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第63話 作戦開始
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アーツたちが階段を上り、横穴の中に戻ってくる。
ロボットたちは一斉に顔を向けてくるが、攻撃してくる気配はなかった。
―お帰りなさいませ、マスター方―
生体反応から、きちんとアーツたちだと分かっていたようである。ロボットたちはなんとも優秀だった。
―いかがでしたでしょうか、地下は―
ロボットたちは、地下空間の様子を尋ねてくる。
ずっと航宙船の中にいたせいか、自分たちの知らない空間に興味を示しているように思える。これも魔素の影響なのだろうか。
「それは答えてやりたいが、まずは食べないといけない。この野菜だけで十分な朝食は作れるだろうか」
―畏まりました。レシピを検索します―
話をする前に腹ごしらえだということで、ロボットの力で成長させた野菜の調理法を調べる。
―温野菜にするのがいいとのことです。航宙船内にそのための設備がございます。向かわれますか?―
「……食べられるのなら、その方法を試してみようか」
ロボットの回答に従い、アーツとクロノが野菜を摘んでレシピを試してみた。
結果は、しんなりはしたものの味気なく、ものすごく食べづらそうにしていた。
「……ないよりはマシってだけだな」
「生で食うと苦いから、本当にマシってだけだな」
結果としてかなり不評だった。
とはいえ、食べなければ生きてはいけないので、これ以上のぜいたくは言えなかった。
「それで、外の様子はどうだったのでしょうか」
半日ほどは離れていたので、ブランは横穴の外の様子が気になっているようだ。
―はい、奴らは我々を監視する可能に、穴の外を行ったり来たりをしてます―
―この場所については覗き込むようなことすらもしないので、認識はできていないみたいですね―
ロボットに確認してみるものの、恐竜たちはこの場所から離れる様子はまったくないとのことだった。
おそらく、アーツたちのことを自分たちの餌だと思い込み、出てくるのを待っているのではないかということだった。
「げぇっ、俺たちはあいつらの餌になんかなるつもりはねえよ」
「まったくだぜ。俺たちは全員揃ってここから脱出して元の場所に帰るんだからよ」
「僕たちだって、ご先祖様たちの故郷に戻りたいですよ!」
アーツやレンクスに加えて、テレップも強く願いを叫んでいる。
やはり、みんな元の世界に帰りたいのである。
「テレップたちのご先祖たちの故郷ってどこなんだ?」
そこでふと気になってしまったアーツは、つい尋ねてしまう。
「地球と呼ばれる惑星だそうです。かつては緑と青に包まれた美しい惑星だったそうです」
テレップからはすぐさま回答が返ってきた。
「地球かぁ。俺たちも学習プログラムの中で聞かされた惑星だな。見たことはねえが」
どうやら、実物は見たことはなくてもアーツたちも知っているようである。
「地球は今では人の住める環境はないと教えられましたね。人が住んでいた時期があるのですか」
「はい、この惑星にやって来た時のご先祖様の祖父母の世代くらいまでは住んでられた方がいらっしゃるようです。ただ、ものすごい灼熱で、地表には住めなかったそうですよ」
「やっぱ住めねえ惑星じゃねえか」
テレップとラネッツァの証言を聞いて、アーツは思わず叫んでしまっていた。
―ああ、地球は我々のデータの中にも存在しますね。緑の大地と青い海と青い空に覆われ、生命が多く活動していたというそれは素晴らしい惑星だったそうですよ―
ロボットにまでそんな情報が入っているとは驚きの事実である。
「まさか、ここにやって来た人類たちの目的って……」
―はい、かつての地球を夢見て、その復活のための第二の地球にするためにここにやって来られたのです―
―大気や地中構成が地球と酷似していたためですが、まさかたった一人の人物の暴走でこのようになるとは思ってもみませんでした……―
つまり、恐竜たちを復活させようとか言い出した人物のせいで、予想外な事故を引き起こし、結果としてあのような悲劇が起こってしまったというわけである。
ただ、目の前のテレップとラネッツァには同情できるものの、当時の人類たちにはどうしても同情できないアーツたちである。なんというか自業自得としか思えなかったのだ。
「とりあえずだ。俺たちの望みを叶えるためには、外にいる恐竜どもをどうにかしないといけない」
「そうですね。僕たちの乗ってきた航宙船とつなげて情報を共有すれば、新たな方法が見つかるかもしれません」
「そうよね。二百年分の蓄積があるんだもの」
アーツたちは、外の恐竜たちを撃退して、ひとまず自分たちの乗ってきた航宙船へと戻ろうと計画をする。
―それはいいですね。でしたら、我らはそのための援護を精一杯させて頂きます―
ロボットたちも協力してくれるようだ。
「そうなれば、マザーが提案してくれた方法を試してみるか……」
アーツは戦う気満々である。
「ちょっと待って。以前にノワールが掘った穴は使えないかしら」
そこに待ったをかけたのはブランだった。
だが、この計画はすぐに却下される。
なにせアーツたちが乗ってきた航宙船は動けないのだ。知識の中継点となるロボットを連れていかなければならないので、ノワールが掘った穴は小さくて使えないのだ。
「悪いな、ブラン。せっかく提案してくれたのにさ」
「ううん、あたしもうっかりしてたわ」
お互いに謝罪し合う二人である。
結果、外にいる恐竜たちを地道に各個撃破することとなる。
アーツたちはうまく恐竜たちの数を減らし、自分たちの航宙船までロボットを誘導できるのか。
その決死の作戦が始まったのだった。
ロボットたちは一斉に顔を向けてくるが、攻撃してくる気配はなかった。
―お帰りなさいませ、マスター方―
生体反応から、きちんとアーツたちだと分かっていたようである。ロボットたちはなんとも優秀だった。
―いかがでしたでしょうか、地下は―
ロボットたちは、地下空間の様子を尋ねてくる。
ずっと航宙船の中にいたせいか、自分たちの知らない空間に興味を示しているように思える。これも魔素の影響なのだろうか。
「それは答えてやりたいが、まずは食べないといけない。この野菜だけで十分な朝食は作れるだろうか」
―畏まりました。レシピを検索します―
話をする前に腹ごしらえだということで、ロボットの力で成長させた野菜の調理法を調べる。
―温野菜にするのがいいとのことです。航宙船内にそのための設備がございます。向かわれますか?―
「……食べられるのなら、その方法を試してみようか」
ロボットの回答に従い、アーツとクロノが野菜を摘んでレシピを試してみた。
結果は、しんなりはしたものの味気なく、ものすごく食べづらそうにしていた。
「……ないよりはマシってだけだな」
「生で食うと苦いから、本当にマシってだけだな」
結果としてかなり不評だった。
とはいえ、食べなければ生きてはいけないので、これ以上のぜいたくは言えなかった。
「それで、外の様子はどうだったのでしょうか」
半日ほどは離れていたので、ブランは横穴の外の様子が気になっているようだ。
―はい、奴らは我々を監視する可能に、穴の外を行ったり来たりをしてます―
―この場所については覗き込むようなことすらもしないので、認識はできていないみたいですね―
ロボットに確認してみるものの、恐竜たちはこの場所から離れる様子はまったくないとのことだった。
おそらく、アーツたちのことを自分たちの餌だと思い込み、出てくるのを待っているのではないかということだった。
「げぇっ、俺たちはあいつらの餌になんかなるつもりはねえよ」
「まったくだぜ。俺たちは全員揃ってここから脱出して元の場所に帰るんだからよ」
「僕たちだって、ご先祖様たちの故郷に戻りたいですよ!」
アーツやレンクスに加えて、テレップも強く願いを叫んでいる。
やはり、みんな元の世界に帰りたいのである。
「テレップたちのご先祖たちの故郷ってどこなんだ?」
そこでふと気になってしまったアーツは、つい尋ねてしまう。
「地球と呼ばれる惑星だそうです。かつては緑と青に包まれた美しい惑星だったそうです」
テレップからはすぐさま回答が返ってきた。
「地球かぁ。俺たちも学習プログラムの中で聞かされた惑星だな。見たことはねえが」
どうやら、実物は見たことはなくてもアーツたちも知っているようである。
「地球は今では人の住める環境はないと教えられましたね。人が住んでいた時期があるのですか」
「はい、この惑星にやって来た時のご先祖様の祖父母の世代くらいまでは住んでられた方がいらっしゃるようです。ただ、ものすごい灼熱で、地表には住めなかったそうですよ」
「やっぱ住めねえ惑星じゃねえか」
テレップとラネッツァの証言を聞いて、アーツは思わず叫んでしまっていた。
―ああ、地球は我々のデータの中にも存在しますね。緑の大地と青い海と青い空に覆われ、生命が多く活動していたというそれは素晴らしい惑星だったそうですよ―
ロボットにまでそんな情報が入っているとは驚きの事実である。
「まさか、ここにやって来た人類たちの目的って……」
―はい、かつての地球を夢見て、その復活のための第二の地球にするためにここにやって来られたのです―
―大気や地中構成が地球と酷似していたためですが、まさかたった一人の人物の暴走でこのようになるとは思ってもみませんでした……―
つまり、恐竜たちを復活させようとか言い出した人物のせいで、予想外な事故を引き起こし、結果としてあのような悲劇が起こってしまったというわけである。
ただ、目の前のテレップとラネッツァには同情できるものの、当時の人類たちにはどうしても同情できないアーツたちである。なんというか自業自得としか思えなかったのだ。
「とりあえずだ。俺たちの望みを叶えるためには、外にいる恐竜どもをどうにかしないといけない」
「そうですね。僕たちの乗ってきた航宙船とつなげて情報を共有すれば、新たな方法が見つかるかもしれません」
「そうよね。二百年分の蓄積があるんだもの」
アーツたちは、外の恐竜たちを撃退して、ひとまず自分たちの乗ってきた航宙船へと戻ろうと計画をする。
―それはいいですね。でしたら、我らはそのための援護を精一杯させて頂きます―
ロボットたちも協力してくれるようだ。
「そうなれば、マザーが提案してくれた方法を試してみるか……」
アーツは戦う気満々である。
「ちょっと待って。以前にノワールが掘った穴は使えないかしら」
そこに待ったをかけたのはブランだった。
だが、この計画はすぐに却下される。
なにせアーツたちが乗ってきた航宙船は動けないのだ。知識の中継点となるロボットを連れていかなければならないので、ノワールが掘った穴は小さくて使えないのだ。
「悪いな、ブラン。せっかく提案してくれたのにさ」
「ううん、あたしもうっかりしてたわ」
お互いに謝罪し合う二人である。
結果、外にいる恐竜たちを地道に各個撃破することとなる。
アーツたちはうまく恐竜たちの数を減らし、自分たちの航宙船までロボットを誘導できるのか。
その決死の作戦が始まったのだった。
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