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第61話 虫たちの作戦会議
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疲れたアーツたちがぐっすり眠っている間も、ノワールたちは周囲の警戒をまったく怠っていない。
恐竜たちは体躯が大きいので入ってこれないだろうが、自分たちのような虫であれば侵入は可能だからだ。
『ノワール』
『なんだ、ヴェール』
アーツたちがいるマザーコンピュータのある部屋で、突如アリとカマキリが会話を始める。
『あの奇妙な光る物体にすべてを任せて大丈夫なのか?』
ヴェールがマザーコンピュータの方に視線を向けながら、ノワールに問いかけている。
『分からん。だが、我らにできることなど知れているではないか。ならば、できることをやるというものだぞ』
『まあそうだがな……。俺にはいまいち胡散くさく感じるんだ』
ヴェールはどうもマザーコンピュータのことを信用できていないようである。
『我らからしたら、人の扱うものなどどれもこれも分からぬものだ。お前がそう感じるのは否定はしない。だが、主たちに協力しようとしているその姿勢くらいは、認めてもいいのではないかな?』
『そうだろうかな……?』
ノワールが諭そうとしても、ヴェールはやっぱりマザーコンピュータに不信感があるようだった。
二匹が話をしていると、どこからともなく羽音が聞こえてくる。
顔を向けると、上方の見回りに行っていたオランジュが戻ってきたようだ。
『おお、オランジュ、戻ってきたか』
『見回りを終えてきたわよ。特に問題はない。虫が入り込める隙間もなかったわ』
『そうか、ご苦労だった』
オランジュの報告に、ノワールが労いの声をかけている。
三匹の中では一番最初にブランの眷属となったノワールが一番偉いようである。
『それにしても、主たちを無事に元の世界に帰そうとしたら、あの外のデカブツたちをどうにかしなきゃいけないんだな』
『ああ、そうだ。あれがいる限り、我々はこの地下空間に閉じ込められたままになってしまう。なんとしても倒す方法を見出さねばならぬ』
『一対一であるなら、まだ望みはあるのですけれどね。実際に倒せていますし』
『うむ、確かにそうだな』
ノワールたちは、先日の横穴からの帰りのことを思い出していた。
あの時はノワールが穴を掘ってどうにか脱出できたが、恐竜の一体が追跡して襲い掛かってきたのだ。
アーツが捨て身で勝負を挑み、ケガを負いながらもなんとか討伐に成功した。
『だが、その時の死体はどこに消えた。あんなデカブツ、ノワールたちでも無理だろう』
『それはその通りだ。ましてや骨など我には必要のないものだ。跡形もなく消えているということが気にかかるな』
ブランから流れ込んだ知識だろうか。ノワールたちも思った以上に博識で推理を展開している。
『あの少年はどうかしら。瞬間移動を使えるらしいけれど』
オランジュが疑いをテレップに向ける。
だが、これはノワールとヴェールが揃って否定する。
『瞬間移動させられたとしても、感じた限りはあの少年の能力では距離が知れている。隠すことは不可能だろう』
『俺もそう思うな。というか、あいつにあのデカブツ全体を飛ばすこと自体が無理だ』
どうやら二匹はテレップの能力を正確に把握しているようで、オランジュの推理は真っ向から否定された。
『そこも気になる点だが、我々の目的は主たちの願いを叶えるために助力することだ』
ノワールは気になってはいるものの、ひとまずは話題を切り替える。
『だな。なんとしても俺たちもあのデカブツを排除できるようにならねえとな』
『現状では、アーツとかいう少年の持つ変な光る物体だけだものね。我の針でも、あれの皮膚は貫けそうにないわ』
三匹ともが行き詰って唸り始めてしまった。
現在の三匹の攻撃力では、とてもではないが、恐竜に対して有効打を打てないのである。自分たちの能力が分かるからこその悩みである。
『せいぜい、あのアーツとかいう小僧の攻撃のための隙を作ることくらいか』
『あとは主たちを無事に逃がすことだな。我らは主の力で生きているのだ。主に万一があれば、我らも動かず物言わぬ物体に戻ってしまうからな』
『まったく、それは嫌だわね』
三匹揃ってため息をついている。そもそも虫とはため息がつけたのだろうか。謎は深まるばかりである。
『ともかくだ。我らもあの恐竜とかいうデカブツの存在には悩まされている。なんとしてもあ奴らを倒し、我らの楽園を築こうではないか』
『おーっ!』
三匹は意気投合し、ああでもないこうでもないと、恐竜討伐への作戦をマザーコンピュータとは別に立て始めた。
だが、結局は虫の浅知恵だったらしく、これといった作戦は立てられなかった。
先程からある程度時間が経過したので、ノワールたちは再び手分けして地下空間と横穴の中の警戒にあたったのだった。
虫たちにも虫たちなりの矜持というものがあるらしい。
ブランの眷属となった三匹は、ブランを中心としてその仲間であるアーツたちに力を貸している。
アーツたちの惑星の脱出計画において、彼らの活躍はかなり寄与することになるのだが、それはおいおい語っていくとしよう。
恐竜たちは体躯が大きいので入ってこれないだろうが、自分たちのような虫であれば侵入は可能だからだ。
『ノワール』
『なんだ、ヴェール』
アーツたちがいるマザーコンピュータのある部屋で、突如アリとカマキリが会話を始める。
『あの奇妙な光る物体にすべてを任せて大丈夫なのか?』
ヴェールがマザーコンピュータの方に視線を向けながら、ノワールに問いかけている。
『分からん。だが、我らにできることなど知れているではないか。ならば、できることをやるというものだぞ』
『まあそうだがな……。俺にはいまいち胡散くさく感じるんだ』
ヴェールはどうもマザーコンピュータのことを信用できていないようである。
『我らからしたら、人の扱うものなどどれもこれも分からぬものだ。お前がそう感じるのは否定はしない。だが、主たちに協力しようとしているその姿勢くらいは、認めてもいいのではないかな?』
『そうだろうかな……?』
ノワールが諭そうとしても、ヴェールはやっぱりマザーコンピュータに不信感があるようだった。
二匹が話をしていると、どこからともなく羽音が聞こえてくる。
顔を向けると、上方の見回りに行っていたオランジュが戻ってきたようだ。
『おお、オランジュ、戻ってきたか』
『見回りを終えてきたわよ。特に問題はない。虫が入り込める隙間もなかったわ』
『そうか、ご苦労だった』
オランジュの報告に、ノワールが労いの声をかけている。
三匹の中では一番最初にブランの眷属となったノワールが一番偉いようである。
『それにしても、主たちを無事に元の世界に帰そうとしたら、あの外のデカブツたちをどうにかしなきゃいけないんだな』
『ああ、そうだ。あれがいる限り、我々はこの地下空間に閉じ込められたままになってしまう。なんとしても倒す方法を見出さねばならぬ』
『一対一であるなら、まだ望みはあるのですけれどね。実際に倒せていますし』
『うむ、確かにそうだな』
ノワールたちは、先日の横穴からの帰りのことを思い出していた。
あの時はノワールが穴を掘ってどうにか脱出できたが、恐竜の一体が追跡して襲い掛かってきたのだ。
アーツが捨て身で勝負を挑み、ケガを負いながらもなんとか討伐に成功した。
『だが、その時の死体はどこに消えた。あんなデカブツ、ノワールたちでも無理だろう』
『それはその通りだ。ましてや骨など我には必要のないものだ。跡形もなく消えているということが気にかかるな』
ブランから流れ込んだ知識だろうか。ノワールたちも思った以上に博識で推理を展開している。
『あの少年はどうかしら。瞬間移動を使えるらしいけれど』
オランジュが疑いをテレップに向ける。
だが、これはノワールとヴェールが揃って否定する。
『瞬間移動させられたとしても、感じた限りはあの少年の能力では距離が知れている。隠すことは不可能だろう』
『俺もそう思うな。というか、あいつにあのデカブツ全体を飛ばすこと自体が無理だ』
どうやら二匹はテレップの能力を正確に把握しているようで、オランジュの推理は真っ向から否定された。
『そこも気になる点だが、我々の目的は主たちの願いを叶えるために助力することだ』
ノワールは気になってはいるものの、ひとまずは話題を切り替える。
『だな。なんとしても俺たちもあのデカブツを排除できるようにならねえとな』
『現状では、アーツとかいう少年の持つ変な光る物体だけだものね。我の針でも、あれの皮膚は貫けそうにないわ』
三匹ともが行き詰って唸り始めてしまった。
現在の三匹の攻撃力では、とてもではないが、恐竜に対して有効打を打てないのである。自分たちの能力が分かるからこその悩みである。
『せいぜい、あのアーツとかいう小僧の攻撃のための隙を作ることくらいか』
『あとは主たちを無事に逃がすことだな。我らは主の力で生きているのだ。主に万一があれば、我らも動かず物言わぬ物体に戻ってしまうからな』
『まったく、それは嫌だわね』
三匹揃ってため息をついている。そもそも虫とはため息がつけたのだろうか。謎は深まるばかりである。
『ともかくだ。我らもあの恐竜とかいうデカブツの存在には悩まされている。なんとしてもあ奴らを倒し、我らの楽園を築こうではないか』
『おーっ!』
三匹は意気投合し、ああでもないこうでもないと、恐竜討伐への作戦をマザーコンピュータとは別に立て始めた。
だが、結局は虫の浅知恵だったらしく、これといった作戦は立てられなかった。
先程からある程度時間が経過したので、ノワールたちは再び手分けして地下空間と横穴の中の警戒にあたったのだった。
虫たちにも虫たちなりの矜持というものがあるらしい。
ブランの眷属となった三匹は、ブランを中心としてその仲間であるアーツたちに力を貸している。
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