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第142話 墓地にやってきた元魔王
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アクアの墓参りをすることになったアリエスは、担当の神官と一緒に首都から少し離れた場所までやってきた。
周囲を結界に囲まれ、なんとも寂しそうな場所である。
「ここは、ご病気で亡くなられた方々の共同墓地でございます。この結界により、この中のものは外へと漏れ出すことがございません。つい最近、エリス様によって張り直されましたので、当面は大丈夫だと思われます」
神官は思ったよりもエリスの力を信じていないような感じで話をしている。
確かに、アリエスが以前にやってきた時より前のことを思えば、そのような印象を持つのも無理はないだろう。しかし、自国の聖女に対して神官がその様な言い方をするのはいかがなものかと、アリエスはちょっと首を捻ってしまっていた。
(以前のエリスは確かに頼りなかったが、俺が教えた後の姿を見てもこんな風に思っているのなら、この神官は何を見ていたんだということになる。まあ、俺は他国の聖女だからあまり口出しはしないが、どうも印象が悪すぎる)
アリエスは神官の言葉にそのような印象を抱いていた。
だが、あまり他国のことなので口出しをするのもよろしくはないかと、この場は一応黙っておくことにしておいた。
結界をくぐると、周囲の空気が一気に変わる。
「うっ……」
あまりの臭気に、アリエスは思わず鼻を覆ってしまう。
(これは……。思ったよりもきちんと管理されているようではないようだな。焼き払って埋葬したとは言っていたが、そしたらどうしてこのようなにおいが充満するのだ……)
アリエスはかなり疑問を持っているようだった。
「どうか、なさいましたか?」
あまりにも苦しそうなアリエスを見て、神官が足を止めて質問をしている。
(さすがは専門でここを訪れているだけあるな。この中でも平然としているとは……。だが、俺がさすがに耐えられぬ。これは浄化すべきだな)
神官がどうしたのかと顔をのぞかせてくるが、アリエスはさすがの状況に耐えきれなくなってしまい、浄化の魔法を発動させてしまう。
「こ、これは……っ!」
あまりにも突然のことに、神官もかなりびっくりしているようだった。
周囲を覆うよどんだ空気が、一気にきれいになっていく。あまりにも急激な変化が起きたので、神官はその変化についていけていないようだった。
「な、何が起きたのですか。アリエス様、一体何をなされたのですか」
神官は慌ててアリエスに確認を入れてくる。
「あまりにも耐えきれませんでしたので、この墓地の中を浄化させていただきました。あのような中で平気とは、あなたもすごい方ですね」
アリエスは素直に答えている。あのよどんだ中で平気だった神官を褒めるのも忘れない。
ところが、神官の方は褒められたとは思っていないようだ。
「ああ、あの中で平気だった私は、信仰が足りていなかったのか?」
どうやら、あのよどみまくった空気の中で平気だったことで、自分の信仰を疑い出したようだった。
「私は別にそのようなつもりで言ったつもりではないのですが……。単純に私がこの空気に慣れていなかっただけでしょうから、気になさらなくても問題ございませんよ。なにせあなたは、この場所を定期的に訪れていたのですからね」
「ですが、アリエス様の浄化に比べれば、すぐに空気がよどんでしまう私の浄化など誇れるものでもなんでもございません。ああ、神よ。この私の未熟さをお許しください!」
神官は懺悔を始めてしまった。
このままでは話が進みそうにないので、アリエスは話題を変えようと声をかけることにした。
「と、とにかく、アクア様のお墓へとご案内いただけないでしょうか」
「分かりました。私のような未熟な者にもお声がけを下さるとは……。もっと墓守としてふさわしくなるように精進いたします!」
元気を取り戻した神官は、アリエスをアクアのお墓へと案内する。
共同墓地ゆえに身分関係なく葬られてはいるが、一画に明らかに違った様相の墓が設けられていた。これがアクアの墓のようである。
「アクア様のお墓は、さすがに聖女の母君ということでこのように一画を整備して葬られております。とはいいましても、私以外にこの場を訪れる者はおりませんから、多少の手入れはしておりますが、どうしてもこのように荒れてしまうのです」
「そうなのですね。時間の間隔が空けば、そのようになることも仕方ないでしょう。実の娘ですら訪れられないとは、なんとも不憫で仕方ありませんね」
アクアの墓を前に、アリエスは悲しそうな表情を浮かべている。
エリスを身ごもったのは偶発的なことだったのだろうが、その後のアクアの処遇を聞くに、アリエスはアクアに対して悪いことをしたように考えてしまっているようだ。
悲しそうな表情を浮かべているのは、その自責の念からである。
「ちょっと、祈りを捧げさせて頂きますね」
「はい、それでしたらぜひともよろしくお願い致します。聖女の母君であるのに、このような扱いになっていることは、教会としても不本意でございますから」
神官はアリエスから離れて、その祈りの様子を見ている。
アリエスはアクアの墓の前に跪き、熱心に祈りを捧げて始める。
その時だった。
「な、なんだ?!」
神官が驚く目の前で、アリエスの体が急激に光り始めたのだ。
その光は、あっという間に辺り一帯を飲み込んでしまったのである。
周囲を結界に囲まれ、なんとも寂しそうな場所である。
「ここは、ご病気で亡くなられた方々の共同墓地でございます。この結界により、この中のものは外へと漏れ出すことがございません。つい最近、エリス様によって張り直されましたので、当面は大丈夫だと思われます」
神官は思ったよりもエリスの力を信じていないような感じで話をしている。
確かに、アリエスが以前にやってきた時より前のことを思えば、そのような印象を持つのも無理はないだろう。しかし、自国の聖女に対して神官がその様な言い方をするのはいかがなものかと、アリエスはちょっと首を捻ってしまっていた。
(以前のエリスは確かに頼りなかったが、俺が教えた後の姿を見てもこんな風に思っているのなら、この神官は何を見ていたんだということになる。まあ、俺は他国の聖女だからあまり口出しはしないが、どうも印象が悪すぎる)
アリエスは神官の言葉にそのような印象を抱いていた。
だが、あまり他国のことなので口出しをするのもよろしくはないかと、この場は一応黙っておくことにしておいた。
結界をくぐると、周囲の空気が一気に変わる。
「うっ……」
あまりの臭気に、アリエスは思わず鼻を覆ってしまう。
(これは……。思ったよりもきちんと管理されているようではないようだな。焼き払って埋葬したとは言っていたが、そしたらどうしてこのようなにおいが充満するのだ……)
アリエスはかなり疑問を持っているようだった。
「どうか、なさいましたか?」
あまりにも苦しそうなアリエスを見て、神官が足を止めて質問をしている。
(さすがは専門でここを訪れているだけあるな。この中でも平然としているとは……。だが、俺がさすがに耐えられぬ。これは浄化すべきだな)
神官がどうしたのかと顔をのぞかせてくるが、アリエスはさすがの状況に耐えきれなくなってしまい、浄化の魔法を発動させてしまう。
「こ、これは……っ!」
あまりにも突然のことに、神官もかなりびっくりしているようだった。
周囲を覆うよどんだ空気が、一気にきれいになっていく。あまりにも急激な変化が起きたので、神官はその変化についていけていないようだった。
「な、何が起きたのですか。アリエス様、一体何をなされたのですか」
神官は慌ててアリエスに確認を入れてくる。
「あまりにも耐えきれませんでしたので、この墓地の中を浄化させていただきました。あのような中で平気とは、あなたもすごい方ですね」
アリエスは素直に答えている。あのよどんだ中で平気だった神官を褒めるのも忘れない。
ところが、神官の方は褒められたとは思っていないようだ。
「ああ、あの中で平気だった私は、信仰が足りていなかったのか?」
どうやら、あのよどみまくった空気の中で平気だったことで、自分の信仰を疑い出したようだった。
「私は別にそのようなつもりで言ったつもりではないのですが……。単純に私がこの空気に慣れていなかっただけでしょうから、気になさらなくても問題ございませんよ。なにせあなたは、この場所を定期的に訪れていたのですからね」
「ですが、アリエス様の浄化に比べれば、すぐに空気がよどんでしまう私の浄化など誇れるものでもなんでもございません。ああ、神よ。この私の未熟さをお許しください!」
神官は懺悔を始めてしまった。
このままでは話が進みそうにないので、アリエスは話題を変えようと声をかけることにした。
「と、とにかく、アクア様のお墓へとご案内いただけないでしょうか」
「分かりました。私のような未熟な者にもお声がけを下さるとは……。もっと墓守としてふさわしくなるように精進いたします!」
元気を取り戻した神官は、アリエスをアクアのお墓へと案内する。
共同墓地ゆえに身分関係なく葬られてはいるが、一画に明らかに違った様相の墓が設けられていた。これがアクアの墓のようである。
「アクア様のお墓は、さすがに聖女の母君ということでこのように一画を整備して葬られております。とはいいましても、私以外にこの場を訪れる者はおりませんから、多少の手入れはしておりますが、どうしてもこのように荒れてしまうのです」
「そうなのですね。時間の間隔が空けば、そのようになることも仕方ないでしょう。実の娘ですら訪れられないとは、なんとも不憫で仕方ありませんね」
アクアの墓を前に、アリエスは悲しそうな表情を浮かべている。
エリスを身ごもったのは偶発的なことだったのだろうが、その後のアクアの処遇を聞くに、アリエスはアクアに対して悪いことをしたように考えてしまっているようだ。
悲しそうな表情を浮かべているのは、その自責の念からである。
「ちょっと、祈りを捧げさせて頂きますね」
「はい、それでしたらぜひともよろしくお願い致します。聖女の母君であるのに、このような扱いになっていることは、教会としても不本意でございますから」
神官はアリエスから離れて、その祈りの様子を見ている。
アリエスはアクアの墓の前に跪き、熱心に祈りを捧げて始める。
その時だった。
「な、なんだ?!」
神官が驚く目の前で、アリエスの体が急激に光り始めたのだ。
その光は、あっという間に辺り一帯を飲み込んでしまったのである。
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