「運命の番」だと胸を張って言えるまで

黎明まりあ

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第4章 王宮生活<大祭準備編>

46、正式なお茶会<後>

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 ローサの冷ややかな眼差まなざしを真正面から受け止めた僕は、背筋に冷汗がき上がる。

 僕、ローサに何かした?

 顔はかろうじて笑みを維持しながらも、息は一瞬止まる。
 だが次の王妃様の言葉で、ローサのけわしさは瞬時に消えた。

「ローサは、本来レンヤードが行うべき役割を今回も完璧に行っているの。
 今回は特に招待客が増えたため、ローサがいなかったら、どうなっていたことか……。
 全てを引き継ぐには、時間が足りないとは思うけど、レンヤードは、ローサの一挙手いっきょしゅ一投足いっとうそくまで注目し、その努力を見逃さないようにしてちょうだい」

 王妃様に褒めたたえられたローサの頬はみるみるうちに紅潮こうちょうし、目にはさらなる輝きがあふれた。
 僕も王妃様に習い、ローサに感謝の言葉を伝える。

「かしこまりました。
 ローサ、不 甲斐がいない私の分まで負担をかけてしまい、申し訳ない。
 私の代わりを立派に つとめてもらい……大変感謝している、ありがとう、ローサ。
 王妃様が言われた通り、ローサのあらゆる行動から、いろんな事を学ばせてもらうよ」

 僕の言葉を聞いたローサは、王妃様から褒められた喜びの表情から一転して真顔に戻り、一礼して椅子に座った。

 まただ……ローサの顔色が変わった
 しかもあまりよろしくない方に

 どうやら僕の発言は、ことごとくローサの意にそぐわないらしい。

 なぜだ?

 表情には出してはいないものの、僕の心中は大いに荒れた。
 しかし、またしても王妃様の発言で我に返る。

「では、クローネ、レンヤードに挨拶を」

 王妃様の命を受け、僕の右隣から、ドレスの衣擦きぬずれの音がした。
 思わず目を向けると、可憐かれんな少女がふんわりと笑い、僕に向かって優雅に礼を取っていた。

「レンヤード様、初めまして。
 シルヴィス様の2人目の弟君にあたり、かつて第11王子であったミルヴィスの妃、クローネと申します。
 よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく頼むよ、クローネ」

 返礼の言葉を口にしながら、僕は目を見張る。
 彼女も相当な美少女である。
 王室に嫁ぐには、見目がうるわしいのも基準の1つだろうか……運命のつがいというだけで、何もかも飛び越えて王室入りしてしまった僕は、なんだか腰が引けてしまう。
 そんなことをぼんやりと思っていると、頭を下げているクローネのつややかな青に緑がかった長い髪が目に入った。

 あれ?
 この髪色……見知ったような……

 思い当たると同時に、僕の口から思わずその名がこぼれてしまう。

「その髪色……もしかしてセリム様のご身内で?」

 僕のつぶやきを受け、クローネは頭を上げると、さらにニッコリと笑いながら、答えてくれた。

「はい、セリムは我が兄です」

 やっぱり……と僕は思い、どことなくセリム様に似ている顔を失礼のないようにながめる。
 もしセリム様がこのように表情豊かであったならば、随分ずいぶんと魅力的になるだろうなぁ~と、僕は漠然ばくぜんとした感想をいだいてしまった。

「セリムとはすでに顔見知りだったのね……それは何より。
 今回は神祭しんさいだから、国教会と綿密に連携れんけいを取らないといけないの。
 だけど、この目の回る忙しさゆえ、紹介するひと手間がはぶけて良かったわ」

 そう王妃様が言い終えると、クローネは着席する。
 そして神祭の本格的な打ち合わせが始まった。

 僕がセリム様と知り合いと聞いた時、若干じゃっかん不機嫌そうに顔をゆがめた、ローサの姿を視界のはしとらえながら。
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