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第十三節 銀狼騎士団・始動編
第227幕 イギランス調査開始
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アウドゥリア団長の命令を受けて、俺たち三人はグランセストの国境より少し離れたところまで共に行動し、その後は別々の道でイギランスへと向かうことにした。
こういう時、グランセストの地理は便利だと言えるだろう。なにせ人の国であるジパーニグ・アリッカル・ナッチャイス・イギランス・シアロルの五つの国の領土全てと隣接してるんだからな。
これが別の場所だったら敵国を経由して向かわなければならなかったかもしれない。
全方向から攻められるっていう欠点は、簡単にどこの国でも行けるという利点でもあるってわけだ。
なぜジェズやガルディンと行動しなかったかというと……単純に俺の役目が陽動の一点に尽きるからだ。
イギランスの勇者であるヘンリーやルーシーとは顔見知りだし、エンデハルト王も俺のことを把握してるだろう。
それに……人の国に行くなら他の勇者と出会う可能性だって十分に考えられる。
俺と一緒に行動してしまったら役目を果たせなくなってしまうだろう。
そうなっては意味がない。
だからこそ、俺はグランセストを離れる前に二人とは行動を別にすることにしたというわけだ。
久しぶりに訪れたイギランスはあまり変わっていない。
昔寄った町にも訪れたが、人々は平和を謳歌するように普段どおりの生活を楽しんでる。
ある意味何も知らずにいるものの特権なのかもしれないな。
人と魔人の戦争が誰かが仕組んだ茶番であることなんて知らず……日々の生活を享受している。
それを悪いとは言わない。知っていても行動できるやつなんて限られてるし、力のない者がそれを知っていても待っているのは絶望だけだ。
人……まあ魔人もだけど、自分で思ってるよりも強くはない。
何も標がない時。寄るところがない時。
立ち上がれる者は少ない。だからこそ俺はみんなの光となろうとしたわけなんだけどな。
昔、『無知は罪』だと言われたことがある。転生前だけどな。
しかし俺は『知ることもまた罪』だとも思うんだ。
だから……その日を暮らすことで一生懸命なやつは、無理に何かを知る必要はない。
知らないことで得られる幸福があるのなら、それはきっとかけがえのないものだ。
もちろん、知ることで手に入るものならみんなと共有すればいい。要は何事も限度が大事ってやつだな。
こうやって誰かが行き交う様を見ていると、ふとそういう思いに駆られる。
……少し、憂鬱になっているのかもしれないな。
俺たちのやることは、そんな安寧の日々をぶち壊そうってことなのかもしれないのだから。
「さあて、これからどうするかな?」
思わず呟きながら空を見上げてため息をついた。
アウドゥリア団長は何も言わなかったが……陽動とはいっても具体的になにかやれと命令されたわけでもないし、そこのところは自由だったからだ。
ただ、隠れて城の中に潜入するのは少し違うだろう。
というか一度アリッカルに潜入したことくらい既に伝わってるだろうし、恐らく人の国は全体的に警戒が厳重になっているだろう。
俺の拙い隠密の魔方陣程度じゃすぐに見つかるのがオチだろう。
どうせ実力で押し入る事も出来ないし、顔が割れてるってのは案外なにも出来ないもんだ。
かといって何もしなければ他に誰かが潜入していると気づかれてしまうだろうし……思っていたよりも難しい役回りだ。
……仕方ない。警戒されるとわかっていても、とりあえず周辺で聞き込みをしながら町を歩いて首都を目指すか。
俺が行動を起こせば、多かれ少なかれ人の国を統率している連中に伝わるだろうし、引き付けることが出来るだろう。
そう思い至った俺は、とりあえず適当な酒場や食堂を渡り歩いて今のこの国の情勢から探るようにした。
あいにく町では大した情報はなかったがな。
誰かが酔って酒場で暴れたとか、今日は赤ん坊が生まれたとか……そんな些細なことばかりだ。
ただ、偶に独特な髪型をしている少女の勇者が最近見なくなった……というのは気になった。
この国でそう呼ばれるのは恐らくルーシーしかいないだろう。
ヘルガはシアロルが中心だし、ソフィアは今もアリッカルにいるだろう。
というか、以前なら勇者として認識されていなかったはずだ。
彼女は勇者会合が終わってから英雄召喚でやってきた上、存在を秘密にするかのように魔人の領域――つまりグランセストで活動していた。
当然、イギランスの住民とは会ったこともなかったはずなのだが……知られているということは彼女なりに上手くやっているのだろう。
久しぶりに会ってみたい気もするが、最近見なくなったということは今はイギランスにはいないということだろう。
少々残念だが、生きていればいつか会えるさ。
もっとも、その時敵だったなら……倒さなければならないだろう。
ルーシーもそうだが、逆にヘンリーの噂は全く聞かない。
これはもう、言ってはいけないと周囲に厳命でもしてるのか? ってぐらいに彼の名前は出てこない。
まるでルーシーの噂の裏に隠れているようだ。彼は用心深そうな性格をしているからわかる気もするが……。
せっかくイギランスに来て、俺の動向がいつ監視されるかわからないような状況なんだ。
まずは勇者たちのことでもゆっくり調べてみることにするか。
こういう時、グランセストの地理は便利だと言えるだろう。なにせ人の国であるジパーニグ・アリッカル・ナッチャイス・イギランス・シアロルの五つの国の領土全てと隣接してるんだからな。
これが別の場所だったら敵国を経由して向かわなければならなかったかもしれない。
全方向から攻められるっていう欠点は、簡単にどこの国でも行けるという利点でもあるってわけだ。
なぜジェズやガルディンと行動しなかったかというと……単純に俺の役目が陽動の一点に尽きるからだ。
イギランスの勇者であるヘンリーやルーシーとは顔見知りだし、エンデハルト王も俺のことを把握してるだろう。
それに……人の国に行くなら他の勇者と出会う可能性だって十分に考えられる。
俺と一緒に行動してしまったら役目を果たせなくなってしまうだろう。
そうなっては意味がない。
だからこそ、俺はグランセストを離れる前に二人とは行動を別にすることにしたというわけだ。
久しぶりに訪れたイギランスはあまり変わっていない。
昔寄った町にも訪れたが、人々は平和を謳歌するように普段どおりの生活を楽しんでる。
ある意味何も知らずにいるものの特権なのかもしれないな。
人と魔人の戦争が誰かが仕組んだ茶番であることなんて知らず……日々の生活を享受している。
それを悪いとは言わない。知っていても行動できるやつなんて限られてるし、力のない者がそれを知っていても待っているのは絶望だけだ。
人……まあ魔人もだけど、自分で思ってるよりも強くはない。
何も標がない時。寄るところがない時。
立ち上がれる者は少ない。だからこそ俺はみんなの光となろうとしたわけなんだけどな。
昔、『無知は罪』だと言われたことがある。転生前だけどな。
しかし俺は『知ることもまた罪』だとも思うんだ。
だから……その日を暮らすことで一生懸命なやつは、無理に何かを知る必要はない。
知らないことで得られる幸福があるのなら、それはきっとかけがえのないものだ。
もちろん、知ることで手に入るものならみんなと共有すればいい。要は何事も限度が大事ってやつだな。
こうやって誰かが行き交う様を見ていると、ふとそういう思いに駆られる。
……少し、憂鬱になっているのかもしれないな。
俺たちのやることは、そんな安寧の日々をぶち壊そうってことなのかもしれないのだから。
「さあて、これからどうするかな?」
思わず呟きながら空を見上げてため息をついた。
アウドゥリア団長は何も言わなかったが……陽動とはいっても具体的になにかやれと命令されたわけでもないし、そこのところは自由だったからだ。
ただ、隠れて城の中に潜入するのは少し違うだろう。
というか一度アリッカルに潜入したことくらい既に伝わってるだろうし、恐らく人の国は全体的に警戒が厳重になっているだろう。
俺の拙い隠密の魔方陣程度じゃすぐに見つかるのがオチだろう。
どうせ実力で押し入る事も出来ないし、顔が割れてるってのは案外なにも出来ないもんだ。
かといって何もしなければ他に誰かが潜入していると気づかれてしまうだろうし……思っていたよりも難しい役回りだ。
……仕方ない。警戒されるとわかっていても、とりあえず周辺で聞き込みをしながら町を歩いて首都を目指すか。
俺が行動を起こせば、多かれ少なかれ人の国を統率している連中に伝わるだろうし、引き付けることが出来るだろう。
そう思い至った俺は、とりあえず適当な酒場や食堂を渡り歩いて今のこの国の情勢から探るようにした。
あいにく町では大した情報はなかったがな。
誰かが酔って酒場で暴れたとか、今日は赤ん坊が生まれたとか……そんな些細なことばかりだ。
ただ、偶に独特な髪型をしている少女の勇者が最近見なくなった……というのは気になった。
この国でそう呼ばれるのは恐らくルーシーしかいないだろう。
ヘルガはシアロルが中心だし、ソフィアは今もアリッカルにいるだろう。
というか、以前なら勇者として認識されていなかったはずだ。
彼女は勇者会合が終わってから英雄召喚でやってきた上、存在を秘密にするかのように魔人の領域――つまりグランセストで活動していた。
当然、イギランスの住民とは会ったこともなかったはずなのだが……知られているということは彼女なりに上手くやっているのだろう。
久しぶりに会ってみたい気もするが、最近見なくなったということは今はイギランスにはいないということだろう。
少々残念だが、生きていればいつか会えるさ。
もっとも、その時敵だったなら……倒さなければならないだろう。
ルーシーもそうだが、逆にヘンリーの噂は全く聞かない。
これはもう、言ってはいけないと周囲に厳命でもしてるのか? ってぐらいに彼の名前は出てこない。
まるでルーシーの噂の裏に隠れているようだ。彼は用心深そうな性格をしているからわかる気もするが……。
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