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第十五節・再び相見える二人
第267幕 数年ぶりの再会
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久しぶりに出会ったセイルは、以前と少し違っているように見えた。基本的に細いのだが、しっかりとした筋肉質な身体をしており、顔つきもかなり大人びていた。身体の所々に傷があり、随分と過酷な戦いを送っていたようだ。しかし、その笑顔は以前の幼い彼の面影が残っている。
「……兄貴、本当に久しぶりだな」
「ああ、くずはを預けられた時以来か。随分成長したようじゃないか」
まさか大きな赤い鳥を従えてここに現れるとは思っても見なかった。よくよく見るととても美しい赤色の鳥の魔物で、少なくとも俺は初めて見る種類だ。羽を繕う姿なぞ、様になっている。
「ねね、お兄ちゃん。この魔人がお兄ちゃんが言ってた『兄貴』?」
「……鳥が喋った?」
いきなりなんの脈絡もなしに鳥が話しかけてきて、思わず困惑してしまった。言葉を話す魔物というのは滅多に見かけない。俺も魔物の王と呼ばれた生き物くらいしか知らない。あれは確か狼のように地上を四足歩行で走る動物だったし、この鳥がその血を引いているとは考え難い。少なくとも俺がいなくなってから今の時代までになんらかの変化があったのだろうか?
「僕、スパルナって言うんだ。よろしくね」
「……ああ。俺はグレファだ。そこにいるセイルの……兄貴分ってところだな」
「じゃあじゃあ! 僕もグレファの弟分ってことだよね!」
子供のように嬉しそうな声を上げる鳥――スパルナにどこか微笑ましさを感じる。
「兄貴。他の魔人たちは?」
「……俺が戻ってきた時には既にこうだった。残っていたカッシェという騎士は避難したと言っていたが……セイルは見なかったのか?」
空からやってきたのだからそこら辺、見えてもおかしくないだろう? というニュアンスで投げかけると、セイルはどこか困ったような顔をしていた。
「いや、俺はこの近くに来てすぐにあれと戦闘になったから、見てないな」
「そうか……それはそうと、なんでこんなところに? 今のまで何をしてたんだ?」
セイルの事だからグランセストにいるとしても人里離れた場所にいると思っていたのだが、わざわざこんなところで会うのは何か理由があるからだろう。
疑問が頭の中に湧いてきたけど、セイル本人は苦笑いを浮かべて困っていた。
「色々……あったんだよ」
「お兄ちゃん、色々じゃわかんないと思うよー?」
スパルナは楽しそうにはしゃいでいるが、セイルはそれを諌めるように軽く握り拳を作って彼(?)を小突いていた。
「そうだ……とりあえず兄貴にも伝えておこう。兄貴は黒くて二つ重なった箱みたいなやつ知ってる?」
「ああ、そういえばそんなのもいたな」
「それは戦車って言って――」
――
それから俺は、カッシェが起きてくるまでの間にセイルの話を聞くことになった。ちなみにスパルナは退屈な話になりそうだと空の散歩に繰り出してしまった。
話している間にシグゼスたちを見つけたら教えてくれるそうだ。
セイルによると、俺が戦った黒い箱――戦車と呼ばれているらしい。今さっき飛んできた物体は攻撃機と呼ばれる地上への爆撃を行う戦闘機なのだとか。
空から飛んできて、なんの脈絡もなく攻撃できる……。その一点に恐怖を感じる。それはつまり、戦う手段がなければ一方的に圧倒出来るという訳だからな。戦争ではなく蹂躙。そんな一方的な暴力は恐ろしいものだ。
それらを教えてくれたのは生きるということに執着を持っていたヘンリーで、今もミルティナ女王に情報を提供して、防衛力の低いところから順に馬を出して情報を伝達しているらしい。
そして……皇帝の話と地下都市の存在も、だ。
シアロルにそんな場所があるなんて知らなかった。というか、あの国にすらそもそも行った事がなかったんだけどな。
だが、それで一つ、繋がったものがある。
アリッカルの地下でも同じ場所を見た。あの時はソフィアに邪魔されて奥まで行かなかったが、恐らくあそこも同じ構造になっていたんだと思う。
ということは、アリッカルにも何かしらの地下都市があると考えた方がいいだろう。
地上と地下で違う文明。わざわざ分けている理由が気になるが、今はそれより問題がある。
それは彼らの拠点を潰さない限り、戦車や攻撃機と呼ばれる兵器が無数に攻めてくるということだ。
「なるほど。大体わかった。それにしてもヘンリーがこんなところにいるなんてな」
「兄貴に情報を流した事がきっかけだったみたいだな。それもあってか、あいつ、兄貴に会いたくなさそうにしていたぞ」
『どうしようもないやつだよな』とセイルは笑っていたが、多分違うと思う。あいつとは度々、敵として会っていたからな。
戦った回数自体は少ないが、会って話しても、セイルの時のように全てを信じる事なんて出来はしなかっただろう。
その点で言えば、ヘンリーよりもセイルを差し向けてくれたアルディのおかげとも言える。
「それで、兄貴の方は……」
「俺、か」
さっきまではセイルの話を聞くことに集中していたけど、向こうも俺がここで何をしていたか知りたいようだった。
それなら……まずは戦車と戦ったこと。そして、司を消しとばした事を、説明しなければならないだろう。
「……兄貴、本当に久しぶりだな」
「ああ、くずはを預けられた時以来か。随分成長したようじゃないか」
まさか大きな赤い鳥を従えてここに現れるとは思っても見なかった。よくよく見るととても美しい赤色の鳥の魔物で、少なくとも俺は初めて見る種類だ。羽を繕う姿なぞ、様になっている。
「ねね、お兄ちゃん。この魔人がお兄ちゃんが言ってた『兄貴』?」
「……鳥が喋った?」
いきなりなんの脈絡もなしに鳥が話しかけてきて、思わず困惑してしまった。言葉を話す魔物というのは滅多に見かけない。俺も魔物の王と呼ばれた生き物くらいしか知らない。あれは確か狼のように地上を四足歩行で走る動物だったし、この鳥がその血を引いているとは考え難い。少なくとも俺がいなくなってから今の時代までになんらかの変化があったのだろうか?
「僕、スパルナって言うんだ。よろしくね」
「……ああ。俺はグレファだ。そこにいるセイルの……兄貴分ってところだな」
「じゃあじゃあ! 僕もグレファの弟分ってことだよね!」
子供のように嬉しそうな声を上げる鳥――スパルナにどこか微笑ましさを感じる。
「兄貴。他の魔人たちは?」
「……俺が戻ってきた時には既にこうだった。残っていたカッシェという騎士は避難したと言っていたが……セイルは見なかったのか?」
空からやってきたのだからそこら辺、見えてもおかしくないだろう? というニュアンスで投げかけると、セイルはどこか困ったような顔をしていた。
「いや、俺はこの近くに来てすぐにあれと戦闘になったから、見てないな」
「そうか……それはそうと、なんでこんなところに? 今のまで何をしてたんだ?」
セイルの事だからグランセストにいるとしても人里離れた場所にいると思っていたのだが、わざわざこんなところで会うのは何か理由があるからだろう。
疑問が頭の中に湧いてきたけど、セイル本人は苦笑いを浮かべて困っていた。
「色々……あったんだよ」
「お兄ちゃん、色々じゃわかんないと思うよー?」
スパルナは楽しそうにはしゃいでいるが、セイルはそれを諌めるように軽く握り拳を作って彼(?)を小突いていた。
「そうだ……とりあえず兄貴にも伝えておこう。兄貴は黒くて二つ重なった箱みたいなやつ知ってる?」
「ああ、そういえばそんなのもいたな」
「それは戦車って言って――」
――
それから俺は、カッシェが起きてくるまでの間にセイルの話を聞くことになった。ちなみにスパルナは退屈な話になりそうだと空の散歩に繰り出してしまった。
話している間にシグゼスたちを見つけたら教えてくれるそうだ。
セイルによると、俺が戦った黒い箱――戦車と呼ばれているらしい。今さっき飛んできた物体は攻撃機と呼ばれる地上への爆撃を行う戦闘機なのだとか。
空から飛んできて、なんの脈絡もなく攻撃できる……。その一点に恐怖を感じる。それはつまり、戦う手段がなければ一方的に圧倒出来るという訳だからな。戦争ではなく蹂躙。そんな一方的な暴力は恐ろしいものだ。
それらを教えてくれたのは生きるということに執着を持っていたヘンリーで、今もミルティナ女王に情報を提供して、防衛力の低いところから順に馬を出して情報を伝達しているらしい。
そして……皇帝の話と地下都市の存在も、だ。
シアロルにそんな場所があるなんて知らなかった。というか、あの国にすらそもそも行った事がなかったんだけどな。
だが、それで一つ、繋がったものがある。
アリッカルの地下でも同じ場所を見た。あの時はソフィアに邪魔されて奥まで行かなかったが、恐らくあそこも同じ構造になっていたんだと思う。
ということは、アリッカルにも何かしらの地下都市があると考えた方がいいだろう。
地上と地下で違う文明。わざわざ分けている理由が気になるが、今はそれより問題がある。
それは彼らの拠点を潰さない限り、戦車や攻撃機と呼ばれる兵器が無数に攻めてくるということだ。
「なるほど。大体わかった。それにしてもヘンリーがこんなところにいるなんてな」
「兄貴に情報を流した事がきっかけだったみたいだな。それもあってか、あいつ、兄貴に会いたくなさそうにしていたぞ」
『どうしようもないやつだよな』とセイルは笑っていたが、多分違うと思う。あいつとは度々、敵として会っていたからな。
戦った回数自体は少ないが、会って話しても、セイルの時のように全てを信じる事なんて出来はしなかっただろう。
その点で言えば、ヘンリーよりもセイルを差し向けてくれたアルディのおかげとも言える。
「それで、兄貴の方は……」
「俺、か」
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