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第十節 女王の誓い・決別編
第186幕 そして三度の首都
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若干以上に不安要素を残した状態で旅立った俺たちだが、そんなものは要らぬ心配だとでも言うかのように旅は順調だった。
意外にも魔物が出てきはしたのだけれど……俺がいる以上、歯牙にも掛けずに対処することが出来た。
道中、エセルカがはしゃいで俺の腕に抱きついてきて……それを周囲の人々に仲睦まじい兄妹を見ているような視線を向けられたり、シエラが俺の事を『グレリア』と公然で言いかけたりもしたが、何とか順調に首都アッテルヒアにたどり着くことができた。
そこで一つ思い出した事がある。
アルディは俺をミルティナ女王の下に連れて行くように言われていたはずだ。
その割にはあれから俺たちのところに姿を見せることはない。
だけど時折視線を感じるから、付いてきてはいるのだろう。
公然と俺たちに接触する事を避けているようにも思うのだが……恐らくこれも女王の命令なのだろう。
それ以外、生真面目そうな彼がこちらから離れたところで見守っているなんてこと、あり得ないだろう。
身体強化の魔方陣を使って、慎重にこちらの様子を探りながらついてきているみたいだし、彼の方も大変だろうな。
終始後ろから監視されてきるような視線をかんじながらと、結局首都に着くまでの間、彼が俺たちと合流することはなかった。
――
馬車での旅を終え、アッテルヒアに辿り着いた俺たちがまずしたのは……宿を取ることだった。
シエラやエセルカはその事を不思議がってはいたが、アルディもいないこの状況で城の門兵が素直に通してくれるとは思えない。
むしろ、前回と違って書状等の証がない以上、追い返されるのが目に見えている。
ならばここはアルディを待つのが最善だろう。
下手に動き回ることはかえって迷惑をかけてしまうかもしれない。
というわけで、馬車を降りた俺たちはそのまま宿へと行くことにした。
首都の方に来るのも三度目ということで、少しは慣れた道を進んでいくと、ちょうど正面から見知った顔が歩いてくるのが見えた。
「お、グレファじゃないか! 久しぶりだなー!」
気軽に片手を上げて気安い雰囲気の男――確かジェズって言ってたっけか。
相変わらず軽薄さだが、前に見かけた鎧姿の状態じゃないようだ。
「久しぶりだな。ジェズ。
騎士団での試験以来か」
「そうだな。
あれ以降、団長のしごきがさらにきつくなってな……大変だったぜ」
その訓練を思い出したのか、心底嫌そうにジェズはおどけ、そのままシエラ、エセルカへと視線を移していった。
「シエラと……後二人は初めて見るな。
俺はジェズ・セイリッドだ。よろしくな」
爽やかそうな気配を振りまいてはいるが、くずははジェズの方を一切見てないし、エセルカは彼の事を汚物でも見るかのような目を向けている。
恐らくだが、纏っている雰囲気が気に入らないのだろう。
どことなく最初に出会った司に似ているからかもしれないな。
あいつとは色々なことがあったし、馬乗りになって服を破ってきた男に似てる部分を見つけたら嫌にもなるな。
「あ、はは……お呼びじゃないみたいだな。
まさかそこまで拒絶されるなんてね」
流石のジェズもエセルカの視線には耐えかねたのか、乾いた笑いを浮かべて適当に自分を誤魔化していた。
これが昔の彼女だったらまだ大人しめの反応をしたんだろうが、今のエセルカは自分の感情にストレートだからな。
「それで、今日は休暇か?」
「偶には心を休めないと俺も保たないからな。
訓練ばかりじゃ死んじまう」
やれやれとため息をつきながら首を振っているが、それは明らかに『癒やしを求めて女の子と遊びたい』と言っているようにしか見えない。
「下半身でしか行動できない男って、最悪だよね」
「ちょ、エセルカ!」
つばを吐き捨てるようにエセルカはジェズの事を睨んでいるが、流石にそれは言い過ぎだとシエラが諌めるような声を上げるが、既に遅かったみたいだ。
ミルティナ女王に怒られた時よりも傷ついた表情でジェズは俺のことを見ていた。
「……俺、彼女とは初対面のはずだけど、なにかしたか?」
「あー……そういう時もあるだろう。
お前が悪いとかじゃなくてだな……そう、相性だ。
ジェズとエセルカは壊滅的に相性が悪い」
ここで司の事を伝えても良いのだが、余計に落ち込みそうだったから適当に濁すように言ってしまった。
一応納得はしてくれたみたいだが、なんとも言えない表情でエセルカをちらちらと見ていた。
「ちょっと、こっち見ないでくれない?」
ジェズの視線が気に食わないのか、エセルカは嫌そうにその視線を避けて、俺の背後に回ってしまう。
「はあ……仕方ない。
あまり無理強いしても余計に嫌われるだろうからな。
新しい出会いを求めに行くか」
完全に嫌われているのを再度確認したのか、ため息を混じりにまた司が言いそうな事を言っている。
あいつと違うのはジェズ自身の引き際が良いのと、結構話しやすい雰囲気も纏っているってところだな。
ただ、エセルカに女好きで軽薄そうな側面が既に駄目なようだ。
彼女に睨みつけられながら、苦笑して俺の隣を通り過ぎたジェズは、ぼそぼそとなにかをつぶやき始めた。
「三日後、夕方、英雄剣の祠、一人で来い」
端的にそれだけを伝えると、彼は楽しそうにどこかに行ってしまった。
なるほど、伝言役ってわけか。
これで俺が行かなかったらまた何らかの形で伝えられるのだろうけど、用意周到ってわけだな。
というか一人で来いって……仕方ない。
エセルカをなだめすかして、なんとか行くしかないだろう。
意外にも魔物が出てきはしたのだけれど……俺がいる以上、歯牙にも掛けずに対処することが出来た。
道中、エセルカがはしゃいで俺の腕に抱きついてきて……それを周囲の人々に仲睦まじい兄妹を見ているような視線を向けられたり、シエラが俺の事を『グレリア』と公然で言いかけたりもしたが、何とか順調に首都アッテルヒアにたどり着くことができた。
そこで一つ思い出した事がある。
アルディは俺をミルティナ女王の下に連れて行くように言われていたはずだ。
その割にはあれから俺たちのところに姿を見せることはない。
だけど時折視線を感じるから、付いてきてはいるのだろう。
公然と俺たちに接触する事を避けているようにも思うのだが……恐らくこれも女王の命令なのだろう。
それ以外、生真面目そうな彼がこちらから離れたところで見守っているなんてこと、あり得ないだろう。
身体強化の魔方陣を使って、慎重にこちらの様子を探りながらついてきているみたいだし、彼の方も大変だろうな。
終始後ろから監視されてきるような視線をかんじながらと、結局首都に着くまでの間、彼が俺たちと合流することはなかった。
――
馬車での旅を終え、アッテルヒアに辿り着いた俺たちがまずしたのは……宿を取ることだった。
シエラやエセルカはその事を不思議がってはいたが、アルディもいないこの状況で城の門兵が素直に通してくれるとは思えない。
むしろ、前回と違って書状等の証がない以上、追い返されるのが目に見えている。
ならばここはアルディを待つのが最善だろう。
下手に動き回ることはかえって迷惑をかけてしまうかもしれない。
というわけで、馬車を降りた俺たちはそのまま宿へと行くことにした。
首都の方に来るのも三度目ということで、少しは慣れた道を進んでいくと、ちょうど正面から見知った顔が歩いてくるのが見えた。
「お、グレファじゃないか! 久しぶりだなー!」
気軽に片手を上げて気安い雰囲気の男――確かジェズって言ってたっけか。
相変わらず軽薄さだが、前に見かけた鎧姿の状態じゃないようだ。
「久しぶりだな。ジェズ。
騎士団での試験以来か」
「そうだな。
あれ以降、団長のしごきがさらにきつくなってな……大変だったぜ」
その訓練を思い出したのか、心底嫌そうにジェズはおどけ、そのままシエラ、エセルカへと視線を移していった。
「シエラと……後二人は初めて見るな。
俺はジェズ・セイリッドだ。よろしくな」
爽やかそうな気配を振りまいてはいるが、くずははジェズの方を一切見てないし、エセルカは彼の事を汚物でも見るかのような目を向けている。
恐らくだが、纏っている雰囲気が気に入らないのだろう。
どことなく最初に出会った司に似ているからかもしれないな。
あいつとは色々なことがあったし、馬乗りになって服を破ってきた男に似てる部分を見つけたら嫌にもなるな。
「あ、はは……お呼びじゃないみたいだな。
まさかそこまで拒絶されるなんてね」
流石のジェズもエセルカの視線には耐えかねたのか、乾いた笑いを浮かべて適当に自分を誤魔化していた。
これが昔の彼女だったらまだ大人しめの反応をしたんだろうが、今のエセルカは自分の感情にストレートだからな。
「それで、今日は休暇か?」
「偶には心を休めないと俺も保たないからな。
訓練ばかりじゃ死んじまう」
やれやれとため息をつきながら首を振っているが、それは明らかに『癒やしを求めて女の子と遊びたい』と言っているようにしか見えない。
「下半身でしか行動できない男って、最悪だよね」
「ちょ、エセルカ!」
つばを吐き捨てるようにエセルカはジェズの事を睨んでいるが、流石にそれは言い過ぎだとシエラが諌めるような声を上げるが、既に遅かったみたいだ。
ミルティナ女王に怒られた時よりも傷ついた表情でジェズは俺のことを見ていた。
「……俺、彼女とは初対面のはずだけど、なにかしたか?」
「あー……そういう時もあるだろう。
お前が悪いとかじゃなくてだな……そう、相性だ。
ジェズとエセルカは壊滅的に相性が悪い」
ここで司の事を伝えても良いのだが、余計に落ち込みそうだったから適当に濁すように言ってしまった。
一応納得はしてくれたみたいだが、なんとも言えない表情でエセルカをちらちらと見ていた。
「ちょっと、こっち見ないでくれない?」
ジェズの視線が気に食わないのか、エセルカは嫌そうにその視線を避けて、俺の背後に回ってしまう。
「はあ……仕方ない。
あまり無理強いしても余計に嫌われるだろうからな。
新しい出会いを求めに行くか」
完全に嫌われているのを再度確認したのか、ため息を混じりにまた司が言いそうな事を言っている。
あいつと違うのはジェズ自身の引き際が良いのと、結構話しやすい雰囲気も纏っているってところだな。
ただ、エセルカに女好きで軽薄そうな側面が既に駄目なようだ。
彼女に睨みつけられながら、苦笑して俺の隣を通り過ぎたジェズは、ぼそぼそとなにかをつぶやき始めた。
「三日後、夕方、英雄剣の祠、一人で来い」
端的にそれだけを伝えると、彼は楽しそうにどこかに行ってしまった。
なるほど、伝言役ってわけか。
これで俺が行かなかったらまた何らかの形で伝えられるのだろうけど、用意周到ってわけだな。
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