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いざゆけ魔法学校
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「いやでもそれは部長が異常でござるよ」
「普通に折れるまで噛まれたら手とか差し出さない」
「何だとお前ら」
フィレオフィッシュの物言いは相変わらずあけすけである。
放課後、何やら教室に迎えに来ていたセリオンと共に俺は錬金部に訪れていた。理由は簡単、ボッロボロのコンサバトリーを整備するためだ。
「しっかし、フィレオフィッシュのとこにも話は届いてたんだな。やっぱり一角獣は珍しいからか? ツノには浄化の力もあるしな」
「本当でござる、ぜひいつかツノのかけらでも頂きたい……ではなく!」
「一角獣の他にも皇位の魔物が召喚されたってことで、来年召喚術やる俺たちが盛り上がってるんすよ! もちろんアンタの蛇竜含めて!」
コンサバトリーは、庭に張り出すように作られたガラス張りの空間のこと。昔は温室として作られていて、一部屋分の広さがある。俺はサンルームついでに天日干し用で使ってるけどね。
太陽の光がガラスを通して空間に落ちる。咲き誇った花々のいい香りといくつか置いたベルベットの特注ソファ、猫足のローテーブルにはティーセットが四人分。
「皇位……伝説上の生き物につけられる称号であり、災害クラスの証。妖精など高位の魔物とは比べ物にならない力を持つ生き物……ねえ」
「む? 納得いかないでござるか?」
「俺に関して言えばな。他は黄金鷲やら白狼やら、伝説上の生き物がいたよ。素材欲しいな……」
そういえば一気にフィレオフィッシュが盛り上がり、黄金鷲の羽はどうの白狼の伝説はどうのと盛り上がり始めた。まぁ見ることもできない蛇竜の幼体といえば錬金術師からしたらこんなもんである。
どこに収まっているのかひとまず魔神とは共存しているらしく、トイレで聞いてみたところ蛇竜はむりやり魔神の方の魔力を食ってバランス調節しつつ育っているそうだ。人間の体で魔神の魔力食いながら育つ竜、どうなるんだ。
ちょっと面白そうではあるんだよなァ!
できる限り健康に育ってくれよと祈りつつ、今日一日授業を終えたであろうセリオンの隣に移動した。
「で、セリオン。どうだった? 学校」
「……もう話いいの」
「話も何も、蛇竜食ったくらいしか言うことないしな」
そこそこの出来事ではあるが、先生曰く魔法使いは腹に何かを仕込んでいるものらしい。たまたまそれが俺は世にも珍しい蛇竜の幼体であったと言うだけ。魔法使いって怖い。
セリオンは何やら呆れたような顔をして、ティーカップに口をつけた。セリオン用に砂糖とミルクをしっかり入れた甘ーいロイヤルミルクティー。
「べつに。普通だった、簡単すぎ。もっとうまくやれる」
「わはは! 小生意気な奴め」
俺なんてその簡単で普通なことにヒイコラ言ってたと言うのに。
天才の弟には魔法を始めた時からできていたことが、他の人たちにはできない。そろそろそういうことも学んでおくべきだろう。
どうやら気疲れしたらしい弟のふわふわした頭を撫でた。
「ふ。まあ、生意気なくらいがちょうどいいよ。お兄ちゃん言ってただろ? お前は天才なんだから……」
「うわ見て部長俺たちのこと一切眼中にない」
「完全に二人の世界でござるなあ」
うるせーぞ外野。
「まあでも、そんなに疲れてたなら今日はお風呂に入れてやろう! 一緒に寝よっか?」
「……うん」
「はは、やっぱそうだよな………………え?」
今うんって言った??
「普通に折れるまで噛まれたら手とか差し出さない」
「何だとお前ら」
フィレオフィッシュの物言いは相変わらずあけすけである。
放課後、何やら教室に迎えに来ていたセリオンと共に俺は錬金部に訪れていた。理由は簡単、ボッロボロのコンサバトリーを整備するためだ。
「しっかし、フィレオフィッシュのとこにも話は届いてたんだな。やっぱり一角獣は珍しいからか? ツノには浄化の力もあるしな」
「本当でござる、ぜひいつかツノのかけらでも頂きたい……ではなく!」
「一角獣の他にも皇位の魔物が召喚されたってことで、来年召喚術やる俺たちが盛り上がってるんすよ! もちろんアンタの蛇竜含めて!」
コンサバトリーは、庭に張り出すように作られたガラス張りの空間のこと。昔は温室として作られていて、一部屋分の広さがある。俺はサンルームついでに天日干し用で使ってるけどね。
太陽の光がガラスを通して空間に落ちる。咲き誇った花々のいい香りといくつか置いたベルベットの特注ソファ、猫足のローテーブルにはティーセットが四人分。
「皇位……伝説上の生き物につけられる称号であり、災害クラスの証。妖精など高位の魔物とは比べ物にならない力を持つ生き物……ねえ」
「む? 納得いかないでござるか?」
「俺に関して言えばな。他は黄金鷲やら白狼やら、伝説上の生き物がいたよ。素材欲しいな……」
そういえば一気にフィレオフィッシュが盛り上がり、黄金鷲の羽はどうの白狼の伝説はどうのと盛り上がり始めた。まぁ見ることもできない蛇竜の幼体といえば錬金術師からしたらこんなもんである。
どこに収まっているのかひとまず魔神とは共存しているらしく、トイレで聞いてみたところ蛇竜はむりやり魔神の方の魔力を食ってバランス調節しつつ育っているそうだ。人間の体で魔神の魔力食いながら育つ竜、どうなるんだ。
ちょっと面白そうではあるんだよなァ!
できる限り健康に育ってくれよと祈りつつ、今日一日授業を終えたであろうセリオンの隣に移動した。
「で、セリオン。どうだった? 学校」
「……もう話いいの」
「話も何も、蛇竜食ったくらいしか言うことないしな」
そこそこの出来事ではあるが、先生曰く魔法使いは腹に何かを仕込んでいるものらしい。たまたまそれが俺は世にも珍しい蛇竜の幼体であったと言うだけ。魔法使いって怖い。
セリオンは何やら呆れたような顔をして、ティーカップに口をつけた。セリオン用に砂糖とミルクをしっかり入れた甘ーいロイヤルミルクティー。
「べつに。普通だった、簡単すぎ。もっとうまくやれる」
「わはは! 小生意気な奴め」
俺なんてその簡単で普通なことにヒイコラ言ってたと言うのに。
天才の弟には魔法を始めた時からできていたことが、他の人たちにはできない。そろそろそういうことも学んでおくべきだろう。
どうやら気疲れしたらしい弟のふわふわした頭を撫でた。
「ふ。まあ、生意気なくらいがちょうどいいよ。お兄ちゃん言ってただろ? お前は天才なんだから……」
「うわ見て部長俺たちのこと一切眼中にない」
「完全に二人の世界でござるなあ」
うるせーぞ外野。
「まあでも、そんなに疲れてたなら今日はお風呂に入れてやろう! 一緒に寝よっか?」
「……うん」
「はは、やっぱそうだよな………………え?」
今うんって言った??
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