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冷たい旦那様が離してくれない 4
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一目ぼれだったと思う。
竜騎士団が魔物討伐から帰還して、すぐに隣国へと旅立つ前に、怪我をした騎士たちに回復の魔法をかけている魔法使いの中にティアナがいた。
その彼女が、自分の怪我を労わる様に魔法をかけてくれていた。無愛想な自分に、健気な様子で魔法をかけていたのだ。細い腕から伸びた小さな手からでる魔法は綺麗だった。
小柄な娘が、一生懸命に魔法をかけている姿は可愛らしいとさえ思った。
セルシスフィート伯爵家は、領地も潤っており資産家だった。殿下の側近にもなれるほどの伯爵家。そのせいか、回復要員として令嬢が近付いてくることも多々あった。
そう思えば、また女性の上目遣いで声をかけられるのかと思うと、いつものように令嬢を警戒し、自然と冷ややかな感情になっていた。
いつものように、「もういい」と一言だけ言うと、ティアナは困ったようになりながらも、持っていた傷薬を「では、代わりにこれをどうぞ。少ししかないので、他の方には秘密ですよ」と言って出してくれた。
そう言って、離れていくティアナに自分が恥ずかしくなった。
ティアナをそういう眼で見てしまったことに、罪悪感が沸いたのだ。
その彼女に、自分から声をかけようと思った。女性に自分から声をかけようなどと思ったのは、初めてだった。
追いかけていったティアナはアルフェス殿下と話しており、結婚相手を探していることを知り、犬猿の仲の伯爵家のウォールヘイトの令嬢だと知った。そして、殿下に頼んだ結婚相手を自分にしてもらった。
隣国に行く直前だったから中止も出来ずに、彼女に自分で結婚の申し込みすら出来なかった。
セルシスフィート伯爵家に帰ることもできずに、結婚だけさせてしまい申し訳ないと思いながらも、もう一度ティアナに会えることを心待ちにしていた。
そんな彼女の噂を聞いた。
色んな貴族に縁談を持ち掛けていたと……それどころではない。
夜会で出会うことすらなかったティアナが、結婚後してから夜会にも頻繫に参加するようになり、幾多の男と遊び歩いている悪女だという噂を聞いたのだ。
そして、父上からの手紙に愕然とした。
ティアナとの結婚は三年の契約で、その後はアリスと結婚するようにと書かれたものだった。
それにティアナも同意していると……。
腹立たしかった。悪女と呼ばれて遊び歩いているティアナが、父上と契約結婚を結んでいたのだ。
結婚して、大事にしたいと思っていた。
でも、俺が一度も触れたことのないティアナを他の男が触れていたのかと思うと、何もかもが腹立たしくて、ぐちゃぐちゃにして壊してやりたくなった。
そして、急いで帰還して、あの初夜を始めた。
潤んだ瞳で抱かれるティアナに、冷ややかな欲を向けて何度も抱いたのだ。
それなのに__。
今、目の前で別邸の庭に大きな桶に手を突っ込んでシーツを洗っているティアナはいったい何をしているのか。
ティアナを書庫から連れ帰って、本邸で用事を済ませている間に彼女は洗濯を始めていた。
「……ティアナ。何をしている?」
「ウォルト様。その……シーツを洗っているのです」
なぜ、ティアナが自分で洗うのだろうか?
ジッと見下ろすと、ティアナが頬を染めて顔を反らす。彼女のピンク色の髪が揺れて、また触れたい気分になる。
……可愛いと思う。
可愛いと思うが、その可愛い顔で男を誘っていたかと思うと苛ついた。
洗濯している桶の前の長椅子に座っているティアナの隣に腰を下ろすと、彼女は椅子から落ちそうなほど横にズレていった。
イラッとしたままで膝に肘をついて睨むと、図らずもティアナの洗っていたシーツが視界に入った。
泡だらけの洗濯の桶の中の真っ白なシーツに、真っ赤なものが付着している。
「………………」
「あの……あまり見られると……」
竜騎士をしていて何度も見た血の色。
見覚えのある色に思考が止まっていると、おそるおそるティアナが恥ずかしそうに言った。
竜騎士団が魔物討伐から帰還して、すぐに隣国へと旅立つ前に、怪我をした騎士たちに回復の魔法をかけている魔法使いの中にティアナがいた。
その彼女が、自分の怪我を労わる様に魔法をかけてくれていた。無愛想な自分に、健気な様子で魔法をかけていたのだ。細い腕から伸びた小さな手からでる魔法は綺麗だった。
小柄な娘が、一生懸命に魔法をかけている姿は可愛らしいとさえ思った。
セルシスフィート伯爵家は、領地も潤っており資産家だった。殿下の側近にもなれるほどの伯爵家。そのせいか、回復要員として令嬢が近付いてくることも多々あった。
そう思えば、また女性の上目遣いで声をかけられるのかと思うと、いつものように令嬢を警戒し、自然と冷ややかな感情になっていた。
いつものように、「もういい」と一言だけ言うと、ティアナは困ったようになりながらも、持っていた傷薬を「では、代わりにこれをどうぞ。少ししかないので、他の方には秘密ですよ」と言って出してくれた。
そう言って、離れていくティアナに自分が恥ずかしくなった。
ティアナをそういう眼で見てしまったことに、罪悪感が沸いたのだ。
その彼女に、自分から声をかけようと思った。女性に自分から声をかけようなどと思ったのは、初めてだった。
追いかけていったティアナはアルフェス殿下と話しており、結婚相手を探していることを知り、犬猿の仲の伯爵家のウォールヘイトの令嬢だと知った。そして、殿下に頼んだ結婚相手を自分にしてもらった。
隣国に行く直前だったから中止も出来ずに、彼女に自分で結婚の申し込みすら出来なかった。
セルシスフィート伯爵家に帰ることもできずに、結婚だけさせてしまい申し訳ないと思いながらも、もう一度ティアナに会えることを心待ちにしていた。
そんな彼女の噂を聞いた。
色んな貴族に縁談を持ち掛けていたと……それどころではない。
夜会で出会うことすらなかったティアナが、結婚後してから夜会にも頻繫に参加するようになり、幾多の男と遊び歩いている悪女だという噂を聞いたのだ。
そして、父上からの手紙に愕然とした。
ティアナとの結婚は三年の契約で、その後はアリスと結婚するようにと書かれたものだった。
それにティアナも同意していると……。
腹立たしかった。悪女と呼ばれて遊び歩いているティアナが、父上と契約結婚を結んでいたのだ。
結婚して、大事にしたいと思っていた。
でも、俺が一度も触れたことのないティアナを他の男が触れていたのかと思うと、何もかもが腹立たしくて、ぐちゃぐちゃにして壊してやりたくなった。
そして、急いで帰還して、あの初夜を始めた。
潤んだ瞳で抱かれるティアナに、冷ややかな欲を向けて何度も抱いたのだ。
それなのに__。
今、目の前で別邸の庭に大きな桶に手を突っ込んでシーツを洗っているティアナはいったい何をしているのか。
ティアナを書庫から連れ帰って、本邸で用事を済ませている間に彼女は洗濯を始めていた。
「……ティアナ。何をしている?」
「ウォルト様。その……シーツを洗っているのです」
なぜ、ティアナが自分で洗うのだろうか?
ジッと見下ろすと、ティアナが頬を染めて顔を反らす。彼女のピンク色の髪が揺れて、また触れたい気分になる。
……可愛いと思う。
可愛いと思うが、その可愛い顔で男を誘っていたかと思うと苛ついた。
洗濯している桶の前の長椅子に座っているティアナの隣に腰を下ろすと、彼女は椅子から落ちそうなほど横にズレていった。
イラッとしたままで膝に肘をついて睨むと、図らずもティアナの洗っていたシーツが視界に入った。
泡だらけの洗濯の桶の中の真っ白なシーツに、真っ赤なものが付着している。
「………………」
「あの……あまり見られると……」
竜騎士をしていて何度も見た血の色。
見覚えのある色に思考が止まっていると、おそるおそるティアナが恥ずかしそうに言った。
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