47 / 77
第二章 リータ魔王国復興編
第45話 「三十二人の女ゾンビ」
しおりを挟む
私は待機していた三十二人のゾンビ中で、一番近くにいた者を連れて、中広間の隣にある小部屋へ入る事にする。大きな扉を開けて入ると、中にはテーブルと椅子しかなく、四方十メートルほどの殺風景な部屋だ。
私はライトを唱え、部屋を明るくしてから、ゾンビの女を椅子に座らせる。
「じゃあこれから、いくつか質問させてもらう」
私がそう言って始めようとした時、目の前の彼女が立ち上がり叫び出す。
「あの! 私は一体何をすれば……」
男達が一斉に戦いに赴いた事を目撃していたからなのだろう。自分達が何をされるのか、不安になっているのかもしれない。
「それを今から話す。まずは落ち着いて」
「ごめんなさい……」
女は我に返り、落ち着きを取り戻す。ゾンビは誰かの命令で動く魔物だと思っていたのだが、今の彼女は自分の意志を持っているようだ。私の浄化魔法のせいか、レイアがそうさせたのかはわからない。
「まず、君の名前を教えてほしい」
「名前……。……ソフィール」
「ソフィール。君は何故ゾンビになったのか、覚えている事を教えてほしい」
「なぜ……。 私は……外を歩いている時、突然悪い男達に襲われ、命まで奪われた! ああああああ!!!」
ソフィールは悪夢を思い出し、取り乱し始める。
「思い出させて済まない! 『心の安らぎ』!」
私は聖魔法を彼女にかけ、落ち着かせる。効果は正常に発動し、落ち着きを取り戻す。
「ありがとう……ございます。楽になりました」
「よかった。じゃあ次の質問を……」
私がそう言いかけた時、彼女は立ち上がり、私に近づく。
「貴方様のお陰で、私は救われた。私の気持ちを受け取ってほしい」
彼女の真剣なまなざしに私はたじろぐ。この光景、どこかで見たような……。 そうだ! フィナーンの時か。
「ちょ、ちょっと待って」
咄嗟にそれはマズいと思った。なぜなら、これからあと約三十人相手をしなければならないのだから!
「それでは私の気が済みません。どうか!」
迫るソフィールに、ある考えがひらめく。
「わかった。気持ちは受け取ろう。ただし、キスするだけだ」
「キス、ですか?」
「そうだ。それ以上は受け取らない。いいね」
私の言葉にソフィールは微笑む。
「わかりました。それで構いません」
納得してくれたようだ。ソフィールは私に近づき、口づけする。ソフィールの気持ちが私に流れてくると同時に、私の生気も少し吸い取られているようだ。十秒ほどして、ソフィールは私から離れる。
「ありがとうございます」
「こちらこそ、感謝する。じゃあ、続きを始めるよ」
私は質問を取りやめ、用意していた魔道具のワンドと指輪をソフィールに渡す。老人達に施したのと同様に、属性と魔法を与える。
「戦う相手に後方で魔法を使って攻撃するんだ。魔力が無くなったら相手に突撃して自害というのを繰り返す。いいね?」
ソフィールは受け取ったワンドと指輪を見つめ、私に答える。
「これで魔法を使えるのですか。わかりました」
右手に指輪をはめさせ、魔法の出し方を一通り教える。ソフィールは淡々と覚え、実践する。
「必要な事はすべて教えた。あとはレベルアップして魔法を覚える事もあるだろうから、どんどん使ってほしい」
「わかりました。やってみます」
「では外で待機していてほしい」
私はソフィールを連れて部屋の外に出る。そして待っている次の女性を選び、一緒に部屋に入る。
◆◆◆◆
十人目のドロシーへ説明が終わってから、私は一緒に部屋を出た。説明を終えた者と、待っている者とが分かれて待機している。私は離れた場所に向けて召喚術を使用する。
「いでよ! キマイラ!」
男達とは違った魔獣を召喚する。その姿は全長五メートルほどで、大きな黒いヤギの後半身とライオンの前半身、竜の翼が備わっている。そして長い角のあるヤギ、鬣の無いライオン、黄金の竜の頭の三つの首を併せ持っている。私は魔法を授けた十人のゾンビ達に指示する。
「待たせたね。あの魔獣を攻撃して戦ってほしい」
彼女達は私に頷き、キマイラの方へ高速で移動する。指示通りに魔法で攻撃し、戦闘が始まる。キマイラもすぐさま翼と爪、角と牙、ブレスを駆使して彼女達を圧倒する。男達と同様、惨殺されては復活し、また立ち向かっていく。
「よし。では次は……」
私は適当に近くにいる女性を選び、部屋に連れていく。
◆◆◆◆
「ありがとうございます。では、行ってきます」
「ああ。頑張って強くなってくれ」
「はい」
最初のソフィールに指示してから、一時間半以上の時が経っていた。私は最後の女性、ナディアに力を授け終えて送り出す。
「もうこんな時間か。早いな」
時間はかかったが、私が思い描いていた事はすべて伝える事ができた。それにしても、ソフィールの時にキスだけにしておいてよかった。またまぐわうような事になれば、倍以上の時間がかかった上、私も大変な事になっていたところだった。
「それにしても、さすがに疲れたな。お腹もすいたし、少し休もう」
私はゾンビ達の決死の訓練を見守りながら、レイアと連絡を取り、昼食を取る事にした。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「面白いかも!」「続きが読みたい!」「陰ながら応援してるよ!」
ほんの少しでもそう思ってくれた方は、下にある【♡】【エールボタン】をポチッと押すのと、【お気に入り】をしていただけたら嬉しいです!
作者の励みになり、何よりの執筆のモチベーションになります!
私はライトを唱え、部屋を明るくしてから、ゾンビの女を椅子に座らせる。
「じゃあこれから、いくつか質問させてもらう」
私がそう言って始めようとした時、目の前の彼女が立ち上がり叫び出す。
「あの! 私は一体何をすれば……」
男達が一斉に戦いに赴いた事を目撃していたからなのだろう。自分達が何をされるのか、不安になっているのかもしれない。
「それを今から話す。まずは落ち着いて」
「ごめんなさい……」
女は我に返り、落ち着きを取り戻す。ゾンビは誰かの命令で動く魔物だと思っていたのだが、今の彼女は自分の意志を持っているようだ。私の浄化魔法のせいか、レイアがそうさせたのかはわからない。
「まず、君の名前を教えてほしい」
「名前……。……ソフィール」
「ソフィール。君は何故ゾンビになったのか、覚えている事を教えてほしい」
「なぜ……。 私は……外を歩いている時、突然悪い男達に襲われ、命まで奪われた! ああああああ!!!」
ソフィールは悪夢を思い出し、取り乱し始める。
「思い出させて済まない! 『心の安らぎ』!」
私は聖魔法を彼女にかけ、落ち着かせる。効果は正常に発動し、落ち着きを取り戻す。
「ありがとう……ございます。楽になりました」
「よかった。じゃあ次の質問を……」
私がそう言いかけた時、彼女は立ち上がり、私に近づく。
「貴方様のお陰で、私は救われた。私の気持ちを受け取ってほしい」
彼女の真剣なまなざしに私はたじろぐ。この光景、どこかで見たような……。 そうだ! フィナーンの時か。
「ちょ、ちょっと待って」
咄嗟にそれはマズいと思った。なぜなら、これからあと約三十人相手をしなければならないのだから!
「それでは私の気が済みません。どうか!」
迫るソフィールに、ある考えがひらめく。
「わかった。気持ちは受け取ろう。ただし、キスするだけだ」
「キス、ですか?」
「そうだ。それ以上は受け取らない。いいね」
私の言葉にソフィールは微笑む。
「わかりました。それで構いません」
納得してくれたようだ。ソフィールは私に近づき、口づけする。ソフィールの気持ちが私に流れてくると同時に、私の生気も少し吸い取られているようだ。十秒ほどして、ソフィールは私から離れる。
「ありがとうございます」
「こちらこそ、感謝する。じゃあ、続きを始めるよ」
私は質問を取りやめ、用意していた魔道具のワンドと指輪をソフィールに渡す。老人達に施したのと同様に、属性と魔法を与える。
「戦う相手に後方で魔法を使って攻撃するんだ。魔力が無くなったら相手に突撃して自害というのを繰り返す。いいね?」
ソフィールは受け取ったワンドと指輪を見つめ、私に答える。
「これで魔法を使えるのですか。わかりました」
右手に指輪をはめさせ、魔法の出し方を一通り教える。ソフィールは淡々と覚え、実践する。
「必要な事はすべて教えた。あとはレベルアップして魔法を覚える事もあるだろうから、どんどん使ってほしい」
「わかりました。やってみます」
「では外で待機していてほしい」
私はソフィールを連れて部屋の外に出る。そして待っている次の女性を選び、一緒に部屋に入る。
◆◆◆◆
十人目のドロシーへ説明が終わってから、私は一緒に部屋を出た。説明を終えた者と、待っている者とが分かれて待機している。私は離れた場所に向けて召喚術を使用する。
「いでよ! キマイラ!」
男達とは違った魔獣を召喚する。その姿は全長五メートルほどで、大きな黒いヤギの後半身とライオンの前半身、竜の翼が備わっている。そして長い角のあるヤギ、鬣の無いライオン、黄金の竜の頭の三つの首を併せ持っている。私は魔法を授けた十人のゾンビ達に指示する。
「待たせたね。あの魔獣を攻撃して戦ってほしい」
彼女達は私に頷き、キマイラの方へ高速で移動する。指示通りに魔法で攻撃し、戦闘が始まる。キマイラもすぐさま翼と爪、角と牙、ブレスを駆使して彼女達を圧倒する。男達と同様、惨殺されては復活し、また立ち向かっていく。
「よし。では次は……」
私は適当に近くにいる女性を選び、部屋に連れていく。
◆◆◆◆
「ありがとうございます。では、行ってきます」
「ああ。頑張って強くなってくれ」
「はい」
最初のソフィールに指示してから、一時間半以上の時が経っていた。私は最後の女性、ナディアに力を授け終えて送り出す。
「もうこんな時間か。早いな」
時間はかかったが、私が思い描いていた事はすべて伝える事ができた。それにしても、ソフィールの時にキスだけにしておいてよかった。またまぐわうような事になれば、倍以上の時間がかかった上、私も大変な事になっていたところだった。
「それにしても、さすがに疲れたな。お腹もすいたし、少し休もう」
私はゾンビ達の決死の訓練を見守りながら、レイアと連絡を取り、昼食を取る事にした。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「面白いかも!」「続きが読みたい!」「陰ながら応援してるよ!」
ほんの少しでもそう思ってくれた方は、下にある【♡】【エールボタン】をポチッと押すのと、【お気に入り】をしていただけたら嬉しいです!
作者の励みになり、何よりの執筆のモチベーションになります!
0
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる