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第71話 茶色の軍団
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アーツたちが横穴に戻ってくる。
「あっ、お帰りなさ、いっ?!」
地面に開いた穴からひょっこりと顔を出したアーツたちを見つけて、出迎えようとしたクロノが腰を抜かす勢いでびっくりしていた。
何事かと集まってきてレンクスたちも、アーツたちとともに現れた虫の群れを見てビビらざるをえなかったようだ。
「よう、ただいま」
「お帰りなさい。仲間にできたようですけれど、そんなにいるとさすがに怖いですね」
「えへ、えへへへへ……」
ブランは恥ずかしそうに笑うばかりである。
クロノたちが驚いたのも無理はなかった。ノワール、ヴェール、オランジュだけでもびっくりするというのに、今回は蚊が三体も加わっていたからだ。
「紹介するわね。こっちからマロン、ブリュンヌ、オクルよ」
ブランはにこにことした表情で新たに仲間に加えた蚊たちを紹介していた。
「こ、怖いですよ……」
「じっとこっちを見てますね……」
テレップとラネッツァの二人も怖がっている。
「心配するなよ。こいつらも見た目は怖いがブランのいいなりだからな。ノワールたちと同じで、俺たちのことを守ってくれるから安心しろ」
『私どもは、ブラン様に忠誠を誓います』
アーツの言葉を受けて、マロンたちがブランに向けて頭を下げている。
なんともすごい光景である。
「まあ、怖いっちゃ怖いというのは分かる。でも、こいつらこそが恐竜相手の兵器でもあるんだ。慣れていくしかねえって」
「ま、まあそうだな……」
レンクスですら及び腰だ。どれだけ蚊にビビっているのだろうか。つい笑えてきてしまうアーツである。
「とりあえず、今日のところは遅いから、俺たちは休むことにしようぜ」
「お、おう」
アーツの呼び掛けに、すんなりと応じるレンクスたちである。
「マロンたちは、夜の間は活動できるか?」
『私どもは夜間こそ力を発揮できます。なんなりとお申し付け下さい』
「夜は大丈夫だって」
ブランの通訳を通じて話をする。
夜は大丈夫だというので、アーツは恐竜たちの血液の採取をマロンたちに頼むことにした。
『お任せ下さい。ブラン様たちのために精一杯尽力致します』
頼もしい言葉を返してくると、早速横穴の出入り口からマロンたちは旅立っていった。
「これであいつらが恐竜どもの血を持ち帰ってくれれば、一気に解析が進むな」
「行動パターンが分かれば、対処がしやすくなりますからね。これは期待ですよ」
アーツたちはマロンたちの活躍に期待をしながら、ゆっくり休むことにした。
翌朝のこと、一晩中出かけていたマロンたちが帰ってきた。
だが、その体の状態は思ったよりも満身創痍になっていた。
「お前たち、大丈夫か?!」
「まあ、大変!」
アーツたちは驚いて当然だった。
お腹はぽっこりと膨らんでいるし、よく見ると体のあちこちが焦げているし、何本か脚はなくなっていた。
『お腹の膨らみは奴らの血液です。早速調べて下さいませ』
『寝ていたあいつらは、寝ぼけながらも火を噴いてきました。急なことだったのですが、足の数本だけで済んでよかったと思います』
『しっぽは回避できたのですが、さすがに火の回避は間に合いませんでしたね』
マロンたちの証言で、恐竜たちの生態が明らかになっていく。
どうやら、群れているわけではないようだが、ある程度固まった状態で夜は寝ているらしい。
気配を察知すると、しっぽを振り回したり火を吐いたりと防衛手段を取ることもある。
あの図体ながらもかなりの素早さで、マロンたちですら回避がぎりぎりだったようだ。
アーツたちからすれば、思わぬ収穫である。
「お前たちよくやったな。クロノ、悪いが治してやってくれ。ノワールも肩代わりを頼む」
『主の命令ではないが、主が悲しむのは困る。故に従おう』
ノワールはのっそりと立ち上がってクロノのところに向かっていった。
「もう、アーツってば。あたしに相談もなく勝手に決めないでよ。ノワールってば渋々聞いていたわよ」
「ああ、悪い。つい仕切っちまったな」
ブランに文句を言われて、アーツは困り顔で謝っていた。
ところが、マロンたちは何をされるか分かったらしく、拒否をしている。
『先にお腹の血を解析にかけて下さい』
『せっかく苦労して集めてきたのです。力を使われると無駄になりかねません』
どうやら、お腹に蓄えられた血のことが気にかかっているようだ。
そういえばクロノの能力はまだ不安定なところがある。体の異常としてお腹に蓄えられた恐竜の血すらなくなるのではないかと危惧しているのだ。
ブランの眷属となったことで、マロンたちにもその知識が備わっているための警戒である。
訴えを理解したアーツたちは、先にロボットに頼んでマロンたちを航宙船の解析ルームへと運んでもらう。
血をすべて抜き取ってすっかりお腹の状態が元に戻ると、三匹ともクロノの時間の巻き戻しによる治療を受けていた。
クロノの能力というのは本当に素晴らしいかぎりで、炎に焼かれて消失してしまった脚はあっという間に再生していた。
ノワールとの連携も完璧なもので、すぐさまクロノのペナルティを自分の中に取り込んでいる。
『おお、これは素晴らしい』
『感謝致します』
『ああ、私の脚が戻ってきた』
マロンたちは大喜びである。
この間も航宙船の中では恐竜の血液の解析が進んでいる。
はたして、どのような情報が得られるのだろうか。解析が終わる時を今か今かと待ちわびるアーツたちだった。
「あっ、お帰りなさ、いっ?!」
地面に開いた穴からひょっこりと顔を出したアーツたちを見つけて、出迎えようとしたクロノが腰を抜かす勢いでびっくりしていた。
何事かと集まってきてレンクスたちも、アーツたちとともに現れた虫の群れを見てビビらざるをえなかったようだ。
「よう、ただいま」
「お帰りなさい。仲間にできたようですけれど、そんなにいるとさすがに怖いですね」
「えへ、えへへへへ……」
ブランは恥ずかしそうに笑うばかりである。
クロノたちが驚いたのも無理はなかった。ノワール、ヴェール、オランジュだけでもびっくりするというのに、今回は蚊が三体も加わっていたからだ。
「紹介するわね。こっちからマロン、ブリュンヌ、オクルよ」
ブランはにこにことした表情で新たに仲間に加えた蚊たちを紹介していた。
「こ、怖いですよ……」
「じっとこっちを見てますね……」
テレップとラネッツァの二人も怖がっている。
「心配するなよ。こいつらも見た目は怖いがブランのいいなりだからな。ノワールたちと同じで、俺たちのことを守ってくれるから安心しろ」
『私どもは、ブラン様に忠誠を誓います』
アーツの言葉を受けて、マロンたちがブランに向けて頭を下げている。
なんともすごい光景である。
「まあ、怖いっちゃ怖いというのは分かる。でも、こいつらこそが恐竜相手の兵器でもあるんだ。慣れていくしかねえって」
「ま、まあそうだな……」
レンクスですら及び腰だ。どれだけ蚊にビビっているのだろうか。つい笑えてきてしまうアーツである。
「とりあえず、今日のところは遅いから、俺たちは休むことにしようぜ」
「お、おう」
アーツの呼び掛けに、すんなりと応じるレンクスたちである。
「マロンたちは、夜の間は活動できるか?」
『私どもは夜間こそ力を発揮できます。なんなりとお申し付け下さい』
「夜は大丈夫だって」
ブランの通訳を通じて話をする。
夜は大丈夫だというので、アーツは恐竜たちの血液の採取をマロンたちに頼むことにした。
『お任せ下さい。ブラン様たちのために精一杯尽力致します』
頼もしい言葉を返してくると、早速横穴の出入り口からマロンたちは旅立っていった。
「これであいつらが恐竜どもの血を持ち帰ってくれれば、一気に解析が進むな」
「行動パターンが分かれば、対処がしやすくなりますからね。これは期待ですよ」
アーツたちはマロンたちの活躍に期待をしながら、ゆっくり休むことにした。
翌朝のこと、一晩中出かけていたマロンたちが帰ってきた。
だが、その体の状態は思ったよりも満身創痍になっていた。
「お前たち、大丈夫か?!」
「まあ、大変!」
アーツたちは驚いて当然だった。
お腹はぽっこりと膨らんでいるし、よく見ると体のあちこちが焦げているし、何本か脚はなくなっていた。
『お腹の膨らみは奴らの血液です。早速調べて下さいませ』
『寝ていたあいつらは、寝ぼけながらも火を噴いてきました。急なことだったのですが、足の数本だけで済んでよかったと思います』
『しっぽは回避できたのですが、さすがに火の回避は間に合いませんでしたね』
マロンたちの証言で、恐竜たちの生態が明らかになっていく。
どうやら、群れているわけではないようだが、ある程度固まった状態で夜は寝ているらしい。
気配を察知すると、しっぽを振り回したり火を吐いたりと防衛手段を取ることもある。
あの図体ながらもかなりの素早さで、マロンたちですら回避がぎりぎりだったようだ。
アーツたちからすれば、思わぬ収穫である。
「お前たちよくやったな。クロノ、悪いが治してやってくれ。ノワールも肩代わりを頼む」
『主の命令ではないが、主が悲しむのは困る。故に従おう』
ノワールはのっそりと立ち上がってクロノのところに向かっていった。
「もう、アーツってば。あたしに相談もなく勝手に決めないでよ。ノワールってば渋々聞いていたわよ」
「ああ、悪い。つい仕切っちまったな」
ブランに文句を言われて、アーツは困り顔で謝っていた。
ところが、マロンたちは何をされるか分かったらしく、拒否をしている。
『先にお腹の血を解析にかけて下さい』
『せっかく苦労して集めてきたのです。力を使われると無駄になりかねません』
どうやら、お腹に蓄えられた血のことが気にかかっているようだ。
そういえばクロノの能力はまだ不安定なところがある。体の異常としてお腹に蓄えられた恐竜の血すらなくなるのではないかと危惧しているのだ。
ブランの眷属となったことで、マロンたちにもその知識が備わっているための警戒である。
訴えを理解したアーツたちは、先にロボットに頼んでマロンたちを航宙船の解析ルームへと運んでもらう。
血をすべて抜き取ってすっかりお腹の状態が元に戻ると、三匹ともクロノの時間の巻き戻しによる治療を受けていた。
クロノの能力というのは本当に素晴らしいかぎりで、炎に焼かれて消失してしまった脚はあっという間に再生していた。
ノワールとの連携も完璧なもので、すぐさまクロノのペナルティを自分の中に取り込んでいる。
『おお、これは素晴らしい』
『感謝致します』
『ああ、私の脚が戻ってきた』
マロンたちは大喜びである。
この間も航宙船の中では恐竜の血液の解析が進んでいる。
はたして、どのような情報が得られるのだろうか。解析が終わる時を今か今かと待ちわびるアーツたちだった。
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