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第六節 リアラルト訓練学校編
第98幕 最狂の実力
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「いっくよー!」
ミシェラは『開始』を告げられて速攻をかけてきて、手に持っている木剣を無造作に振り上げるような乱暴な一撃を幾重にも張り巡らせた魔方陣と共に放ってくる。
「は、はぁっ……!?」
「……っ!」
それに驚愕するような声をシエラが上げているが、いきなり目前に迫ってくる死すらも感じる一撃を前に、そんな声上げてる余裕なんかない。
俺の方もすぐさま同じように木剣に魔方陣を張り巡らせて対応するように振り下ろす。
その瞬間に響くのは木剣が砕ける音。
互いに魔方陣で剣を強化した結果、たった一回で限界が来たというわけだ。
しかも、お互いに身体能力強化の魔方陣も使っていた。こうなるのも当然だろう。
「……あはっ」
一瞬、ミシェラは驚いたようにキョトンとした表情を俺に向けていた。
だけどそれもすぐに歓喜の表情に塗り替わる。心の奥底から味わうように、ゆっくりと噛み締めるような……そんな喜び。
互いに木剣を適当なところに放り投げると、ミシェラはそのままの勢いで右手を突いて、半回転。
反動を着けるように一気に飛び上がって俺の顎をめがけて蹴りを繰り出してきた。
それに合わせるように上半身を一気に逸らし、反動を利用してやや後方に位置していた左足で腹に蹴り込んでやると、動きを読んだかのように空いている左腕でガードの姿勢を取っていた。
身体は宙に浮いていたからこそそのまま一度吹っ飛んだが、その間にもう半回転して体勢を整えた。
それは、ほんの少し……放り投げた木剣が床を転がり、その動きを止めるまでの間の出来事だった。
「な、なんですかあれは……彼は……」
ちらっと女性の方を見ると、その声と顔は『信じられない』という色に染められていて、とても生徒の戦いを見ているようには見えなかった。
「ふぅん、よそ見するなんて、随分余裕なんだねっ!」
ほんの一瞬、女性の方に向けていた目を戻すと、ミシェラは直ぐ側まで迫ってきていた。
まるで獣のように姿勢を低くして、手の方に魔方陣を三重……いや、四重に集約させている。
あの一撃を食らうのはまずい。身体強化していても相当な傷を負うだろう。
だが……甘い。
「当たり前だっ! 実際、この程度、余裕だからな!」
実際全く余裕ではないのだが、ここは虚勢を張っておくのが一番だ。
俺の方だって既に体勢が整っている。いつでも迎撃が出来る用意がある。
迫りくるミシェラはまるで爪で切り裂き貫くように腕を俺の腹部を狙うように振り上げる。
魔方陣は覚醒するかのように起動し、低く重く響く唸り声を上げるような音が、近くに迫ってくるが、その距離は俺の攻撃範囲だということも忘れるなよ――!
足元に出現させたのは、下向きに爆発を引き起こす二つの魔方陣。
まず、右足元の魔方陣を起動させ、その爆発と反動で一気にミシェラの左斜め前方に踊り出る。
この移動の仕方は今の状態じゃ相当足と膝に負担を掛ける。
そう何度も使えるものじゃないが、一つの足に二~三度くらいなら……!
姿勢を低くしながら地面を足で擦る音が耳に届く中、右膝にぐっと力を込めてミシェラの方に詰め寄っていく。
そのまま左足元の魔方陣を維持し続けたまま、超至近距離からの肉弾戦を繰り広げていくことになった。
ミシェラが俺に向かって拳を振り上げると、それをまっすぐ捉えて、同じだけの強さを込めて一歩も退かずに真正面から殴り合う。相手の拳を攻撃することによって防御を行う――半ば暴論じみた狂風の中、どんどんその風は強さを増していく。
互いに皮膚が裂けそうなほど拳を合わせながら苛烈に攻撃を加えていきながらも、何一つ譲ることのない嵐のような殴打戦を繰り広げる。
魔方陣で身体強化をしていなければ、まず間違いなく腕どころか拳が駄目になっていただろう。
それだけの速度・重さ・力でぶつかり合っていくが、やはり保たなくなってきているのか、俺の拳には徐々に血の赤が滲み出してくる。
無論、ミシェラの方も例外ではなく、むしろ彼の方が幼い故に負荷が強いはずだ。
それでもなお、彼は笑みを浮かべていた。満面の……極上の笑みを。
「ふふっ……あははぁ……楽しいねぇっ!」
これほどの死闘に近い攻撃を行いながらもミシェラはその無垢さを全く崩していない。
純粋に笑う彼の姿は、きっと戦場に出れば楽しむかのように人を殺め続けるだろうという恐ろしい考えがよぎる程の狂気を感じる。
人は、殺気を放たずに本当に攻撃を繰り出すことはまず出来はしない。
消したり隠したりして殺気を感じさせないことくらいはするだろうが、そもそも殺気が全くないまま、ここまで熾烈な攻撃を行ってくる者はいない。
いるとすれば、それはどこか壊れていて……狂っている者だけだろう。
こんな狂った暴風の中、やがて俺の方にまたとない好機が訪れた。
これ以上の拳合わせは呼吸が続かず、いずれジリ貧になると判断したミシェラは二歩ほど後ろに下がっていく。
刹那――それだけの隙があれば……十分だっ!
「くっ、うおおおぉぉぉぉぉ!!」
俺はそのまま左足元の魔方陣を起動させ、爆発させる。
その様子を見ていたミシェラは、また俺が近くに移動してくるのかと目線をその反対――右側に移していたが、あいにく今回は移動手段として使ったんじゃないんだよ……!
右足は地面を踏みしめるように力強く根を下ろさせ、溜めるように腰を少し低く下げているこの動作を見て、移動に意識が――いや、最初に移動に使ったからこそ、反射的にその行動を取ったのだろう。
爆発音と共にミドルレンジに放った蹴りがミシェラに直撃し、前とは違う程の勢いで吹き飛んでいき、壁に叩きつけれてしまった。
よし、このまま――
「そ、そこまで! それ以上の戦闘は行う必要はありません!」
「グレファ、ストップ! ストーップ!」
追撃をかけようとした俺をシエラが。
壁にぶつかりながらも俺の方に視線を向けて、今にも飛び出そうとしていたミシェラを身体強化を使用した女性の方が矢のように飛び出し、抱きつくように抑えつけ……俺たちの戦いは、そこで無理やり打ち切りにされてしまった。
ミシェラは『開始』を告げられて速攻をかけてきて、手に持っている木剣を無造作に振り上げるような乱暴な一撃を幾重にも張り巡らせた魔方陣と共に放ってくる。
「は、はぁっ……!?」
「……っ!」
それに驚愕するような声をシエラが上げているが、いきなり目前に迫ってくる死すらも感じる一撃を前に、そんな声上げてる余裕なんかない。
俺の方もすぐさま同じように木剣に魔方陣を張り巡らせて対応するように振り下ろす。
その瞬間に響くのは木剣が砕ける音。
互いに魔方陣で剣を強化した結果、たった一回で限界が来たというわけだ。
しかも、お互いに身体能力強化の魔方陣も使っていた。こうなるのも当然だろう。
「……あはっ」
一瞬、ミシェラは驚いたようにキョトンとした表情を俺に向けていた。
だけどそれもすぐに歓喜の表情に塗り替わる。心の奥底から味わうように、ゆっくりと噛み締めるような……そんな喜び。
互いに木剣を適当なところに放り投げると、ミシェラはそのままの勢いで右手を突いて、半回転。
反動を着けるように一気に飛び上がって俺の顎をめがけて蹴りを繰り出してきた。
それに合わせるように上半身を一気に逸らし、反動を利用してやや後方に位置していた左足で腹に蹴り込んでやると、動きを読んだかのように空いている左腕でガードの姿勢を取っていた。
身体は宙に浮いていたからこそそのまま一度吹っ飛んだが、その間にもう半回転して体勢を整えた。
それは、ほんの少し……放り投げた木剣が床を転がり、その動きを止めるまでの間の出来事だった。
「な、なんですかあれは……彼は……」
ちらっと女性の方を見ると、その声と顔は『信じられない』という色に染められていて、とても生徒の戦いを見ているようには見えなかった。
「ふぅん、よそ見するなんて、随分余裕なんだねっ!」
ほんの一瞬、女性の方に向けていた目を戻すと、ミシェラは直ぐ側まで迫ってきていた。
まるで獣のように姿勢を低くして、手の方に魔方陣を三重……いや、四重に集約させている。
あの一撃を食らうのはまずい。身体強化していても相当な傷を負うだろう。
だが……甘い。
「当たり前だっ! 実際、この程度、余裕だからな!」
実際全く余裕ではないのだが、ここは虚勢を張っておくのが一番だ。
俺の方だって既に体勢が整っている。いつでも迎撃が出来る用意がある。
迫りくるミシェラはまるで爪で切り裂き貫くように腕を俺の腹部を狙うように振り上げる。
魔方陣は覚醒するかのように起動し、低く重く響く唸り声を上げるような音が、近くに迫ってくるが、その距離は俺の攻撃範囲だということも忘れるなよ――!
足元に出現させたのは、下向きに爆発を引き起こす二つの魔方陣。
まず、右足元の魔方陣を起動させ、その爆発と反動で一気にミシェラの左斜め前方に踊り出る。
この移動の仕方は今の状態じゃ相当足と膝に負担を掛ける。
そう何度も使えるものじゃないが、一つの足に二~三度くらいなら……!
姿勢を低くしながら地面を足で擦る音が耳に届く中、右膝にぐっと力を込めてミシェラの方に詰め寄っていく。
そのまま左足元の魔方陣を維持し続けたまま、超至近距離からの肉弾戦を繰り広げていくことになった。
ミシェラが俺に向かって拳を振り上げると、それをまっすぐ捉えて、同じだけの強さを込めて一歩も退かずに真正面から殴り合う。相手の拳を攻撃することによって防御を行う――半ば暴論じみた狂風の中、どんどんその風は強さを増していく。
互いに皮膚が裂けそうなほど拳を合わせながら苛烈に攻撃を加えていきながらも、何一つ譲ることのない嵐のような殴打戦を繰り広げる。
魔方陣で身体強化をしていなければ、まず間違いなく腕どころか拳が駄目になっていただろう。
それだけの速度・重さ・力でぶつかり合っていくが、やはり保たなくなってきているのか、俺の拳には徐々に血の赤が滲み出してくる。
無論、ミシェラの方も例外ではなく、むしろ彼の方が幼い故に負荷が強いはずだ。
それでもなお、彼は笑みを浮かべていた。満面の……極上の笑みを。
「ふふっ……あははぁ……楽しいねぇっ!」
これほどの死闘に近い攻撃を行いながらもミシェラはその無垢さを全く崩していない。
純粋に笑う彼の姿は、きっと戦場に出れば楽しむかのように人を殺め続けるだろうという恐ろしい考えがよぎる程の狂気を感じる。
人は、殺気を放たずに本当に攻撃を繰り出すことはまず出来はしない。
消したり隠したりして殺気を感じさせないことくらいはするだろうが、そもそも殺気が全くないまま、ここまで熾烈な攻撃を行ってくる者はいない。
いるとすれば、それはどこか壊れていて……狂っている者だけだろう。
こんな狂った暴風の中、やがて俺の方にまたとない好機が訪れた。
これ以上の拳合わせは呼吸が続かず、いずれジリ貧になると判断したミシェラは二歩ほど後ろに下がっていく。
刹那――それだけの隙があれば……十分だっ!
「くっ、うおおおぉぉぉぉぉ!!」
俺はそのまま左足元の魔方陣を起動させ、爆発させる。
その様子を見ていたミシェラは、また俺が近くに移動してくるのかと目線をその反対――右側に移していたが、あいにく今回は移動手段として使ったんじゃないんだよ……!
右足は地面を踏みしめるように力強く根を下ろさせ、溜めるように腰を少し低く下げているこの動作を見て、移動に意識が――いや、最初に移動に使ったからこそ、反射的にその行動を取ったのだろう。
爆発音と共にミドルレンジに放った蹴りがミシェラに直撃し、前とは違う程の勢いで吹き飛んでいき、壁に叩きつけれてしまった。
よし、このまま――
「そ、そこまで! それ以上の戦闘は行う必要はありません!」
「グレファ、ストップ! ストーップ!」
追撃をかけようとした俺をシエラが。
壁にぶつかりながらも俺の方に視線を向けて、今にも飛び出そうとしていたミシェラを身体強化を使用した女性の方が矢のように飛び出し、抱きつくように抑えつけ……俺たちの戦いは、そこで無理やり打ち切りにされてしまった。
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