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第二十三節・最終決戦
第380幕 不可視の魔方陣
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エンデハルト王。それとその取り巻きとも思える兵士数人との戦いに、俺たちは苦戦を強いられていた。
姿を消すように見えづらくなるエンデハルト王に、彼が見つかったと同時に攻撃を加えてくる兵士たち。そしてその間にエンデハルト王は姿を消す……という絶妙なコンビネーションを見せてくる。
「ちっ、厄介だな」
「グレリア様、どうしましょう?」
ルッセルはかなり焦っているのか、不安そうな声を漏らしていた。
この戦い。戦闘経験が少なければかなり困惑する事だろう。なにせ相手の姿はほとんど見えず、狙いをつけたかと思うと他の敵がそれを邪魔してくるんだからな。
「ルッセル。お前はエンデハルト王以外の敵兵に集中しろ。奴が攻撃を仕掛けてきたらすぐに知らせる」
「わ、わかりました!」
苦境に立たされてもなお、元気が良い。こういうところは彼の良いところだろうな。こちらも多少は前向きに動けるというものだ。
「ふはは、作戦は決まったか? どう戦おうと、既に貴様たちの未来は決まっている!」
わざわざ『拡散』で居所を掴めないようにしているところが実に嫌らしい。
「『未来は決まっている?』馬鹿なことを言うな。俺たちの未来はお前なんかに決められはしない。いつだって未来は……覚悟を決めている者たちが切り拓く!!」
「ほう、ならば貴様は……覚悟を決めてここにいる、と?」
「当たり前だ」
覚悟のない者には何も掴めはしない。俺を殺そうとするならば……並大抵の覚悟では出来ない者と知れ――!
「エンデハルト王! ただロンギルス皇帝にくっついているお前程度の男に……俺は倒せはしない!」
「ははっ! ぬかしおるわ! ならば試してみるといい。最古の英雄とおだてられ、自惚れた男になぞ、負けはしない!」
エンデハルト王の声と同時に、様々な角度から俺を狙った攻撃が放たれる。それをぎりぎりで回避していると、どこからともなくナイフを持ったエンデハルト王が姿を現し、俺の死角近い場所から攻撃を加えてくる。
「どうした? 威勢がいいのは口だけか?」
「たかだか俺の攻撃範囲内で攻撃できただけで随分言うじゃないか」
エンデハルト王の表情が怒りに染まっていくのがわかる。自分の攻撃が簡単にいなされた事がよほどショックだと見えるな。
「だが、貴様では私の力は見破れまい。視界に収める事すら精一杯のその様子ではな」
笑いながら再び霧のように隠れてしまう。いや、隠れている……というより、見えづらくなってしまうと言った方が正しいか。何度も見ていていたおかげか、エンデハルト王の能力の特徴が何となく掴めてきた。
彼の存在を見ることに集中出来ればはっきり見える。恐らく、エンデハルト王は自分の認識を『阻害』しているのだろう。だから彼にしっかり注目すれば存在を認識することが出来るし、そうでなければ完全に捉える事は出来ない。長所がはっきりしているからこそ、短所も明確だ。
一度視界に収め、外さなければ問題ない。彼をしっかり『認識』することが出来れば能力は意味をなさない……というのが弱点だ。だが、それをエンデハルト王は兵士たちを使うことで補っている。
一番簡単なのは……そんなの関係ないと言わんばかりに魔方陣で全てを焼き尽くすくらいだが……今回はルッセルもいる。流石に彼を犠牲にするつもりはないし、やはり次世代を担う者には少しでも成長して貰いたい。こういう考え方自体が古臭いのかもしれないけどな。
「こ……のぉ……!」
エンデハルト王への集中を途切れさせることなく、ちらっとルッセルの方へと視線を向けると、彼は俺の言いつけ通り兵士たちを攻撃する事に専念しているようだ。ただ、後から湧いて出てきているのかと言いたくなるほどの量を相手にしているからか、制圧するまでにはまだ時間がかかりそうだ。
「ルッセル! 左後ろの方向から迫ってきているぞ!」
「はい!」
エンデハルト王の動きを伝え、ルッセルが飛び退くように避けたところに『炎』『弾』『雨』の三つの起動式を構築した魔方陣を発動させる。それによって近寄ろうとしていたエンデハルト王とルッセルを完全に分断することに成功し、そのまま敵兵にも被害を与えることに成功する。
「くっ……! 馬鹿な……! 私の動きを見抜くだと……!?」
「どうした? お前の力はその程度か!」
いくら認識を阻害することが出来ても、見失わなければどうということもない。セイルの時のように不意打ちを突かなければ決める事は不可能だ。ルッセルによって定期的に兵士たちの数を減らされているエンデハルト王には……既に勝ち目は存在しない
「驕りすぎたな。自分の弱点をもっと知っておけば、こういう事態も避けられただろう」
「若造が……! 何を勝った気でいる!!」
エンデハルト王の目標が俺に切り替わる。丸っこい図体に関わらず俊敏な動きでこちらへと迫ってきて……身を屈め、左から俺の死角へと潜り込んだその一瞬。彼の気配は右から攻め込んできた。だが――
「その程度の策略、既に読めている」
俺は自らが抜いた剣で何のためらいもなくエンデハルト王を斬り捨てる。羽をもがれた鳥のような状態で……この俺に勝てる訳もない。彼の敗因は俺を侮り、自らの力を過信した。その結果だった。
姿を消すように見えづらくなるエンデハルト王に、彼が見つかったと同時に攻撃を加えてくる兵士たち。そしてその間にエンデハルト王は姿を消す……という絶妙なコンビネーションを見せてくる。
「ちっ、厄介だな」
「グレリア様、どうしましょう?」
ルッセルはかなり焦っているのか、不安そうな声を漏らしていた。
この戦い。戦闘経験が少なければかなり困惑する事だろう。なにせ相手の姿はほとんど見えず、狙いをつけたかと思うと他の敵がそれを邪魔してくるんだからな。
「ルッセル。お前はエンデハルト王以外の敵兵に集中しろ。奴が攻撃を仕掛けてきたらすぐに知らせる」
「わ、わかりました!」
苦境に立たされてもなお、元気が良い。こういうところは彼の良いところだろうな。こちらも多少は前向きに動けるというものだ。
「ふはは、作戦は決まったか? どう戦おうと、既に貴様たちの未来は決まっている!」
わざわざ『拡散』で居所を掴めないようにしているところが実に嫌らしい。
「『未来は決まっている?』馬鹿なことを言うな。俺たちの未来はお前なんかに決められはしない。いつだって未来は……覚悟を決めている者たちが切り拓く!!」
「ほう、ならば貴様は……覚悟を決めてここにいる、と?」
「当たり前だ」
覚悟のない者には何も掴めはしない。俺を殺そうとするならば……並大抵の覚悟では出来ない者と知れ――!
「エンデハルト王! ただロンギルス皇帝にくっついているお前程度の男に……俺は倒せはしない!」
「ははっ! ぬかしおるわ! ならば試してみるといい。最古の英雄とおだてられ、自惚れた男になぞ、負けはしない!」
エンデハルト王の声と同時に、様々な角度から俺を狙った攻撃が放たれる。それをぎりぎりで回避していると、どこからともなくナイフを持ったエンデハルト王が姿を現し、俺の死角近い場所から攻撃を加えてくる。
「どうした? 威勢がいいのは口だけか?」
「たかだか俺の攻撃範囲内で攻撃できただけで随分言うじゃないか」
エンデハルト王の表情が怒りに染まっていくのがわかる。自分の攻撃が簡単にいなされた事がよほどショックだと見えるな。
「だが、貴様では私の力は見破れまい。視界に収める事すら精一杯のその様子ではな」
笑いながら再び霧のように隠れてしまう。いや、隠れている……というより、見えづらくなってしまうと言った方が正しいか。何度も見ていていたおかげか、エンデハルト王の能力の特徴が何となく掴めてきた。
彼の存在を見ることに集中出来ればはっきり見える。恐らく、エンデハルト王は自分の認識を『阻害』しているのだろう。だから彼にしっかり注目すれば存在を認識することが出来るし、そうでなければ完全に捉える事は出来ない。長所がはっきりしているからこそ、短所も明確だ。
一度視界に収め、外さなければ問題ない。彼をしっかり『認識』することが出来れば能力は意味をなさない……というのが弱点だ。だが、それをエンデハルト王は兵士たちを使うことで補っている。
一番簡単なのは……そんなの関係ないと言わんばかりに魔方陣で全てを焼き尽くすくらいだが……今回はルッセルもいる。流石に彼を犠牲にするつもりはないし、やはり次世代を担う者には少しでも成長して貰いたい。こういう考え方自体が古臭いのかもしれないけどな。
「こ……のぉ……!」
エンデハルト王への集中を途切れさせることなく、ちらっとルッセルの方へと視線を向けると、彼は俺の言いつけ通り兵士たちを攻撃する事に専念しているようだ。ただ、後から湧いて出てきているのかと言いたくなるほどの量を相手にしているからか、制圧するまでにはまだ時間がかかりそうだ。
「ルッセル! 左後ろの方向から迫ってきているぞ!」
「はい!」
エンデハルト王の動きを伝え、ルッセルが飛び退くように避けたところに『炎』『弾』『雨』の三つの起動式を構築した魔方陣を発動させる。それによって近寄ろうとしていたエンデハルト王とルッセルを完全に分断することに成功し、そのまま敵兵にも被害を与えることに成功する。
「くっ……! 馬鹿な……! 私の動きを見抜くだと……!?」
「どうした? お前の力はその程度か!」
いくら認識を阻害することが出来ても、見失わなければどうということもない。セイルの時のように不意打ちを突かなければ決める事は不可能だ。ルッセルによって定期的に兵士たちの数を減らされているエンデハルト王には……既に勝ち目は存在しない
「驕りすぎたな。自分の弱点をもっと知っておけば、こういう事態も避けられただろう」
「若造が……! 何を勝った気でいる!!」
エンデハルト王の目標が俺に切り替わる。丸っこい図体に関わらず俊敏な動きでこちらへと迫ってきて……身を屈め、左から俺の死角へと潜り込んだその一瞬。彼の気配は右から攻め込んできた。だが――
「その程度の策略、既に読めている」
俺は自らが抜いた剣で何のためらいもなくエンデハルト王を斬り捨てる。羽をもがれた鳥のような状態で……この俺に勝てる訳もない。彼の敗因は俺を侮り、自らの力を過信した。その結果だった。
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