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第十八節・嵌められた者たち セイル編
第319幕 戦いの記憶
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激しい剣戟を交わしながら、俺とラグズエルの戦いはどんどん苛烈さを増してきた。互いに『身体強化』の魔方陣を発動させ、剣を鳴らし合う。
「くくっ、どうした? まだ前哨戦だろう?」
「……ああっ、そのつもりだ」
まだ互いに魔方陣を使ってもいない。軽い準備運動のようなものだ。
「懐かしいな。昔もこうやって剣を交えた。覚えてるか?」
「ああ」
「くくっ、あの時は俺に勝てるような実力もなかったのに、立派になったもんだ、なぁ!」
横薙ぎの斬撃をしゃがんでかわし、立ち上がりながら下から上へ斬り上げる。それを紙一重で避けたラグズエルは、軽口を叩いてはいるけど、実力は相変わらず……いや、昔よりもずっと強くなってる。
「……お前も、随分鍛えてきたんだな。そんなにあの引き分けを引きずってたのか? 女々しいやつだな!」
斬り結びながら、俺たちは一歩も退かず、攻防を繰り広げる。互いに避けながら斬撃を繰り出す……たったそれだけの事をこれだけ長い時間行っているのに、俺もラグズエルも息一つ上がってない。
「はっ、ははっ! 最高だ。強くなったな、セイル。俺も……殺し甲斐がある」
「それは……光栄だな!」
つばぜり合いになって、互いに睨み合うと、ラグズエルの顔がよくわかる。狂気――いや、狂喜に満ちている。今の戦いが嬉しくて仕方ないのだろう。俺も……今、そんな顔をしているのだろうか? こうして、狂ったような――戦いに愛おしさを感じているような顔を。
「さあ、そろそろ上げていくぞ。付いてこれるか?」
目の前で魔方陣が展開され、炎の球が放たれる。それをかわして俺も魔方陣で応戦してやる。
――そっちがその気なら……こっちもやってやるさ……!
発動させるのは『命』『炎』『鷹』の魔方陣。あの時と同じ炎の鳥を喚び出し、ラグズエルに向けて放つ。それを奴はまっすぐ見据え、ただ突っ立っているだけだった。
「……一体何を?」
「ようく見とけよ。セイル。これが……俺の本当の力だ!」
突進したラグズエルの左手が妖しく光ったかと思うと、俺が生み出した火の鳥を掴み……無残に壊してしまった。
「なっ……!」
「どうした! 呆けてるなら殺すぞ!」
衝撃的な光景を見てしまった俺は、迫ってきたラグズエルに慌てて意識を向けて迎撃に移る。
「何をした……!」
「ふ、はは。これが俺の原初の起動式ってことだ」
「嘘を付くな! だったらお前の記憶操作は――」
「いつから俺のだと思っていた? あれはな、与えられたんだよ! くくっ、お前にはわからないだろうけどなぁ!」
「与え、られた……?」
動揺が俺の動きに支障をきたし、ラグズエルにその隙を突かれて劣勢を強いられる。でも、動揺が隠せないのは仕方ないだろう。それが本当なら、ラグズエルにその力を与えた人物が他にもいるってことだ。こいつらは……原初の起動式を自由に付け替え出来るってわけだ。
「どうした? もうおしまいか? セイルゥゥゥッ!」
「ふ……っざけるなぁ! まだ終わらせない!」
そうだ。こんな事で動揺してる場合じゃない。もし、この情報が本当でも、今は目の前のこいつに集中しないと……!
こいつを倒す。それが今俺がしないといけないことだ。
「ラグズエル! ここで……お前を殺す!」
「はっ……はははっ! 伝わってくるぞ! お前の殺気がなぁ!」
そこからは魔方陣の打ち合い。……いや、正確には俺が魔方陣を使って、ラグズエルがそれを壊す。やっぱり、あの左手には魔方陣が刻まれてるみたいだ。なら、あれさえ壊せば……!
「――この魔方陣さえ壊せば勝機がある。そう考えているな?」
「……考えが読める事が、そんなに嬉しいかよっ」
まるで子供のように笑うラグズエルの放つ魔方陣を潜り抜け、『生命』の魔方陣で生み出した獣たちと共に攻めて行く。いくら壊す事に特化していたとしても、次々と攻撃を重ねられたら対処ま出来ないはず……!
俺の目論見は半分以上成功して、片手で対処しきれずに焦りを出したラグズエルに迫り、鋭い斬撃を放った。
「くっ、この……程度……!」
咄嗟に叩き落とすように剣を振るわれ、届く事はなかった。けど、今の攻防は確かに俺が有利だった。流れが少しずつこっちに傾いてるのがわかる。この調子で押し切る!
「ラグズエル!」
「は、はは……」
あまり力を感じない、乾いた笑みを浮かべている奴は少し不気味だけど、この流れ……乗らないわけにはいかない!
複数の魔方陣で様々な生き物の姿を宿した炎や氷を出現させた――と同時にその全てが砕かれて粉々になってしまった。
「なに……?」
「く、はは、くひひ……セイルゥ、奥の手てのは最後まで取っておくものなんだよ!」
「……! 最初から、これが出来たのか!」
ラグズエルは左手だけで俺の魔方陣を砕いていた。だから……手を使わないと発動できないと思っていた。まさか……全く同じ魔方陣を複数一気に展開するなんて事が出来るなんて……。
「さあ、お楽しみはこれからだぜぇ……! たっぷりお返ししてやるよ!」
ケタケタ笑いながら俺を見据えるラグズエルはここからだというかのように、更に魔方陣を展開する。
圧倒的な物量。それが……一斉に起動して、その空間を壊すように爆発を引き起こす。完全に虚を突かれた俺は……なすがまま、吹き飛ばされていた……。
「くくっ、どうした? まだ前哨戦だろう?」
「……ああっ、そのつもりだ」
まだ互いに魔方陣を使ってもいない。軽い準備運動のようなものだ。
「懐かしいな。昔もこうやって剣を交えた。覚えてるか?」
「ああ」
「くくっ、あの時は俺に勝てるような実力もなかったのに、立派になったもんだ、なぁ!」
横薙ぎの斬撃をしゃがんでかわし、立ち上がりながら下から上へ斬り上げる。それを紙一重で避けたラグズエルは、軽口を叩いてはいるけど、実力は相変わらず……いや、昔よりもずっと強くなってる。
「……お前も、随分鍛えてきたんだな。そんなにあの引き分けを引きずってたのか? 女々しいやつだな!」
斬り結びながら、俺たちは一歩も退かず、攻防を繰り広げる。互いに避けながら斬撃を繰り出す……たったそれだけの事をこれだけ長い時間行っているのに、俺もラグズエルも息一つ上がってない。
「はっ、ははっ! 最高だ。強くなったな、セイル。俺も……殺し甲斐がある」
「それは……光栄だな!」
つばぜり合いになって、互いに睨み合うと、ラグズエルの顔がよくわかる。狂気――いや、狂喜に満ちている。今の戦いが嬉しくて仕方ないのだろう。俺も……今、そんな顔をしているのだろうか? こうして、狂ったような――戦いに愛おしさを感じているような顔を。
「さあ、そろそろ上げていくぞ。付いてこれるか?」
目の前で魔方陣が展開され、炎の球が放たれる。それをかわして俺も魔方陣で応戦してやる。
――そっちがその気なら……こっちもやってやるさ……!
発動させるのは『命』『炎』『鷹』の魔方陣。あの時と同じ炎の鳥を喚び出し、ラグズエルに向けて放つ。それを奴はまっすぐ見据え、ただ突っ立っているだけだった。
「……一体何を?」
「ようく見とけよ。セイル。これが……俺の本当の力だ!」
突進したラグズエルの左手が妖しく光ったかと思うと、俺が生み出した火の鳥を掴み……無残に壊してしまった。
「なっ……!」
「どうした! 呆けてるなら殺すぞ!」
衝撃的な光景を見てしまった俺は、迫ってきたラグズエルに慌てて意識を向けて迎撃に移る。
「何をした……!」
「ふ、はは。これが俺の原初の起動式ってことだ」
「嘘を付くな! だったらお前の記憶操作は――」
「いつから俺のだと思っていた? あれはな、与えられたんだよ! くくっ、お前にはわからないだろうけどなぁ!」
「与え、られた……?」
動揺が俺の動きに支障をきたし、ラグズエルにその隙を突かれて劣勢を強いられる。でも、動揺が隠せないのは仕方ないだろう。それが本当なら、ラグズエルにその力を与えた人物が他にもいるってことだ。こいつらは……原初の起動式を自由に付け替え出来るってわけだ。
「どうした? もうおしまいか? セイルゥゥゥッ!」
「ふ……っざけるなぁ! まだ終わらせない!」
そうだ。こんな事で動揺してる場合じゃない。もし、この情報が本当でも、今は目の前のこいつに集中しないと……!
こいつを倒す。それが今俺がしないといけないことだ。
「ラグズエル! ここで……お前を殺す!」
「はっ……はははっ! 伝わってくるぞ! お前の殺気がなぁ!」
そこからは魔方陣の打ち合い。……いや、正確には俺が魔方陣を使って、ラグズエルがそれを壊す。やっぱり、あの左手には魔方陣が刻まれてるみたいだ。なら、あれさえ壊せば……!
「――この魔方陣さえ壊せば勝機がある。そう考えているな?」
「……考えが読める事が、そんなに嬉しいかよっ」
まるで子供のように笑うラグズエルの放つ魔方陣を潜り抜け、『生命』の魔方陣で生み出した獣たちと共に攻めて行く。いくら壊す事に特化していたとしても、次々と攻撃を重ねられたら対処ま出来ないはず……!
俺の目論見は半分以上成功して、片手で対処しきれずに焦りを出したラグズエルに迫り、鋭い斬撃を放った。
「くっ、この……程度……!」
咄嗟に叩き落とすように剣を振るわれ、届く事はなかった。けど、今の攻防は確かに俺が有利だった。流れが少しずつこっちに傾いてるのがわかる。この調子で押し切る!
「ラグズエル!」
「は、はは……」
あまり力を感じない、乾いた笑みを浮かべている奴は少し不気味だけど、この流れ……乗らないわけにはいかない!
複数の魔方陣で様々な生き物の姿を宿した炎や氷を出現させた――と同時にその全てが砕かれて粉々になってしまった。
「なに……?」
「く、はは、くひひ……セイルゥ、奥の手てのは最後まで取っておくものなんだよ!」
「……! 最初から、これが出来たのか!」
ラグズエルは左手だけで俺の魔方陣を砕いていた。だから……手を使わないと発動できないと思っていた。まさか……全く同じ魔方陣を複数一気に展開するなんて事が出来るなんて……。
「さあ、お楽しみはこれからだぜぇ……! たっぷりお返ししてやるよ!」
ケタケタ笑いながら俺を見据えるラグズエルはここからだというかのように、更に魔方陣を展開する。
圧倒的な物量。それが……一斉に起動して、その空間を壊すように爆発を引き起こす。完全に虚を突かれた俺は……なすがまま、吹き飛ばされていた……。
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