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監禁! 最後の文化祭
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虹色を推しすぎて一周回って目新しさも何もなくなっている品々のいくつかを受け取って、身を軽くしてあげる。まぁ、武藤様ってわりとミーハーなところあるしな。何だっけ、バジルの種みたいなのも前飲んでたような気がする。
「イかれた耳つけてるやつに浮かれてるとか言われたくねぇんだが……」
「いや、浮かれポンチは何人いても浮かれだからね」
「誰が浮かれだ」
「あんただよ」
まぁ確かに俺も顔の両端からビカビカとサイケデリックな光が代わる代わる辺りを照らしている時点で人のこと言えないのはそうなのだけど。
観光に来た人より楽しんでいる様子に、江姫夫妻も……というか江姫さんも呆れた様子であった。
ユキちゃんは若女将として生まれてきた余裕からかころころと花が咲くように笑っている。
可愛らしいというか、綺麗と言った方が正しいような気がしてくる。
「うふふ、田中くん達も楽しんでるんだね」
「まぁ、それはできるなら俺の格好で察してほしかったっつーか……ユキちゃんの中で俺いつもこんな感じなん?」
「え? うーん……田中くんはとってもかっこいいけど、小学校の頃…………。えっと、そういう目新しいの、率先してやってるし……」
「しょ、小学校の頃何?? 俺小学校の頃何やった??」
小学校の頃といえば悪ガキだったような思い出しかないのだが、ユキちゃんにも何か黒歴史を……いや、黒歴史しかないな。できれば掘り返さないで欲しい。忘れていたい。あーーって言いながらうずくまりたい。
「来てたのかよ、江姫。ずいぶん浮かれてるみてぇで何よりだが」
「これはこれは、おぼっちゃま……。ご友人と文化祭の巡回ですか? 学生気分を満喫しておられるようで」
すん、と表情を落とした江姫さんが、口端を上げた武藤様へ慇懃に返す。わぁ、上下関係。でけーー家であることは知っていたけど、江姫さんがこの態度取るくらいなんだ。
「まさかこの三年間、男子校などに進学するとは。武藤様の悲しみと言ったら……は私には推し測れはしませんが」
「そちらさんこそ、急に嫁取りなんざ気でも狂ったか? 年齢差とか考えた方がいいぜ」
「お気遣いありがとうございます」
まぁ、従ってるのは態度だけであんまり尊敬されてる感ないけど。それこそおぼっちゃまだと思われてんだろうな。
笑顔でバチる江姫さんに大人気ないものを感じつつ、結構嫌われているんだなと頬を掻いた。というか、跡取りを作ろうとしないことが不満なのだろう。
武藤家の直系は武藤様だけだ。御曹司たる彼は確実に大きな家を継ぎ、経済界を簡単に揺るがせられるような存在になる。
まぁ、色々混乱してるんだろうな。水瀬がなんか言ってたような気がする。
ぼへーっとバチってるところを眺めていると、そそそっとユキちゃんが近づいて来た。
江姫と武藤の喧嘩なんて誰も近寄りたくないのか、周囲には何か壁のようなものができていた。誰も気にしない……みたいなふりをしてきている。二人とも何やら因縁があるらしく喧嘩しているし、同行者俺なのに放置気味って感じ。
「田中くん、田中くん」
「なに?」
「田中くんの好きな子って、武藤瑛一さま?」
「っえ」
何で知ってんの!?!?!?!?!?
ギョッと隣を見る俺に、ユキちゃんはイタズラっぽく笑いかけてきた。
「だって田中くんったら、すっごくわかりやすいんだもん。さっきからあの人ばっかり見てる」
「ええ……そんなに?」
「うん。幸せにしてあげたい人ってあの人?」
そんなことまでわかるのか。手紙では少し触れただけなのに。
俺が目を瞬かせていると、ユキちゃんはやっぱり子うさぎみたいに愛らしく笑って、気にしないでねと首を傾げた。少女として、泣き虫の彼女を知っている身からすると、いつのまにか遠いところに行ったみたいで何だか困惑してしまう。いや、元から強いひとだったのだけれど。
「江姫さん、武藤様に唯一を見つけて欲しいだけなんだよ。結構感情豊かな人で、武藤様は幼い頃から我が強くて仕方ないーっていっつも怒ってるんだから」
「ええ?」
「小さい頃から見てたから、変に世話焼いちゃうんだよ」
微笑ましそうにユキちゃんが言うので、何やらまだ言い争っている二人を横目で見て、思わず笑いを漏らす。氷の王子だとかと名高い男が、そんなに人間臭くて良いのだろうか。いや、ユキちゃんは本当に人を見通す力がある。彼女が言うなら本当の事なのだろう。
「……ふ。それ、真道みたい」
「わ、それって前一緒に来てたひと? 武藤様のこと、大事なんだねぇ」
大事なんだね、という言葉に少しだけ胸が痛んだ。
そうだ、大事で、幸福を願っている。
……だからこそ、武藤様の周囲は、女性との婚約を望むのだろう。
「イかれた耳つけてるやつに浮かれてるとか言われたくねぇんだが……」
「いや、浮かれポンチは何人いても浮かれだからね」
「誰が浮かれだ」
「あんただよ」
まぁ確かに俺も顔の両端からビカビカとサイケデリックな光が代わる代わる辺りを照らしている時点で人のこと言えないのはそうなのだけど。
観光に来た人より楽しんでいる様子に、江姫夫妻も……というか江姫さんも呆れた様子であった。
ユキちゃんは若女将として生まれてきた余裕からかころころと花が咲くように笑っている。
可愛らしいというか、綺麗と言った方が正しいような気がしてくる。
「うふふ、田中くん達も楽しんでるんだね」
「まぁ、それはできるなら俺の格好で察してほしかったっつーか……ユキちゃんの中で俺いつもこんな感じなん?」
「え? うーん……田中くんはとってもかっこいいけど、小学校の頃…………。えっと、そういう目新しいの、率先してやってるし……」
「しょ、小学校の頃何?? 俺小学校の頃何やった??」
小学校の頃といえば悪ガキだったような思い出しかないのだが、ユキちゃんにも何か黒歴史を……いや、黒歴史しかないな。できれば掘り返さないで欲しい。忘れていたい。あーーって言いながらうずくまりたい。
「来てたのかよ、江姫。ずいぶん浮かれてるみてぇで何よりだが」
「これはこれは、おぼっちゃま……。ご友人と文化祭の巡回ですか? 学生気分を満喫しておられるようで」
すん、と表情を落とした江姫さんが、口端を上げた武藤様へ慇懃に返す。わぁ、上下関係。でけーー家であることは知っていたけど、江姫さんがこの態度取るくらいなんだ。
「まさかこの三年間、男子校などに進学するとは。武藤様の悲しみと言ったら……は私には推し測れはしませんが」
「そちらさんこそ、急に嫁取りなんざ気でも狂ったか? 年齢差とか考えた方がいいぜ」
「お気遣いありがとうございます」
まぁ、従ってるのは態度だけであんまり尊敬されてる感ないけど。それこそおぼっちゃまだと思われてんだろうな。
笑顔でバチる江姫さんに大人気ないものを感じつつ、結構嫌われているんだなと頬を掻いた。というか、跡取りを作ろうとしないことが不満なのだろう。
武藤家の直系は武藤様だけだ。御曹司たる彼は確実に大きな家を継ぎ、経済界を簡単に揺るがせられるような存在になる。
まぁ、色々混乱してるんだろうな。水瀬がなんか言ってたような気がする。
ぼへーっとバチってるところを眺めていると、そそそっとユキちゃんが近づいて来た。
江姫と武藤の喧嘩なんて誰も近寄りたくないのか、周囲には何か壁のようなものができていた。誰も気にしない……みたいなふりをしてきている。二人とも何やら因縁があるらしく喧嘩しているし、同行者俺なのに放置気味って感じ。
「田中くん、田中くん」
「なに?」
「田中くんの好きな子って、武藤瑛一さま?」
「っえ」
何で知ってんの!?!?!?!?!?
ギョッと隣を見る俺に、ユキちゃんはイタズラっぽく笑いかけてきた。
「だって田中くんったら、すっごくわかりやすいんだもん。さっきからあの人ばっかり見てる」
「ええ……そんなに?」
「うん。幸せにしてあげたい人ってあの人?」
そんなことまでわかるのか。手紙では少し触れただけなのに。
俺が目を瞬かせていると、ユキちゃんはやっぱり子うさぎみたいに愛らしく笑って、気にしないでねと首を傾げた。少女として、泣き虫の彼女を知っている身からすると、いつのまにか遠いところに行ったみたいで何だか困惑してしまう。いや、元から強いひとだったのだけれど。
「江姫さん、武藤様に唯一を見つけて欲しいだけなんだよ。結構感情豊かな人で、武藤様は幼い頃から我が強くて仕方ないーっていっつも怒ってるんだから」
「ええ?」
「小さい頃から見てたから、変に世話焼いちゃうんだよ」
微笑ましそうにユキちゃんが言うので、何やらまだ言い争っている二人を横目で見て、思わず笑いを漏らす。氷の王子だとかと名高い男が、そんなに人間臭くて良いのだろうか。いや、ユキちゃんは本当に人を見通す力がある。彼女が言うなら本当の事なのだろう。
「……ふ。それ、真道みたい」
「わ、それって前一緒に来てたひと? 武藤様のこと、大事なんだねぇ」
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そうだ、大事で、幸福を願っている。
……だからこそ、武藤様の周囲は、女性との婚約を望むのだろう。
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