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第三章 リオリス魔王国戦争編
第63話 「アビス連合軍到着」
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「あれは一体……」
光の粒々が集まり、大きな天使のような体を形成する。それはやがて美しい女神となり私の前に現れる。
「おお…… これは!?」
目の前の女性は自分の身体を見回して驚いているようだ。
「貴女は一体?」
「私はティアマト。だが今は邪竜ではない本来の姿」
「その姿は天使?」
私は目の前の女性に尋ねる。
「いや、古の時代に海を司どっていた女神ティアマトだ」
ティアマトは神々しい姿で私に語りかける。
「どうやらお主のおかげで呪いから解き放たれたようだ」
「そうなのか。私はただ戦っただけです」
「なるほど。では一時的なものかもしれぬな。ともかく感謝する」
ティアマトから礼を言われるが、私はただ驚くだけだった。
「ではもう戦わなくていいんですね?」
ティアマトは私の問いに微笑む。
「そうだな。これ以上戦う意味はない。十分だ」
ティアマトは地上で倒れている竜達に気づいて話し出す。
「これは私がやったのだな。彼らを癒そう」
彼女は両手を地上にかざしてエリアダークヒールを唱える。傷つき倒れた竜達が敵味方の区別なく回復していく。
「おお! みんな治っていく!」
竜達は意識を取り戻し身体を動かそうとする。やがてそれぞれの色のドラゴンで集まっていく。
「これで私の役目は終わったな。帰るとするか」
動き出す竜達を見てティアマトが言った。
「なぜここに来たのです?」
「ああ。レグナムグルスから見に来ないか誘われたのだ。竜達の動向も気になっていたしな」
「そうだったのか……」
敵軍でなくともこちらの障害にはなった。敵将の策略ということか。
「お主、名は何だ?」
「タクト。タクト=ヒビヤです」
ティアマトは頷き私に話しだす。
「ふむ。タクトよ。奴は狡猾な魔王だ。優勢になっても決して油断するな。最後まで気を許すな。私からの忠告だ」
「わかりました。忠告感謝します」
私が返事するとティアマトは微笑み、上空彼方へ消え去っていく。
態勢を整えたガーライル達が上空へと戻ってくる。敵軍だったブラック・ドラゴンとグリーン・ドラゴン達もそれぞれ敵陣上空へと陣取っている。
「タクト、済まなかったな」
ガーライルが私に頭を下げ詫びている。
「いや、あれは仕方ない。貴方達の王が相手だったし」
「みっともない姿をさらしてしまった……」
「それより敵側も回復してしまった。また振出しに戻ったな」
私は敵陣の方を見てガーライルに答える。
「また戦えばいいだけの事よ」
ガーライルが私に答えた直後、後方の空で多くの光が発せられ、たくさんの魔法陣が出現する。
「何が起こった?」
グレイリーが目の前の状況に身構える。魔法陣からは様々な悪魔が出現し、一番前に見覚えのある背の高い人間の姿が現れる。
「あ、あれは! グラズト!」
軍団を従えてグラズトが来てくれたのだ。彼は私の姿に気づくと近くにやって来る。
「待たせたな、タクト」
「よく来てくれた、グラズト」
私は彼に近づき、握手を交わす。彼の背後には数十名のマリリス、ラミア、サキュバスと数名のバロールがいる。
「四天王の姿をした魔物がたくさんいる!」
「ああ。そうだな、アビスには彼らの種族が住んでおるからな」
グラズトが得意げに語ってくれる。頼もしい限りだ。
「マルカンテト達もこの魔界に到着しているはずだ。私とは別行動だがな」
ほかのデーモン・ロードたちを思い出し彼は笑いだす。
「そうか、みんな来てくれたんだな」
仲間の到着に私は心強く感じた。これでかなり戦局も有利に動くだろう。
「タクト、奴らには何もさせぬ。安心しろ」
グラズトはそう告げると、敵を前に右手を出して威圧する。ブラック・ドラゴンとグリーン・ドラゴンの軍勢は彼の威圧に圧倒されすくんでしまう。彼は私に振り向いて答える。
「もう大丈夫だ。先を急ごう」
私は頷き皆で先へ進もうとした。その時レイアから皆に脳内通信が入る。
『皆の者、ここまでよくやってくれたな。アビスの者達も助太刀感謝する』
「レイアか!」
私とグラズトは顔を見合わせレイアの言葉に注力する事にする。
『これより我らは魔王レグナムグルスの本拠地に向け進軍を開始する! わらわも今から戦場に赴き指揮を執る。皆よ、わらわに力を貸してくれ!』
レイアの号令に皆が一斉に大声を上げる。我が軍の士気が一気に高まる。私達も敵だったドラゴン達を共に従えながらリオリス魔王国領内への進軍を開始するのだった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【まめちしき】
【ラミア】…………美しい人間の女性の上半身と獅子または大きな蛇の下半身を持つ魔物。獅子が下位種、蛇が上位種である。マリリスとの違いは腕が二本という事だ。本来はギリシア神話に登場する女性、あるいはそれが変じた怪物。女の上半身に蛇の下半身を持ち、子供をさらって食べたり人の血を吸ったりするとされた。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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光の粒々が集まり、大きな天使のような体を形成する。それはやがて美しい女神となり私の前に現れる。
「おお…… これは!?」
目の前の女性は自分の身体を見回して驚いているようだ。
「貴女は一体?」
「私はティアマト。だが今は邪竜ではない本来の姿」
「その姿は天使?」
私は目の前の女性に尋ねる。
「いや、古の時代に海を司どっていた女神ティアマトだ」
ティアマトは神々しい姿で私に語りかける。
「どうやらお主のおかげで呪いから解き放たれたようだ」
「そうなのか。私はただ戦っただけです」
「なるほど。では一時的なものかもしれぬな。ともかく感謝する」
ティアマトから礼を言われるが、私はただ驚くだけだった。
「ではもう戦わなくていいんですね?」
ティアマトは私の問いに微笑む。
「そうだな。これ以上戦う意味はない。十分だ」
ティアマトは地上で倒れている竜達に気づいて話し出す。
「これは私がやったのだな。彼らを癒そう」
彼女は両手を地上にかざしてエリアダークヒールを唱える。傷つき倒れた竜達が敵味方の区別なく回復していく。
「おお! みんな治っていく!」
竜達は意識を取り戻し身体を動かそうとする。やがてそれぞれの色のドラゴンで集まっていく。
「これで私の役目は終わったな。帰るとするか」
動き出す竜達を見てティアマトが言った。
「なぜここに来たのです?」
「ああ。レグナムグルスから見に来ないか誘われたのだ。竜達の動向も気になっていたしな」
「そうだったのか……」
敵軍でなくともこちらの障害にはなった。敵将の策略ということか。
「お主、名は何だ?」
「タクト。タクト=ヒビヤです」
ティアマトは頷き私に話しだす。
「ふむ。タクトよ。奴は狡猾な魔王だ。優勢になっても決して油断するな。最後まで気を許すな。私からの忠告だ」
「わかりました。忠告感謝します」
私が返事するとティアマトは微笑み、上空彼方へ消え去っていく。
態勢を整えたガーライル達が上空へと戻ってくる。敵軍だったブラック・ドラゴンとグリーン・ドラゴン達もそれぞれ敵陣上空へと陣取っている。
「タクト、済まなかったな」
ガーライルが私に頭を下げ詫びている。
「いや、あれは仕方ない。貴方達の王が相手だったし」
「みっともない姿をさらしてしまった……」
「それより敵側も回復してしまった。また振出しに戻ったな」
私は敵陣の方を見てガーライルに答える。
「また戦えばいいだけの事よ」
ガーライルが私に答えた直後、後方の空で多くの光が発せられ、たくさんの魔法陣が出現する。
「何が起こった?」
グレイリーが目の前の状況に身構える。魔法陣からは様々な悪魔が出現し、一番前に見覚えのある背の高い人間の姿が現れる。
「あ、あれは! グラズト!」
軍団を従えてグラズトが来てくれたのだ。彼は私の姿に気づくと近くにやって来る。
「待たせたな、タクト」
「よく来てくれた、グラズト」
私は彼に近づき、握手を交わす。彼の背後には数十名のマリリス、ラミア、サキュバスと数名のバロールがいる。
「四天王の姿をした魔物がたくさんいる!」
「ああ。そうだな、アビスには彼らの種族が住んでおるからな」
グラズトが得意げに語ってくれる。頼もしい限りだ。
「マルカンテト達もこの魔界に到着しているはずだ。私とは別行動だがな」
ほかのデーモン・ロードたちを思い出し彼は笑いだす。
「そうか、みんな来てくれたんだな」
仲間の到着に私は心強く感じた。これでかなり戦局も有利に動くだろう。
「タクト、奴らには何もさせぬ。安心しろ」
グラズトはそう告げると、敵を前に右手を出して威圧する。ブラック・ドラゴンとグリーン・ドラゴンの軍勢は彼の威圧に圧倒されすくんでしまう。彼は私に振り向いて答える。
「もう大丈夫だ。先を急ごう」
私は頷き皆で先へ進もうとした。その時レイアから皆に脳内通信が入る。
『皆の者、ここまでよくやってくれたな。アビスの者達も助太刀感謝する』
「レイアか!」
私とグラズトは顔を見合わせレイアの言葉に注力する事にする。
『これより我らは魔王レグナムグルスの本拠地に向け進軍を開始する! わらわも今から戦場に赴き指揮を執る。皆よ、わらわに力を貸してくれ!』
レイアの号令に皆が一斉に大声を上げる。我が軍の士気が一気に高まる。私達も敵だったドラゴン達を共に従えながらリオリス魔王国領内への進軍を開始するのだった。
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【まめちしき】
【ラミア】…………美しい人間の女性の上半身と獅子または大きな蛇の下半身を持つ魔物。獅子が下位種、蛇が上位種である。マリリスとの違いは腕が二本という事だ。本来はギリシア神話に登場する女性、あるいはそれが変じた怪物。女の上半身に蛇の下半身を持ち、子供をさらって食べたり人の血を吸ったりするとされた。
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