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素顔2
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風呂から上がったザファルの表情が険しいことに二人は首を傾げる。
「どうかしましたか?」
何も変わらない。何も言わない二人に思わず怪訝な表情を向けた。
何故そんな表情を向けるのかがわからない二人は顔を見合わせ、もう一度ザファルを見て首を傾げる。
「ぬるかったですか?」
「いや、いい温度だった」
「何か不備でもありましたか?」
「そうではなく……」
ハッキリ言えと表情で訴えるのはイヴァだ。皇帝を前に眉を寄せている。
「ベールが……」
「最初からしていませんでしたよ?」
「そうだが……」
口ごもるザファルにイヴァがハッとしたように表情を変えた。
「陛下はシャイでらっしゃる!」
「イヴァ」
「私は……あまり自分の顔が好きではないから……」
「贅沢ですねぇ」
ブーイングでもするかのような言い方は想像していなかっただけに目を瞬かせるザファルにイヴァは少し拗ねたように自分の両頬を指した。
「そんなキレイなお顔をしておいて好きではないなんて贅沢です! 見てください! 私なんてそばかすがあるんですよ! お化粧して隠さないといけないそばかすがこんなにも!」
「お前のチャームポイントだと思うが……」
「ヒエッ! アストリッド様と同じことおっしゃる!」
「あなたのチャームポイントだもの。誰でも持ってるものじゃないし、可愛いじゃない」
「そう言われると欠点として扱えなくなってしまうから嫌なんです!」
「欠点なんて言わないで。可愛いわ」
フィルングとアストリッドだけでなく、ザファルにまで言われるとは思っていなかっただけにスッと指を離して眉を下げる。
鏡を見ること自体好きではなかったザファルだが、イヴァにそう言われて思わず顎を触った。
「表情が変わらないから不気味だと言われ続けてきたから、それを隠すためにベールをつけ始めた」
二人はまた不思議そうに首を傾げる。
「陛下って結構表情豊かだと思いますけど」
耳を疑っている表情に「ほら」とイヴァが言った。
「私もそう思います」
ザファルは皇帝に指名されたとき以上に自分の耳を疑い、戸惑っていた。
自分が風呂に入っている間に二人で相談して「もしこういう話題になったときはこう答えよう」と決めたわけではないだろう。となれば二人の言葉は本心ということになる。ザファルの中に生まれた大きな戸惑いが瞬きを増やしていく。
「まあ、アストリッド様のお傍にいると仮面が外れるのも仕方のないことですよ。心地良くなってしまいますからね。」
「イヴァ、適当なこと言わないの」
「適当じゃないです! 私なんてアストリッド様の侍女になってからずっとリラックスしっぱなしなんですから! メイド長とすれ違うたびに何度嫌味を言われたことか!」
「そうなの?」
「そうですよ! 『あーら、随分と緊張感のない顔になったこと。侍女になって楽な人生が送れているようで羨ましいわ』って……あのババア!」
猛抗議に大袈裟だと言いたかったが、そう言えないのは彼女に笑顔が増えたのは侍女として働くようになってからと知っているからだ。
毎日毎日メイド長から罵倒という名の叱りを受けていたイヴァの表情は、気持ちのいい風が吹こうと、美しい青空の下であろうと曇り続けていた。
侍女となってからの彼女は感心するほど働き者となり、毎日笑顔を見せ、本来の姿を取り戻したように見えた。
メイド長だけがそれが気に入らなかったのだろう。フィルングやアストリッドのいない場所で嫌味を言っていた彼女の底意地の悪そうな顔を思い出し、怒りを言葉に変えるイヴァの頭を撫でた。
「それはわかる」
「ですよね!? アストリッド様は癒しのオーラがあるんです。疲れた心を癒す女神ですよ」
「褒めてもらえて光栄だけど、女神様に失礼よ」
「私にとって女神様はアストリッド様だけなので失礼ではないんです」
主従関係でありながらも二人の会話には友人のような軽さがあり、自分と七星はとてもじゃないがそんな関係にはなれないと彼女たちを見つめながらぼんやりと考える。
「陛下も一週間経ったらきっと帰りたくなくなってますよ。やだやだっ、ここから出たくない!って駄々をこねるかもしれません」
「やめなさい」
アストリッドがイヴァの明るさに救われているのは確かだとザファルにもわかる。飾らない明るさが暗闇に落ちそうなアストリッドの心を救い続けているのだろうと。
それは心から信頼できる人間がいないザファルにとって羨ましいもので、喉から手が出るほど欲しいものだ。
なんでも相談できた唯一無二の相手は毒に倒れて消えてしまったから、まだ手元に光が残っているアストリッドを羨ましいと思う。
「陛下は美青年って感じですよね、アストリッド様」
「そうね」
「……あなたの好みに入るだろうか?」
イヴァの口が「おっ」と形を作るも声は出ていない。目を見開き、両手で口を押さえながら目だけアストリッドとザファルを交互に見る。
ラフナディールに向かう船の中にいるときからイヴァはザファルの気持ちがなんとなくアストリッドにあることに気付いていた。到着してからは遠慮と気遣いばかりだったが、ここ最近のザファルはどこか積極的に見える。
攻めることにしたのだろうかと目の前で行われるアプローチにイヴァはドキドキしていた。
「私は──」
「すまない。くだらないことを聞いた。困らせてしまうだけだとわかっていたんだが、つい口を滑らせてしまった」
自分の顔を見ても頬を染めない時点で察することができるというのに、何を期待したのか。
これから一週間、同じ宮で過ごす人間に何を聞いているんだと自分に呆れてしまう。
ふっと目の前に浮かんだ精霊文字を読んだザファルの目が不愉快そうに細められるとイヴァが緊張から目を瞬かせるも、アストリッドが小声で「彼の精霊が何か伝えてるみたい」と言ったことで安堵する。
「そういえば、精霊ってどんな顔してるんですか? やっぱりお二人に似て美しいんですか?」
「ルー!」
ルィムがイヴァの目の前に現れて自分の顔を指すも当然見えていない。カトラも並んで同じようにポーズを取るその様子にアストリッドが目を細めた。
ただでさえ愛らしい精霊が仲良くしている様は微笑ましくて仕方ない。
「ルィムは……そうね、淡い緑の髪をした可愛い王子様って感じ」
「ルー!」
嬉しそうに笑うルィムが飛んできて頬に抱きついてくることに笑いながら指先で頭を撫でる。
「水の精霊は?」
「普通だ。どこにでもいる──……」
そうじゃないだろ、と訴えるようにザファルの頭上からバシャッと容赦なく水を降らせたカトラがザファルの顔の前で仁王立ちになる。
「……事実だろう」
アストリッドが精霊文字が読めないのをいいことにカトラが何を書いて訴えようともザファルは気にしない。
「撤回してほしければその性格の悪さをどうにかしろ」
カトラの表情と動きから読み取れるのは「あーそうですか!」という感情。
まずい、とアストリッドは思った。
カトラは間違いなく怒っている。それも目に見えてわかるほどに。
「カトラは薄い水色の髪をしているの。長いサラサラの髪で、お姉さんって雰囲気。よく笑う美人さんって感じで──」
慌ててフォローをするもひと足遅かった。ザファルに二度目の水が襲い掛かり、しかもさっきよりも大量。
風呂に入ったばかりの身体は冷え、服はずぶ濡れ。
精霊は器用なもので、水が入った鍋をひっくり返したような量を降らせておきながら床は一滴も濡れておらず、ザファルだけ雨に打たれたような状態だ。
「そういうところだ」
イヴァは慌てて立ち上がり、タオルを取りに向かった。
「お前の女心など知らん」
吐き捨てるように言ったザファルの前にカトラはデカデカと文字を書いた。
「でしょうね。知っていたらもっと上手いアプローチもできたでしょうに、知らないから幼稚なアプローチしかできないのよね。この根性なし。アンタなんか一生片想いしてればいいのよ」
「ルー!」
言い過ぎだと眉を寄せるザファルの顔に向かって水を投げつけようとしているカトラに突進するようにルィムが抱きついた。
それを受け止めたカトラが頬を膨らませて何かを喋っているが、ルィムはかぶりを振るばかり。
「ルー! ルル! ルルルルルル!」
身振り手振りを交えるルィムを見るカトラはいつもより少し幼く見え、まるで拗ねた子供のようだとアストリッドは微笑ましくなってしまう。弟が姉を必死に宥めているように見えるのだ。
しかし、次の瞬間、アストリッドとザファルが同時に目を見開いた。
「あれ? どうしました?」
タオルを抱えてきたイヴァだけが見えていなかった。
ルィムがカトラにキスをしている姿を。
「どうかしましたか?」
何も変わらない。何も言わない二人に思わず怪訝な表情を向けた。
何故そんな表情を向けるのかがわからない二人は顔を見合わせ、もう一度ザファルを見て首を傾げる。
「ぬるかったですか?」
「いや、いい温度だった」
「何か不備でもありましたか?」
「そうではなく……」
ハッキリ言えと表情で訴えるのはイヴァだ。皇帝を前に眉を寄せている。
「ベールが……」
「最初からしていませんでしたよ?」
「そうだが……」
口ごもるザファルにイヴァがハッとしたように表情を変えた。
「陛下はシャイでらっしゃる!」
「イヴァ」
「私は……あまり自分の顔が好きではないから……」
「贅沢ですねぇ」
ブーイングでもするかのような言い方は想像していなかっただけに目を瞬かせるザファルにイヴァは少し拗ねたように自分の両頬を指した。
「そんなキレイなお顔をしておいて好きではないなんて贅沢です! 見てください! 私なんてそばかすがあるんですよ! お化粧して隠さないといけないそばかすがこんなにも!」
「お前のチャームポイントだと思うが……」
「ヒエッ! アストリッド様と同じことおっしゃる!」
「あなたのチャームポイントだもの。誰でも持ってるものじゃないし、可愛いじゃない」
「そう言われると欠点として扱えなくなってしまうから嫌なんです!」
「欠点なんて言わないで。可愛いわ」
フィルングとアストリッドだけでなく、ザファルにまで言われるとは思っていなかっただけにスッと指を離して眉を下げる。
鏡を見ること自体好きではなかったザファルだが、イヴァにそう言われて思わず顎を触った。
「表情が変わらないから不気味だと言われ続けてきたから、それを隠すためにベールをつけ始めた」
二人はまた不思議そうに首を傾げる。
「陛下って結構表情豊かだと思いますけど」
耳を疑っている表情に「ほら」とイヴァが言った。
「私もそう思います」
ザファルは皇帝に指名されたとき以上に自分の耳を疑い、戸惑っていた。
自分が風呂に入っている間に二人で相談して「もしこういう話題になったときはこう答えよう」と決めたわけではないだろう。となれば二人の言葉は本心ということになる。ザファルの中に生まれた大きな戸惑いが瞬きを増やしていく。
「まあ、アストリッド様のお傍にいると仮面が外れるのも仕方のないことですよ。心地良くなってしまいますからね。」
「イヴァ、適当なこと言わないの」
「適当じゃないです! 私なんてアストリッド様の侍女になってからずっとリラックスしっぱなしなんですから! メイド長とすれ違うたびに何度嫌味を言われたことか!」
「そうなの?」
「そうですよ! 『あーら、随分と緊張感のない顔になったこと。侍女になって楽な人生が送れているようで羨ましいわ』って……あのババア!」
猛抗議に大袈裟だと言いたかったが、そう言えないのは彼女に笑顔が増えたのは侍女として働くようになってからと知っているからだ。
毎日毎日メイド長から罵倒という名の叱りを受けていたイヴァの表情は、気持ちのいい風が吹こうと、美しい青空の下であろうと曇り続けていた。
侍女となってからの彼女は感心するほど働き者となり、毎日笑顔を見せ、本来の姿を取り戻したように見えた。
メイド長だけがそれが気に入らなかったのだろう。フィルングやアストリッドのいない場所で嫌味を言っていた彼女の底意地の悪そうな顔を思い出し、怒りを言葉に変えるイヴァの頭を撫でた。
「それはわかる」
「ですよね!? アストリッド様は癒しのオーラがあるんです。疲れた心を癒す女神ですよ」
「褒めてもらえて光栄だけど、女神様に失礼よ」
「私にとって女神様はアストリッド様だけなので失礼ではないんです」
主従関係でありながらも二人の会話には友人のような軽さがあり、自分と七星はとてもじゃないがそんな関係にはなれないと彼女たちを見つめながらぼんやりと考える。
「陛下も一週間経ったらきっと帰りたくなくなってますよ。やだやだっ、ここから出たくない!って駄々をこねるかもしれません」
「やめなさい」
アストリッドがイヴァの明るさに救われているのは確かだとザファルにもわかる。飾らない明るさが暗闇に落ちそうなアストリッドの心を救い続けているのだろうと。
それは心から信頼できる人間がいないザファルにとって羨ましいもので、喉から手が出るほど欲しいものだ。
なんでも相談できた唯一無二の相手は毒に倒れて消えてしまったから、まだ手元に光が残っているアストリッドを羨ましいと思う。
「陛下は美青年って感じですよね、アストリッド様」
「そうね」
「……あなたの好みに入るだろうか?」
イヴァの口が「おっ」と形を作るも声は出ていない。目を見開き、両手で口を押さえながら目だけアストリッドとザファルを交互に見る。
ラフナディールに向かう船の中にいるときからイヴァはザファルの気持ちがなんとなくアストリッドにあることに気付いていた。到着してからは遠慮と気遣いばかりだったが、ここ最近のザファルはどこか積極的に見える。
攻めることにしたのだろうかと目の前で行われるアプローチにイヴァはドキドキしていた。
「私は──」
「すまない。くだらないことを聞いた。困らせてしまうだけだとわかっていたんだが、つい口を滑らせてしまった」
自分の顔を見ても頬を染めない時点で察することができるというのに、何を期待したのか。
これから一週間、同じ宮で過ごす人間に何を聞いているんだと自分に呆れてしまう。
ふっと目の前に浮かんだ精霊文字を読んだザファルの目が不愉快そうに細められるとイヴァが緊張から目を瞬かせるも、アストリッドが小声で「彼の精霊が何か伝えてるみたい」と言ったことで安堵する。
「そういえば、精霊ってどんな顔してるんですか? やっぱりお二人に似て美しいんですか?」
「ルー!」
ルィムがイヴァの目の前に現れて自分の顔を指すも当然見えていない。カトラも並んで同じようにポーズを取るその様子にアストリッドが目を細めた。
ただでさえ愛らしい精霊が仲良くしている様は微笑ましくて仕方ない。
「ルィムは……そうね、淡い緑の髪をした可愛い王子様って感じ」
「ルー!」
嬉しそうに笑うルィムが飛んできて頬に抱きついてくることに笑いながら指先で頭を撫でる。
「水の精霊は?」
「普通だ。どこにでもいる──……」
そうじゃないだろ、と訴えるようにザファルの頭上からバシャッと容赦なく水を降らせたカトラがザファルの顔の前で仁王立ちになる。
「……事実だろう」
アストリッドが精霊文字が読めないのをいいことにカトラが何を書いて訴えようともザファルは気にしない。
「撤回してほしければその性格の悪さをどうにかしろ」
カトラの表情と動きから読み取れるのは「あーそうですか!」という感情。
まずい、とアストリッドは思った。
カトラは間違いなく怒っている。それも目に見えてわかるほどに。
「カトラは薄い水色の髪をしているの。長いサラサラの髪で、お姉さんって雰囲気。よく笑う美人さんって感じで──」
慌ててフォローをするもひと足遅かった。ザファルに二度目の水が襲い掛かり、しかもさっきよりも大量。
風呂に入ったばかりの身体は冷え、服はずぶ濡れ。
精霊は器用なもので、水が入った鍋をひっくり返したような量を降らせておきながら床は一滴も濡れておらず、ザファルだけ雨に打たれたような状態だ。
「そういうところだ」
イヴァは慌てて立ち上がり、タオルを取りに向かった。
「お前の女心など知らん」
吐き捨てるように言ったザファルの前にカトラはデカデカと文字を書いた。
「でしょうね。知っていたらもっと上手いアプローチもできたでしょうに、知らないから幼稚なアプローチしかできないのよね。この根性なし。アンタなんか一生片想いしてればいいのよ」
「ルー!」
言い過ぎだと眉を寄せるザファルの顔に向かって水を投げつけようとしているカトラに突進するようにルィムが抱きついた。
それを受け止めたカトラが頬を膨らませて何かを喋っているが、ルィムはかぶりを振るばかり。
「ルー! ルル! ルルルルルル!」
身振り手振りを交えるルィムを見るカトラはいつもより少し幼く見え、まるで拗ねた子供のようだとアストリッドは微笑ましくなってしまう。弟が姉を必死に宥めているように見えるのだ。
しかし、次の瞬間、アストリッドとザファルが同時に目を見開いた。
「あれ? どうしました?」
タオルを抱えてきたイヴァだけが見えていなかった。
ルィムがカトラにキスをしている姿を。
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