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第122話 魔王城へと向かう元魔王
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サンカサスの聖女アリエスの正体は、前世が魔王という衝撃的なものだった。
ゾディアーク伯爵はじめ、すべての人たちがその衝撃告白に固まっている。
だが、最初に動いたのは、守護騎士であるカプリナだった。
「そうなのですね。なるほど、それで納得がいきました」
カプリナは自分が羽織っているマントを外すと、その手の上に乗せている。
「スラリー、元に戻ってちょうだい」
「うん、わかった」
カプリナの言葉で、その手の上に乗っているマントが、ゴワゴワと形を変えていく。
カプリナの手の上に現れた物体に、伯爵たちが衝撃を受けている。
「す、スライムだと!?」
「そ、そんなスライムが街の中にいたなんて!」
教会の人間がかなり騒めいている。
「えっへん、すらりーは、わるい、すらいむじゃ、ないよ」
「しゃ、しゃべったーっ?!」
スラリーが喋ると、周囲の騎士たちが一歩下がっている。そのくらい衝撃的なことなのだ。
「すらりー、しゃべれる。まおうさま、とてもすらりーのこと、ほめてくれた。うれしいから、がんばった」
カプリナの手の上で、体を揺らしながら話を続けている。
「でも、まおうさま、せいじょに、ころされた。かなしい。だから、まおうさま、さがした」
カプリナの手の上からぴょんと飛び降りると、スラリーはアリエスへと近付いていく。
「そして、みつけた。まおうさまとおなじ、まりょくのもちぬし、ありえすさまを。すらりー、ありえすさまに、おんがえし。だから、かぷりな、まもる」
そう言いながら、スラリーはアリエスの方に飛び乗る。
「ありえすさま、すらりー、えらい?」
「ええ、偉いですよ、スラリー」
アリエスが撫でると、スラリーの体がほんのりと赤く染まる。血も通っていないスライムが赤くなる現象は、周りの人間どころか魔族たちさえも驚かせていた。
「スラリーもサハーさんも、魔族でありながら私たちに協力的だったのは、アリエス様のおかげだったのですね」
「まあ、そういうことですな。はっきりいって、自分の仕えていた魔王様が人間の少女、しかも聖女になられていると気が付いた時の衝撃は計り知れませんでしたがね。何が起きたんだというくらい、しばらく放心したくらいですよ」
「ちょっと、サハー。何を仰っているのですか」
サハーがちょっと笑いながら言うものだから、アリエスはちょっと頬を膨らましながら文句を言っている。こういうところは、すっかり人間の女性そのものだ。
後ろの様子に気が付いて、アリエスはくるりと振り返る。
「そういうわけです。元魔王である私が、魔族たちに悪いことはさせません。人間たちでできること、魔族たちでできることを分担しながら、共存できる世の中を目指したいと考えております」
アリエスがこのようにいうものの、双方ともに反応がいまいち薄い。
理想としてアリエスがいうことは理解できるのだが、やはり、長い時間をかけていがみ合ってきたという過去がある。そのために、手放しで賛同できるかといわれたら、無理だろうという結論になってしまうのだ。
「ピスケースさん」
「はっ、はい、まお……いえ、アリエス様」
アリエスが声をかけると、かなり動揺した様子でピスケースが反応している。
「ラースが死んだ今、魔王軍は誰がトップになりますでしょうか」
「はい。我が父であるパイシズ宰相でしょう」
アリエスの問い掛けに、ピスケースはすんなりと答えていた。
「そうですか。根本的な体制は、私が魔王の頃から変わっていませんね。……頭が変われば末端まで影響するとは、こういうことなのでしょうね」
アリエスはため息しか出なかった。
「よしっ」
ひと言呟くと、アリエスは再び人間側に振り向く。
「カプリナ様、ヴァコル様、私と一緒に魔王城に乗り込みますよ」
「えっ、えええっ?!」
「なかなか無茶なことをなさいますね、聖女様」
アリエスの言葉に、カプリナは大きく驚き、ヴァコルもあまり気乗りではなさそうな反応を見せている。
「こういう時はトップが、しかも敵対している相手同士で行うのが一番です。王宮魔術師であるヴァコル様がいらっしゃるのであれば、一応サンカサス王国の意思も入っているとみなせるでしょう」
「まあ、そうかも知れませんね」
ヴァコルの了承を取ったと見たアリエスは、今度はサハーとライラを見る。
「サハー、ライラ。私が留守の間のゾディアーク伯爵領をお願いします」
「はい、アリエス様」
アリエスの指示を受けた二人は、跪いて返事をしていた。
「ちょっと待て、ララ殿も魔族だったのか!?」
「はい、私の正体は魔王軍の諜報部のライラです。そこにいるピスケース様の同列のパイシズ様の部下でございます」
「なんと……」
ゾディアーク伯爵はショックを隠し切れなかった。
「ご安心を。私はアリエス様のご命令を最優先いたします。みなさまの身辺警護、お任せ下さい」
「わ、分かった。信じようではないか」
あまりにも真剣で、跪いたままでの誓いだ。さすがに疑いを持っている伯爵でも、説得させられてしまう程のものだった。
「さあ、ピスケースさん、魔族のみなさん。魔王城へと向かいますよ!」
「はっ、魔王様の仰せのままに」
アリエスはパイシズの滞在する魔王城を目指し、ヴァコルやカプリナ、そのほか多くの魔族を引き連れてゾディアーク伯爵領を出発したのだった。
ゾディアーク伯爵はじめ、すべての人たちがその衝撃告白に固まっている。
だが、最初に動いたのは、守護騎士であるカプリナだった。
「そうなのですね。なるほど、それで納得がいきました」
カプリナは自分が羽織っているマントを外すと、その手の上に乗せている。
「スラリー、元に戻ってちょうだい」
「うん、わかった」
カプリナの言葉で、その手の上に乗っているマントが、ゴワゴワと形を変えていく。
カプリナの手の上に現れた物体に、伯爵たちが衝撃を受けている。
「す、スライムだと!?」
「そ、そんなスライムが街の中にいたなんて!」
教会の人間がかなり騒めいている。
「えっへん、すらりーは、わるい、すらいむじゃ、ないよ」
「しゃ、しゃべったーっ?!」
スラリーが喋ると、周囲の騎士たちが一歩下がっている。そのくらい衝撃的なことなのだ。
「すらりー、しゃべれる。まおうさま、とてもすらりーのこと、ほめてくれた。うれしいから、がんばった」
カプリナの手の上で、体を揺らしながら話を続けている。
「でも、まおうさま、せいじょに、ころされた。かなしい。だから、まおうさま、さがした」
カプリナの手の上からぴょんと飛び降りると、スラリーはアリエスへと近付いていく。
「そして、みつけた。まおうさまとおなじ、まりょくのもちぬし、ありえすさまを。すらりー、ありえすさまに、おんがえし。だから、かぷりな、まもる」
そう言いながら、スラリーはアリエスの方に飛び乗る。
「ありえすさま、すらりー、えらい?」
「ええ、偉いですよ、スラリー」
アリエスが撫でると、スラリーの体がほんのりと赤く染まる。血も通っていないスライムが赤くなる現象は、周りの人間どころか魔族たちさえも驚かせていた。
「スラリーもサハーさんも、魔族でありながら私たちに協力的だったのは、アリエス様のおかげだったのですね」
「まあ、そういうことですな。はっきりいって、自分の仕えていた魔王様が人間の少女、しかも聖女になられていると気が付いた時の衝撃は計り知れませんでしたがね。何が起きたんだというくらい、しばらく放心したくらいですよ」
「ちょっと、サハー。何を仰っているのですか」
サハーがちょっと笑いながら言うものだから、アリエスはちょっと頬を膨らましながら文句を言っている。こういうところは、すっかり人間の女性そのものだ。
後ろの様子に気が付いて、アリエスはくるりと振り返る。
「そういうわけです。元魔王である私が、魔族たちに悪いことはさせません。人間たちでできること、魔族たちでできることを分担しながら、共存できる世の中を目指したいと考えております」
アリエスがこのようにいうものの、双方ともに反応がいまいち薄い。
理想としてアリエスがいうことは理解できるのだが、やはり、長い時間をかけていがみ合ってきたという過去がある。そのために、手放しで賛同できるかといわれたら、無理だろうという結論になってしまうのだ。
「ピスケースさん」
「はっ、はい、まお……いえ、アリエス様」
アリエスが声をかけると、かなり動揺した様子でピスケースが反応している。
「ラースが死んだ今、魔王軍は誰がトップになりますでしょうか」
「はい。我が父であるパイシズ宰相でしょう」
アリエスの問い掛けに、ピスケースはすんなりと答えていた。
「そうですか。根本的な体制は、私が魔王の頃から変わっていませんね。……頭が変われば末端まで影響するとは、こういうことなのでしょうね」
アリエスはため息しか出なかった。
「よしっ」
ひと言呟くと、アリエスは再び人間側に振り向く。
「カプリナ様、ヴァコル様、私と一緒に魔王城に乗り込みますよ」
「えっ、えええっ?!」
「なかなか無茶なことをなさいますね、聖女様」
アリエスの言葉に、カプリナは大きく驚き、ヴァコルもあまり気乗りではなさそうな反応を見せている。
「こういう時はトップが、しかも敵対している相手同士で行うのが一番です。王宮魔術師であるヴァコル様がいらっしゃるのであれば、一応サンカサス王国の意思も入っているとみなせるでしょう」
「まあ、そうかも知れませんね」
ヴァコルの了承を取ったと見たアリエスは、今度はサハーとライラを見る。
「サハー、ライラ。私が留守の間のゾディアーク伯爵領をお願いします」
「はい、アリエス様」
アリエスの指示を受けた二人は、跪いて返事をしていた。
「ちょっと待て、ララ殿も魔族だったのか!?」
「はい、私の正体は魔王軍の諜報部のライラです。そこにいるピスケース様の同列のパイシズ様の部下でございます」
「なんと……」
ゾディアーク伯爵はショックを隠し切れなかった。
「ご安心を。私はアリエス様のご命令を最優先いたします。みなさまの身辺警護、お任せ下さい」
「わ、分かった。信じようではないか」
あまりにも真剣で、跪いたままでの誓いだ。さすがに疑いを持っている伯爵でも、説得させられてしまう程のものだった。
「さあ、ピスケースさん、魔族のみなさん。魔王城へと向かいますよ!」
「はっ、魔王様の仰せのままに」
アリエスはパイシズの滞在する魔王城を目指し、ヴァコルやカプリナ、そのほか多くの魔族を引き連れてゾディアーク伯爵領を出発したのだった。
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