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第62話 勝ち目はある
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マザーコンピュータと再会して二日目。
アーツたちは目を覚ます。
「ぐぅ……、食うものがないのはつらいな」
目を覚ましたアーツたちはお腹を空かせていた。
それというのも、ロボットがせっかく育ててくれた野菜も、腐りやすいからと持ってきていなかったからだ。
つまり、今アーツたちの手元には何も食べるものがなかったのだ。
「まあ、仕方ありませんね。今は我慢するしかありませんね」
「私たちが目覚めたところに戻れば、食べるものはあります。そこまでは我慢して下さい」
ラネッツァがそういうので、あとでごちそうになることを約束しておく。
ひとまずアーツたちは、マザーコンピュータのところへと向かう。
昨日、作戦を考えると言って黙り込んでしまったのだ。マザーコンピュータの能力なら、とっくに作戦のひとつやふたつは出ているはずだからだ。
「おはよう、マザー。どうですか、何か作戦は浮かびましたかね」
代表してニックがマザーコンピュータに話し掛ける。
―おはようございます。何かご用でしょうか―
とぼけているのか、マザーコンピュータはアーツたちに用件を尋ねている。
「いや、俺たちが今マザーに聞く内容って、ひとつしかないと思うんだが?」
―……、失礼致しました―
アーツが顔をしかめて確認すると、マザーは謝罪をしていた。コンピュータって謝れるんだと驚いてしまう。
―結論から申し上げますと、今のみなさんでは恐竜相手に勝利する確率は二パーセントを割り込みました―
なんとも厳しい結果である。
とはいえ、二パーセントでも勝てる見込みがあるのは驚きだった。
「二パーセントの根拠は?」
―はい、能力を駆使してうまく個別に持ち込めばという条件が付きます。その場合ですと勝つ見込みが見出せましたので、全体から見れば二パーセントという厳しい結果となりました―
マザーコンピュータからの返答はこの通りだった。
二パーセントといえば高いように思えるかもしれない。だが、そもそもその前提が、恐竜たちと一対一の状態に持ち込めることだ。
あの恐竜たちは油断すると仲間を呼ぶ。
そのことを考えれば、一対一が常に続くというのもなかなかに難しい。
実際、以前アーツが何とか恐竜を倒した時も、倒れる前に恐竜は仲間を呼んでいた。そのせいで倒れた恐竜をそのまま放置して撤退しなければならない状況になってしまったのだ。
つまり、一対一に持ち込めても短期決戦で勝負をつけられなければ、仲間に囲まれて火あぶりにされてしまうということなのだ。
どう考えてみても、厳しい戦いになるのは間違いなかった。
「それは上にいるロボットたちを駆使しても変わらないのか?」
―今回の計算に、彼らの能力は反映されておりません。なぜなら、我にそれを把握するだけの条件が揃っていませんから―
「なるほど、目の前でスキャニングしないといけないってことか」
―そういうことでございます―
ロボットが省かれた理由について、アーツたちは非常に納得がいった。
だが、こうなると次に確認するのは、作戦だった。
どのように立ち回れば、恐竜たちと一対一の状況が作り出せるのか、それをマザーコンピュータに問いかける。
―作戦は難しいところですね。クロノの持つ時を操る能力も駆使する必要がありますので、実にお勧めはできません―
あまりにも歯切れの悪い言い方をしていた理由は、どうやらこれが理由のようだった。
実際、マザーコンピュータは時間を操る能力を発現した人間の非業の死を見届けている。それゆえに躊躇しているのである。
「時間を操る能力だけ、どうしてこんなに強いペナルティがあるんだ?」
―それは分かりません。ただ、人類が踏み込んでいいような領域ではないことは確かでしょう―
「確かにそうだな」
全員がしんと静まり返ってしまう。
「だ、だったら、時を止めたりしなくてもどうにかできる方法ってあるのかしら」
―その場合でしたら、レンクスに斥候をしていただくのがいいでしょう。彼の怪力で、恐竜の気を引くのです―
「ほうほう……」
マザーが話し始めた作戦にアーツたちは興味津々のようだ。
それによれば、レンクスが岩などを投げつけて恐竜の気を引き、一匹はぐれたところでラネッツァの植物の能力で足止め。ブランの眷属の昆虫たちでさらに気を散らし、そこへアーツの閃光銃を撃ち込むというもののようだ。
「僕の出番なし!」
テレップが悔しそうに叫ぶ。
「大丈夫ですよ、僕もありませんから」
ニックも苦笑いである。
―テレップはまだ能力が未熟です。人間大程の物体を転送できるまで能力が育たない限りは、現状では戦力になりません。できたとしてもレンクスと同じように恐竜の気を引く程度ですね―
「そっかぁ……」
マザーコンピュータにはっきり言われて、テレップはすっかり落ち込んでしまっていた。
とはいえ、一対一に持ち込むための戦法のヒントはもらえた。
せめてこの地下空間近辺だけでも、恐竜の脅威をなくしたいものである。
マザーコンピュータとの話を終えたアーツたちは、地上で待つロボットたちと合流するために、再び地下空間を脱出することにしたのだった。
アーツたちは目を覚ます。
「ぐぅ……、食うものがないのはつらいな」
目を覚ましたアーツたちはお腹を空かせていた。
それというのも、ロボットがせっかく育ててくれた野菜も、腐りやすいからと持ってきていなかったからだ。
つまり、今アーツたちの手元には何も食べるものがなかったのだ。
「まあ、仕方ありませんね。今は我慢するしかありませんね」
「私たちが目覚めたところに戻れば、食べるものはあります。そこまでは我慢して下さい」
ラネッツァがそういうので、あとでごちそうになることを約束しておく。
ひとまずアーツたちは、マザーコンピュータのところへと向かう。
昨日、作戦を考えると言って黙り込んでしまったのだ。マザーコンピュータの能力なら、とっくに作戦のひとつやふたつは出ているはずだからだ。
「おはよう、マザー。どうですか、何か作戦は浮かびましたかね」
代表してニックがマザーコンピュータに話し掛ける。
―おはようございます。何かご用でしょうか―
とぼけているのか、マザーコンピュータはアーツたちに用件を尋ねている。
「いや、俺たちが今マザーに聞く内容って、ひとつしかないと思うんだが?」
―……、失礼致しました―
アーツが顔をしかめて確認すると、マザーは謝罪をしていた。コンピュータって謝れるんだと驚いてしまう。
―結論から申し上げますと、今のみなさんでは恐竜相手に勝利する確率は二パーセントを割り込みました―
なんとも厳しい結果である。
とはいえ、二パーセントでも勝てる見込みがあるのは驚きだった。
「二パーセントの根拠は?」
―はい、能力を駆使してうまく個別に持ち込めばという条件が付きます。その場合ですと勝つ見込みが見出せましたので、全体から見れば二パーセントという厳しい結果となりました―
マザーコンピュータからの返答はこの通りだった。
二パーセントといえば高いように思えるかもしれない。だが、そもそもその前提が、恐竜たちと一対一の状態に持ち込めることだ。
あの恐竜たちは油断すると仲間を呼ぶ。
そのことを考えれば、一対一が常に続くというのもなかなかに難しい。
実際、以前アーツが何とか恐竜を倒した時も、倒れる前に恐竜は仲間を呼んでいた。そのせいで倒れた恐竜をそのまま放置して撤退しなければならない状況になってしまったのだ。
つまり、一対一に持ち込めても短期決戦で勝負をつけられなければ、仲間に囲まれて火あぶりにされてしまうということなのだ。
どう考えてみても、厳しい戦いになるのは間違いなかった。
「それは上にいるロボットたちを駆使しても変わらないのか?」
―今回の計算に、彼らの能力は反映されておりません。なぜなら、我にそれを把握するだけの条件が揃っていませんから―
「なるほど、目の前でスキャニングしないといけないってことか」
―そういうことでございます―
ロボットが省かれた理由について、アーツたちは非常に納得がいった。
だが、こうなると次に確認するのは、作戦だった。
どのように立ち回れば、恐竜たちと一対一の状況が作り出せるのか、それをマザーコンピュータに問いかける。
―作戦は難しいところですね。クロノの持つ時を操る能力も駆使する必要がありますので、実にお勧めはできません―
あまりにも歯切れの悪い言い方をしていた理由は、どうやらこれが理由のようだった。
実際、マザーコンピュータは時間を操る能力を発現した人間の非業の死を見届けている。それゆえに躊躇しているのである。
「時間を操る能力だけ、どうしてこんなに強いペナルティがあるんだ?」
―それは分かりません。ただ、人類が踏み込んでいいような領域ではないことは確かでしょう―
「確かにそうだな」
全員がしんと静まり返ってしまう。
「だ、だったら、時を止めたりしなくてもどうにかできる方法ってあるのかしら」
―その場合でしたら、レンクスに斥候をしていただくのがいいでしょう。彼の怪力で、恐竜の気を引くのです―
「ほうほう……」
マザーが話し始めた作戦にアーツたちは興味津々のようだ。
それによれば、レンクスが岩などを投げつけて恐竜の気を引き、一匹はぐれたところでラネッツァの植物の能力で足止め。ブランの眷属の昆虫たちでさらに気を散らし、そこへアーツの閃光銃を撃ち込むというもののようだ。
「僕の出番なし!」
テレップが悔しそうに叫ぶ。
「大丈夫ですよ、僕もありませんから」
ニックも苦笑いである。
―テレップはまだ能力が未熟です。人間大程の物体を転送できるまで能力が育たない限りは、現状では戦力になりません。できたとしてもレンクスと同じように恐竜の気を引く程度ですね―
「そっかぁ……」
マザーコンピュータにはっきり言われて、テレップはすっかり落ち込んでしまっていた。
とはいえ、一対一に持ち込むための戦法のヒントはもらえた。
せめてこの地下空間近辺だけでも、恐竜の脅威をなくしたいものである。
マザーコンピュータとの話を終えたアーツたちは、地上で待つロボットたちと合流するために、再び地下空間を脱出することにしたのだった。
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