リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット

文字の大きさ
294 / 415
第十五節・再び相見える二人

第277幕 魔人の国での再会

しおりを挟む
 ミルティナ女王との謁見が終わった次の日……俺は再び城へと訪れていた。どうやら俺に会いたいと言っている奴がいるのだとか。

 昨日の今日でまた行く事になるとは……と思いながら、俺は城の客室へとやってきていた。しばらく待っていると……そこに現れたのはヘンリーだった。

「……久しぶりですね」
「ヘンリー? 何故お前が……」

 驚いている俺を他所に、ヘンリーはこちら側に歩いて向かい合うように座ってきた。
 まさかこの男が俺を呼び出すなんて思ってもみなかった。なんだかんだで敵として顔を合わせる事が多かった分、こんな形で再会するなんて考えてすらなかったからだ。

「ふふ、そんなに驚くことですか? 私も今ではここの一員みたいなものです。それに……これから共に行動するのですから」
「……どういうことだ?」

 怪しいものを見るような視線をヘンリーに向けると、肩を竦めて困った笑顔をしていた。

「私も勇者の一人ですよ? 地下施設の事柄についてはここにいる誰よりもずっと詳しい。だからこそあの女王は貴方たちに私の監視を含めた潜入任務をしてもらいたいと考えているようですね」

 ここを訪れた時はそんなこと全く言ってなかった。恐らく、後からヘンリー自身が口にするから黙っていた…….ということなんだろうけど、驚かせることはあまりしないでほしい。

「イギランスはともかく、アリッカルは大丈夫なのか?」
「地下都市に入れば方法はいくらでもあります。安心してください」

 今まで敵対していた者にそう言われて素直に信じられる程、お人好しではないつもりだ。だけど、とりあえずは様子を見るしかないだろう。俺たちがその地下都市に詳しくないのは事実だし、イギランスとは言え、一度地下に行った事のあるヘンリーが頼りになるであろう事は間違いなかったからだ。

「……わかった。ただし――」
「貴方たちを裏切ったら、その時は好きにしてください」

 こっちが言い切る前に答えてきたのは気に食わないが、ひとまず言質は取った。それでよし、としよう。なんで思ってた時――

「ついでに、貴方に耳寄りな情報をお教えしますよ」
「耳寄りな情報?」

 思わず聞き返すと、ヘンリーの顔が嬉しそうに綻んだ。なんだか踊らされてる感じがするが、ここで何か言っても意味はない。機嫌を損ねるような人物ではないが、情報というのも気になるからな。

「エセルカさんがジパーニグに居た時の事、覚えてますか? ヘルガさんと行動を共にしていた時です」
「……ああ」

 あの時の事は今でもはっきり覚えている。俺が助けた時にはエセルカは今のような性格になって、やけに俺に執着するようになった。今は大分落ち着いているが、当時は本当に大変だったな。

 それもこれも、この男がエセルカが司に汚されたかも知れないと示唆するような事を言ったのが原因だという事も含めて、色々と恨みはある。

 それがはっきりと顔に出てしまっていたのだろう。ヘンリーは「怖い怖い……」と平気な顔で呟きながらまた肩を竦めていた。普通に話していてこれほど苛立つ物言いをする男もいないだろう。真正面から嫌悪されてる方がよっぽどマシだ。

「私はあの時、半ば捨て台詞のようにエセルカさんの記憶について忠告しましたが……あれは嘘です」
「……は?」

 今、こいつなんて言った? 俺の理解が追いついていかない。エセルカが……なんだって?

「ふむ、よく分かっていない顔をしていますのでもう一度言いますね。私があの時、エセルカさんについて話した事は全て嘘です」
「な、なんでわざわざそんな事を……」
「ふふ、だって悔しいではありませんか。ヘルガさんはボロボロにされて、私も貴方には歯が立たない。せめてもの嫌がらせというやつです」

 この男は……たかだかそんな事の為にあの時、あんな事を言ったのか……!
 あまりの衝撃的な事実と怒りに拳が震えそうになるが、それ以上に安堵の気持ちが強かった。

 俺はてっきりエセルカが司に乱暴されていたとばかり思っていたからな。そういう訳じゃなくて本当に良かった。

「ヘンリー……お前な」
「今を逃したらまたどれだけ時間が掛かるか分かったものではありませんからね。ちゃんと言えて良かったです」

 そう言った彼の顔は本当に穏やかで……これじゃあ文句なんて言える訳もない。それに、これでエセルカを元に戻してやることも出来るだろう。

「知らせてくれた事には礼を言うが……他に嘘をついてる事はないよな?」
「ええ。貴方に直接関わる事には、ね。ただ……」
「なんだ、まだ何かあるのか?」

 頭を右往左往しながら言い淀む彼は、先ほどのような俺を茶化すような空気を一変させた。いきなりかなり真面目な雰囲気を醸し出すものだから、俺の方もまた戸惑いを隠さずにいた。

「本当に何かあるのか……」
「はい。この魔人の国である実験が行われていたんですが……グレファさんはご存知ですか?」
「実験?」
「ええ。『転生英雄』について、です」

 そういえばそんなものもいたな。『勇者』と『転生英雄』。やはりどちらも人の国――ヒュルマの王が関わっていた、というわけか。
 ……しかし、何故そんなに言い辛そうにしていたんだろう? 果たしてヘンリーの口から、一体何が飛び出してくるのだろうか……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)
ファンタジー
どこにでも居るような冴えないおっさん、山田 太郎(独身)は、かつてやり込んでいたファンタジーシミュレーションRPGの世界に転生する運びとなった。しかし、ゲーム序盤で倒される山賊の下っ端キャラだった。女神様から貰ったスキルと、かつてやり込んでいたゲーム知識を使って、生き延びようと決心するおっさん。はたして、モンスター蔓延る異世界で生き延びられるだろうか?ザコキャラ奮闘ファンタジーここに開幕。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

処理中です...