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第三節 英雄の道 セイル編
第53幕 王への謁見
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兵士から話を聞いた次の次の日。
俺達はジパーニグの首都であるウキョウへ向けて鎧馬の馬車を使って向かうことになった。
それから二日半後……俺達は特になんの問題もなく、ウキョウへと辿り着くことが出来た。
初めて見たウキョウは、ルエンジャよりも圧倒的に進んでいるように見えて、思わず目が釘付けになった。
まず鎧馬のようなゴーレムの技術が発展していて、それなりの速度が出る妙な乗り物が出回っている。
「あれはなんだ?」
「ああ、アレね。自転車よ。
あそこ、足をかけているペダルがあるでしょ? あれを回すとタイヤが動くの」
「へー、初めて見たな」
「ジパーニグではまだ首都でしか出回ってないって聞くわね。
いずれルエンジャにも広まるんじゃない?」
それはいい。
馬で行くよりもずっと速いし、馬より小さいから場所を取らずに済む。
あれがジパーニグ全土で広まったら、移動もぐっと楽になるだろう。
それ以外にもガラスがすごく透明で、まるでそこにはなにもないように見える。
住民が仕事するような建物はどこか機能的だが、どこか暖かみのないようにも感じる。
店もルエンジャより内装が進んでいるように見えて、どこか違う国の都市のようにも見えるんだけど、俺達が普段俺達が見ているような街並みと似ているせいか完全に違うとも言い難い……そんな不思議な気分になる。
「うわー……」
「ちょっと、あんまりキョロキョロしない。恥ずかしいでしょ」
エセルカが目をきらきらさせながらウキョウの街並みを見回していると、やんわりとくずはが注意していく。
そんなどこか柔らかい雰囲気に包まれながら、俺達はまっすぐ首都ウキョウの中心である妙に時代を感じさせる城――ジョルセルク城へと向かっていくのだった。
――
城の内部に入った俺達は、馬車から降りてそのまま兵士たちに案内されるまま謁見の間へ。
徐々に緊張してきた俺は深呼吸を一つして謁見の間へと入ると、イギランスの闘技場で出会った時と同じ、風格漂う姿で玉座に座っている。
くずはは王様の目の前まで歩み寄って、俺とエセルカははその後ろで片膝を付く形を取ろうとして――王様にそれを遮られて後ろで立ち尽くすことになった。
「久しぶりだな、くずはよ」
「お久しぶりです、クリムホルン王」
流石のくずはも王様に対しては敬語を使うようで、丁寧にスカートの両裾を掴んで随分と丁寧な挨拶を交わしている。
俺の方は極力顔に出さないようにしているが、妙に取り繕ったように見えるくずはの態度が少しおかしくて、笑いを誘ってくる。
「うむ、此度呼び出した要件はただ一つ。
そろそろお主にもアンヒュル――魔王の討伐に動き出してもらいたいと思っていたのだ」
「……はい。あたしもその度に喚びだされたことは重々承知してます」
「そうか。ならば、司と合流し、アンヒュルの制圧しているこの大陸の中心に赴いてほしい。
供とするものは――こちらで用意するまでもなかったな」
ちらっと俺とエセルカの順で視線を向ける王様に、思わずびくっとなって直立になる。
「彼らはあたしが最も頼りにしている二人です。
アンヒュルとの戦いでも決して遅れを取ることはありません」
「わかっておる。
お主がそれで良いのであれば、こちらとてそう邪険にできる話ではない。
ただ……彼らの身に何が起ころうと責任は持たぬ。
それだけは覚えておくと良い」
まっすぐと鋭い眼光で見据える王様に、同じくらいの真剣味を宿した視線で答えるくずは。
しばらく互いの本気を見定めるように見つめあった後、ふと王様の目が緩むのを感じた。
「それだけの覚悟があるのならばよかろう。
こちらも出来うる限りのサポートはしようではないか。
今日明日と疲れを癒し、三日後に発てば良かろう。
その間にこちらの方も出来うる限りの準備をしておこう」
穏やかな顔で語る王様はさっきのような威厳たっぷりの様子とはまた違う。
ああ、こういう厳しいだけの王様じゃないからみんな付いてくるんだろうなと思わせてくれる。
「ありがとうございます」
「良い。こちらもお主らの気持ちを考えずに喚び出した事に多少なりとも負い目を感じているのだからな。
その償い――とは言わないが、その程度の融通くらい利かせられねば王として情けない限りだからな」
一通り会話を終えたくずはは、軽く笑う王様の好意に甘えることになり、俺たちもそれに追従する形になった。
くずは達は二人で一部屋。俺は少し離れた位置に泊まることになった。
流石に女と男。ある程度離れた方が良いだろうということになった。
その日は慣れないことをしたこともあってか、魔法の効果の復習をして、ぐっすり休むことが出来たのだけれど……その次の日。
昨日休んだ分を取り戻そうと一人で体を動かして陽が沈んだ時の帰り、慣れない場所のせいか迷った俺は王様の私室にたどり着いてしまった。
他の部屋とは違うやけに豪華なその扉は流石に見間違えることはないし、今の王様にはお妃様はいないから子供もいない。
必然的にここは王様の部屋以外あり得ないってわけだ。
流石の俺もここでばーんと扉をあけて道を聞くような勇気はなかったからとっとと帰ろうとした。
だけど、不意に聞こえた部屋の中の声に俺は思わず立ち止まってしまった。
陽も暮れ、夜が始まったばかりの廊下は不自然なまでにしーんとしていて、王様の独り言とは思えないほどの大きな声がはっきりと聞こえるほどだった。
思わず俺は耳を澄まし静かに聞いてしまう。
悪いことだとわかっていても止められない自分を――この時ばかりは呪いそうになったが……そっと耳を傾けて聞いた言葉の羅列は、途切れ途切れではあるけれど、とてもじゃないけど信じられない内容だった……。
俺達はジパーニグの首都であるウキョウへ向けて鎧馬の馬車を使って向かうことになった。
それから二日半後……俺達は特になんの問題もなく、ウキョウへと辿り着くことが出来た。
初めて見たウキョウは、ルエンジャよりも圧倒的に進んでいるように見えて、思わず目が釘付けになった。
まず鎧馬のようなゴーレムの技術が発展していて、それなりの速度が出る妙な乗り物が出回っている。
「あれはなんだ?」
「ああ、アレね。自転車よ。
あそこ、足をかけているペダルがあるでしょ? あれを回すとタイヤが動くの」
「へー、初めて見たな」
「ジパーニグではまだ首都でしか出回ってないって聞くわね。
いずれルエンジャにも広まるんじゃない?」
それはいい。
馬で行くよりもずっと速いし、馬より小さいから場所を取らずに済む。
あれがジパーニグ全土で広まったら、移動もぐっと楽になるだろう。
それ以外にもガラスがすごく透明で、まるでそこにはなにもないように見える。
住民が仕事するような建物はどこか機能的だが、どこか暖かみのないようにも感じる。
店もルエンジャより内装が進んでいるように見えて、どこか違う国の都市のようにも見えるんだけど、俺達が普段俺達が見ているような街並みと似ているせいか完全に違うとも言い難い……そんな不思議な気分になる。
「うわー……」
「ちょっと、あんまりキョロキョロしない。恥ずかしいでしょ」
エセルカが目をきらきらさせながらウキョウの街並みを見回していると、やんわりとくずはが注意していく。
そんなどこか柔らかい雰囲気に包まれながら、俺達はまっすぐ首都ウキョウの中心である妙に時代を感じさせる城――ジョルセルク城へと向かっていくのだった。
――
城の内部に入った俺達は、馬車から降りてそのまま兵士たちに案内されるまま謁見の間へ。
徐々に緊張してきた俺は深呼吸を一つして謁見の間へと入ると、イギランスの闘技場で出会った時と同じ、風格漂う姿で玉座に座っている。
くずはは王様の目の前まで歩み寄って、俺とエセルカははその後ろで片膝を付く形を取ろうとして――王様にそれを遮られて後ろで立ち尽くすことになった。
「久しぶりだな、くずはよ」
「お久しぶりです、クリムホルン王」
流石のくずはも王様に対しては敬語を使うようで、丁寧にスカートの両裾を掴んで随分と丁寧な挨拶を交わしている。
俺の方は極力顔に出さないようにしているが、妙に取り繕ったように見えるくずはの態度が少しおかしくて、笑いを誘ってくる。
「うむ、此度呼び出した要件はただ一つ。
そろそろお主にもアンヒュル――魔王の討伐に動き出してもらいたいと思っていたのだ」
「……はい。あたしもその度に喚びだされたことは重々承知してます」
「そうか。ならば、司と合流し、アンヒュルの制圧しているこの大陸の中心に赴いてほしい。
供とするものは――こちらで用意するまでもなかったな」
ちらっと俺とエセルカの順で視線を向ける王様に、思わずびくっとなって直立になる。
「彼らはあたしが最も頼りにしている二人です。
アンヒュルとの戦いでも決して遅れを取ることはありません」
「わかっておる。
お主がそれで良いのであれば、こちらとてそう邪険にできる話ではない。
ただ……彼らの身に何が起ころうと責任は持たぬ。
それだけは覚えておくと良い」
まっすぐと鋭い眼光で見据える王様に、同じくらいの真剣味を宿した視線で答えるくずは。
しばらく互いの本気を見定めるように見つめあった後、ふと王様の目が緩むのを感じた。
「それだけの覚悟があるのならばよかろう。
こちらも出来うる限りのサポートはしようではないか。
今日明日と疲れを癒し、三日後に発てば良かろう。
その間にこちらの方も出来うる限りの準備をしておこう」
穏やかな顔で語る王様はさっきのような威厳たっぷりの様子とはまた違う。
ああ、こういう厳しいだけの王様じゃないからみんな付いてくるんだろうなと思わせてくれる。
「ありがとうございます」
「良い。こちらもお主らの気持ちを考えずに喚び出した事に多少なりとも負い目を感じているのだからな。
その償い――とは言わないが、その程度の融通くらい利かせられねば王として情けない限りだからな」
一通り会話を終えたくずはは、軽く笑う王様の好意に甘えることになり、俺たちもそれに追従する形になった。
くずは達は二人で一部屋。俺は少し離れた位置に泊まることになった。
流石に女と男。ある程度離れた方が良いだろうということになった。
その日は慣れないことをしたこともあってか、魔法の効果の復習をして、ぐっすり休むことが出来たのだけれど……その次の日。
昨日休んだ分を取り戻そうと一人で体を動かして陽が沈んだ時の帰り、慣れない場所のせいか迷った俺は王様の私室にたどり着いてしまった。
他の部屋とは違うやけに豪華なその扉は流石に見間違えることはないし、今の王様にはお妃様はいないから子供もいない。
必然的にここは王様の部屋以外あり得ないってわけだ。
流石の俺もここでばーんと扉をあけて道を聞くような勇気はなかったからとっとと帰ろうとした。
だけど、不意に聞こえた部屋の中の声に俺は思わず立ち止まってしまった。
陽も暮れ、夜が始まったばかりの廊下は不自然なまでにしーんとしていて、王様の独り言とは思えないほどの大きな声がはっきりと聞こえるほどだった。
思わず俺は耳を澄まし静かに聞いてしまう。
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