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第十七節・落日の国編
幕間 裏切り者の末路
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その日、ナッチャイスの王都チョウラクは炎の海に包まれていた。住んでいる者。訪れた者……その全ては例外なく言葉を紡ぐことの出来ない骸と化してしまい、そこを歩むのはたった一人の少女だけだった。あらゆる町・村……地下都市を除いた地上の全ては、その少女一人の為すがままにやられてしまった。
そこに具現したのは一つの地獄。ありとあらゆる苦しみと嘆きを詰め込んだ劫火の光景。そこで少女は、まるで楽しむようにゆっくりと歩いていた。何も映さないその瞳は、ただ一人の為に。
城の中に入り、迷うことなく玉座へと歩みを進めた少女を待ち受けていたのは……最早この国では数少ない生き残りとなったミンメア女王だった。女王は何も語らず歩いてくる少女を憎々しげに睨み、苛立つように立ち上がる。
「……どういうこと? こんな事をして、ただで済むと思っているのか?」
その問に答えることのない少女に、ミンメア女王は玉座に飾ってあった槍を構え――た瞬間、どこからともなく放たれた銃弾に弾き飛ばされてしまう。その槍も『空間』の魔方陣で瞬く間に別の場所へと消え去ってしまい、唖然とした表情の女王と無表情の少女だけが残されてしまった。
「な……!?」
「無駄な抵抗は止めることね」
「くっ……何故だ……ヘルガ!!」
少女――ヘルガはつまらなさそうにミンメア女王を見ていた。道端で倒れる乞食を見るような視線を向けられ、女王は耐えきれなくなり、魔方陣を構築する。彼女の持つ原初の起動式である『源』の文字を組み合わせた『炎』の魔方陣。『神』とは違い多少威力は劣るが、自在に操ることが出来る特徴を持っている。
まるで鞭のようにしなりながら襲いかかってくる炎を、ヘルガは冷静に見つめ、その軌道に魔力を内包した銃弾を撃ち込んでいく。最初は勢いのあった炎は、ヘルガの元に来るまでにか細いものとなって……終には届かずに消えてしまう。まるで……この後のミンメア女王を揶揄するかのように。
「ヘルガ!」
「ミンメア……自分が何をしたのか、わかってる?」
「何をしたか……? 私がグランセストと停戦することがそんなに問題か?」
「お前は私たちを……いいえ、私のцарьを裏切った!!」
言葉を口にした瞬間、怒りに満ちた表情でヘルガはミンメア女王を睨んだ。その感情の吐露に女王は恐れるように一歩後退ってしまった。
自らが臆している事実に気づいたミンメア女王は、拳を握りしめて自身を奮い立たせるように身体の震えを抑えながら一歩、前に歩み出た。
「裏切った? 私は言われた通りの役割を果たしていたではないか!」
「貴女の役割はцарьの為に平和を築く事。それ以外に何もありはしない。他の王も同じ」
「違う! 私の役割はこの国を守る事にある!」
「それはцарьが貴女に命じた役割。それを貴女はグランセストの地上人共に尻尾を振って果たそうとしている。これは明らかな裏切り。царьの誇りを冒涜する行為に他ならない!」
「っ……! それでも……ここまでする必要ないはず! ここに住んでる者の中には何も知らない者も――」
「関係ない。貴女が裏切った時点で、この国の全てが同罪になる。царьの邪魔をする者を排除する……それが私の役割」
ミンメア女王は、これ以上ヘルガと話をしても無駄だと悟ったのか、それ以上何も言うことはなく、目の前の怨敵を滅するべく魔方陣を構築しようとするが……その瞬間に、女王の身体はヘルガの召喚した無数の銃による射撃で撃ち抜かれてしまった。圧倒的な速さで展開された『空間』の魔方陣に為すすべもなくミンメア女王はその生命を落としてしまった。床に崩れ落ちた死体に向けて、ヘルガは無慈悲にも追撃の魔方陣を発動し、天井の方から極太のレーザーが放たれ……ミンメア女王はその玉座と共に跡形もなく消し去ってしまった。
「до свидания,изменник」
今はもうない玉座とミンメア女王に向かって侮蔑するような視線を向けてそれだけ呟いたヘルガは、最早用はないと言わんばかりに踵を返し、城を後にする。ロンギルス皇帝のシナリオ通りにいかない者。彼の道を阻む者をヘルガは決して許しはしない。それは今も……未来も同じだった。だからこそ、逆にロンギルス皇帝の意思であれば、どんなに思うところがあっても黙って従う。
城から出たヘルガは上空から兵器を喚び出し、そのレーザーによって城も全てを灰へと帰してしまう。ナッチャイスが存在したという事実すら無にしていく程の威力のそれは、一夜にしてチョウラクの都を消し去ってしまった。
ジパーニグに使者として向かったイーリンがナッチャイスに戻り、ミンメア女王に結果を報告したその日の出来事だった。地下都市アンキンを残し、地上は消し炭に。たった一人の少女が引き起こした地獄絵図は一夜にして幕を下ろした。
最後に残ったナッチャイスの勇者――周武龍だけであり、魔人との戦争のことすら満足に聞かされていなかった彼は、ジパーニグの一都市で研鑽を積んでいる最中だった。
そこに具現したのは一つの地獄。ありとあらゆる苦しみと嘆きを詰め込んだ劫火の光景。そこで少女は、まるで楽しむようにゆっくりと歩いていた。何も映さないその瞳は、ただ一人の為に。
城の中に入り、迷うことなく玉座へと歩みを進めた少女を待ち受けていたのは……最早この国では数少ない生き残りとなったミンメア女王だった。女王は何も語らず歩いてくる少女を憎々しげに睨み、苛立つように立ち上がる。
「……どういうこと? こんな事をして、ただで済むと思っているのか?」
その問に答えることのない少女に、ミンメア女王は玉座に飾ってあった槍を構え――た瞬間、どこからともなく放たれた銃弾に弾き飛ばされてしまう。その槍も『空間』の魔方陣で瞬く間に別の場所へと消え去ってしまい、唖然とした表情の女王と無表情の少女だけが残されてしまった。
「な……!?」
「無駄な抵抗は止めることね」
「くっ……何故だ……ヘルガ!!」
少女――ヘルガはつまらなさそうにミンメア女王を見ていた。道端で倒れる乞食を見るような視線を向けられ、女王は耐えきれなくなり、魔方陣を構築する。彼女の持つ原初の起動式である『源』の文字を組み合わせた『炎』の魔方陣。『神』とは違い多少威力は劣るが、自在に操ることが出来る特徴を持っている。
まるで鞭のようにしなりながら襲いかかってくる炎を、ヘルガは冷静に見つめ、その軌道に魔力を内包した銃弾を撃ち込んでいく。最初は勢いのあった炎は、ヘルガの元に来るまでにか細いものとなって……終には届かずに消えてしまう。まるで……この後のミンメア女王を揶揄するかのように。
「ヘルガ!」
「ミンメア……自分が何をしたのか、わかってる?」
「何をしたか……? 私がグランセストと停戦することがそんなに問題か?」
「お前は私たちを……いいえ、私のцарьを裏切った!!」
言葉を口にした瞬間、怒りに満ちた表情でヘルガはミンメア女王を睨んだ。その感情の吐露に女王は恐れるように一歩後退ってしまった。
自らが臆している事実に気づいたミンメア女王は、拳を握りしめて自身を奮い立たせるように身体の震えを抑えながら一歩、前に歩み出た。
「裏切った? 私は言われた通りの役割を果たしていたではないか!」
「貴女の役割はцарьの為に平和を築く事。それ以外に何もありはしない。他の王も同じ」
「違う! 私の役割はこの国を守る事にある!」
「それはцарьが貴女に命じた役割。それを貴女はグランセストの地上人共に尻尾を振って果たそうとしている。これは明らかな裏切り。царьの誇りを冒涜する行為に他ならない!」
「っ……! それでも……ここまでする必要ないはず! ここに住んでる者の中には何も知らない者も――」
「関係ない。貴女が裏切った時点で、この国の全てが同罪になる。царьの邪魔をする者を排除する……それが私の役割」
ミンメア女王は、これ以上ヘルガと話をしても無駄だと悟ったのか、それ以上何も言うことはなく、目の前の怨敵を滅するべく魔方陣を構築しようとするが……その瞬間に、女王の身体はヘルガの召喚した無数の銃による射撃で撃ち抜かれてしまった。圧倒的な速さで展開された『空間』の魔方陣に為すすべもなくミンメア女王はその生命を落としてしまった。床に崩れ落ちた死体に向けて、ヘルガは無慈悲にも追撃の魔方陣を発動し、天井の方から極太のレーザーが放たれ……ミンメア女王はその玉座と共に跡形もなく消し去ってしまった。
「до свидания,изменник」
今はもうない玉座とミンメア女王に向かって侮蔑するような視線を向けてそれだけ呟いたヘルガは、最早用はないと言わんばかりに踵を返し、城を後にする。ロンギルス皇帝のシナリオ通りにいかない者。彼の道を阻む者をヘルガは決して許しはしない。それは今も……未来も同じだった。だからこそ、逆にロンギルス皇帝の意思であれば、どんなに思うところがあっても黙って従う。
城から出たヘルガは上空から兵器を喚び出し、そのレーザーによって城も全てを灰へと帰してしまう。ナッチャイスが存在したという事実すら無にしていく程の威力のそれは、一夜にしてチョウラクの都を消し去ってしまった。
ジパーニグに使者として向かったイーリンがナッチャイスに戻り、ミンメア女王に結果を報告したその日の出来事だった。地下都市アンキンを残し、地上は消し炭に。たった一人の少女が引き起こした地獄絵図は一夜にして幕を下ろした。
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