リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット

文字の大きさ
395 / 415
第二十三節・最終決戦

第376幕 城への侵入大作戦

しおりを挟む
 帝都クワドリスに侵入してすぐ、俺たちは情報収集に専念した。俺たちはここに来るのは初めてだからな。
 ……ここにセイルがいてくれたら、少しは道案内してくれただろうが……来ていない者に頼っても仕方がない。

 慣れない土地で必死に情報を集め、ようやくクワドリスの城への潜入経路を見つけることに成功した。
 ……のだが、厄介なのは、誰かが気を引かなければ入り込むことが出来ないってところだ。

「潜入するのはルッセルと俺。残りの三人は出来るだけ兵士の注意を引き付けてほしい」
「わかりましたが……二人で大丈夫ですか? もう一人くらい――」
「いや、少しでも成功率を上げたい。それに……」

 俺の直感なんだが……無性に嫌な予感がする。それがどんな事かはわからないが……急いだほうがいいような気がする。

「どうしました?」
「いや、何でもない。ゴーレムが配備されるまで、どれくらい時間があるかわからない。今は一刻を争うと思った方がいい」
「……なるほど。わかりました。君もそれでいいですね?」
「はい」

 俺とともに潜入した銀狼騎士団の一人であるルッセルは、同じように一緒に来たヒュルマの兵士の言葉に静かに頷いた。なんというか、どこかむず痒い気分になる。魔人と人がこういう風に言い合える日が来るのは、もっと遠いと思ってたからな。少し遠めに眺めているけれど……いいものだと思う。
 速く戦争を終えて、全員が笑って暮らせるような世界になればいい。その為なら……どんな罪も背負う。どれだけ殺し、血に濡れても、残された者たちが笑顔で暮らせるならば、喜んでこの身を赤に染めよう。

 それこそが、英雄と呼ばれる者の使命なのだから。大切な者、弱者を守り、全てを壊す。あらゆる者の為に戦う都合の良い兵器。だからセイルにはそうなって欲しくはなかったんだが……な。

「悩み事ですか?」

 話が終わったのか、ルッセルが俺に話しかけてきた。どこか優男風の彼は普段身に着けている騎士団の鎧ではなく、シアロルでも普通に着ていそうな服に身を包んでいた。

「いや、特に何もないさ」
「それならいいのですが……やはり緊張されているんですか?」
「ははっ、そうじゃないさ。ただ……妙に心がざわつくだけだ。少し気持ちが高揚してるのかもな」
「ああ、わかります。僕もこの戦いで……僕たちの手で戦いが終わるのかと思うと、興奮してきます」

 両手を握りしめて俺に迫ってくるルッセル。それを宥めるけれど、彼はその気持ちを隠せないようだ。
 自分が新たな伝説を切り開くのだと思っているのか、随分と興奮している。

「その気持ちは明日の糧に取っておくんだな。行動は朝早くだ。今はゆっくりと精神を落ち着けて休んでおけ」
「はい!」

 ルッセルは元気よく声を出して、自分が泊っている宿屋に帰っていった。残されたのは俺一人。他の者も既にいなくなっていたようだ。

「……やはり、緊張しているのかもな」

 柄にもなく嫌な予感に対して気後れしていたのかも知れない。今回の潜入での狙いは、エンデハルト王。ヘルガ。それと……ロンギルス皇帝の三人。この三人を倒せば……戦争は終わる。人も魔人も関係ない、真の平和が訪れるんだ。だからかもしれないな。

「……俺も早く帰ろう。明日は早い。そして……最も長い一日になる」

 いや、一日で済めばそれでいいんだけどな。最後の戦いになるんだ。そう簡単にはいかないだろう。問題は山積みだが、それは実際直面してみないとわからないし、対処も出来ないのだから。

 ――

 翌朝。俺たちは別れ、行動に移すことにした。誘導組は、兵士たちの近くで食べ物の考えに関する見解の不一致で喧嘩をすることにしたようで、現在は兵士たちも巻き込んで色々と言い合ってるようだ。

「よし、行くぞ」
「はい!」
「……今から潜入するんだから、もう少し声の調子を落としてくれ」

 兵士に気付かれてもおかしくないような大きな声で元気よく返事をしてくるルッセルを諫めて、『隠蔽』の魔方陣を発動させる。いつも使っているものよりも数段強力な魔方陣で、これを使っている間は他の事に魔力を割くことが出来ない。
 もちろん、戦闘なんかになったらかなり不味い状況になるだろう。だが、下手な『隠蔽』を使えば、敵の『索敵』に引っかかって見つかってしまう。今回は出来る限り慎重に行動しなければならない。必然的にこうなるってわけだ。

 敵兵の方に注意を向けながら慎重に歩いていき、彼らが塞いでいた城への道にするりと入り込んで、先に進む。最初はあんな風に大きな声を出したルッセルが心配だったが、それから城の中に突入するまで、出来る限り静かに行動してくれた。

「グレリア様。ここからどうしますか?」
「ゴーレムの工場や、ロンギルス皇帝がいるとしたら、まず間違いなく地下都市だ。そこから入り込むぞ」
「わかりました。僕は地下都市に行った事がないので、そこまでは一緒に行動しましょう。着いた後はい一旦分かれる。それでいいですか?」
「わかった。それじゃあ、先に入り口を探そう」

 小声で話し合った俺たちは、互いに頷いて入り口のある部屋を見つける事にした。アリッカルで地下都市を探した時と同様の場所にあるはずだ。そう難しいことでもないだろう。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)
ファンタジー
どこにでも居るような冴えないおっさん、山田 太郎(独身)は、かつてやり込んでいたファンタジーシミュレーションRPGの世界に転生する運びとなった。しかし、ゲーム序盤で倒される山賊の下っ端キャラだった。女神様から貰ったスキルと、かつてやり込んでいたゲーム知識を使って、生き延びようと決心するおっさん。はたして、モンスター蔓延る異世界で生き延びられるだろうか?ザコキャラ奮闘ファンタジーここに開幕。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

処理中です...