね」
さすがに生のままでは苦みが強くて食べにくい。
そのため、アーツは航宙船の中をチェックすることに決めた。
「もう疲れちゃったから、あたしは休むわね」
ところが、ブランは疲れてしまったようで、土の上にもかかわらず眠ろうとしていた。
そういえばこの日はいろいろと情報の大洪水だったのだ。
アーツたちはつられるように疲れを感じたため、ひとまずしっかりと休むことにしたのだった。
こうなってしまっては、今のアーツたちでは太刀打ちができるわけもなく、やむなく退散して正解だったようだ。
「くそっ、ふりだしかよ!」
さすがにアーツは悔しそうだった。
地面にガツンと拳をぶつけて、叫んでいた。
「アーツ! 何をしてるのよ。血が出てたらどうするの!」
あまりにもイラついているアーツの姿を見て、クロノが怒りながら駆け寄ってくる。
それもそうだ。万一ケガでもしていれば、その力を使わないといけないからだ。
クロノの能力は時間を操るというもの。ケガをしていれば、ケガをする前まで時間を巻き戻すことになる。
そして、その巻き戻した時間の分だけ、クロノの時間が進む。つまり、老化が起きてしまうのだ。
その話をしたばかりだというのに、苛立ちのあまりアーツは忘れてしまっているようだった。
「……悪い。見ての通りケガはないから安心してくれ」
アーツは自分の拳を広げて、クロノを安心させていた。
何事もなかったことに、クロノはほっと胸を撫で下ろしていた。
ところが、先程のできごとはニックにも衝撃を与えていた。
「う~ん、火を噴くようになったせいでしょうね。火に対する耐性ができているのかもしれません。それで、あれだけの爆発炎上をしながらも、恐竜にほとんどダメージを与えられなかったのでしょう」
「うへっ、マジかよそれ……」
ニックの推測に、レンクスが嫌そうな表情を浮かべている。
火に耐えられるということは、ロボットたちと持ってきた目の前にある装備がまったく役に立たないということになるからだ。
「そうなると、やっぱりこれで攻撃するしかないってわけか……」
ニックたちの話を聞いていたアーツは、腰にぶら下げている閃光剣や閃光銃に手を触れている。
そう、これならば恐竜たちの装甲を貫いてダメージを与えることができるからだ。実際に撃退もできている。
―参りましたね。我らの武器もこのロケットランチャーと似たようなものですから、これでは我らもお役に立てそうにありませんね―
ロボットたちも困り果てたようだった。
だが、問題はこれだけではない。
「恐竜たちへの対処は緊急課題だけど、まだ問題はあるわ」
「そうよ、食事とかどうするの? お風呂とかトイレとかは、この航宙勘の設備が使えるでしょうけれど、食事だけはどうしようもないわ」
食糧の問題である。
生きていく以上、食べなければならない。
実際、食べるものを失った地下空間の人たちは全員が死に絶えてしまっている。
すぐさま解決しなければならない問題だった。
―それでしたら、我らにお任せを―
「うん、どうするんだ?」
ロボットたちの行動に、アーツたちが注目する。
―我らにも魔素を操る能力があります。それを応用すれば、どういったことでも可能にできるのです―
―我らの解析力の力をお見せしましょう―
ロボットは横穴の中に、畑を作り出してしまった。
「いや、植物を育てるつもりか?」
―その通りでございます。大気中の魔素を栄養へと変換し、植物に与えます―
―ただ、初めて試すために、マスターたちに使うわけには参りません。食糧を確保するという目的で実験させて頂きます―
「あっ、そういえば」
ニックは何かを思い出したらしく、ポケットを探っていた。
「探索でアーツたちが拾ってきたものの一部を持ったままにしていたのを忘れていました。これは使えますか?」
―はい、使えます―
―お渡し下さいませ―
寄こせとうるさいので、ニックはロボットに引っ張り出したものを手渡していた。
「あれって、あのくそまずい葉っぱじゃねえか」
「でも、食べられるものです。ないよりはマシじゃないですか」
「確かにそうね……」
目の前では、ロボットが葉っぱを地面において、なにやらごちゃごちゃと作業を行っている。
大気中に漂う魔素を水へと変換し、葉っぱにかけているようである。
こんなことでは普通は育つはずがない。
ところが、目の前では不思議なことが起きていた。
「おいおい、マジかよ……」
「科学じゃないわね」
アーツたちはただただ驚くしかなかった。
葉っぱ一枚から、なんと植物が再生してしまったのだ。
「昔の人たちが書いていたっていうファンタジーとかいうものですかね」
「空想の世界じゃなかったのかよ……」
目の前で起きている現実に、言葉を失っていくばかりのアーツたちだった。
―マスター方、あと一日ほど我慢を頂けますでしょうか―
―必ずや、食べられるものにしてみせます―
どうやら、目の前の植物は食べられないらしい。
アーツたちは目を見合わせながら、ロボットたちがやっていることを見守るしかないなと、彼らに任せるしかなかった。
「これで食べ物はどうにかなるのかしら……ね」
「ないよりはマシだろう。あとで料理ができるかどうか、航宙船内の設備を再確認しておこうぜ」
「そうですね」
さすがに生のままでは苦みが強くて食べにくい。
そのため、アーツは航宙船の中をチェックすることに決めた。
「もう疲れちゃったから、あたしは休むわね」
ところが、ブランは疲れてしまったようで、土の上にもかかわらず眠ろうとしていた。
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