王道学園のコミュ障ニセチャラ男くん、憧れの会長と同室になったようで

伊月乃鏡

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「……で、呆れられたんかお前。馬鹿だねー」
「おっしゃる通りで」

我が王道超有名高校は、ふざけた名前だが設備は本物だ。その中で俺が気に入っているのは食堂で、一流シェフの作る食事が学生向けに格安で提供されている。

俺はその中から餃子定食を食っていた。なぜか一番人気がないのだが、俺はお気に入りである。不人気なメニューは消えがちなので、できればなくならないでほしいと願って毎日食べているのだ。

「そりゃまぁ、男子高校生向けとはいえ餃子定食はでかいし油多いし美意識のかけらもないしとりあえず積まれてるからな……」
「そ、それが一番美味いだろうが……!」
「同意はするけどなー、お前みたいに昼食で一日の栄養を賄うような自炊力カスDX人間はここにいないんだよ」

酷い言い草である。何が一番酷いって全部事実なところが酷い。事実陳列罪というものだ。
だからここに来る度にヒソヒソ言われてたんだ……あらゆる相手と浮き名を流すはずの俺がぼっちで餃子を貪ってるから……
ちなみに水瀬は基本的に新作とかパニーニとかを軽く摘んでいる。俺は二年の中頃に出会ってから餃子定食一筋なので何度か一口分けてもらった。美味い。

「水瀬がいない日は俺はぼっちで飯を食うしかなくなるのに……餃子だけが俺の友達だった……」
「その友達今食ってるけど」
「パリッと焼き上げた皮を食い破ると中の肉汁が溢れ出てくる、専用の餃子タレとの相性とも抜群でラー油の辛味が後から効いてくるのも最高だぜ、俺の親友」
「親友の食レポ」

食堂の内装といえば、ヨーロッパの造りを思わせる建築だ。
これもまた学年やクラスで細かく座れる場所が分かれているのだが生徒会は別で、俺は一応生徒会役員であるので、いつも水瀬の隣──食堂の端、ガラス張りのテラス近くに座っている。ここからテラス席に出ることもできるが、生徒会執行部の方の特等席なのだ。

「でも良かったじゃねーか、後輩と仲良くなれたんだろ? 園芸委員会も安泰だな」
「な、仲良くなれたんかな……優しくされたので好きだけど」
「チョロ」

は? ちょろくないが?
ちょっと優しくされたり仲良くしてくれた相手は好きになっちゃうだけだが? 純情と言って欲しいが?

「優しくされたり仲良くってな……俺、お前の友達なんだが」
「へへっ……」
「で?」
「ん?」

何が?
首を傾げると、水瀬はいつもの如く不機嫌そうにため息をついた。いつもの如くというより、これはちょっと本当に不機嫌っぽい……?

えっ、俺またなんかやっちゃいました? 武藤様といい人を不機嫌にさせる才能あるかも。最悪である。

「良いよ、所詮お前にはわから、」
「水瀬のことも普通に好きだけど」

ごほ、と目の前で背中丸めて咳をされる。えっ嘘こういうことではなかった!?!?!?!?!?
それとも俺の愛、嫌!? 酷いが!?!? 俺の数少ない友達への愛は確かに重いだろうけど!

「いや、いやそういうことじゃねー……マジで馬鹿お前。そんで後輩、今日入学なんだろ?」

笑いながら貶された上に話を逸らされた気がするが、機嫌は上向いたみたいなのでまぁ良しとする。乗ってやろうじゃないか、その逸らしに。

「そうそう、今日入学。変な波風立ててないといいけど」

転校生は優しい子なのだろうが、二年といえばけっこうなファンクラブ過激派の多い学年だ。
ユニコーンの多いあそこでうまくやっていけるのかは不安だ。俺は上手くやっていけなかった。二年に嫌われてる気配は明確に感じる。チャラ男のフリした俺が悪い。

「きゃあ~! 会長様~!!」

そんなこんなで餃子定食をいまだに貪り尽くしていると突然、歓声が上がった。

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