トラウマ抱えた冴えない男は、異世界で魔王を妻にします

ワスレナ

文字の大きさ
23 / 77
第二章 リータ魔王国復興編

第21話 「魔物再生の儀式」

しおりを挟む
「タクトよ、少し休んだら、復活の儀式を始めようと思うぞ」

 レイアが私の目を見つめて言う。いよいよやるのか。失った魔族達の復活を。

「わかった。私で手伝えることはやらせてもらう」

「うむ。よろしく頼む」

 レイアは私の目を見ながら言うと、起き上がり、着衣を始める。私も一緒に着衣を始める事にした。

 それから一刻ほどして、私達は魔王の間へ移動し、儀式の準備を始める。静まり返った部屋に、灯りをともす。

「では早速さっそく始めよう」

 レイアが部屋の中央に位置し、呪文を唱え始める。床に巨大な魔法陣が現れ、部屋中に瘴気しょうきが充満する。

「わが盟約めいやくに従い、その肉体と魂をよみがえらせよ!」

 レイアの叫びと共に、魔法陣から光がき上がり、部屋中に禍々まがまがしい力が満ちていく。レイアによって呼び戻された魔物の肉体が次々に浮かび上がってくる。部屋だけでなく、廊下やほかの部屋にも魔物の姿が浮かび上がる。どうやら成功したようである。

「ふぅ、とりあえず成功したようじゃ」

 レイアの言葉とともに、おおっていた光が消滅していく。よみがえった魔物達はそれぞれ、己の肉体を確認しているようである。

「すごいなレイア! おめでとう!」

 私は奇跡を見せてもらい、興奮してレイアをねぎらう。

「いや、まだじゃ。少し力を補給せねばのう」

「え!?」

 補給とはどういうことなのだろうか? 復活できる魔物の数に限界がある可能性は理解できるが、補給?

「そうじゃ。タクト、お願いできるか?」

「私は何をすれば?」

 レイアの言葉の意味が理解できず、思わずたずねてしまう。

「これじゃ、これ!」

 レイアは口を丸くしてキスの要求をしているようである。口を指さしているから、そうなのだろう。

「キス、すればいいのか?」

 私はそう言って、ゆっくりとレイアに近づく。待ちきれないのか、レイアが私に近づき、抱き着いて口づけしようとする。

「頂くぞよ」

 レイアはそう言うと、私に口づけし、吸引する。私は魔力が抜けるのを感じ取った。それでようやく補給の意味を理解する。だが、脱力するほどではなく、むしろ心地いい感覚を味わう。

 十秒ほどして、満足したのか、レイアが唇を離す。その表情は少し赤らみ、恍惚感こうこつかんをほんのりただよわせている。

「感謝する。では、二度目を始めるとしよう」

 そう言って、レイアは再び儀式を始め、魔物達をよみがえらせる。このやり取りがあと二度ほど行われた。

 最後のやり取りを終えると、少し疲れを感じはしたが、無事全ての失った魔物をよみがえらせることができたようだ。

「よし、これで全てじゃ。タクトよ、礼を申すぞ」

「お役に立ててよかったよ。どのくらいの魔物が復活したんだ?」

「数にして一万程度かのう。戦力としては少ないかもしれぬが」

 私がイグノール達と共に倒した数よりははるかに多い。ほかの原因で死滅した魔物も復活させたのだろう。

「タクトよ、わらわの世話をしていた者達を紹介しよう」

 レイアが近くに控えている魔物達の紹介をしてくれるようだ。

「この者達はわらわの生活の世話をしているサキュバスのメイド共じゃ」

 そこには十人のメイドが並んでいる。彼女達は私を見ると、一斉いっせいにお辞儀じぎしてくれた。その手前には六本腕の悪魔らしき者がいる。

「そしてこやつはわらわの使い魔、地獄の使いのアシュレじゃ」

 紹介された彼は私を一瞥いちべつし、丁重ていちょうにお辞儀じぎする。甲冑かっちゅう姿に左右腰に二本、背中にも左右一本ずつ刀を携《たずさ》えている。

「タクト=ヒビキです。よろしくお願いします」

 私も紹介された魔物達に丁寧ていねいに頭を下げる。レイアが私のそばに来て、紹介してくれる。

「わらわの夫となったタクトじゃ。わらわ同様、世話するのじゃ」

 使い魔とメイド達は一瞬硬直し、変な雰囲気ふんいきになるが、改めて深々と頭を下げる。それは驚くよな。いい反応である。

 レイアはモニターを出現させ、国中くにじゅうにテレパシーを発信する。

「皆の者! 魔王クライスラインじゃ。皆の者を再生させるのが遅くなってしまい、すまぬ。わらわは一度人間の勇者に屈しかけたが、こうして復活することができた。
失ったそなた達も、今わらわが再生させた。これより魔王国を再建し、きたる戦いに備える所存じゃ!」

 レイアの演説に、魔物達は声を上げる。

「そしてこの人間がわらわの夫となったタクトと申す。皆の者、今後はわらわ同様、この者もお主達の主となる。共に力をたずさえ、国を盛り上げていくのじゃ」

 突然の衝撃発言に声を上げていた魔物達が静まり返る。魔王が乱心されたのかと思う者多数だろう。だが、魔物達に拒否権などない。受け入れるしかなかった。

 呆然ぼうぜんとする魔物達を気にすることなく、レイアは続ける。

「先日宣戦布告をしてきたリオリス魔王国に対抗するため、皆の者、わらわに力を貸すのじゃ! この戦い、必ずや勝利するものぞ!」

 レイアの力強い演説に、静まり返った魔物達が再び一斉いっせいに声を上げ、士気を高めるのであった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ここまで読んでいただきありがとうございます。
次回もまた、よろしくお願いいたします。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...