王道学園のコミュ障ニセチャラ男くん、憧れの会長と同室になったようで

伊月乃鏡

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密着! 夏休み旅行!

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その懸念点というのは、帰宅後に如実に現れる。

「お疲れ様でした!」「しゃあっしたー」

まだバイトの身分ではあるので、ラストはこうちゃんとひまりさんが締める。レジ締めとか、必要がなさそうだったので聞きはしなかったが──そしてひまりさんたちもすっかり忘れたのか教えようとしなかったが──そろそろ覚えてもいいかもしれない。

猫部屋で軽く猫と戯れてくると、いつも通りの帰路についた。

「あーー、夜も暑い」
「温暖化じゃのー」
「地球をキンキンに冷えたグラスに入れてちょっと冷やしたい」

ここら一帯は風情のある街並みであるので、虫の鳴き声がかすかに聞こえてきていた。ラスト近くまで残れば外はすっかり夜であり、長い陽の太陽も降参する暗闇。

くだらない話をしながら肩を並べて歩くと、少しだけ思っていたより早くバス停に着いた。

「このバスも、もうちょい本数増やしてほしいよな。百合学なんて電話すれば来るスクールバスだぜ」
「金持っちゅー奴らと比較することだけはせられん。みじめになるき」
「一応俺たちも名門だぞ?」

しばらく待ってようやく一台来たバスに乗り込む。こんな周囲は暗いからか誰もいなかった。一番奥の、広い席に座る。俺が挙動不審なんじゃなくて、けろっとしてるこいつがおかしいのだ。

俺たちが座ればすぐにバスも出発する。これもある意味電話すれば来るスクールバスかな……金掛かるけど……定期高いけど……
バスの中も人工的な灯りで白く照らされていて、陽の光よりよほど冷たいような感触がした。そのくせ隣のイブキは体温が熱いほどに温かく、訳がわからない。空調はちゃんと効いていた。

「そういえば、みんなにお土産……」
「気にせんでえい。金の無駄じゃき」
「でも大事な生徒だろ」
「お人好し……」

旧校舎の人たちに下町のお土産でも買って行けばよかった。彼らはそれぞれ皆ある程度大変な思いをしており、大半が下町に行く隙がない。

次行った時はお土産でも買って行こう。そんな決意をしているとバスが高校前に着く。やる気のない運転手に電子の定期券を見せ、降車するとまたどこかへと消えていった。ハイビーム危ないからやめた方がいいですよ!

「……帰るか」
「おん」

踵を返し、寮棟の方へ向かう。粗雑な、砂を蹴る癖のある足音が後ろからついてきていた。
イブキは学校に来るようになった。もともといたはいたのだが、授業を真面目に聞いて寮にも通い始めるという状況は珍しい──いや、初めてだ。

しかしやはり、寮には真面目に来るようになったため、一人部屋物置になっていた彼の部屋に住まわせるわけにもいかず。

「……今日も、会長に変な真似しやがったら許さねーからな!」
「過保護じゃのー。安心せんか、もともとそこまで興味はない」

興味があったら変な真似するのか。最悪である。
ともかく忠告して、俺はイブキと共にエレベーターに乗った。

一階、二階、三階、四階。

どんどん上がっていく回数に目眩がする。一応言っとくけど、俺は旧校舎で寝ろ派だからな!!

──十八階、十九階、二十階。

間抜けなエレベーターの到着音が鳴る。肩に荷をずしりと掲げながら、手元の鍵を取り出した。

そう、この男の懸念点。それは──

「たでーまー!!」
「ただいま~……」
「ハン、帰ったか」

俺と武藤様の、新しい同室者──って点!
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