Valkyrie of Moonlight~月明りの剣と魔法の杖~

剣世炸

文字の大きさ
47 / 111
Episode7 三日月同盟

第9話 潜入

しおりを挟む
 アコードとアルモが、王都グルンニード近くの山中にあるという三日月同盟本部に向かった数時間後…

“シャキーン…”

「!!どうして………」

「…お前は一体…」

 刹那、2人の後頭部に手刀の一撃が入り、一瞬にして気を失った。

「ヴァジュラ様…始末しなくてよろしいのですか?」

「ここは街中だ。騒ぎになるのはまずかろう?」

「…左様ですね……連行して、教軍本部で処刑するのがよろしいでしょう。して、例の娘は…」

「男と一緒に、アーティファクトの元へと向かった。私の隊は、どうなっている?」

「仰せのままに、既に布陣済でございます」

「分かった…手筈通り動くよう、副長に伝えてくれ」

「かしこまりました」

“ヒュン…”

「…クレスの子孫、アルモよ…クレスが作った三日月同盟本部が、アーティファクトとお前の墓場となるのだ!!」


***


“ガサゴソゴソガサ…”

「…確かこの辺りに………あった!!」

“ギィ…”

“ゴゴゴゴゴゴゴゴ…”

 一般人には分からないよう細工されている仕掛けをアルモが動かすと、何の変哲もない岩壁が動き出し、本部への入口が姿を現した。

「さあ、中に入りましょう」

“コツコツコツ…”

「………」

「どうしたの?アコード…」

「えっ!?…いや…ちょっとな…」

「(この洞窟…初めてきた気がしないような……)」

 洞窟は、明らかに人の手によって作られたものだった。周囲が石のブロックによって覆われ、ところどころに当時の文明による装飾が施されている。

 魔法の力により光っているのだろうか?装飾と共に等間隔に配置されたランタンが、青白く輝き薄暗い洞窟を照らしている。

「(…この風景…確かどこかで…)」

「…アコード…大丈夫!?」

「思い出した!!周囲のブロックと青白いランタン。間違いない。フォーレスタ村の洞窟内部の作りと同じになっているんだ!」

「???」

「…取り乱してすまない。この洞窟の構造、どこかで見た気がしていたんだが…」

「それが、君が君のお母さんと戦ったという、フォーレスタ村の洞窟と同じってこと?」

「そうなんだ!」

「あり得ない話ではないわね。だって、フォーレスタ村の洞窟は、君の祖先であるワイギヤの息子フォーレスタが、後の世に自分の力を残すために作ったもの。そして三日月同盟は、私の祖先クレスが作ったもの。当時の建築様式や建築技術を駆使して作られたと考えれば、合点のいく話だわ」

「そうだな…それにしても、教軍はさっきアルモが作動させた仕掛けのことを知っていたってことだよな…」

「そうね…信じたくはないけど、三日月同盟の仲間の中に、裏切り者がいると考えるのが自然よね…」

「ああ。魔法による移動という筋は考えにくいしな」

「いずれにしても、これから先何があっても可笑しくないと思っていた方がよさそうね」

「そうだな」

 アルモを先頭に、その後ろを俺がついていく形で、本部の奥へと進んでいく。

 ザイールの話によれば、ザイール以外の本部の人間は全て殺害され、本部も制圧されたとのことだったが、本部の通路には争われた形跡はなく、本部の人間や教軍の兵の遺体を発見するには至っていなかった。

「…本当に、ここで戦闘が行われたんだよな…」

「ええ。だって、君もフォーレスタ村で聞いたじゃない。通信鏡からのSOSを…」

「ああ。だが、もしも万が一、その通信が真っ赤な嘘だったとしたら…」

「えっ!?」

「だって、通信鏡に本部の映像は映っていなかった。俺たちが聴いたのは、ザザザって雑音と、兵士のSOSを叫ぶ声だけだった」

「…確かに…アコードの推測が正しいなら、私たちは…」

「ザイールに騙されている!?」

「…となると、宿に残してきたシューとサリットが危ない!!」

「アコード…残念だけど、もしザイールが裏切ったとしたら、今から私たちが戻っても…」

「………」

「今は、二人が無事でいてくれることを信じましょう」

「…そうだな。あの二人に限って、そう易々とやられるようなことはないだろうしな…」

「ええ」

「ところで、アルモ。アーティファクトの在処の目星はついているのか?」

「…何となくだけど、当てがあるわ。この先の十字路の先に、クレスを祀った礼拝堂があるの。そこに、きっと光の盾があるわ!」

「礼拝堂か…」

「私がクレスだったら、きっとそこにアーティファクトを封印すると思うのよね…」

「確かに礼拝堂なら、アーティファクトを封印するにはうってつけかも知れないな…よし、急いでその礼拝堂に行ってみよう!」

「分かった!こっちよ!!」

 そう言うと、アルモは俺の手を握り、全速力で走り出した。

「(アルモの手…とっても暖かいんだな…)」

「…何、アコード?」

「何でもない!それより、急ごう!」

 数分後、俺とアルモはクレスの像が祀られた礼拝堂に到着していたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

処理中です...