トラウマ抱えた冴えない男は、異世界で魔王を妻にします

ワスレナ

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第二章 リータ魔王国復興編

第22話 「魔王レグナムグルス」

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 レイアの演説に、魔物達の士気は最高潮さいこうちょうに達しようとしていた。だがその時、レイアは異常な気配を察知する。直後、城のシステムがアラートを発しだす。

 城内の魔物達がざわつき始める。騒然そうぜんとし、緊張感が走る中、レイアは通信をキャッチする。モニターに映像を映し出す。

 城内の豪華な王室とおぼしき場所に、禍々まがまがしい魔族の存在が映る。全身鎧姿の巨漢きょかんに、がっしり太い腕、頭にはあおき三本角。そして異形いぎょう強面こわもて。邪悪な笑みを浮かべて正面を見据みすえている。

「レグナムグルスか!!」

 険しい表情でレイアが叫ぶ。緊迫きんぱくした空気が満ちる。どうやら敵国の魔王のようである。だが、表情は変わっていない。こちらの音声は届かず、一方通行の映像通信のようだ。

「リータ魔王国の諸君、映像は届いておるだろうか。俺はリオリス魔王国魔王、レグナムグルスである」

 配信は城内の各モニターを通して伝えられている。

「魔王クライスラインよ。我々の宣戦布告に対し、よもや寝ているということは無いだろうな。貴様らの姑息こそくな工作活動に免じ、一週間の猶予ゆうよをやろう」

 モニターに映る魔王は、自信たっぷりに続ける。

「貴様らに我々に対抗する戦力が不足しているのは承知しょうちしておる。そこでだ。特別に我が方の戦力の一端を見せてやろうではないか」

 魔王はそう言うと、映像にリオリスの軍隊を映し出す。統率とうそつされた圧倒的な数のスケルトン兵、ゴブリン兵、騎士団兵の姿が次々と切り替わる。

「見よ! これが俺がほこる軍団の姿だ。実に見事ではないか! 貴様らが相手するのはこういうものなのだ」

 さらに映像は、空の中型ドラゴンに乗るドラゴンライダー隊を映す。その隣にはペガサスに乗る甲冑かっちゅう姿の騎士隊が映し出される。

「制空権も万全である。一片のすきも与えぬ。そして我が軍の総数を今から教えてやる」

 レグナムグルスは一瞬、間を置き、声高らかに告げる。


「百万だ!!」


 敵魔王の言葉にリータ魔王国中の者が凍り付く。圧倒的戦力を突き付けられてしまった。

「さあ、恐れおののくがいい!! 貴様らの軍を蹴散けちらし、国土を蹂躙じゅうりんしてくれるわ! 一週間後の貴様らとの戦い、楽しみにしておるぞ!」

 レグナムグルスは声高らかに笑いながら、映像は途切れる。城内は静寂せいじゃくに包まれ、重々しい空気がただよったままである。

「くそっ!! レグナムグルスめ!! 好き放題言いおって!!」

 レイアは怒りを爆発させるが、怒りでどうこうできるレベルの話では無くなってしまった。

「レイア、まずは落ち着くんだ」

 私はレイアをなだめるしかできない。だが、目の前に突き付けられた事実は重すぎる。課題は山ほどある。

「う、うむ。そうじゃな」

 レイアは何とか怒りを収めてくれるようだ。怒りで何とかできるものでないとさとっているはずだ。ここからが大事なのである。

冷酷れいこくな事実だとは思うが、戦力を聞けたのは悪い事ばかりでない。
できる事を一つずつやるしかないんだ」

 私は自分に言い聞かせるように、レイアに説く。レイアの表情が次第に落ち着きを取り戻していく。

「タクトの申す通りじゃ。怒りやなげきは今必要ではない。これより、わらわ達はきたるべき戦に向け、戦力を整え、対策をこうじる事とする。
皆の者、わらわにその力をたくしてくれ!」

 レイアは力強く城内、そして国内の魔物達に号令をかける。国中の魔物達が声を上げ、魔王の号令に呼応こおうする。先ほどとは違い、今は意気消沈しょうちんしている者は一人としていない。

「タクトよ、礼を申す。我らはここから立て直すのじゃ。共にやってくれるな?」

 レイアの問いに、私は力強く答える。

「もちろんだ。やれる事は全てやろう。レイアとこの国のみんなの為に、力を尽くそう!」

「うむ。頼りにしておるぞ。まずは四天王をこの場にそろえるところから始めよう」

「ああ。すぐ始めよう」

 突然もたらされた敵将からの二度目の宣戦布告は、確かに私達を驚愕きょうがくさせたが、同時に絆を深める契機けいきともなったのである。

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ここまで読んでいただきありがとうございます。
次回もまた、よろしくお願いいたします。
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