婚約破棄されたら騎士様に彼女のフリをして欲しいと頼まれました。

屋月 トム伽

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ハロルド視点

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「ハロルド様が小作人に?」
「はい、兄には人を雇うお金はありませんから、自分で農業をしてもらいます。勿論、見張りはつけます。」
「どうする?ラケル。」
「そうですね。いいのではないですか。領民の苦労もわかるでしょうし、お金を作ることは大変だと実感するんじゃないですか?」

えっ?俺が農民になっていいのか?
誰も止めてくれないぞ。
父上がずっと睨み付けているから、俺は何も言えないのに!

「では、ハロルドの処遇はそちらに任せよう。」
「寛大なお心に感謝致します。兄ハロルドは朝一で領地に送り、到着次第、小作人として仕事をさせます。私と父上はクロード様とラケル様に明日また謝罪に伺います。」
「では、夜に来てくれ。日中は俺は仕事に行くから。」
「わかりました。明日の夜に伺わせて頂きます。」

えっ!朝一で送る?
まるで護送するような言い方だ!?

「クロード殿、お見送りを…」
「ハーヴィ伯爵…お疲れのようですので、ここで大丈夫ですよ。お体を休めて下さい。騎士達もこれで引き下げます。」
「なんと申していいか…」
「弟君のアーヴィンに感謝をして下さい。利発な方で良かった。」

何故だ!?
何故そこだけ空気が違うんだ!
そこだけ穏やかだぞ!

そして、またラケルの肩に手を回してクロード…様は帰って行った。
邸に来ていた騎士達を引き連れて…。

そして、俺はあまり睡眠が取れてないまま朝一に領地へと連れて行かれた。



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