リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット

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第十六節・一つの決着 セイル編

第284幕 基地襲撃

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 妙案を閃いた俺は、魔方陣や戦略を練り上げていった。少しでも成功率を高めるために緻密な操作をしたり、苦労もしたけど、自分が納得出来るほどの力を得たと判断した次の日……決行に移すことにした。

 ――

「準備はいいか?」

 一応深夜の時間……人が寝静まった頃合いを見計らって行動に移すことにした。スパルナは少し緊張しているようで、身体が硬い。
 でも仕方がないだろう。戦車の攻撃は一発でも当たれば死んだも同然だ。城に行く時はまだ出会わないという確証めいた予感があった。だからこそそこまで緊張はしなかったのだけど……今からやることには今までやってきたどれよりも死に近い。流石のスパルナも、少しは尻込みしてしまったというわけだろう。

「……うん! 準備出来てるよ!」

 しばらく深呼吸したスパルナが小声で笑みを浮かべながらガッツポーズを決めていた。

「よし、それじゃあ……やるぞっ」

 それなりに基地から離れた場所で、俺は魔方陣を発動させる。起動式マジックコードは『土』『命』『鳥』の三つだ。これで数え切れないほどの鳥の土人形を作り出す。ここからがもう一つ細工のしどころだ。

「頼んだぞ。お前たち……」

 細工を終えた俺は、空に鳥たちを飛び立たせた。それからしばらく……鳥が戦車や攻撃機を運ぶ為に作られたであろう柱や、格納庫付近に配置されたのを魔方陣で確認しながら、行動を起こした。

「よし、走るぞっ!」
「うんっ!」

 俺のその言葉を合図とするように、各地で一気に爆発が引き起こされる。これこそが俺の作戦だった。

 俺が生み出した魔力で産み出された動物は、かなり高い知能を持っている。俺の言う事は理解できるし、ある程度魔方陣を扱う事だって問題なくこなす事も可能だ。だからこそ……すごく申し訳ない事だが、その特性を使って、鳥たちには『爆発』の魔方陣を展開させることにしたのだ。

 鳥に内包させてある魔力の全てを使って、爆発を引き起こす。一羽だけだと爆発も小さい。だけどそれが十、二十と増えればかなりの規模になる。

 ――ドゴドゴドゴオオォォォンッッ!!

 その結果が、連鎖的に引き起こされた爆発という訳だ。全ての基地に存在する格納庫と、戦車たちを地上へと送る道を襲撃する。

「始まったね!」
「こっちもそろそろ着くぞ!」

 柱が崩れていってるのを見届けながら、俺たちは近くの基地へと突撃を仕掛けた。

「な、なんだ!? お前たちは!」
「侵入者だよ」

 軍官の一人が少しうろたえながら銃を構えて迷わず引き金を引いてきた。流石訓練されているだけある。迷わず『身体強化』を行なって走り回りながら一気に近寄って顎を蹴り上げてやる。
 なんなく一人倒したのはいいが、それを皮切りに続々と軍官が駆けつけてきた。押し寄せてくるそいつらには残してある鳥たちに相手をさせる。何も爆発だけを仕込んだ訳じゃない。

「なっ、なんだこれは!」
「っ! くそっ、圧せ!」

 氷、炎、雷、土が縦横無尽に飛び交う光景なんて中々お目にかかれはしない。こういう風に鳥だから様々な場所からの攻撃が出来るのは強みだな。ただ、魔力が切れれば土に戻るから、それまでに決着をつけなければならない。

 軍官が土人形の鳥たちに手こずっている間に、スパルナと共に格納庫の方に侵入すると、今にも動き出しそうな戦車が待ち構えていた。

「お兄ちゃん! こっち向いてるよ!」

 スパルナの掛け声と同時に互いに別れるように離れると、俺たちがいたところに轟音と共に弾が飛んでくる。

「味方もお構いなしかよ……!」

 外で着弾して、周囲の軍官を巻き込みながら爆風で吹き飛ばしていた。
 多少の犠牲も……って考えなんだろうけど、そういうのは好きになれないな。

「スパルナ、変身はするなよ?」
「わかってるって」

 スパルナは鳥の状態の方が強いのだけれど……こんな格納庫は外のように自由に飛び回れるわけではない。下手をしたら良い的になりかねないからな。

 ちらっと隣を見ていると、スパルナが前と後ろに挟まれていた。一瞬、助けた方がいいか? と考えていると、前の戦車の放った砲火が後ろの戦車に命中してしまった。流石の装甲も、自分たちの攻撃は防げないらしい。

 わざわざ向こうの味方を撃って、こちらの敵を減らしてくれるとは……随分とおめでたい連中だな。
 広い空間とはいえ、屋内でそんな危ないものを使うなんて、よっぽどの素人か……訓練生といったところか。

「これは、負けてられないな」

 かざした手で魔方陣を展開する。起動式マジックコードは『氷』『生』『鞭』の三つ。発動と同時に伸びるように俺の手のひらから氷の鞭のようなものが出現する。これは振るう必要なんて全くなくて、俺の意思一つで自在に操ることが出来る。

「行けっ!」

 その一言で戦車のキャタピラ部分に巻きつき、下から少しずつ凍っていく。戦車に奪われても大丈夫なように綿密に魔力を練り込んでいるから、問題なく魔方陣は発動している。更に――

「これで……っ!」

 氷の鞭の先端に更に魔方陣を展開。『凍』『霧』『生』の三つで発動させる。すると……戦車の僅かな隙間から凍るほど冷たい霧が中に入り込み、一時すると戦車は動きが止まってしまった。

 完全に停止したあそこの中には、凍死か寸前の兵士たちがいる。余韻に浸ってる場合じゃない。次、どんどん行くぞ!
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