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第十二節 人の国・裏の世界 セイル編
第218幕 再戦の刻
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突っ込んでくる俺に対し、ヘルガは周囲を軽く囲うように魔方陣を展開してきた。
俺の視界に収まるだけでもざっと十くらいはあるそれは、スラヴァグラードで手に入れた本に書いてあったAKだかBKだかのアサルトライフルという種類の武器似ていた。
銃身が全部出た辺りでそれは止まり、一斉にこちらに向かって光の弾を撃ち放つ。
パパパ、パパパ、と短い射撃音が一定の間隔でなり渡り、俺の方に激しい弾幕が襲いかかってくる。
……以前の俺ならなす術もなくやられていただろう。
左にステップしつつ、避け損ねた銃弾はグラムレーヴァの剣身で防ぐ。
更にそれでも難しい弾には『防御』の起動式でなんとか防ぎきり、俺の体はヘルガに肉薄していた。
多少驚くように目を開いたヘルガは興味が湧いたような視線を向けていた。
鋭い斬撃が彼女の身体を捉えた――と思ったのだけど、その右手にはいつの間にかナイフが収まっており、余裕だと言わんばかりに防いでいた。
「……やっぱり、あの時とは違うか」
「どういうことだ?」
「弱い男ってことよ」
ナイフのバック――峰に相当する部分が凹凸になっていて……それは正確にはソードブレイカーと呼ぶべき代物で俺の斬撃を受け流す。
そのまま左手で取り出したもう一つのコンバットナイフですかさずこちらに斬りかかってくる辺り、相当動きが素早い。
とてもじゃないが、さっきまで隙丸出しにしていたとは思えない身のこなしだ。
「くっ……このっ……!」
辛うじて左手のナイフをかわすと、今度は右手のナイフを別のものに切り替えていた。
どうやら腰の後ろの方に複数本種類を用意しているらしく、それを素早く交換しながら戦っているようだ。
フットワークは軽く、少女の姿をした歴戦の勇士といった戦い方をするヘルガの激しい連撃に終始圧され気味だ。
こちらの剣術よりも向こうのナイフさばきの方が明らかに上。
スピードも上……のようだけど、こちらは更に身体強化の魔方陣を重ねがけしてなんとか対抗している。
「その程度の戦いしか出来ないの? つまらない男」
「はっ! 言ってろよ……勇者、さまぁ!」
「その呼び方……嫌い……!」
互いに剣とナイフを交え、向こうが切り返したところを最小限の動きで対応する。
何度も、何度も近距離での攻防を繰り返し……更に魔方陣を重ねる。
それをするとヘルガの方も負けじと身体強化の魔方陣を重ねてきて……どんどん互いに人外じみた動きをするようになっていく。
剣による物理的な攻撃を主軸としているこちらとは違い、ヘルガのやつは俺の隙を突くように魔方陣を展開して、ハンドガンやライフルのような銃で狙い撃ってくる。
こっちはそれを防御の魔方陣を使って防ぐので精一杯だ。
『生命』の起動式を構築する暇はない。それなのに向こうは色んなところから魔方陣を発動してくるんだからな。
わかってはいたけど、明らかに複数の魔方陣を同時展開する能力はヘルガが上だ。
恐ろしいことに俺を包囲するかのように展開してくるもんだから、後ろの方にも常に気を配らないといけない。
「訂正してあげる。結構戦うじゃない」
「それは……どう、も……っ!」
魔方陣による銃撃の嵐が止んだかと思うと、目の前まで一気に詰め寄られてナイフによる連続攻撃。
息もつかさぬ怒涛の攻めに圧されながら対策を練るんだけど……結局上等なものは特に思いつかずただ惰性に攻撃を受け続けるだけだ。
それも徐々にこっちが不利になっていくばかり。
――こうなったら……。
俺はヘルガが接近してきた瞬間に『爆発』の起動式で魔方陣を展開して爆発させる。
「ちっ……!」
まさか俺が自分すら巻き込んで自爆するとは思っていなかったらしく、辛うじて防ぎはしたものの、少し吹き飛んでいた。
俺の方も同じように防御していたけど、同じように吹き飛んでしまって、ちょうどよく距離が開いた。
この瞬間を逃す事無く、俺は一気に『生』といくつかの属性の起動式を展開して、発動させる。
出現したのはラグズエルと戦った時と同じ炎の鳥、氷の狼、雷の虎の三体だ。
一気に魔方陣を行使したせいで少し疲れはけれど、今はそんなことはどうでもいい。
「みんな、頼むぞ」
俺の声が理解できているのかどうかはわからない。
けれど、三匹とはキチンと意志が繋がっているような……そんな気がする。
現に三匹ともこっちをちらっと見て頷いているみたいだったしな。
「……随分と面白い魔方陣を使うわね」
目を細めて俺を見据えているヘルガは、さっきよりも雰囲気が変わっていくのがわかる。
より鋭さを増しているというか……適度に緊張感のある顔をしていた。
今まではそれなりに戦ってきたが、今からは本気というわけか。
ヘルガの周囲から、俺を円状に覆い囲むように魔方陣が展開していく。
そのどれもが今までとは違った銃やバズーカとか様々な武器がぐるりと展開してきて、俺も少し冷や汗を流した。
以前見た戦い方とは違う……恐らくこれが彼女の本気なんだろう。
しっかしこれは苦笑いしか出てこない。
改めて彼女との差を思い知らされたような気がしたけど、そんなんでくじける心はもうどっかに置いてきてしまったよ。
前も後ろも、空中すらも出現する武器を見ながら……兄貴なら、これも簡単になんとかするのだろうか?
なら、俺ももっと気合入れないとな。
俺の視界に収まるだけでもざっと十くらいはあるそれは、スラヴァグラードで手に入れた本に書いてあったAKだかBKだかのアサルトライフルという種類の武器似ていた。
銃身が全部出た辺りでそれは止まり、一斉にこちらに向かって光の弾を撃ち放つ。
パパパ、パパパ、と短い射撃音が一定の間隔でなり渡り、俺の方に激しい弾幕が襲いかかってくる。
……以前の俺ならなす術もなくやられていただろう。
左にステップしつつ、避け損ねた銃弾はグラムレーヴァの剣身で防ぐ。
更にそれでも難しい弾には『防御』の起動式でなんとか防ぎきり、俺の体はヘルガに肉薄していた。
多少驚くように目を開いたヘルガは興味が湧いたような視線を向けていた。
鋭い斬撃が彼女の身体を捉えた――と思ったのだけど、その右手にはいつの間にかナイフが収まっており、余裕だと言わんばかりに防いでいた。
「……やっぱり、あの時とは違うか」
「どういうことだ?」
「弱い男ってことよ」
ナイフのバック――峰に相当する部分が凹凸になっていて……それは正確にはソードブレイカーと呼ぶべき代物で俺の斬撃を受け流す。
そのまま左手で取り出したもう一つのコンバットナイフですかさずこちらに斬りかかってくる辺り、相当動きが素早い。
とてもじゃないが、さっきまで隙丸出しにしていたとは思えない身のこなしだ。
「くっ……このっ……!」
辛うじて左手のナイフをかわすと、今度は右手のナイフを別のものに切り替えていた。
どうやら腰の後ろの方に複数本種類を用意しているらしく、それを素早く交換しながら戦っているようだ。
フットワークは軽く、少女の姿をした歴戦の勇士といった戦い方をするヘルガの激しい連撃に終始圧され気味だ。
こちらの剣術よりも向こうのナイフさばきの方が明らかに上。
スピードも上……のようだけど、こちらは更に身体強化の魔方陣を重ねがけしてなんとか対抗している。
「その程度の戦いしか出来ないの? つまらない男」
「はっ! 言ってろよ……勇者、さまぁ!」
「その呼び方……嫌い……!」
互いに剣とナイフを交え、向こうが切り返したところを最小限の動きで対応する。
何度も、何度も近距離での攻防を繰り返し……更に魔方陣を重ねる。
それをするとヘルガの方も負けじと身体強化の魔方陣を重ねてきて……どんどん互いに人外じみた動きをするようになっていく。
剣による物理的な攻撃を主軸としているこちらとは違い、ヘルガのやつは俺の隙を突くように魔方陣を展開して、ハンドガンやライフルのような銃で狙い撃ってくる。
こっちはそれを防御の魔方陣を使って防ぐので精一杯だ。
『生命』の起動式を構築する暇はない。それなのに向こうは色んなところから魔方陣を発動してくるんだからな。
わかってはいたけど、明らかに複数の魔方陣を同時展開する能力はヘルガが上だ。
恐ろしいことに俺を包囲するかのように展開してくるもんだから、後ろの方にも常に気を配らないといけない。
「訂正してあげる。結構戦うじゃない」
「それは……どう、も……っ!」
魔方陣による銃撃の嵐が止んだかと思うと、目の前まで一気に詰め寄られてナイフによる連続攻撃。
息もつかさぬ怒涛の攻めに圧されながら対策を練るんだけど……結局上等なものは特に思いつかずただ惰性に攻撃を受け続けるだけだ。
それも徐々にこっちが不利になっていくばかり。
――こうなったら……。
俺はヘルガが接近してきた瞬間に『爆発』の起動式で魔方陣を展開して爆発させる。
「ちっ……!」
まさか俺が自分すら巻き込んで自爆するとは思っていなかったらしく、辛うじて防ぎはしたものの、少し吹き飛んでいた。
俺の方も同じように防御していたけど、同じように吹き飛んでしまって、ちょうどよく距離が開いた。
この瞬間を逃す事無く、俺は一気に『生』といくつかの属性の起動式を展開して、発動させる。
出現したのはラグズエルと戦った時と同じ炎の鳥、氷の狼、雷の虎の三体だ。
一気に魔方陣を行使したせいで少し疲れはけれど、今はそんなことはどうでもいい。
「みんな、頼むぞ」
俺の声が理解できているのかどうかはわからない。
けれど、三匹とはキチンと意志が繋がっているような……そんな気がする。
現に三匹ともこっちをちらっと見て頷いているみたいだったしな。
「……随分と面白い魔方陣を使うわね」
目を細めて俺を見据えているヘルガは、さっきよりも雰囲気が変わっていくのがわかる。
より鋭さを増しているというか……適度に緊張感のある顔をしていた。
今まではそれなりに戦ってきたが、今からは本気というわけか。
ヘルガの周囲から、俺を円状に覆い囲むように魔方陣が展開していく。
そのどれもが今までとは違った銃やバズーカとか様々な武器がぐるりと展開してきて、俺も少し冷や汗を流した。
以前見た戦い方とは違う……恐らくこれが彼女の本気なんだろう。
しっかしこれは苦笑いしか出てこない。
改めて彼女との差を思い知らされたような気がしたけど、そんなんでくじける心はもうどっかに置いてきてしまったよ。
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