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第73話 マザーによる解析
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マザーコンピュータはあっという間に恐竜の血液を解析してしまった。
アーツたちの航宙船でも体細胞を解析をしてみたものの、その時は不明な点が多くて詳細は分からずじまいだった。
―お待たせ致しました。恐竜たちの血液から得られた情報にございます。モニタに映しますのでご確認下さい―
マザーが発言すると、ブォンという電源の入る音が聞こえ、血液中に含まれる遺伝子情報から全身の組織構造や能力といったものが判明する。
―複数の個体から採った血液が混ざっていましたので、細胞分裂などの回数から大体の年齢を割り出し、平均化をしてみました―
なんともまあ、恐竜の血液の解析をたったのひと晩で終えてしまったのだ。このスピードにはアーツたちは驚かされるというものである。
その結果は、今までにアーツがつかんでいた以上の詳細なものである。モニタにはその内容が映し出されていた。
―まず、全体像からですね。私はここを動けませんので見たことはりませんが、上方からすると骨格はアロサウルスだと思われます―
マザーコンピュータによる解説が始まる。
その話からすれば、このアロサウルスのような火を噴く恐竜は、最大体長が二十五メートルにも及ぶことが判明した。
この体長は、アーツたちの時代で知られている隊長の実に八割から十割増しといったところだった。
これまで実物に対して『でかい……』と思って見上げていたアーツたちに、実際の数値を叩きつけた結果となった。
―体内構造ですけれど、基本的な構造はアロサウルスとよく似ています。ですが、体内に炎を生み出すための器官を持ち合わせています。体躯の巨大化は、おそらくその器官を保持するためでしょう。今までの部分に新たに付け加えたために、私どもの知るアロサウルスよりもさらに巨大となったと考えられるということです―
マザーコンピュータが述べた体躯の巨大化の推論は、とても説得力があった。
―あとですが、魔力をうまく扱うための器官も通常のアロサウルスと比べてみても増えている部分ですね―
なるほどと思う、アーツたちである。
なにせ、しっぽや爪を振り回すだけで、衝撃波まで飛ばして岩や地面を切り裂いてしまうのだから。厄介極まりないのである。
血液情報から再構築した恐竜たちの体躯は、思った以上に魔素に適応しているようだった。
―あと、これほど巨大化したというのに、筋肉量はそんなに多くないのですよね。おそらく魔素の中には、持ち主の身体を強化するような力もあるのだと思われます―
様々な分析の結果をもとに、マザーコンピュータは、恐竜の能力ついてあれこれ推察を述べていた。
つまり、恐竜どもはこの惑星に召喚されてからも、一緒に召喚された魔素とうまく付き合いながら進化してきたといことのようだ。
それが恐竜をドラゴンへと変貌させた最大の理由なのだろう。
「まったくもってすげえな……。未知のものともうまく付き合って生き延びてこれるとは」
―ですが、恐竜と魔素のふたつの脅威により、この惑星の生態系は著しく破壊され尽くされました。そこにいる昆虫たちは、その中をしぶとく生き抜いてきた者たちなのです―
マザーコンピュータが強く発言すると、アーツたちはブランの眷属となったノワールたちをじっと見つめていた。
あまりにも全員から視線が集まるために、ノワールは誇り、オランジュやマロンたちは照れ、ヴェールにいたっては偉そうにしていた。
昆虫たちとはいえど、その種類によって反応は様々だった。こうやって見てみると、昆虫たちにも個性があることがよく分かる。
「まぁ、恐竜たちが特殊な進化をしてきたことは分かったが、これで根本的な対処法は分かるのか?」
―それには更なる解析が必要ですね。現状ではそこの新しい昆虫の眷属に話を伺うしかないでしょう―
結局のところ、恐竜への対抗策というものは現状ではないに等しかった。
魔素を扱う器官というのが体内にあることは分かっても、あの分厚い皮膚を貫くところからして厳しいからである。
「進展はなしか……」
「しょうがないわね。これはマザーの更なる解析に期待するしかないわね」
「そうですね」
アーツたちも現状は打つ手なしと、様子見を決め込むしかできなかった。
「となると、俺たちも能力をちゃんと扱えるように特訓しなきゃダメだな。まだ不安定って話だし、ちゃんと扱えるようになって、正面から挑めるようにならねえとな」
「まったくもってその通りだぜ。いつまでもでかい面をさせておくつもりはねえ。でかいのはその体だけだって分からせてやろうぜ」
レンクスは気合い十分だった。
解析結果を聞いて再び横穴に戻ってきたアーツたち。ロボットたちに外の様子を確認すると、相変わらず十何体という恐竜たちが横穴の周りを徘徊していたらしい。
ここには獲物がいるとして、完全に恐竜たちはいついてしまったのだ。
ノワールの掘った穴も、広いところへと出る穴は恐竜の待ち伏せに遭っている。この分なら、森の中の水場の近くに掘った穴ですら待ち伏せされている可能性も考えられる。
状況はだんだんと悪い方向に向かってきていた。
更なる長期戦は確実に避けられない状況である。
アーツたちはこの状況を覆すことはできるのだろうか、更なるマザーコンピュータによる解析の結果が待たれるのだった。
アーツたちの航宙船でも体細胞を解析をしてみたものの、その時は不明な点が多くて詳細は分からずじまいだった。
―お待たせ致しました。恐竜たちの血液から得られた情報にございます。モニタに映しますのでご確認下さい―
マザーが発言すると、ブォンという電源の入る音が聞こえ、血液中に含まれる遺伝子情報から全身の組織構造や能力といったものが判明する。
―複数の個体から採った血液が混ざっていましたので、細胞分裂などの回数から大体の年齢を割り出し、平均化をしてみました―
なんともまあ、恐竜の血液の解析をたったのひと晩で終えてしまったのだ。このスピードにはアーツたちは驚かされるというものである。
その結果は、今までにアーツがつかんでいた以上の詳細なものである。モニタにはその内容が映し出されていた。
―まず、全体像からですね。私はここを動けませんので見たことはりませんが、上方からすると骨格はアロサウルスだと思われます―
マザーコンピュータによる解説が始まる。
その話からすれば、このアロサウルスのような火を噴く恐竜は、最大体長が二十五メートルにも及ぶことが判明した。
この体長は、アーツたちの時代で知られている隊長の実に八割から十割増しといったところだった。
これまで実物に対して『でかい……』と思って見上げていたアーツたちに、実際の数値を叩きつけた結果となった。
―体内構造ですけれど、基本的な構造はアロサウルスとよく似ています。ですが、体内に炎を生み出すための器官を持ち合わせています。体躯の巨大化は、おそらくその器官を保持するためでしょう。今までの部分に新たに付け加えたために、私どもの知るアロサウルスよりもさらに巨大となったと考えられるということです―
マザーコンピュータが述べた体躯の巨大化の推論は、とても説得力があった。
―あとですが、魔力をうまく扱うための器官も通常のアロサウルスと比べてみても増えている部分ですね―
なるほどと思う、アーツたちである。
なにせ、しっぽや爪を振り回すだけで、衝撃波まで飛ばして岩や地面を切り裂いてしまうのだから。厄介極まりないのである。
血液情報から再構築した恐竜たちの体躯は、思った以上に魔素に適応しているようだった。
―あと、これほど巨大化したというのに、筋肉量はそんなに多くないのですよね。おそらく魔素の中には、持ち主の身体を強化するような力もあるのだと思われます―
様々な分析の結果をもとに、マザーコンピュータは、恐竜の能力ついてあれこれ推察を述べていた。
つまり、恐竜どもはこの惑星に召喚されてからも、一緒に召喚された魔素とうまく付き合いながら進化してきたといことのようだ。
それが恐竜をドラゴンへと変貌させた最大の理由なのだろう。
「まったくもってすげえな……。未知のものともうまく付き合って生き延びてこれるとは」
―ですが、恐竜と魔素のふたつの脅威により、この惑星の生態系は著しく破壊され尽くされました。そこにいる昆虫たちは、その中をしぶとく生き抜いてきた者たちなのです―
マザーコンピュータが強く発言すると、アーツたちはブランの眷属となったノワールたちをじっと見つめていた。
あまりにも全員から視線が集まるために、ノワールは誇り、オランジュやマロンたちは照れ、ヴェールにいたっては偉そうにしていた。
昆虫たちとはいえど、その種類によって反応は様々だった。こうやって見てみると、昆虫たちにも個性があることがよく分かる。
「まぁ、恐竜たちが特殊な進化をしてきたことは分かったが、これで根本的な対処法は分かるのか?」
―それには更なる解析が必要ですね。現状ではそこの新しい昆虫の眷属に話を伺うしかないでしょう―
結局のところ、恐竜への対抗策というものは現状ではないに等しかった。
魔素を扱う器官というのが体内にあることは分かっても、あの分厚い皮膚を貫くところからして厳しいからである。
「進展はなしか……」
「しょうがないわね。これはマザーの更なる解析に期待するしかないわね」
「そうですね」
アーツたちも現状は打つ手なしと、様子見を決め込むしかできなかった。
「となると、俺たちも能力をちゃんと扱えるように特訓しなきゃダメだな。まだ不安定って話だし、ちゃんと扱えるようになって、正面から挑めるようにならねえとな」
「まったくもってその通りだぜ。いつまでもでかい面をさせておくつもりはねえ。でかいのはその体だけだって分からせてやろうぜ」
レンクスは気合い十分だった。
解析結果を聞いて再び横穴に戻ってきたアーツたち。ロボットたちに外の様子を確認すると、相変わらず十何体という恐竜たちが横穴の周りを徘徊していたらしい。
ここには獲物がいるとして、完全に恐竜たちはいついてしまったのだ。
ノワールの掘った穴も、広いところへと出る穴は恐竜の待ち伏せに遭っている。この分なら、森の中の水場の近くに掘った穴ですら待ち伏せされている可能性も考えられる。
状況はだんだんと悪い方向に向かってきていた。
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