リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット

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第十五節・再び相見える二人

第273幕・割れる意見

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 駐留場の中を突き進み、執務室に入ると、そこにはシグゼスが書類整理をしている最中だった。

「シグゼスさん! グレファの奴を連れてきましたよ」
「おお、無事だったか!」

 顔を喜びに染めて立ち上がったシグゼスは両腕を広げて俺たちを迎え入れてくれた。

「シグゼスも。無事で良かったよ」
「……グレファ。貴様も随分無茶なことをしたな。あまり咎めはしないが、関心はしないぞ」
「……悪かったよ」

 俺が兵士に伝言を頼んだ事について言いたいことはあるようだったが、シグゼスはそれについて追求することはなかった。
 仕方ないなと苦笑いを浮かべた彼は、ゆっくりと座って疲れたように一つ息を吐いていた。

「……どうした? 随分と疲れてるみたいだが」
「なんとかここまで来たのはいいが、予想以上に国民の批判が強くてな」

 頭を抑えて深い…….本当に深いため息をついた。心の底から疲れた者の表情だ。ここに来た時からわかっていたことだが、心労が絶えないのだろう。

「……あそこのテント張ってる連中が色々言ってきてんのか?」
「その通りだ。様々な不満や怒りの陳情があってな…….。おかげで寝不足の日々だ」
「あいつら……!」

 カッシェの言いたいことはなんとなくわかるが、今は怒りを抑えて欲しいものだ。よくよく見たらシグゼスの目の下には多少隈が出来ているようだった。余程疲れているのだろう。

「それで、今残った騎士たちと話し合っている最中というわけだ。二人にも意見を聞かせて欲しい」
「シグゼスさん、あいつらこっちの事なんかわからず不平不満言ってるだけですよ。わざわざ俺たちが聞く必要……」
「それでも、我らは剣として、盾として彼らを守る義務がある。このような事態に陥ったのも、一重に我々に不足しているものが多かったからだ」

 シグゼスの言う通りだ。攻撃機の事を知っていれば、もっと被害を抑えられただろう。上手くいけば、ここに逃げ延びる必要もなかったかもしれない。

 だが、それがカッシェには弱気になってるように見えたようで、余計に肩を怒らせていた。

「そんなもの、対応しきれるわけがない! 俺たちだってやれる限度がある!」
「落ち着け。それは私もわかっている」

 恐らく他の誰かにも似たような事を言われたのだろう。カッシェの言葉にうんざりするような視線をちらっと向けていた。

「…….正直、このままここに全員で留まるのは得策じゃない。不満は大きくなるだろうが、避難場所を複数に分けるべきだと思う」
「なるほど。だが、それは戦力の分散が必須。今この状況では……」
「しかし、シグゼスもわかってるはずだ。このままでは、本来ここに住んでる者にすら危害が及ぶ可能性も出てくる。食糧だって切り詰めても追い付かないだろうし、ここが戦場になったら、防衛は困難だぞ?」

 いくら俺でも今の状態から一切の被害を出さずに敵を撃退するなんて出来るわけがない。実際、町を一つ落とされてる訳だからな。

「だからこそ、迷っている。デュロはテントの者たちが耐え切れなければ勝手に出ていくだろうと言っている。ロンドはグレファと似た考えのようだが……」

 完全に意見が割れていて、ある程度は考えが通ってる。戦力の事を考えればデュロが。現状の打開を模索するならロンドや俺がある意味最善だ。
 前者は暴動が起こる可能性があるし、後者は最悪各個撃破されてしまうかもしれない。

「カッシェはどう考える?」
「俺に聞きます? それ」

 あー、と声を上げて後ろ頭を掻きながら悩んでいるようだった。ちらっと俺に救いの視線を向けてきたけど、それじゃあ自分の意見にならないだろ、とため息混じりに頭を振った。

 不満そうに俺を睨んでたけど、結局唸りながら自分の力で考える事にしたようだ。

「俺は助けて貰っといて文句を言う奴は、正直嫌いです。ぶっ飛ばしてやりたいくらい。だけど、今のままじゃまずいってことくらい、伝わってきます。ロンドの意見には大賛成だけど……グレファたちの言うように、難民を分けた方がいいと思います」

 少し前にテントを歩いてた時にした会話が功を奏したのか、カッシェはこっちよりの考えを示してくれた。彼のことだからロンドと同じ考え方をするだろうと思っていたから、これは本当にありがたい。

「そうか……わかった。ならばロンドには私が上手く伝えておこう。民たちをどう分けるかは早馬で我らが女王陛下にお伺いする。決まり次第行動する事になるだろうから、それまでに民たちの説得を頼むぞ」
「……え?」

 カッシェは少しだけ間を置いた後、惚けた声を出していた。シグゼスの方は俺とカッシェに無言の圧力をかけ続けてきたものだから、断りきれず、退路もなかった。

「シ、シグゼスさん、は?」
「私は軍の再編やここに元々いる住民たちに色々と説明せねばならない。町長とも話し合って今後の支援を頼む必要もある。悪いとは思うが、任せたぞ」

 ……結局、何を言っても無駄だってことだ。進んで嵐に突っ込むような自殺行為にも思うが、こうなったらするしかないだろう。
 ため息が止まらない事ばかり続くが、これもあの時兵士に伝言を頼んだ罰なのかも知れない。そう割り切らなければやってられなかった。
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