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第四節 魔人の国・探求編
第68幕 剣の行方
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「ねえ、ちょっと!」
これ以上ここにいるのはまずい。
そう判断した俺は、シエラの制止の言葉を聞く事なくどんどん先へ進んでいった。
それはそうだ。
あの場で怒りやら悩みやらで微妙そうな表情をしたままその場に留まっていたら、俺は間違いなく余計な事を口走っていただろう。
それだけ、今の自分の気持ちに整理がつかない。
「グラファ……?」
「……あの剣は偽物だ」
どれだけ歩いただろうか?
少なくとも町の外に出て、周囲に人がいない事を確認はした。
そうしてようやく、俺は自分の言葉を吐露する事が出来たのだ。
『こいつは一体何を言っているんだ?』というかのように疑心に満ちた目でシエラは俺の事を見ている。
……こんな目で見られるのがわかっていたからあの場では何も言えなかったんだ。
魔人達はグレリアを――俺をどこか美化し、崇拝しているようだからな。
そんな奴らに何を言ったってこんな反応が返ってくるのはわかっていた。
「……貴方がグレリア様の事を騙っていたことは仕方ないと思ってた。
それだけあの方は魔人達の憧れで、どこかの村や小さな町では、才能がある子供には『グレリア様の申し子』だなんて大層な呼ばれ方をしていることだって。
でも……」
わずかに伏せられたその目には怒りと戸惑いが感じられた。
言葉にしないでもわかるほどに、その瞳は俺に訴えかけていた。
「使ってる金属が違いすぎる。
本当の『グラムレーヴァ』は大きく反りの入った刃の部分は鈍く妖しく光る黒銀に、剣身の部分は燃えるような焔を称えた真紅に染まっている」
あそこに飾っていた『グラムレーヴァ』は色合い的には似ていた。
若干濁った暗い銀にくすんではいるがはっきりとわかる赤。
妥当な言い訳だと、長い年月の末、古くなってそうなったと説明するにはちょうどいい感じだ。
現に俺の言葉にシエラは少々小馬鹿にするような笑いを浮かべて予想通りの反応を返してきた。
「何を馬鹿言って……大体あれは700年も前の遺品よ?
そんなの、いつまでも綺麗なままでいるわけないじゃない」
普通の剣なら完全に風化して、使い物にすらならないほどの歳月が過ぎている。
だけど、どれだけ時間が過ぎたとしても『グラムレーヴァ』の輝きは曇ることはない。
それは俺が一番知っている。
「この世で最初に生まれたと言われる金属『メテオルダイム』で作られてるんだぞ?
700年過ぎたぐらいであんな姿になるわけがない」
「……随分見てきたような言い方するわね」
じとっと疑いの眼差しを向け続けるシエラに対し、思わず言った事を後悔してしまいそうになった……が、あれは俺の愛剣。
どんな厳しい死線も共に潜り抜けてきた相棒を……偽物であれあんな姿で晒されている事が我慢できなかったんだ。
しかし、だとすると疑問が残る。
それは本物の『グラムレーヴァ』は今どこにあるのか? ということだ。
恐らく、この国の人間にはまだ見つけられていないだろう。
だとしたら人側を侵略する時に使ってきているはずだ。
多分だが……本物は転生前の俺が生まれ育った村に眠ってるんじゃないだろうか?
いや、あくまで勘でしかない。
だけど、俺は自分が戦えなくなってから、あの剣は自分の家の付近に作った迷宮のような場所に隠していた。
あれは俺の力の全てに応えてくれるほどの力を秘めていた剣で……悪意のある者の手に渡ったら、絶対に色んな人を不幸にする。
例えそれが俺の死後、遥かな時が過ぎていたとしても、そんな奴らの手に出来るだけ渡したくなかったんだ。
だから、今も見つかっていないのだとしたら今もそこに眠っているはずだ。
……だけど、今の世界は地形が色々と変わっていて、俺一人ではかつての村に帰り着く事も難しいかもしれない。
そこで必要になるのは、やはりこの魔人の国を知っている協力者だ。
「俺の言っている事が、嘘だと思うか?」
「当然でしょう? 貴方の事は嫌いじゃないけど……会ってまだそれほど経ってないじゃない。
それを信用しろという話が無理な相談よ」
やれやれ……といった様子で首を横に振っているシエラは、俺の言葉を全く信じていないのがはっきりとわかる。
「なら、確かめてみないか?
俺の言ってる事が嘘か本当か」
「そんなの確かめなくてもわかってる事でしょう?
わざわざそんな事する必要ないわ」
明らかに不信感全開で俺を睨んできている。
仕方のない事だけど、やっぱりそうそうこっちの都合には乗ってくれないってわけか。
「……おかしいと思わないか?
『選定の剣』というのならなんで飾ってあるだけで誰も手を取らない?
今まで誰があの剣を試した?」
「……それは」
恐らく誰も試したことがないはずだ。
グレリアは生まれ変わってこの世界に降臨すると信じられている。
そしてそれを利用するためにあの『グラムレーヴァ』の偽物は作られたのだろう。
「大方、『グレリア様の申し子』が試しに来た時は、まだ時期じゃないとかなんとかいってはぐらかしているんだろう?」
「……わかったわ。そこまで言うなら、貴方の言うとおりにしてみようじゃない。
だけどね、貴方の言ってることが嘘だったら、どう責任を取ってくれるのかしら?」
このまま言われっぱなしになるのも嫌だったのだろう。
深いため息を吐かれてしまったが、なんとかその言葉を引き出すことに成功した。
「その時は一年ぐらいなんでもお前の言うことに従ってやるよ。
それか金がなくなるまで好きなもの買ってやる」
しばらく俺の提示した条件を悩んでいたようだが、納得したのか、もう既に勝利したかのような顔で微笑んでいた。
「いいわよ。散々使い倒してあげるから覚悟しなさい」
流石に今日は既に日が経っているということで、一日この町の宿に泊まり、次の日に出発することになった。
次に俺たちが向かう場所――今の時代ではグレリアが生まれ育った場所があるとされている……シュテルク村へ。
これ以上ここにいるのはまずい。
そう判断した俺は、シエラの制止の言葉を聞く事なくどんどん先へ進んでいった。
それはそうだ。
あの場で怒りやら悩みやらで微妙そうな表情をしたままその場に留まっていたら、俺は間違いなく余計な事を口走っていただろう。
それだけ、今の自分の気持ちに整理がつかない。
「グラファ……?」
「……あの剣は偽物だ」
どれだけ歩いただろうか?
少なくとも町の外に出て、周囲に人がいない事を確認はした。
そうしてようやく、俺は自分の言葉を吐露する事が出来たのだ。
『こいつは一体何を言っているんだ?』というかのように疑心に満ちた目でシエラは俺の事を見ている。
……こんな目で見られるのがわかっていたからあの場では何も言えなかったんだ。
魔人達はグレリアを――俺をどこか美化し、崇拝しているようだからな。
そんな奴らに何を言ったってこんな反応が返ってくるのはわかっていた。
「……貴方がグレリア様の事を騙っていたことは仕方ないと思ってた。
それだけあの方は魔人達の憧れで、どこかの村や小さな町では、才能がある子供には『グレリア様の申し子』だなんて大層な呼ばれ方をしていることだって。
でも……」
わずかに伏せられたその目には怒りと戸惑いが感じられた。
言葉にしないでもわかるほどに、その瞳は俺に訴えかけていた。
「使ってる金属が違いすぎる。
本当の『グラムレーヴァ』は大きく反りの入った刃の部分は鈍く妖しく光る黒銀に、剣身の部分は燃えるような焔を称えた真紅に染まっている」
あそこに飾っていた『グラムレーヴァ』は色合い的には似ていた。
若干濁った暗い銀にくすんではいるがはっきりとわかる赤。
妥当な言い訳だと、長い年月の末、古くなってそうなったと説明するにはちょうどいい感じだ。
現に俺の言葉にシエラは少々小馬鹿にするような笑いを浮かべて予想通りの反応を返してきた。
「何を馬鹿言って……大体あれは700年も前の遺品よ?
そんなの、いつまでも綺麗なままでいるわけないじゃない」
普通の剣なら完全に風化して、使い物にすらならないほどの歳月が過ぎている。
だけど、どれだけ時間が過ぎたとしても『グラムレーヴァ』の輝きは曇ることはない。
それは俺が一番知っている。
「この世で最初に生まれたと言われる金属『メテオルダイム』で作られてるんだぞ?
700年過ぎたぐらいであんな姿になるわけがない」
「……随分見てきたような言い方するわね」
じとっと疑いの眼差しを向け続けるシエラに対し、思わず言った事を後悔してしまいそうになった……が、あれは俺の愛剣。
どんな厳しい死線も共に潜り抜けてきた相棒を……偽物であれあんな姿で晒されている事が我慢できなかったんだ。
しかし、だとすると疑問が残る。
それは本物の『グラムレーヴァ』は今どこにあるのか? ということだ。
恐らく、この国の人間にはまだ見つけられていないだろう。
だとしたら人側を侵略する時に使ってきているはずだ。
多分だが……本物は転生前の俺が生まれ育った村に眠ってるんじゃないだろうか?
いや、あくまで勘でしかない。
だけど、俺は自分が戦えなくなってから、あの剣は自分の家の付近に作った迷宮のような場所に隠していた。
あれは俺の力の全てに応えてくれるほどの力を秘めていた剣で……悪意のある者の手に渡ったら、絶対に色んな人を不幸にする。
例えそれが俺の死後、遥かな時が過ぎていたとしても、そんな奴らの手に出来るだけ渡したくなかったんだ。
だから、今も見つかっていないのだとしたら今もそこに眠っているはずだ。
……だけど、今の世界は地形が色々と変わっていて、俺一人ではかつての村に帰り着く事も難しいかもしれない。
そこで必要になるのは、やはりこの魔人の国を知っている協力者だ。
「俺の言っている事が、嘘だと思うか?」
「当然でしょう? 貴方の事は嫌いじゃないけど……会ってまだそれほど経ってないじゃない。
それを信用しろという話が無理な相談よ」
やれやれ……といった様子で首を横に振っているシエラは、俺の言葉を全く信じていないのがはっきりとわかる。
「なら、確かめてみないか?
俺の言ってる事が嘘か本当か」
「そんなの確かめなくてもわかってる事でしょう?
わざわざそんな事する必要ないわ」
明らかに不信感全開で俺を睨んできている。
仕方のない事だけど、やっぱりそうそうこっちの都合には乗ってくれないってわけか。
「……おかしいと思わないか?
『選定の剣』というのならなんで飾ってあるだけで誰も手を取らない?
今まで誰があの剣を試した?」
「……それは」
恐らく誰も試したことがないはずだ。
グレリアは生まれ変わってこの世界に降臨すると信じられている。
そしてそれを利用するためにあの『グラムレーヴァ』の偽物は作られたのだろう。
「大方、『グレリア様の申し子』が試しに来た時は、まだ時期じゃないとかなんとかいってはぐらかしているんだろう?」
「……わかったわ。そこまで言うなら、貴方の言うとおりにしてみようじゃない。
だけどね、貴方の言ってることが嘘だったら、どう責任を取ってくれるのかしら?」
このまま言われっぱなしになるのも嫌だったのだろう。
深いため息を吐かれてしまったが、なんとかその言葉を引き出すことに成功した。
「その時は一年ぐらいなんでもお前の言うことに従ってやるよ。
それか金がなくなるまで好きなもの買ってやる」
しばらく俺の提示した条件を悩んでいたようだが、納得したのか、もう既に勝利したかのような顔で微笑んでいた。
「いいわよ。散々使い倒してあげるから覚悟しなさい」
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