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第一節 アストリカ学園編
第16幕 違和感の兆し
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「どうした? なんか真剣に悩んでるみたいだけどよ」
「……そう見えるか?」
「思いっきり見えるぞ」
襲撃があった夜から次の日。俺はあのときであった少女のことを思い出していた。
同胞だと言った彼女は、俺の名前に過剰なまでに反応していた。
今学園で教えてるような詠唱を用いた魔法ではなく、起動式を綴り、魔方陣を構築する魔法を使っていた。
一体誰なんだろうか……彼女は、今この世界で唯一俺の使う魔法を使っている存在。
多分、今いる世界で一番俺に近い存在だ。だからこそ、知りたいと思った。
あの少女が言っていたヒュルマのこと、同胞と言っていた時のこと……。
「この国に本が数多くある場所ってあるか?」
「本が多くある場所……図書館とかか? ルエンジャでいうならジパーニグ王立図書館とかだな」
ジパーニグ……確かこの国の名だったな。
自国の名を冠しているということは、さぞかし大きな図書館なのだろう。
そこなら……もしかしたらわかるかも知れない。全部とは言わないが、俺の知りたいことが。
「図書館か……」
「なんだ? 行きたいなら連れて行ってやろうか?」
その言葉が出た瞬間、俺は自分の目と耳を疑った。
こいつは部屋にいる時は大概筋トレをしていて、偶に朝起きた瞬間その光景が飛び込んでくるという……なんとも目覚めの悪い朝を提供してくれる男だ。
そんな頭の中まで筋肉で出来てそうなやつが図書館……しかも道を知っているというのが心底意外だった。
「……今日は雨が降るかもな」
「おいこらどういう意味だそれは」
思わず呟いた声が聞こえてきたのか、不満そうにセイルは口を尖らせていた。
だとしても仕方がないだろう。普段のお前がお前なんだから。
「言ったまんまの意味だが……お前、俺と同じで学園からは出たことなかったんじゃなかったか?」
「そりゃそうだけどよ、入る前に行った事があっから……一応、あそこには戦闘に関する本も置いてあるしな」
なるほど。微妙に言い訳っぽいような気もするが、まあ納得は出来た。
それから行ってないところを見ると、結局何の意味もなかったようだが、その無意味さが今となってはありがたい。
「で、どうすんだ?」
「……そうだな。知ってるなら頼む」
「ああ、任せろ!」
セイルは親指を立てて清々しいまでに俺の方に微笑んできた。いや、むしろ汗かいてるから熱々しい。
「その代わり、今度の夕飯のおかず、譲ってくれよ?」
「それくらいでいいならな」
こうして、俺達は次の休日を利用して学園に入学して以来、初めての外出をするのであった。
――
ルエンジャは広い。ジパーニグには首都と中央都市と二つの大きな都があり、ルエンジャは後者の都市だ。
だからかいろんなものが行き交い、変な建物があちこちに建っている。
ビル街……だったか? そんな区域がある一方、俺の知ってる町並みも存在するのだから歪な都市だと改めて思う。
図書館の方はその中央都市の更に真ん中あたり。
この国に住んでいる者全てが利用できるようになっていて、日常に役立つものから役に立つのか疑問が湧くようなもの、英雄に関することから、人類の敵だったもののことまで……本当に様々な知識がこの図書館に集約されている――らしいというのがセイル談。
これだけ饒舌に色々語ってくれたはずなのに、全て『らしい』で片付けてしまうのが本当にセイルらしい。
「はぁー……でっかいな」
「いや、行ったことあったんじゃないのか?」
「あるけどよ……イマイチ覚えていない」
いよいよ持って本当に行った意味があったのだろうか?
……まあいい。セイルの行動について考えるより、さっさと図書館に向かった方がいい。
この街で見かけた建物の中で、ビルなどを除けば学園に次いで大きいであろう立派な図書館に、俺とセイルは突入していくのであった。
というか、セイルも一応来るのか……。
――
建物の中は子供から大人まで様々な人が本を読んだり、受付で貸出手続きをとっていたりした。
流石王立図書館。階段は昇るのが大変そうだが、三階建てともなればそれ相応の本が満載だろう。
「はぁー……でっかいなぁ」
同じ言葉を繰り返しているセイルに、俺もまた同じ言葉を繰り返しそうになったが、そこはグッと堪えることにした。
ここで無限ループをしていたららちが明かないからな。
「で、お前はこれからどうする?」
「んー? そうだな……せっかくだし、なんか読んでみるわ。
後でまた落ち合おうぜ」
そう言って、セイルはひらひらと何処かに行ってしまった。
こちらに気を使ったのか二人で本を読んでもしょうがないのだろうか……まあいい。どうせあいつは適当に寝てるだけで終わるだろう。
それに、なんというか……今はこいつといないほうが良いような気がしたのだ。
さて、セイルと別れた俺は自分の知りたいことが書いているであろう歴史のコーナーの方に。
そこからしばらく……ひたすらに本を調べていた。
英雄たちの歴史。国の栄枯盛衰。様々なことが書かれていたが……俺の知りたいことは書いておらず、思わずため息が出そうになった。
そして、そのまま……魔法の歴史に関するコーナーまで行った時、俺はそれを見つけた。見つけてしまった。
――『魔方陣と呼ばれる邪神の法』と呼ばれる書物を。
「……そう見えるか?」
「思いっきり見えるぞ」
襲撃があった夜から次の日。俺はあのときであった少女のことを思い出していた。
同胞だと言った彼女は、俺の名前に過剰なまでに反応していた。
今学園で教えてるような詠唱を用いた魔法ではなく、起動式を綴り、魔方陣を構築する魔法を使っていた。
一体誰なんだろうか……彼女は、今この世界で唯一俺の使う魔法を使っている存在。
多分、今いる世界で一番俺に近い存在だ。だからこそ、知りたいと思った。
あの少女が言っていたヒュルマのこと、同胞と言っていた時のこと……。
「この国に本が数多くある場所ってあるか?」
「本が多くある場所……図書館とかか? ルエンジャでいうならジパーニグ王立図書館とかだな」
ジパーニグ……確かこの国の名だったな。
自国の名を冠しているということは、さぞかし大きな図書館なのだろう。
そこなら……もしかしたらわかるかも知れない。全部とは言わないが、俺の知りたいことが。
「図書館か……」
「なんだ? 行きたいなら連れて行ってやろうか?」
その言葉が出た瞬間、俺は自分の目と耳を疑った。
こいつは部屋にいる時は大概筋トレをしていて、偶に朝起きた瞬間その光景が飛び込んでくるという……なんとも目覚めの悪い朝を提供してくれる男だ。
そんな頭の中まで筋肉で出来てそうなやつが図書館……しかも道を知っているというのが心底意外だった。
「……今日は雨が降るかもな」
「おいこらどういう意味だそれは」
思わず呟いた声が聞こえてきたのか、不満そうにセイルは口を尖らせていた。
だとしても仕方がないだろう。普段のお前がお前なんだから。
「言ったまんまの意味だが……お前、俺と同じで学園からは出たことなかったんじゃなかったか?」
「そりゃそうだけどよ、入る前に行った事があっから……一応、あそこには戦闘に関する本も置いてあるしな」
なるほど。微妙に言い訳っぽいような気もするが、まあ納得は出来た。
それから行ってないところを見ると、結局何の意味もなかったようだが、その無意味さが今となってはありがたい。
「で、どうすんだ?」
「……そうだな。知ってるなら頼む」
「ああ、任せろ!」
セイルは親指を立てて清々しいまでに俺の方に微笑んできた。いや、むしろ汗かいてるから熱々しい。
「その代わり、今度の夕飯のおかず、譲ってくれよ?」
「それくらいでいいならな」
こうして、俺達は次の休日を利用して学園に入学して以来、初めての外出をするのであった。
――
ルエンジャは広い。ジパーニグには首都と中央都市と二つの大きな都があり、ルエンジャは後者の都市だ。
だからかいろんなものが行き交い、変な建物があちこちに建っている。
ビル街……だったか? そんな区域がある一方、俺の知ってる町並みも存在するのだから歪な都市だと改めて思う。
図書館の方はその中央都市の更に真ん中あたり。
この国に住んでいる者全てが利用できるようになっていて、日常に役立つものから役に立つのか疑問が湧くようなもの、英雄に関することから、人類の敵だったもののことまで……本当に様々な知識がこの図書館に集約されている――らしいというのがセイル談。
これだけ饒舌に色々語ってくれたはずなのに、全て『らしい』で片付けてしまうのが本当にセイルらしい。
「はぁー……でっかいな」
「いや、行ったことあったんじゃないのか?」
「あるけどよ……イマイチ覚えていない」
いよいよ持って本当に行った意味があったのだろうか?
……まあいい。セイルの行動について考えるより、さっさと図書館に向かった方がいい。
この街で見かけた建物の中で、ビルなどを除けば学園に次いで大きいであろう立派な図書館に、俺とセイルは突入していくのであった。
というか、セイルも一応来るのか……。
――
建物の中は子供から大人まで様々な人が本を読んだり、受付で貸出手続きをとっていたりした。
流石王立図書館。階段は昇るのが大変そうだが、三階建てともなればそれ相応の本が満載だろう。
「はぁー……でっかいなぁ」
同じ言葉を繰り返しているセイルに、俺もまた同じ言葉を繰り返しそうになったが、そこはグッと堪えることにした。
ここで無限ループをしていたららちが明かないからな。
「で、お前はこれからどうする?」
「んー? そうだな……せっかくだし、なんか読んでみるわ。
後でまた落ち合おうぜ」
そう言って、セイルはひらひらと何処かに行ってしまった。
こちらに気を使ったのか二人で本を読んでもしょうがないのだろうか……まあいい。どうせあいつは適当に寝てるだけで終わるだろう。
それに、なんというか……今はこいつといないほうが良いような気がしたのだ。
さて、セイルと別れた俺は自分の知りたいことが書いているであろう歴史のコーナーの方に。
そこからしばらく……ひたすらに本を調べていた。
英雄たちの歴史。国の栄枯盛衰。様々なことが書かれていたが……俺の知りたいことは書いておらず、思わずため息が出そうになった。
そして、そのまま……魔法の歴史に関するコーナーまで行った時、俺はそれを見つけた。見つけてしまった。
――『魔方陣と呼ばれる邪神の法』と呼ばれる書物を。
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