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第65話 焼け野原
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横穴の中でしばらく隠れていたアーツたちだったが、やがて外の様子が落ち着いてきた。
さっきまで恐竜たちの吐いた炎で真っ赤だった風景が、ようやく色を取り戻してきたのだ。
「俺がちょっと見てくる。みんなは待機していてくれ」
アーツが声をかけると、全員がこくりと頷いてその場で座り込んでいた。
横穴からひょっこり顔を出すと、外の景色に言葉を失ってしまう。
木が生えて緑に覆われていた景色が、恐竜たちの火炎放射によって広範囲が焼き払われていたのだ。
焼け落ちた木々が立ち並ぶ光景は、恐竜たちの吐く火の威力のすさまじさを物語っている。
「そうだ、俺たちがやっつけた恐竜は?!」
焼け野原に気を取られていて、アーツは思い出したかのように辺りを見回した。
ところが、どこを見てみても先程瀕死にした恐竜の姿は残っていなかった。骨すらも見当たらない。
この現実を見て、アーツは以前、倒した恐竜が跡形もなく消えてしまった真実に気が付いてしまった。
「そうか……。あいつらが焼き払ったのか。骨が溶けてしまう程の高温の炎で……」
想像もできないような現実だった。
骨すらも残らないとは、一体どこまで温度が上がるというのだろうか。考えただけでぞっとする話だ。
もし自分たちが食らっていたら、一瞬で蒸発してしまうということなのだから。
ただ、幸いだったのは、恐竜たちが目標を見失ったせいか、一体もいなくなっていたことだ。
これなら今のうちにロボットを連れ出して、自分たちの乗ってきた航宙船へと移動させられるはずである。
外の様子をしっかりと確認したアーツは、横穴の中へと戻っていった。
入口から戻ってきたアーツに、レンクスがまずは声をかける。
「どうだった。外の様子は」
「酷いものだったぜ。火に巻かれた木々は全部燃え尽きて焼け野原になってたぜ」
「そうか……」
アーツの報告に、さすがのレンクスも言葉を失う。
「アーツさん、恐竜はどうでしたか?」
続いて問いかけてきたのはラネッツァだった。
「恐竜は俺たちを焼き殺したと見たのか、一体もいなくなっていた。それと、俺たちが倒した恐竜は跡形もなく消えていたよ」
「え……」
「ということは、恐竜の炎で消滅させられたということですか?」
「ああ、ニック、その通りだ。骨すらも残っちゃいねえ」
「なんて威力なのよ……」
アーツの告げた内容に、全員が同じように言葉を失ってしまっている。
これはアーツと同じ反応である。
「でも、死んだのであるなら、餌にするために持ち帰るはずです。なぜ焼き消してしまったのでしょうかね」
「自分たちが倒せば餌だろうが、それ以外に倒されれば貧弱なやつって判断なんだろうな。そんな貧弱者は食べる価値もないってことなんだろう。恐ろしい連中だぜ」
「なんて奴らなのよ……」
ブランが怒りをにじませていた。
怒ったような表情をしていたアーツだったが、一瞬で今度はにやついた顔に変わる。
「でもまぁ、あいつらが全員この横穴から去った今、チャンスってもんだ」
「あっ、そうか。航宙船に戻れるのね!」
クロノがすぐに理由に気が付いていた。これにはアーツがこくりと頷く。
だが、いつまで恐竜が立ち去ったままでいるか分からない。
素早く横穴に残るメンバーと航宙船へと向かうメンバーに分かれることにした。
「それじゃ、留守番は頼むぜ」
「ああ、任せておけ」
「無事に持ってきてね、アーツ、クロノ、ニック」
「うん、必ず戻ってくるわ。ノワールもよろしくね」
というわけで、航宙船へと向かうメンバーは、アーツ、クロノ、ニックに加え、アリのノワールとロボット二体となった。
残りは横穴の中で待機である。
航宙船との間の距離はかなりあるので、この間に恐竜に遭遇する可能性はそれなりにある。
だが、あまり大所帯で移動するわけにもいかないので、最低限のメンバーとなったのだ。
クロノがいるのはいざという時の時間停止のため。ノワールはそれによって発生するペナルティを逃すためについてくる。
それでなくてもクロノの足という役目がある。
不安があるとはいえども、そう選定に時間をかけていられなかったので、最低限の人数での移動となったのだ。
「それじゃ、すぐに行ってくるぜ。もしかするともう戻ってきているかも知れないからな」
「うん、気を付けて行ってきてね」
「絶対無事に戻ってくるからね、ブラン。レンクスたちと待っててね」
クロノはブランと挨拶の抱擁を交わしていた。
手短に挨拶を済ませたアーツたちは、早速横穴から出てアーツたちの航宙船へと向かう。
外は焼け野原となっているが、ノワールが航宙船までの道順を覚えてくれているので迷う心配はなさそうだった。
「こういう時は頼りになるな、ノワール」
アーツが声をかければ、ノワールは喜ぶかのように牙をカチカチとさせていた。
ブランがいないために言葉が通じないため、ノワールはそのような行動に出たようである。
ロボットたちにアーツたちの持つ今の知識を与えるため、一路航宙船を目指して歩いていく。
アーツたちは無事に航宙船へとたどり着き、ロボットたちの情報をアップデートできるのだろうか。
周囲を警戒しながら、足早に移動していくのだった。
さっきまで恐竜たちの吐いた炎で真っ赤だった風景が、ようやく色を取り戻してきたのだ。
「俺がちょっと見てくる。みんなは待機していてくれ」
アーツが声をかけると、全員がこくりと頷いてその場で座り込んでいた。
横穴からひょっこり顔を出すと、外の景色に言葉を失ってしまう。
木が生えて緑に覆われていた景色が、恐竜たちの火炎放射によって広範囲が焼き払われていたのだ。
焼け落ちた木々が立ち並ぶ光景は、恐竜たちの吐く火の威力のすさまじさを物語っている。
「そうだ、俺たちがやっつけた恐竜は?!」
焼け野原に気を取られていて、アーツは思い出したかのように辺りを見回した。
ところが、どこを見てみても先程瀕死にした恐竜の姿は残っていなかった。骨すらも見当たらない。
この現実を見て、アーツは以前、倒した恐竜が跡形もなく消えてしまった真実に気が付いてしまった。
「そうか……。あいつらが焼き払ったのか。骨が溶けてしまう程の高温の炎で……」
想像もできないような現実だった。
骨すらも残らないとは、一体どこまで温度が上がるというのだろうか。考えただけでぞっとする話だ。
もし自分たちが食らっていたら、一瞬で蒸発してしまうということなのだから。
ただ、幸いだったのは、恐竜たちが目標を見失ったせいか、一体もいなくなっていたことだ。
これなら今のうちにロボットを連れ出して、自分たちの乗ってきた航宙船へと移動させられるはずである。
外の様子をしっかりと確認したアーツは、横穴の中へと戻っていった。
入口から戻ってきたアーツに、レンクスがまずは声をかける。
「どうだった。外の様子は」
「酷いものだったぜ。火に巻かれた木々は全部燃え尽きて焼け野原になってたぜ」
「そうか……」
アーツの報告に、さすがのレンクスも言葉を失う。
「アーツさん、恐竜はどうでしたか?」
続いて問いかけてきたのはラネッツァだった。
「恐竜は俺たちを焼き殺したと見たのか、一体もいなくなっていた。それと、俺たちが倒した恐竜は跡形もなく消えていたよ」
「え……」
「ということは、恐竜の炎で消滅させられたということですか?」
「ああ、ニック、その通りだ。骨すらも残っちゃいねえ」
「なんて威力なのよ……」
アーツの告げた内容に、全員が同じように言葉を失ってしまっている。
これはアーツと同じ反応である。
「でも、死んだのであるなら、餌にするために持ち帰るはずです。なぜ焼き消してしまったのでしょうかね」
「自分たちが倒せば餌だろうが、それ以外に倒されれば貧弱なやつって判断なんだろうな。そんな貧弱者は食べる価値もないってことなんだろう。恐ろしい連中だぜ」
「なんて奴らなのよ……」
ブランが怒りをにじませていた。
怒ったような表情をしていたアーツだったが、一瞬で今度はにやついた顔に変わる。
「でもまぁ、あいつらが全員この横穴から去った今、チャンスってもんだ」
「あっ、そうか。航宙船に戻れるのね!」
クロノがすぐに理由に気が付いていた。これにはアーツがこくりと頷く。
だが、いつまで恐竜が立ち去ったままでいるか分からない。
素早く横穴に残るメンバーと航宙船へと向かうメンバーに分かれることにした。
「それじゃ、留守番は頼むぜ」
「ああ、任せておけ」
「無事に持ってきてね、アーツ、クロノ、ニック」
「うん、必ず戻ってくるわ。ノワールもよろしくね」
というわけで、航宙船へと向かうメンバーは、アーツ、クロノ、ニックに加え、アリのノワールとロボット二体となった。
残りは横穴の中で待機である。
航宙船との間の距離はかなりあるので、この間に恐竜に遭遇する可能性はそれなりにある。
だが、あまり大所帯で移動するわけにもいかないので、最低限のメンバーとなったのだ。
クロノがいるのはいざという時の時間停止のため。ノワールはそれによって発生するペナルティを逃すためについてくる。
それでなくてもクロノの足という役目がある。
不安があるとはいえども、そう選定に時間をかけていられなかったので、最低限の人数での移動となったのだ。
「それじゃ、すぐに行ってくるぜ。もしかするともう戻ってきているかも知れないからな」
「うん、気を付けて行ってきてね」
「絶対無事に戻ってくるからね、ブラン。レンクスたちと待っててね」
クロノはブランと挨拶の抱擁を交わしていた。
手短に挨拶を済ませたアーツたちは、早速横穴から出てアーツたちの航宙船へと向かう。
外は焼け野原となっているが、ノワールが航宙船までの道順を覚えてくれているので迷う心配はなさそうだった。
「こういう時は頼りになるな、ノワール」
アーツが声をかければ、ノワールは喜ぶかのように牙をカチカチとさせていた。
ブランがいないために言葉が通じないため、ノワールはそのような行動に出たようである。
ロボットたちにアーツたちの持つ今の知識を与えるため、一路航宙船を目指して歩いていく。
アーツたちは無事に航宙船へとたどり着き、ロボットたちの情報をアップデートできるのだろうか。
周囲を警戒しながら、足早に移動していくのだった。
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