婚約解消の理由はあなた

彩柚月

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18エピローグ

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 数年後、オリヴィアとレイルは共に暮らしていた。2人の子供にも恵まれ、オリヴィアは今日も菩提堂に行く。

 「ここには、お母様の大切な人が1人ずつ眠っているのよ。」
  「石の柱にひとつにひとり?」
 「そうよ。」
  「なーんにも書いてないね。お名前わからないの?」
 「書いてはいけないお名前なの。」
  「えー?じゃあ誰も知らないの?」
 「お母様とお父様が知っているわ。」
  「ふうん……。」
  「じゃあ、お父様とお母様が
   いなくなったら、
   誰も知らなくなっちゃう。」

 「誰も知らなくなっても良いの。この2人は、知られたら沢山の人に名前を呼ばれちゃうから、ゆっくり寝ていられなくなっちゃうでしょ。」
  「ふうん。」
 「ふふ、2人で一本ずつ守っていってくれたら嬉しいな。右の石をウィリアムが、左の石をシャーロットが。」
  「良いよーボクは右だね。」
  「ワタシが左ー」
 
 
 「おや。うちの王子様とお姫様が守ってくれるなら、石も喜ぶね。」
 レイルもやってきた。

  「お父様ー」
  「おとうさまー」
 
 この子達は、自分が好きなものを理不尽な理由で諦めなくて良い。

 私の愛する家族を滅ぼす理由など作らせない。

 私の首には、お土産店の安物の珊瑚のペンダントがいつもぶら下がっている。

 


——終わり——
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