犬猿の仲の政略結婚なのに、旦那様が別れてくれません。

屋月 トム伽

文字の大きさ
8 / 47

初対面の旦那様 3

しおりを挟む

契約結婚だと言っても夫婦になったのだから、夜の営みのことを考えなかったわけではない。
いずれこうなるだろうとは思っていた。ウォルト様に……セルシスフィート伯爵家に私の後継ぎはいらなくても、縁談のない私には、犬猿の仲と呼ばれるセルシスフィート伯爵家との跡継ぎでも必要だったのだ。

でも、ある日突然夫婦として求められるなど予想もしてなかったことで……。

腰を引き寄せられたままでベッドに組み敷かれる。まるで怒っているかのような冷たい表情に身体が震えた。
首筋のキスにびくりとする。そんなことはおかまいなしにウォルト様が私の肌に唇を這わしていた。
何度も首筋から鎖骨に痕を残していく。突然のことに、ぎゅっと瞑っていた目を開けば、ウォルト様の冷酷な灰色の瞳が私を見下ろしていた。

「ナイトドレスを脱がないのか」

突然始まった閨に、自分で脱ぐことに抵抗がある。そう思うと首を左右に振って拒否した。

「そのままでいいのか?」
「そういうわけでは……ひゃっ……」

赤い痕を残した首筋をなめられる。そして、ウォルト様が着ていたシャツを緩めている。
むき出しになった上半身は筋肉質で所々が傷だらけだった。

騎士のウォルト様は、名前だけの騎士ではないとわかる。そっとその胸板の傷に触れれば、ウォルト様が一瞬だけびくんと感じた。

端整な顔に切れ長の目は迫力があり、目を反らすとウォルト様が覆いかぶさってくる。
柔らかいむき出しの胸を弄られて、感じないものがないわけではない。

「……っん」

でも、初めてで声を出せないままで唇を引き締めた。
胸の先が張っていく。ナイトドレスをずらされて、見られるだけ羞恥を煽られた。

「ウォルト様……本当に私でいいのですか?」
「アリスと結婚するつもりはない」
「でも、少し待ってくださっても……」
「子作りをしていれば、誰も君を追い出そうとはしないだろう……離縁など進められることはない。君を守るためでもあるんだが?」
「確かにそうかもしれませんけど……」
「なら、了承だな」
「ひゃっ……」

乱れたナイトドレスから、ウォルト様の手が侵入してくる。男らしい指で弄られ、下着はウォルト様の手で脱がされた。

「はぁ……っ……ぁ……っ……」

ウォルト様に片腕で抱かれたままで、身体の置き場がなくその胸にしがみついていた。ウォルト様の腕が緩むと、不安定な身体がベッドの上で捩れる。逃げるようにベッドにうつ伏せになり、呼吸も速くなっていた。

すると、ウォルト様がシャツを脱いで下着も緩めた。
大した言葉も交わさないままで、腰を後ろから掴まれて、ギュッと歯を食いしばった。
後ろから繰り返される抽送に初めての感覚が身体中を走る。顎に手を添えられて背後に頭を向けられれば、潤んだ眼の自分と無表情のまま熱を帯びさせたウォルト様と視線が交わった。

「……っずいぶん狭いな」
「し、知りませんっ……っぁ……」

狭いという感想でさえ恥ずかしい。
私は、今夜が初めてなのだ。




しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました

蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。 そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。 どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。 離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない! 夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー ※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。 ※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

さようなら、お別れしましょう

椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。  妻に新しいも古いもありますか?  愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?  私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。  ――つまり、別居。 夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。  ――あなたにお礼を言いますわ。 【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる! ※他サイトにも掲載しております。 ※表紙はお借りしたものです。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

【完結】旦那に愛人がいると知ってから

よどら文鳥
恋愛
 私(ジュリアーナ)は旦那のことをヒーローだと思っている。だからこそどんなに性格が変わってしまっても、いつの日か優しかった旦那に戻ることを願って今もなお愛している。  だが、私の気持ちなどお構いなく、旦那からの容赦ない暴言は絶えない。当然だが、私のことを愛してはくれていないのだろう。  それでも好きでいられる思い出があったから耐えてきた。  だが、偶然にも旦那が他の女と腕を組んでいる姿を目撃してしまった。 「……あの女、誰……!?」  この事件がきっかけで、私の大事にしていた思い出までもが崩れていく。  だが、今までの苦しい日々から解放される試練でもあった。 ※前半が暗すぎるので、明るくなってくるところまで一気に更新しました。

余命わずかな私は、好きな人に愛を伝えて素っ気なくあしらわれる日々を楽しんでいる

ラム猫
恋愛
 王城の図書室で働くルーナは、見た目には全く分からない特殊な病により、余命わずかであった。悲観はせず、彼女はかねてより憧れていた冷徹な第一騎士団長アシェンに毎日愛を告白し、彼の困惑した反応を見ることを最後の人生の楽しみとする。アシェンは一貫してそっけない態度を取り続けるが、ルーナのひたむきな告白は、彼の無関心だった心に少しずつ波紋を広げていった。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも同じ作品を投稿しています ※全十七話で完結の予定でしたが、勝手ながら二話ほど追加させていただきます。公開は同時に行うので、完結予定日は変わりません。本編は十五話まで、その後は番外編になります。

処理中です...