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第169話 王女を連れて帰国した元魔王
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数回の野宿を繰り返しながら、アリエスたちはようやくサンカサス王国の王都へと舞い戻ってきた。
「どうやらクラブ将軍とかいう人物が率いるテレグロス王国軍はいませんね」
「となると、やはりゾディアーク伯爵領へと攻め入ったのでしょうかね」
「可能性は十分にあります」
「だ、大丈夫なのでしょうか、それって」
アリエスとヴァコルが話をしていると、ヨミナ王女が心配そうに声をかけてきていた。
ところが、二人ともそんなに心配している様子はない。
「私の部下であったライラがいるのです。あの程度の軍勢でしたら、彼女一人でもどうとでもなるでしょう」
「聖女キャサリーンの加護を失ったテレグロス王国軍の強さがイカほどかは分かりませんが、僕もあまり心配をしておりません。それに、先日の魔王軍との戦いで戦力が集中しておりますし、大丈夫でしょう」
「そ、そうですか……」
あまり心配している様子のない二人に驚きながらも、ヨミナ王女は納得するしかなかった。
三人を乗せたペガサスは、そのままサンカサス王城のバルコニーまで飛んでいった。
「お帰りなさいませ、聖女様、ヴァコル様」
バルコニーに降り立ったというのに、兵士が素早く出迎えにやって来た。
「お出向けご苦労さま。敵兵の様子はどうでしたでしょうか」
「はっ! お二方がテレグロスへと向かわれた後、ひそかに偵察隊を差し向けましたが、どうやらゾディアーク伯爵領へと向かったようです。ミルキー湿原を抜けられないと見て、目標を変更したようです」
「それで、戦況は?」
「はっ! カプリナ様やサハー様が急いで戻られましたので、悪くはならないかと思われます」
「そうですか」
どうやら、テレグロス王国軍が進軍したという情報以上は得られないようである。
それでも、カプリナやサハーが戻っていったということを聞いて、アリエスはほっとした様子を見せていた。
「残念ですね。カプリナ様たちに再会できると思いましたのに」
「仕方ないですよ、聖女。カプリナ嬢にとっては、ゾディアーク伯爵領は自分の家です。そこが狙われるとあっては、戻らざるを得ないでしょう」
「そうですね……。ですが、私にとっても故郷ですのに、こんなところにいていいのでしょうか」
「こんなところとは言ってくれますね、聖女。ですが、今はヨミナ王女殿下を陛下たちに紹介しなければなりません。彼女を安心させるには、聖女の存在は必要なのですから」
「分かりました」
ヴァコルの話を聞いて、アリエスは落ち着かないまでも、サンカサス王城に留まることにしたようである。
ふうっとひとつ深呼吸をすると、ヨミナ王女に向かって手を差し伸べる。
「さあ、参りましょうか、ヨミナ様」
「はい」
差し出された手を、ヨミナ王女はそっと取っていた。
いろいろと気にかかることはあるものの、アリエスはヨミナ王女を安心させるために隣にい続けることを選択した。
(カプリナ、スラリー、サハー、無事でいてくれよ)
気にかかるアリエスは、三人の無事をしっかりと祈っていた。
アリエスたちは、サンカサス王国の謁見の間に通される。
「陛下にご報告申し上げます。我が国の聖女アリエス様がご帰還なさいました」
「しばし待たれよ」
アリエスたちを案内してきた兵士が告げると、衛兵が国王たちに伝えに行く。しばらくして戻ってくると、無事に中へと進むことを許された。
謁見の間に入ると、正面には国王と王妃、それと三人の子どもたちが並んでいた。
「聖女アリエス、王宮魔術師ヴァコル、よく戻ったな」
「はい、国王陛下。テレグロス王国は説得して参りました。あとは残っているクラブ将軍が率いる軍だけでございます」
「そうか……。援軍が来ることはないというわけだな」
「その通りでございます」
アリエスは国王とやり取りをしている。
「ふむ……。それはそうとして、その横の人物はどなたかな?」
「はい。テレグロス王国の王女様でいらっしゃいます、ヨミナ王女殿下でございます」
「なんと、ヨミナ王女だったか。すっかり成長しておって、誰か分からなかったぞ」
「お久しぶりでございます、サンカサス国王陛下」
紹介をされたヨミナ王女は、丁寧に挨拶をしている。
「それにしても驚いたな。ヨミナ王女がこちらにやってくるとはな」
「はい。国王の跡はお兄様が継がれることになりまして、私は友好の証としてサンカサスに嫁ぐことになりました。今回はそのための挨拶でございます」
「おおっ、そうなのか。まあ、魔族のいる状況で人間同士の争いを仕掛ければそうなるな。しかも、聖女を利用した上となれば罪は重いからな」
「しかし、嫁がれると申しましても、単身でやってくるのは大変だったでしょう。しばらくは客人としてゆっくり休んで下さいね」
「はい、ありがとう存じます」
ヨミナ王女は、国王と王妃の話にしっかりと対応している。二人の反応からするに、ヨミナ王女はすんなりと迎え入れられそうである。
「それで、ひとつお願いがあるのですが、よろしいでしょうか」
「よいぞ。単身やって来たこともあるのだ。多少のことは聞き入れよう」
「ありがとう存じます。では、アリエス様としばらくご一緒させていただいてもよろしいでしょうか」
「え?」
ヨミナ王女の要求を聞いて、アリエスは固まってしまっていた。
だが、その要求をすんなりと受け入れられ、アリエスはしばらくヨミナ王女の相手をさせられることになったのだった。
「どうやらクラブ将軍とかいう人物が率いるテレグロス王国軍はいませんね」
「となると、やはりゾディアーク伯爵領へと攻め入ったのでしょうかね」
「可能性は十分にあります」
「だ、大丈夫なのでしょうか、それって」
アリエスとヴァコルが話をしていると、ヨミナ王女が心配そうに声をかけてきていた。
ところが、二人ともそんなに心配している様子はない。
「私の部下であったライラがいるのです。あの程度の軍勢でしたら、彼女一人でもどうとでもなるでしょう」
「聖女キャサリーンの加護を失ったテレグロス王国軍の強さがイカほどかは分かりませんが、僕もあまり心配をしておりません。それに、先日の魔王軍との戦いで戦力が集中しておりますし、大丈夫でしょう」
「そ、そうですか……」
あまり心配している様子のない二人に驚きながらも、ヨミナ王女は納得するしかなかった。
三人を乗せたペガサスは、そのままサンカサス王城のバルコニーまで飛んでいった。
「お帰りなさいませ、聖女様、ヴァコル様」
バルコニーに降り立ったというのに、兵士が素早く出迎えにやって来た。
「お出向けご苦労さま。敵兵の様子はどうでしたでしょうか」
「はっ! お二方がテレグロスへと向かわれた後、ひそかに偵察隊を差し向けましたが、どうやらゾディアーク伯爵領へと向かったようです。ミルキー湿原を抜けられないと見て、目標を変更したようです」
「それで、戦況は?」
「はっ! カプリナ様やサハー様が急いで戻られましたので、悪くはならないかと思われます」
「そうですか」
どうやら、テレグロス王国軍が進軍したという情報以上は得られないようである。
それでも、カプリナやサハーが戻っていったということを聞いて、アリエスはほっとした様子を見せていた。
「残念ですね。カプリナ様たちに再会できると思いましたのに」
「仕方ないですよ、聖女。カプリナ嬢にとっては、ゾディアーク伯爵領は自分の家です。そこが狙われるとあっては、戻らざるを得ないでしょう」
「そうですね……。ですが、私にとっても故郷ですのに、こんなところにいていいのでしょうか」
「こんなところとは言ってくれますね、聖女。ですが、今はヨミナ王女殿下を陛下たちに紹介しなければなりません。彼女を安心させるには、聖女の存在は必要なのですから」
「分かりました」
ヴァコルの話を聞いて、アリエスは落ち着かないまでも、サンカサス王城に留まることにしたようである。
ふうっとひとつ深呼吸をすると、ヨミナ王女に向かって手を差し伸べる。
「さあ、参りましょうか、ヨミナ様」
「はい」
差し出された手を、ヨミナ王女はそっと取っていた。
いろいろと気にかかることはあるものの、アリエスはヨミナ王女を安心させるために隣にい続けることを選択した。
(カプリナ、スラリー、サハー、無事でいてくれよ)
気にかかるアリエスは、三人の無事をしっかりと祈っていた。
アリエスたちは、サンカサス王国の謁見の間に通される。
「陛下にご報告申し上げます。我が国の聖女アリエス様がご帰還なさいました」
「しばし待たれよ」
アリエスたちを案内してきた兵士が告げると、衛兵が国王たちに伝えに行く。しばらくして戻ってくると、無事に中へと進むことを許された。
謁見の間に入ると、正面には国王と王妃、それと三人の子どもたちが並んでいた。
「聖女アリエス、王宮魔術師ヴァコル、よく戻ったな」
「はい、国王陛下。テレグロス王国は説得して参りました。あとは残っているクラブ将軍が率いる軍だけでございます」
「そうか……。援軍が来ることはないというわけだな」
「その通りでございます」
アリエスは国王とやり取りをしている。
「ふむ……。それはそうとして、その横の人物はどなたかな?」
「はい。テレグロス王国の王女様でいらっしゃいます、ヨミナ王女殿下でございます」
「なんと、ヨミナ王女だったか。すっかり成長しておって、誰か分からなかったぞ」
「お久しぶりでございます、サンカサス国王陛下」
紹介をされたヨミナ王女は、丁寧に挨拶をしている。
「それにしても驚いたな。ヨミナ王女がこちらにやってくるとはな」
「はい。国王の跡はお兄様が継がれることになりまして、私は友好の証としてサンカサスに嫁ぐことになりました。今回はそのための挨拶でございます」
「おおっ、そうなのか。まあ、魔族のいる状況で人間同士の争いを仕掛ければそうなるな。しかも、聖女を利用した上となれば罪は重いからな」
「しかし、嫁がれると申しましても、単身でやってくるのは大変だったでしょう。しばらくは客人としてゆっくり休んで下さいね」
「はい、ありがとう存じます」
ヨミナ王女は、国王と王妃の話にしっかりと対応している。二人の反応からするに、ヨミナ王女はすんなりと迎え入れられそうである。
「それで、ひとつお願いがあるのですが、よろしいでしょうか」
「よいぞ。単身やって来たこともあるのだ。多少のことは聞き入れよう」
「ありがとう存じます。では、アリエス様としばらくご一緒させていただいてもよろしいでしょうか」
「え?」
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