107 / 415
第六節 リアラルト訓練学校編
第106幕 憧れの人への志願
しおりを挟む
「あー……レグル、だったか?」
「ああ!」
きらきらと輝くような目をこちらに向けてくるレグルの視線がどうにも眩しい。
ミシェラの向けてくるそれとはまた違ったものがある。
「まず、なんで俺ので弟子になりたいんだ?」
「あんたがルットと決闘した時、俺もあそこにいたんだ。
最初はルット得意の魔方陣で決まるかと思ったんだけど……それを初見で掻い潜って拳で一撃!
あの時、ほとんどの魔人があんたが負けることを信じてた。現にルットはそれなりに強いやつだった……。
それを拳一撃で沈めたあんたの豪胆さに惚れた! だから頼む、弟子にしてくれ!」
かなり興奮しているのか、相当な勢いでまくし立てて、一気にその頭を地面に擦り付けて頼んできた。
勢いもあるし、レグルの熱意は十分に伝わってきた。というか伝わりすぎて暑いくらいだ。
「……頼む!」
「あ……ええっと」
どうにもこういう風に熱意を向けられると断りきれない。
それでもはっきりと答えきれないのは俺がここに来た理由にある。
わざわざジパーニグからここに戻ってきたのはグランセストの城に入り込んで情報を得るのが目的だからだ。
あまり親しすぎる人物が増えるといざ離脱する時に情が残るんじゃないか……そういう懸念が湧いてくる。
ミシェラや……このレグルだけならまだ行動を共にするということも出来るが、彼を簡単に受け入れてしまえばこれから先、どんどんこういった魔人が増えていく可能性がある。
さて……どうしたものか……。
「おにいちゃん、どうするの?」
「うーん……そうだ。レグル、お前はミシェラともちゃんと仲良くやれるか?」
「ミシェラって……そこの?」
顔を上げたレグルは俺の隣にいるミシェラの方に視線を向ける。
今G級では俺以外にはルットくらいしか彼に話しかけてくる人物はいない。
A級ともなればクラスもなにも違うから余計にその傾向は強いだろう。
唯一つ違うとすれば……ミシェラの事を極端に怖がっているのはG級の連中と教師たちだけだということだ。
ここで決闘するようになってからそれがよくわかる。
A級の生徒たちの中にももちろん怖がってるやつはいるし、ミシェラのことを遠巻きに見たりもする。
だが……それは周囲から伝え聞いた結果、そうなったのだとシエラから聞いているし、ちらほらと怖いもの見たさで近づいてくる者もいた。
出来ればレグルからそういうA級の生徒を後押しして欲しい……そういう思惑も込めて、俺は彼にそういう風に聞いたのだ。
「……」
レグルは一時の間考え込んでいるようで、ダメかもしれないな……なんてマイナス思考な考えが脳裏によぎった時のことだ。
「わかった! ミシェラの噂は聞いてるけど……思ったより怖そうなやつじゃなさそうだしな!」
喜んで承諾してくれたレグルの言葉に嬉しそうに頬を緩ませているミシェラを見ると、こっちも気分が良くなってくる。
思ったより……と言うことは微妙にわかってないように見えるが、そこはおいおいと言ったところだろう。
「よし、ミシェラの方も……まあ、仲良くしてくれ」
「はーい、よろしくね、レグルくん!」
「おお、よろしくな!」
二人で楽しそうにしているが、レグルの方はついでにちらちらと俺の様子を見ていた。
「わかってるよ……師匠って言っても大したことはできないが、それでもいいな?」
「おう! アドバイスしてくれるだけでも十分にありがたいからな!
これからよろしく頼む――いや、よろしくお願いします! 師匠!」
ビシッと背筋を伸ばして元気よく返事をするレグルの横を通り過ぎて、そのまま今回の決闘相手のところに向かうことにした。
しかしセイルといいレグルといい……どうやら俺と筋肉は切っても切れない関係にいるようだ。
ま、違うことと言えばレグルとは同室ではない、という点だろう。
以前セイルと同じ部屋だった時は、朝っぱらから筋トレしている姿を寝起きに見せつけられる羽目になったりもしたな。
少なくともその一点だけを考えたら今回の弟子取りはえらい違いだろう。
しかし……セイルは兄貴で、レグルは師匠、か……同じ筋肉が違う呼び方をしているのがおかしくもあるな。
「おい! いつまで考え事してんだ!」
「ん? ああ、すまない」
しまった……どうにもセイルのことを思い出してしまったせいか、色々と考え込んでしまった。今は決闘相手と向き合っている最中だってのにな。
俺はあのルットとの一件でどんな相手でもきちんと向き合うって決めたばかりじゃないか。
例え手を抜くにしても決して油断せず、戦わないといけない。
あんまり下手なことをすれば、今度こそ右肩だけでは済まないだろうからな。
「頼むぞ、ほんとによぉ」
「悪かった。それじゃ、はじめようか」
随分と軽い感じで始まった決闘だったけど、最近はこういうのも増えてきた。
彼らはどっちかというと俺との戦いで自分の動きを確かめているような……決闘というよりも訓練しているような感じで戦いに望んでいる。
例えるならあれだ。
大勢の生徒に手取り足取り教えている先生にでもなったような……そんな気分すらしてくる。
まさか……こいつらも俺のことを影で師匠だとか思ってないよな? ……ないよな?
「ああ!」
きらきらと輝くような目をこちらに向けてくるレグルの視線がどうにも眩しい。
ミシェラの向けてくるそれとはまた違ったものがある。
「まず、なんで俺ので弟子になりたいんだ?」
「あんたがルットと決闘した時、俺もあそこにいたんだ。
最初はルット得意の魔方陣で決まるかと思ったんだけど……それを初見で掻い潜って拳で一撃!
あの時、ほとんどの魔人があんたが負けることを信じてた。現にルットはそれなりに強いやつだった……。
それを拳一撃で沈めたあんたの豪胆さに惚れた! だから頼む、弟子にしてくれ!」
かなり興奮しているのか、相当な勢いでまくし立てて、一気にその頭を地面に擦り付けて頼んできた。
勢いもあるし、レグルの熱意は十分に伝わってきた。というか伝わりすぎて暑いくらいだ。
「……頼む!」
「あ……ええっと」
どうにもこういう風に熱意を向けられると断りきれない。
それでもはっきりと答えきれないのは俺がここに来た理由にある。
わざわざジパーニグからここに戻ってきたのはグランセストの城に入り込んで情報を得るのが目的だからだ。
あまり親しすぎる人物が増えるといざ離脱する時に情が残るんじゃないか……そういう懸念が湧いてくる。
ミシェラや……このレグルだけならまだ行動を共にするということも出来るが、彼を簡単に受け入れてしまえばこれから先、どんどんこういった魔人が増えていく可能性がある。
さて……どうしたものか……。
「おにいちゃん、どうするの?」
「うーん……そうだ。レグル、お前はミシェラともちゃんと仲良くやれるか?」
「ミシェラって……そこの?」
顔を上げたレグルは俺の隣にいるミシェラの方に視線を向ける。
今G級では俺以外にはルットくらいしか彼に話しかけてくる人物はいない。
A級ともなればクラスもなにも違うから余計にその傾向は強いだろう。
唯一つ違うとすれば……ミシェラの事を極端に怖がっているのはG級の連中と教師たちだけだということだ。
ここで決闘するようになってからそれがよくわかる。
A級の生徒たちの中にももちろん怖がってるやつはいるし、ミシェラのことを遠巻きに見たりもする。
だが……それは周囲から伝え聞いた結果、そうなったのだとシエラから聞いているし、ちらほらと怖いもの見たさで近づいてくる者もいた。
出来ればレグルからそういうA級の生徒を後押しして欲しい……そういう思惑も込めて、俺は彼にそういう風に聞いたのだ。
「……」
レグルは一時の間考え込んでいるようで、ダメかもしれないな……なんてマイナス思考な考えが脳裏によぎった時のことだ。
「わかった! ミシェラの噂は聞いてるけど……思ったより怖そうなやつじゃなさそうだしな!」
喜んで承諾してくれたレグルの言葉に嬉しそうに頬を緩ませているミシェラを見ると、こっちも気分が良くなってくる。
思ったより……と言うことは微妙にわかってないように見えるが、そこはおいおいと言ったところだろう。
「よし、ミシェラの方も……まあ、仲良くしてくれ」
「はーい、よろしくね、レグルくん!」
「おお、よろしくな!」
二人で楽しそうにしているが、レグルの方はついでにちらちらと俺の様子を見ていた。
「わかってるよ……師匠って言っても大したことはできないが、それでもいいな?」
「おう! アドバイスしてくれるだけでも十分にありがたいからな!
これからよろしく頼む――いや、よろしくお願いします! 師匠!」
ビシッと背筋を伸ばして元気よく返事をするレグルの横を通り過ぎて、そのまま今回の決闘相手のところに向かうことにした。
しかしセイルといいレグルといい……どうやら俺と筋肉は切っても切れない関係にいるようだ。
ま、違うことと言えばレグルとは同室ではない、という点だろう。
以前セイルと同じ部屋だった時は、朝っぱらから筋トレしている姿を寝起きに見せつけられる羽目になったりもしたな。
少なくともその一点だけを考えたら今回の弟子取りはえらい違いだろう。
しかし……セイルは兄貴で、レグルは師匠、か……同じ筋肉が違う呼び方をしているのがおかしくもあるな。
「おい! いつまで考え事してんだ!」
「ん? ああ、すまない」
しまった……どうにもセイルのことを思い出してしまったせいか、色々と考え込んでしまった。今は決闘相手と向き合っている最中だってのにな。
俺はあのルットとの一件でどんな相手でもきちんと向き合うって決めたばかりじゃないか。
例え手を抜くにしても決して油断せず、戦わないといけない。
あんまり下手なことをすれば、今度こそ右肩だけでは済まないだろうからな。
「頼むぞ、ほんとによぉ」
「悪かった。それじゃ、はじめようか」
随分と軽い感じで始まった決闘だったけど、最近はこういうのも増えてきた。
彼らはどっちかというと俺との戦いで自分の動きを確かめているような……決闘というよりも訓練しているような感じで戦いに望んでいる。
例えるならあれだ。
大勢の生徒に手取り足取り教えている先生にでもなったような……そんな気分すらしてくる。
まさか……こいつらも俺のことを影で師匠だとか思ってないよな? ……ないよな?
0
あなたにおすすめの小説
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる