リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット

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第一節 アストリカ学園編

第6幕 学園入学

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 試験が終わった五日後……俺は学園の入学式にやってきていた。
 三日後に行った時の結果は言わずもがな。ただクラス分けの時『L1の1』って書かれていたのは気になったがな。
『A1の1』ってのに割り振られた奴らもいたが……あれは恐らく貴族専用といったところだろう。
 伝説ばっかの田中共の名前が連なっていたからな。

 大方、貴族とそれ以外を分けて互いの摩擦を減らそうって魂胆だろう。
 まあ、変に偉ぶってる連中と一緒に勉強するってのもなにかと気苦労が絶えない。
 向こうも下民共と――なんて思ってる奴らも多いだろうし、ちょうどいいだろう。

 逆にL1の1に割り振られているのはエセルカや俺といった……中央都市以外から来ている連中だろう。
 ついでに俺の前に試験を受けていたセイルもこっち側の人間だった。
 ちょうど出来わした時に試験のときと同じように気軽に挨拶されたことを覚えている。

 まあ、それ以上のことは特に起こらず、こうして入学式の日を迎えたってわけだ。
 ……と言っても入学式はやたらと長い校長の話を聞かされるくらいだったか。

 アレは恐ろしいほど長かった。Lの生徒もAの生徒もうんざりするような顔で校長の話を聞いていたくらいだ。
 何をそんなに話すことが有るんだ……と言いたくなったくらいで、日が昇っている途中だったのに、いつの間にか天高く登っていた程だった。

 後々聞いた話なんだが、これは誰しも必ず通る道――入学式以降は他の先生が止めてくれるのだとか。
 この学園の洗礼らしく、だから入学式には他の上級生の姿が見えなかったというわけだ。
 なんでこんなもんを洗礼として認めたのかわからなかったが……とにかく、俺達は無事にこのアストリカ学園に入学したのであった。


 ――


 入学式が終わった俺達がやってきたのは学園内にある寮。
 この学園に入学した瞬間、俺達は全員寮生活を強制されるんだそうだ。
 こっちもやっぱり貴族と平民で別れているらしく、貴族のところはなんて言えばいいんだろうか……変なこの中央都市の中でも更に変な建物が寮になっている。
 明らかに俺が知ってるそれとは一線を画している。なんか石の板みたいなのが敷き詰められていた。

 対する俺たちの寮は横に太く、縦に長い四角い建物だ。男女に分かれてい……るわけではなく、下が女子。上が男子。一階は風呂と食堂で構成されている。
 楽に移動出来る手段は一切なく、自分達の部屋までは階段で上り下りするしかないのだそうだ。

 ちなみに俺の部屋は一番上。五階に上がってすぐに位置していた。
 こんな長い階段をこれから歩いていかなきゃならんのか……と若干辟易しながら部屋に入ると、そこにいたのはセイルだった。

「お、よう! お前が俺のルームメイトか?」
「ああ、グレリア・エルデだ。よろしく」

 ルームメイト……これからこの学園にいる間は一緒に暮らすであろうセイルは、軽快な笑みを浮かべて俺に握手を求めてきた。
 それに応じると、より一層楽しそうにはしゃいでいる。

「知ってるぜ! なにせあの時速攻で試験官をぶっ倒したもんな! しかも素手で! っかぁーー、お前すげぇよ!」
「あ、ああ……」

 これからこんなテンション高いやつと一緒に暮らすことになるのか……。
 先が思いやられそうだ。

「貴族連中もあ然としてたし、スカッとしたぜ! ま、それでもこの待遇の差はちょっと不満だけどな」
「待遇の差? どういう意味だ?」

 こいつは何を言ってるんだろう? と首を傾げていると、信じられないといった様子でガシィッと俺の両肩を掴んで、思いっきり前後に揺すってきやがった。

「お前何いってんの!? 俺たちアパート、貴族連中は旅館なんだぞ!? 明らかに違いすぎるだろう!?」
「わかった! わかったからそれはやめろ!」

 あんまり激しく揺らしてくるもんだから、つい強く振り払ってしまい、セイルの方はよろけてしまった。
 ……まあ、若干冷静さを取り戻してくれたようだったが。

「……はあっ、ま、まずだ、アパートだか旅館だか、そういうのからしてよくわからないんだが」
「嘘だろ……? お前、それ本気で言ってるのか?」

 あまりにも衝撃を受けたのか、俺の振り払った力が強かったのか、セイルはそのままへなへなと座り込んでしまった。
 なんだ? 俺は今、そんなに常識から外れたことを言ってるのか?

「仕方ねぇな……お前みたいな世間知らずは初めてみたぜ」
「そんな事言われてもなぁ……俺は村から出たことなかったし……」

 頭をがしがしと掻いたかと思うと、なにか決意するような顔で一気に俺の方に詰め寄ってきた。

 っていうか距離が近い近い! なんで少し顔を動かせば唇が触れそうな距離まで詰め寄られなければならないんだ! 男とこんな妙な空気になりたくないわ!

 そんな俺の考えもなんのその。至近距離から放たれる大声は、更に加速していった。

「俺がお前に色々教えてやるよ! 同じルームメイトだしな!」
「あ、ありがとう……」
「おう! わからないことがあったらなんでも聞いてくれ!」

 なんだか異様に熱いやつと一緒になっちまったなぁ……と。
 教えてくれるってのはありがたいが、こうも積極的だとちょっとな、と思うのであった。
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