「運命の番」だと胸を張って言えるまで

黎明まりあ

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第3章 王宮生活<始動編>

40、癒しのチカラ<前>

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 先に話されたのは、セリム様だった。

「レンヤード、私もその事に興味がある。
 アルフに行う前に、先に、私にしてくれないか?」
「わかりました。
 ただ、姉以外にためしたことがなくて……もし、いちじるしい効果がなくても、おとがめなしにしていただけると有難ありがたいのですが……」
「もちろんだ、気楽にするがよい」

 なぜか、僕のお願いに答えてくれたのは、セリム様ではなくアルフ様だったが、セリム様もアルフ様の言葉にうなずいていたので、僕は先にセリム様へ行うことにした。
 それに僕の勝手な想像だが、神力しんりょくが高そうなセリム様だと、もし万が一、僕がしていることが良くないものだった場合、すぐに止めてくださるだろうと思ったからだ。

 僕は席を立ち、座っているセリム様のかたわらまで近づくとひざまずいた。

「あの……お手を拝借はいしゃくしても構いませんか?」
「構わないが、どうするのだ?」

 セリム様が、不思議そうな表情で、首をかしげられた。
 その表情が、まるでおさ純真じゅんしんさにかさなり……不躾ぶしつけながら、僕は、年上であろうセリム様に、ちょっとした可愛かわいさを感じてしまった。

 ダメだ……ニマニマ笑っては!

 セリム様がじっと待っていたので、僕はエヘン、エヘンと誤魔化ごまかすように咳払せきばらいをして、真面目な顔を作り、セリム様に答えた。

「手のこうを、私の額につけて祈りたいのです。
 根拠こんきょはございませんが、いつもその形を取らせていただいているので、私が集中できますし、効果があるような気がするだけなのですが……」
「いいだろう」

 そう言ってセリム様は、素直に片手を差し出してくれた。
 セリム様の差し出された片手を、僕は両手でささげ持ち、そのままゆっくりと自分の額に当て……目を閉じ、静かに祈る。

 どうか、セリム様のうれいが浄化じょうかされますように

 しばらくすると、いつものように、僕の額がじんわりと熱くなり、その熱がススっーと、セリム様の手に移行いこうしたように感じた。

「これは……」

 ゴクリとセリム様が息を呑み込む音が、やけにひびき渡る。

「レンヤード、これは……」

 セリム様から熱心に見つめられるのが気恥きはずかしくなった僕は、不敬ふけいにもセリム様が言いかけた言葉にかぶせるように、ややうつむきながら、セリム様へ問いかけた。

「どうでしたか?
 別に肉体をいやすといったような派手はでなものではないのですが、少し気分がスッキリしたような感じがしませんか?」
「あぁ……そうだな、久しぶりにとてもさわやかな気分だ。
 感謝する、レンヤード」
「どういうことだ?セリム?」

 早く説明しろとばかりに、アルフ様がセリム様へ話しかけた。

「説明は後だ。
 アルフ、これは、お前が一番求めていたものだ。
 レンヤードに不調が見られないなら、ぜひ、お前もやってもらえ」

 セリム様は、アルフ様に向かってそう話されると、今度は僕を気づかってくれる。

「レンヤード、体調はどうだ?
 身体からだがふらついたり、頭が割れるような痛さを感じないか?」

 僕は無事に成功した嬉しさで、ニッコリ笑ってセリム様へ返事をした。

「はい、何ともございません。
 あの……本当にアルフ様にも、同じことを行ってもよいのでしょうか?」
「そなたの体調に何も問題がないなら、ぜひお願いしたい。
 ただ、決して無理はするな」

 僕の体調をしきりに心配してくださるセリム様のお心づかいに、僕はジーンと感動してしまった。

「はい、大丈夫です」

 僕はそう答えると、向かいに座っているアルフ様の元へ行き、先ほどと同じように、アルフ様の足元へひざまずいた。

「すまないが、よろしく頼むよ」

 これから自身へ起こるであろう出来事に、いてくる好奇心が隠せないのか、じりのない綺麗なアクアマリンの瞳を輝かせて、アルフ様から見つめられる。
 僕は、アルフ様の少年のような心意気こころいきに、思わずクスッと笑ってしまった。
 同じくニッコリと笑われ、差し出されたアルフ様の手を、セリム様の時と同じように、ささげ持ち、ゆっくりと額に当てて、目を閉じて祈る。

 どうか、アルフ様のうれいが浄化じょうかされますように

 セリム様の時より、はるかに熱い光が僕の額から生まれ、アルフ様の手をかいして、アルフ様の身体からだ全体にうつっていく感覚が伝わってきた。

「おおっ……これは!」

 アルフ様は絶句され、しばらくの間、部屋はシーンと静まり返った。
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