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7 ウィリアム視点
しおりを挟む戻ってから、いつものように王女のお茶会にお邪魔して、オリヴィアに土産だと渡した。
「何ですか?こういう物を頂く理由はありませんのでお断りします。」
エリアスの予想通りなんだなと感心して、
「何勘違いしてるんだ。お前にだけ買ってきたんじゃない。シャーロットへのプレゼントのついでだ。視察先の経済貢献もかねて、沢山買ったんだよ。目についた使用人達に似たようなのを配ってるから、お前にもひとつ。俺の好意を無駄にするのか?」
エリアスにレクチャーされた通りに言った。すると、
「そうなのですか?」
と、オリヴィアは周りを見渡して、周りの使用人達が頷くのを見ると、次にシャーロットを見た。
シャーロットはエリアスの予想通り、
「ええ、その通りよ。私は翡翠の綺麗なペンダントを頂いたの。せっかくのお土産だもの。貰っておきなさいよ。」
と、援護射撃をしてくれた。
「そうですか。そういうことなら……。ウィリアム殿下、有り難く頂きます。」
と、箱を開けた。
「まあ、可愛らしい。綺麗な色ですね。ありがとうございます。」
と、つけてみせた。
「まぁ、珊瑚ね。ほんと。可愛いわ。」
と、引き続きシャーロットが援護をしてくれたおかげで、オリヴィアの嬉しそうな顔が見られた。身につけてくれたのはこれっきりだったが、この時ほど、エリアスに感謝したことはない。
この光景を、レイルなる文官に覗き見られているとは思わなかった。
お土産以降、心なしか、オリヴィアの態度が軟化しているような気がする。オリヴィアが通りそうな道で待ち伏せて、偶然を装って彼女を捕まえた。
「あれ?何でここにいるんだ?」
「ウィリアム殿下こそ。私は午後、お休みを頂いておりますので、知人に会いに行くのですわ。」
「知人って……、あの文官か?」
「あら、ご存知でしたか?そうですわ。たまにしか会えませんから、邪魔しないでくださいね。」
「はあ?邪魔って失礼だな。」
「あの、レイルってヤツと結婚するのか?」
「ウィリアム殿下に関係ありますか?」
「いや、だって、お前は辺境伯の娘なんだろ?相手はただの伯爵の次男じゃないか。身分が違いすぎるだろ?」
「何仰ってるんです?私は辺境伯の娘ではありません。辺境の伯爵家の娘です。と言っても、両親は既に鬼籍に入っておりますから、娘ですらありませんわ。」
「え?」
「だから、ただの、伯爵の妹です。身分的には釣り合っております。」
「あれ?え?」
「そういうことですので、失礼いたしますね。」
「ちょっと待って。」
「何ですか?」
そこへ人影が見えて、
「おっと、お邪魔でしたかな?」
と、レイルがやってきた。
「ウィリアム殿下。お初にお目にかかります。文官のレイルと申します。」
と、挨拶をしてきたが、レイルの登場で明らかに嬉しそうな少女の顔をするオリヴィアに何となく腹が立って、横柄に
「ああ。」
と、答えてしまった。
「さあ、レイル様。挨拶も致しましたし、ウィリアム殿下はお散歩中のようですから、私達があちらへ行きましょ。」
と、行ってしまうオリヴィアに、何だよと気分を害していると、エリアスが言った。
「あの2人、いい雰囲気だな。婚約間近って噂は本当かもな。」
「はあ?」
「もうお前、諦めたら?」
「だから、そんなんじゃないって。」
「でも怒ってるじゃないか。仲良さげな所を見たからだろ。」
「違うよ。オリヴィアが誰と婚約しようが知ったことか。俺はシャーロットと婚約するんだからな。」
「まぁ、わかってるなら良いけどな。」
嘘だった。オリヴィアが誰かと婚約するなんて面白くない。
子供だったんだ。自分の行動で何が起こるのか、考えが足りなかった。
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