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第五章 カザリア王国へ
7 エドアルド皇太子の訪問
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次の朝、ユーリとフランツを除く特使一行は 、同盟締結の為の会議に出席するために王宮に出かけて行った。
残された二人はメンバーが大使館に帰ってくるまでには海水浴を終えておきたかったので、午前中に出かけ昼食を海岸で食べながら竜達の海水浴を見ていようと計画した。
「ユーリ嬢、今夜は舞踏会で夜中まで踊るのですから、少しお昼寝をしていた方が良いですわ。きっと、貴女と踊りたいという殿方がたくさんいらっしゃるから」
大使夫人は舞踏会に備えて休憩を取るべきだわと、海岸行きに難色を示す。
『海水浴に早く行こう!』
でも、竜達が急かすようにウォ~と吠えたので、それ以上は言わなかった。
「竜が海水浴が好きだなんて知りませんでしたわ。仕方ありませんね、でも、お茶の時間までには帰って来て下さいね。今夜の舞踏会のダンスの順番や、気を付けなくてはいけない殿方を話し合っておきたいですから」
ユーリには竜達が『早く!』と騒ぐ声が、耳を押さえたくなる程うるさく聞こえていたので、やっと後見人の大使夫人の許可がおりてホッとする。
ユーリとフランツは海岸で食べる簡単な昼食をバスケットに入れて貰って、大使館の竜舎へと向かう。
「今頃は、会議が始まっているだろうな」
今回限りの外務省実習ではなく、外交官を目指しているフランツは、同盟締結という大舞台の雰囲気を肌で感じたかったとこぼす。
「明日からも、会議は続くわよ。それより、パーティーが多すぎるわ。昼は会議、夜はパーティーじゃあ、体力が保たないわ。海岸に着いたら、竜達は勝手に泳ぐでしょうから、私達はのんびりしましょう」
ユーリの言葉に、フランツもこれからの過密スケジュールを思い出して、そうだねと同意した。
呑気な二人の海水浴計画は、突然のエドアルドの登場で変更を余儀なくされた。
エドアルドは今日から始まる会議に特使であるグレゴリウスは例外として出席するだろうが、見習い竜騎士のユーリは出席出来ないだろうと思った。
そして、ユーリが会議の控え室で待機しているだろうと考えて、王宮の庭でも案内しようと誘いに行ったが、大使館で留守番だと聞き押しかけたのだ。
「ユーリ様、フランツ様! ああ、良かった。エドアルド皇太子殿下がお越しです」
突然のエドアルドの訪問に慌てた大使館員は、ユーリとフランツが海岸にまだ出掛けてなくてホッとする。
二人はさっさと出掛けておけば良かったと、竜達の抗議の声に眉をひそめた。
『少し、待ってて エドアルド皇太子殿下の相手をしたら、直ぐに海水浴に行きましょう』
二人が大使館のサロンに入ると、腕に大きなバラの花束を抱えたエドアルドがセリーナから、お茶のもてなしを受けている。
エドアルドはユーリの入室を礼儀正しく立って迎えると、バラの花束をプレゼントした。
「今朝は王宮のバラが素晴らしかったので、庭を案内しようと控え室に誘いに行ったのですが、大使館にいらっしゃると伺って。バラを持参したのですが、ここのバラも見事ですね」
エドアルドの言葉に、ユーリは見事なバラの花束のお礼を言う。
「ありがとうございます。大使館のバラも見事ですが、このバラも綺麗ですわ」
実は大使館の見事過ぎるほどに咲いたバラの件で、早朝老練な外交官二人の間で小さな事件があったのだ。
今朝は会議の打合せの為に早起きした、クレスト大使とマッカートニー外務次官は、ユーリの緑の魔力を機密書で読んで知ってはいたが、朝起きて庭のバラが葉っぱが見えないほど満開になっている様子を実際に見て心底から驚いた。
「これは……見事なバラですな」
マッカートニー外務次官はユーリの緑の魔力を過小評価していたかもと、認識を改めた。そんな夫と外務次官のやり取りや、ユーリの緑の魔力を知らないセリーナは、エドアルドの言葉に素直に喜んだ。
「ええ、今年はバラが見事に咲いて喜んでますの。でも、皇太子殿下が持って来られたバラは、ここの庭にはないものですから、嬉しいですわ。ユーリ嬢、さっそく花瓶に飾ってくださいな」
セリーナは夫の大使や他の特使一行が会議で留守の間に、こんなに積極的な行動をエドアルドがしたのに困惑した。
王妃からユーリの後見人に指名されていた責任感から、セリーナは礼儀正しく応対しながらも、絶対にエドアルドと親密にならないように気をつかった。
ユーリは大使夫人の言い付けに従ってサロンから下がって、バラを花瓶に飾りに行こうとした。しかし、海水浴に連れて行って貰えると楽しみにしてたのに待たされて、苛々していた竜達が不満を爆発的させる。
『ユーリ、海水浴に連れて行ってくれると言ったのに! いつ行くんだ!』
『待ちくたびれたよ~。海水浴に早く行こう!』
五頭の竜達の不満の叫び声に、ユーリは思わず手を耳に当ててバラを床に落としてしまった。
大使夫人は竜騎士ではないので、竜達の叫び声が聞こえない。皇太子殿下のプレゼントのバラを床に落としたユーリの不作法に驚いて、花束を拾い上げて謝る。
しかし、エドアルドもフランツも手で耳を押さえていたので、謝罪の言葉は届かなかった。
『皆、少し待ってちょうだい。海水浴には連れて行くから! お願いだから、おとなしくしてて』
ユーリの命令でイルバニア王国の竜達はおとなしくなったが、エドアルドの騎竜のマルスが騒ぎ始める。
『エドアルド、私も海水浴に行きたい。みんな、これからユーリとフランツと海水浴に行くんだ。ずるいよ! 私だけ行けないなんて』
普段は素直なマルスの我が儘に、エドアルドは驚いた。
「ユーリ嬢、フランツ卿、貴方たちは竜達と海水浴に行かれる予定だったのですか? 私の騎竜のマルスも海水浴に行きたがっているのですが、竜が海水浴するのですか?」
ユーリとフランツはエドアルドに海水浴の計画がばれたので、あちゃ~と顔を見合わせて困る。
セリーナは竜達の言葉は聞こえなかったが、ユーリやフランツやエドアルドの態度や言葉から、竜達が不満を爆発させ、どうやらエドアルドの竜も海水浴に行きたいと駄々をこねているのだと察した。
「エドアルド皇太子殿下、実は竜達を海水浴に連れて行く予定でしたの。どうやら、もう待ちきれないみたいですわね。ユーリ嬢、フランツ卿、失礼して竜達を海水浴に連れて行きなさい」
皇太子殿下は自分が引き止めて、二人に海岸に行かせようとしたセリーナの思惑は失敗に終わる。
「ユーリ嬢、フランツ卿、私達も海水浴に同行させて下さい。マルスがこんなに海水浴に行きたがるなんて知りませんでした。このまま王宮に連れて帰ったら、拗ねてしまいます。大使夫人、二人に頼んで下さい。お願いします」
隣国の皇太子殿下の頼みを無碍に断るなんて不作法なことは誰も出来なかったし、マルスが本当に行きたがっているのをユーリもフランツも知っていたので困って、大使夫人の顔を眺める。
「まぁ、仕方ありませんわね。ユーリ嬢、フランツ卿、エドアルド皇太子殿下と騎竜も一緒に海水浴にお連れしたら。でも、今夜は舞踏会なのですから、お茶の時間迄には帰って来て下さいね」
セリーナはユーリとエドアルドを二人きりにさせないようにと厳命を受けていた。だが、皇太子からの頼みを断るのは不作法過ぎて無理だと判断して、フランツがいるのだから見張りを託す事にした。
残された二人はメンバーが大使館に帰ってくるまでには海水浴を終えておきたかったので、午前中に出かけ昼食を海岸で食べながら竜達の海水浴を見ていようと計画した。
「ユーリ嬢、今夜は舞踏会で夜中まで踊るのですから、少しお昼寝をしていた方が良いですわ。きっと、貴女と踊りたいという殿方がたくさんいらっしゃるから」
大使夫人は舞踏会に備えて休憩を取るべきだわと、海岸行きに難色を示す。
『海水浴に早く行こう!』
でも、竜達が急かすようにウォ~と吠えたので、それ以上は言わなかった。
「竜が海水浴が好きだなんて知りませんでしたわ。仕方ありませんね、でも、お茶の時間までには帰って来て下さいね。今夜の舞踏会のダンスの順番や、気を付けなくてはいけない殿方を話し合っておきたいですから」
ユーリには竜達が『早く!』と騒ぐ声が、耳を押さえたくなる程うるさく聞こえていたので、やっと後見人の大使夫人の許可がおりてホッとする。
ユーリとフランツは海岸で食べる簡単な昼食をバスケットに入れて貰って、大使館の竜舎へと向かう。
「今頃は、会議が始まっているだろうな」
今回限りの外務省実習ではなく、外交官を目指しているフランツは、同盟締結という大舞台の雰囲気を肌で感じたかったとこぼす。
「明日からも、会議は続くわよ。それより、パーティーが多すぎるわ。昼は会議、夜はパーティーじゃあ、体力が保たないわ。海岸に着いたら、竜達は勝手に泳ぐでしょうから、私達はのんびりしましょう」
ユーリの言葉に、フランツもこれからの過密スケジュールを思い出して、そうだねと同意した。
呑気な二人の海水浴計画は、突然のエドアルドの登場で変更を余儀なくされた。
エドアルドは今日から始まる会議に特使であるグレゴリウスは例外として出席するだろうが、見習い竜騎士のユーリは出席出来ないだろうと思った。
そして、ユーリが会議の控え室で待機しているだろうと考えて、王宮の庭でも案内しようと誘いに行ったが、大使館で留守番だと聞き押しかけたのだ。
「ユーリ様、フランツ様! ああ、良かった。エドアルド皇太子殿下がお越しです」
突然のエドアルドの訪問に慌てた大使館員は、ユーリとフランツが海岸にまだ出掛けてなくてホッとする。
二人はさっさと出掛けておけば良かったと、竜達の抗議の声に眉をひそめた。
『少し、待ってて エドアルド皇太子殿下の相手をしたら、直ぐに海水浴に行きましょう』
二人が大使館のサロンに入ると、腕に大きなバラの花束を抱えたエドアルドがセリーナから、お茶のもてなしを受けている。
エドアルドはユーリの入室を礼儀正しく立って迎えると、バラの花束をプレゼントした。
「今朝は王宮のバラが素晴らしかったので、庭を案内しようと控え室に誘いに行ったのですが、大使館にいらっしゃると伺って。バラを持参したのですが、ここのバラも見事ですね」
エドアルドの言葉に、ユーリは見事なバラの花束のお礼を言う。
「ありがとうございます。大使館のバラも見事ですが、このバラも綺麗ですわ」
実は大使館の見事過ぎるほどに咲いたバラの件で、早朝老練な外交官二人の間で小さな事件があったのだ。
今朝は会議の打合せの為に早起きした、クレスト大使とマッカートニー外務次官は、ユーリの緑の魔力を機密書で読んで知ってはいたが、朝起きて庭のバラが葉っぱが見えないほど満開になっている様子を実際に見て心底から驚いた。
「これは……見事なバラですな」
マッカートニー外務次官はユーリの緑の魔力を過小評価していたかもと、認識を改めた。そんな夫と外務次官のやり取りや、ユーリの緑の魔力を知らないセリーナは、エドアルドの言葉に素直に喜んだ。
「ええ、今年はバラが見事に咲いて喜んでますの。でも、皇太子殿下が持って来られたバラは、ここの庭にはないものですから、嬉しいですわ。ユーリ嬢、さっそく花瓶に飾ってくださいな」
セリーナは夫の大使や他の特使一行が会議で留守の間に、こんなに積極的な行動をエドアルドがしたのに困惑した。
王妃からユーリの後見人に指名されていた責任感から、セリーナは礼儀正しく応対しながらも、絶対にエドアルドと親密にならないように気をつかった。
ユーリは大使夫人の言い付けに従ってサロンから下がって、バラを花瓶に飾りに行こうとした。しかし、海水浴に連れて行って貰えると楽しみにしてたのに待たされて、苛々していた竜達が不満を爆発的させる。
『ユーリ、海水浴に連れて行ってくれると言ったのに! いつ行くんだ!』
『待ちくたびれたよ~。海水浴に早く行こう!』
五頭の竜達の不満の叫び声に、ユーリは思わず手を耳に当ててバラを床に落としてしまった。
大使夫人は竜騎士ではないので、竜達の叫び声が聞こえない。皇太子殿下のプレゼントのバラを床に落としたユーリの不作法に驚いて、花束を拾い上げて謝る。
しかし、エドアルドもフランツも手で耳を押さえていたので、謝罪の言葉は届かなかった。
『皆、少し待ってちょうだい。海水浴には連れて行くから! お願いだから、おとなしくしてて』
ユーリの命令でイルバニア王国の竜達はおとなしくなったが、エドアルドの騎竜のマルスが騒ぎ始める。
『エドアルド、私も海水浴に行きたい。みんな、これからユーリとフランツと海水浴に行くんだ。ずるいよ! 私だけ行けないなんて』
普段は素直なマルスの我が儘に、エドアルドは驚いた。
「ユーリ嬢、フランツ卿、貴方たちは竜達と海水浴に行かれる予定だったのですか? 私の騎竜のマルスも海水浴に行きたがっているのですが、竜が海水浴するのですか?」
ユーリとフランツはエドアルドに海水浴の計画がばれたので、あちゃ~と顔を見合わせて困る。
セリーナは竜達の言葉は聞こえなかったが、ユーリやフランツやエドアルドの態度や言葉から、竜達が不満を爆発させ、どうやらエドアルドの竜も海水浴に行きたいと駄々をこねているのだと察した。
「エドアルド皇太子殿下、実は竜達を海水浴に連れて行く予定でしたの。どうやら、もう待ちきれないみたいですわね。ユーリ嬢、フランツ卿、失礼して竜達を海水浴に連れて行きなさい」
皇太子殿下は自分が引き止めて、二人に海岸に行かせようとしたセリーナの思惑は失敗に終わる。
「ユーリ嬢、フランツ卿、私達も海水浴に同行させて下さい。マルスがこんなに海水浴に行きたがるなんて知りませんでした。このまま王宮に連れて帰ったら、拗ねてしまいます。大使夫人、二人に頼んで下さい。お願いします」
隣国の皇太子殿下の頼みを無碍に断るなんて不作法なことは誰も出来なかったし、マルスが本当に行きたがっているのをユーリもフランツも知っていたので困って、大使夫人の顔を眺める。
「まぁ、仕方ありませんわね。ユーリ嬢、フランツ卿、エドアルド皇太子殿下と騎竜も一緒に海水浴にお連れしたら。でも、今夜は舞踏会なのですから、お茶の時間迄には帰って来て下さいね」
セリーナはユーリとエドアルドを二人きりにさせないようにと厳命を受けていた。だが、皇太子からの頼みを断るのは不作法過ぎて無理だと判断して、フランツがいるのだから見張りを託す事にした。
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