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監禁! 最後の文化祭
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さて、休学明けに登校したわけだが、俺は何だか既視感のある状況に叩き込まれていた。
ガチャリと下駄箱の扉を開ければ何やら紙がだばばっと飛び出す。色とりどりのレターセット、趣向を凝らしたお手紙。内容としては嫌がらせでもないがしかし、甘い感情を綴ったものでもない。
「悩み相談?」
「うん」
食堂で餃子定食を頼み──久々に食べると美味い──貪る俺に、また新作の何かを食べている水瀬が首を傾げた。
「悩みってお前……お前にか? 不毛の極みだろ。チラシの裏にでも書いてた方が有意義じゃね?」
「何てこというんだお前立て続けに」
確かにゴミ箱に捨てるより他ない悩みしか来ないのだけれど。そう、俺の下駄箱にはいつの間にか、丁寧なレターセットと共に色んな悩み事が集結するようになっていた。
例えば食堂のご飯が美味しく感じない、彼氏が冷たい、飼い猫がいなくなった、部員の素行不良。実名と共にそういう、他人に言っても仕方のない類の悩みを打ち明けられる。
最初は何もしなくても良いやつかと思っていたが、せっかく頼って? くれたのだから出来る限り助力したい。
「だから……ツテを辿って猫探し、素行不良の原因である不良集団の壊滅、味覚障害の解消とか色々してたんだよな。そしたら評判が評判を呼んだらしくて」
「お前は心底お人好しだな、これで社交性があれば完璧だ」
「何かを褒めるときに何かを落としちゃダメなんだぜ」
ちなみに冷たい彼氏は高確率で浮気をしている。安心させるために口先だけで騙すのもどうも気分が悪いし苦手なので、浮気の可能性がありその場合どうするかを事前に相談している。
しかし、どうにしろ謎である。口コミで俺が役に立ったと聞いたから悩みを打ち明けてくる手紙はいいとして、最初はどうしてこんなこおに。
「別に良くね? いま現状納得いってるなら」
「あのな水瀬、こういうのは自己プロデュースの問題なんだよ。俺が意図してないのに俺に強いイメージがついてることが問題なんだ」
やる時はやるちゃらんぽらんなチャラ男、そんで裏の顔は誰もが恐る高校の裏番。俺のイメージとしてはそのくらいだ。裏番ってのには納得いかないけど、こういうのには必ず俺の把握している理由が付随している。
「その理由がきちんとついてないのがダメだ。今ここで対処しておかないと、俺以外に俺のイメージを自在に操れる人間が出来ることになる」
「大変だなーお前は色々と」
「お前と違って虚飾だらけなんでね!」
この高校で誰かの理想通りに振る舞わなかったら一気に底辺だ。俺みたいな嫌われっぱなしのコミュ障は特に。だから誰かに好かれる自分でいるしかないのだ。
「そうやって嘘ついて偶像作り出してばっかだからお前はいつまで立っても自己肯定感が上がらないんだなぁ」
「何なの?」
わかってるなら傷つけるんじゃない。
水瀬は俺の最大の理解者だけど、普通にわかっていながら殴りかかってくるので正気を疑う。
いいけどね、今更こいつ相手に傷付かないよ。水瀬はちゃんと俺のこと好きだし。
「まぁ悩み事自体は許容するとして、真の問題は──」
唐突に黄色い歓声が上がった。
きゃあああ! と高い声に思わず肩を揺らし、振り向いた。綺麗なきんの瞳とかち合う。そうか、何だか忘れてたけどテラス席によくいるのだったか。
「あーーっ! 田中クンおひさしぶり!」
「お久しぶり田中クン!」
「双子ちゃんだ~ひさしぶり~」
おいこら武藤様嫌そうな顔するな真道は笑うな。えっ真道がわらってる!?!? こいつ他人の醜態見て笑うって選択肢あったんだな。
てか真道がいる!?!?
「え、いいんちょ~めずらしくね?」
「お前も委員長だろう。ついさっき瑛一と会ってな、久しぶりだと思って話しかけただけだ。そうしたらここまで無視されて」
「入り口からここまで結構距離あんのに無視されたん? 心臓鋼かよ~」
「本当にな、少しは答えてくれてもいいはずだが」
「いやあんたも言われてません? これ」
何やら納得したようにうんうん頷く真道の隣で、風紀の副委員長が冷静に口を挟んだ。えーと確か二年の、……なんか人懐っこくてサボりがちな……
「あ、早乙女っす自分。すんません急に口挟んで」
「ああ~! いやいやいいよ~。先輩に囲まれて気まずくない~?」
「意外と優しいんすね。別に……この人のことは先輩とも思ってないんで」
「何だと!?!?」
おお、不敬だ。真道はなかなかに圧がある方なのだが、早乙女くんと名乗った二年生は特に気にした風もない。大物である。
まぁ真道が隣に置くのだし、実力ありきだろう。気だるげで軽めの雰囲気と気さくな態度は真道の重苦しい雰囲気を緩和させる要因になっているし。
「って、ちょっとここで食べるんです? あんたはいっつも突然だな……すんませんうちの委員長が」
「苦労してるね~。頑固だもんねいいんちょ~」
「む、そうか?」
「そんな白々しいことある?」
そういう歓談をしていると、むんずと俺の襟が掴まれる。えっ何?
「何してんだ、てめーもテラスだよ」
「え?」
え?
「ほーう、そりゃ俺も行っていいのかよ箱入りくん」
「水瀬か……ッチ、好きにしろ」
「はは! ほら早く行くぞ宗介」
えっ????
ガチャリと下駄箱の扉を開ければ何やら紙がだばばっと飛び出す。色とりどりのレターセット、趣向を凝らしたお手紙。内容としては嫌がらせでもないがしかし、甘い感情を綴ったものでもない。
「悩み相談?」
「うん」
食堂で餃子定食を頼み──久々に食べると美味い──貪る俺に、また新作の何かを食べている水瀬が首を傾げた。
「悩みってお前……お前にか? 不毛の極みだろ。チラシの裏にでも書いてた方が有意義じゃね?」
「何てこというんだお前立て続けに」
確かにゴミ箱に捨てるより他ない悩みしか来ないのだけれど。そう、俺の下駄箱にはいつの間にか、丁寧なレターセットと共に色んな悩み事が集結するようになっていた。
例えば食堂のご飯が美味しく感じない、彼氏が冷たい、飼い猫がいなくなった、部員の素行不良。実名と共にそういう、他人に言っても仕方のない類の悩みを打ち明けられる。
最初は何もしなくても良いやつかと思っていたが、せっかく頼って? くれたのだから出来る限り助力したい。
「だから……ツテを辿って猫探し、素行不良の原因である不良集団の壊滅、味覚障害の解消とか色々してたんだよな。そしたら評判が評判を呼んだらしくて」
「お前は心底お人好しだな、これで社交性があれば完璧だ」
「何かを褒めるときに何かを落としちゃダメなんだぜ」
ちなみに冷たい彼氏は高確率で浮気をしている。安心させるために口先だけで騙すのもどうも気分が悪いし苦手なので、浮気の可能性がありその場合どうするかを事前に相談している。
しかし、どうにしろ謎である。口コミで俺が役に立ったと聞いたから悩みを打ち明けてくる手紙はいいとして、最初はどうしてこんなこおに。
「別に良くね? いま現状納得いってるなら」
「あのな水瀬、こういうのは自己プロデュースの問題なんだよ。俺が意図してないのに俺に強いイメージがついてることが問題なんだ」
やる時はやるちゃらんぽらんなチャラ男、そんで裏の顔は誰もが恐る高校の裏番。俺のイメージとしてはそのくらいだ。裏番ってのには納得いかないけど、こういうのには必ず俺の把握している理由が付随している。
「その理由がきちんとついてないのがダメだ。今ここで対処しておかないと、俺以外に俺のイメージを自在に操れる人間が出来ることになる」
「大変だなーお前は色々と」
「お前と違って虚飾だらけなんでね!」
この高校で誰かの理想通りに振る舞わなかったら一気に底辺だ。俺みたいな嫌われっぱなしのコミュ障は特に。だから誰かに好かれる自分でいるしかないのだ。
「そうやって嘘ついて偶像作り出してばっかだからお前はいつまで立っても自己肯定感が上がらないんだなぁ」
「何なの?」
わかってるなら傷つけるんじゃない。
水瀬は俺の最大の理解者だけど、普通にわかっていながら殴りかかってくるので正気を疑う。
いいけどね、今更こいつ相手に傷付かないよ。水瀬はちゃんと俺のこと好きだし。
「まぁ悩み事自体は許容するとして、真の問題は──」
唐突に黄色い歓声が上がった。
きゃあああ! と高い声に思わず肩を揺らし、振り向いた。綺麗なきんの瞳とかち合う。そうか、何だか忘れてたけどテラス席によくいるのだったか。
「あーーっ! 田中クンおひさしぶり!」
「お久しぶり田中クン!」
「双子ちゃんだ~ひさしぶり~」
おいこら武藤様嫌そうな顔するな真道は笑うな。えっ真道がわらってる!?!? こいつ他人の醜態見て笑うって選択肢あったんだな。
てか真道がいる!?!?
「え、いいんちょ~めずらしくね?」
「お前も委員長だろう。ついさっき瑛一と会ってな、久しぶりだと思って話しかけただけだ。そうしたらここまで無視されて」
「入り口からここまで結構距離あんのに無視されたん? 心臓鋼かよ~」
「本当にな、少しは答えてくれてもいいはずだが」
「いやあんたも言われてません? これ」
何やら納得したようにうんうん頷く真道の隣で、風紀の副委員長が冷静に口を挟んだ。えーと確か二年の、……なんか人懐っこくてサボりがちな……
「あ、早乙女っす自分。すんません急に口挟んで」
「ああ~! いやいやいいよ~。先輩に囲まれて気まずくない~?」
「意外と優しいんすね。別に……この人のことは先輩とも思ってないんで」
「何だと!?!?」
おお、不敬だ。真道はなかなかに圧がある方なのだが、早乙女くんと名乗った二年生は特に気にした風もない。大物である。
まぁ真道が隣に置くのだし、実力ありきだろう。気だるげで軽めの雰囲気と気さくな態度は真道の重苦しい雰囲気を緩和させる要因になっているし。
「って、ちょっとここで食べるんです? あんたはいっつも突然だな……すんませんうちの委員長が」
「苦労してるね~。頑固だもんねいいんちょ~」
「む、そうか?」
「そんな白々しいことある?」
そういう歓談をしていると、むんずと俺の襟が掴まれる。えっ何?
「何してんだ、てめーもテラスだよ」
「え?」
え?
「ほーう、そりゃ俺も行っていいのかよ箱入りくん」
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「はは! ほら早く行くぞ宗介」
えっ????
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