婚約破棄されたら騎士様に彼女のフリをして欲しいと頼まれました。

屋月 トム伽

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気分上昇中!

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あれから何日もたち、やっとクロード様のご両親にお会いできた。
お二人とも、顔が整っている。
明らかにこのご両親の産物がクロード様だ、と納得する。

「遅くなってごめんなさいね。お会いできて嬉しいわ。」

お義母様は、まだ若く見えクロード様のお姉様でも通りそうだった。

「ラケル、母上は若作りだ。」

クロード様は私が思っていることがわかるようで、一言呟いた。
お義母様は無言の笑顔で、クロード様を睨んでいた。

お互い挨拶をかわすと、クロード様はいきなり本題に入った。

「父上、母上。すぐにラケルと結婚しようと思っています。」

すぐに結婚していいのか、とドキドキしながら隣に座っているクロード様に手を握られていると、ご両親はあっさりしていた。

「いいんじゃないか。すぐに結婚しても反対なんかしないぞ。」

お義父様の返事にクロード様をみると、両親は放任主義だからこんなもんだ。と普通だった。

テンションが上がったのはマーカスさんだった。

「旦那様!ご英断です!やりましたね!クロード様!」

マーカスさんはお茶を持ってきたトレイを持ったまま、ガッツポーズをしていた。

マーカスさん、テンションが上がりすぎです。

「そうだな…クロードが初めて女性を紹介したのだから、待ちきれないのだろうな。」
「そうなのです!この間なんかは二人で廊下で抱き合っていました。早く結婚しないと、色々順番がずれたのがバレてしまいます。」

止めて下さい、マーカスさん。
何を言っているのですか。

それは、子供ができた時、もしくは出産時に、あれっ、結婚した日と、子供のできた時期を遡ったらおかしくない?と暗に言ってますか。
そう言うことですか!?

まだですからね!
まだキスしかしてませんからね!

どうしてこの家族は動揺しないんですか?
お義父様は、やるな。とでも言いたいとでもようにクロード様を見てるし、お義母様は、あらあら、と微笑ましい。
クロード様は、ハァーとため息をついている。

「…クロード様…」

一人恥ずかしくなり、クロード様の腕を引っ張ると、気づいてくれた。

「…マーカス、落ち着け。順番は守っている。ラケルを困らせないでくれ。」
「すみません、気分が上昇してしまいました。」

そうですね!
邸を突き抜けるほど、気分上昇中でしたね!

すると、お義母様が、ふふふ、と話し出した。

「マーカスは、クロードが子供の時から甘やかしたくて昔から構いたかったのよ。」
「クロード様…甘やかされてましたか?」
「どうかな…」

クロード様がそう言うと、マーカスさんは力一杯話し出した。
この人は年の割にはいつも元気だ。

「ラケル様、クロード様は全く甘えませんでした。甘やかそうとしたのに、全くなびかないのです。でも、大丈夫です!今度こそ、ラケル様とクロード様のお子様はしっかり甘やかします!」
「ほ、ほどほどにして下さいね。」
「お任せ下さい!」

なびかないって…。
結婚して、クロード様の子供が出来たら本当に甘やかしそうだわ。
メイベルみたいにならなければいいけど、でも、クロード様の子供なら、何となく大丈夫な気がするわ…。

そして、1ヶ月後にはクロード様と正式に結婚をした。




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